五月最終日、六月の牛乳月間を前に
配信はちょうど五月三十一日の日曜日。翌日から始まる六月の牛乳月間を前にした日でした。
この日の島根は最高気温三十二度。川上さんは「十年に一度あるかないかの暑さ」というニュースを紹介しつつ、もう夏のような天気だと話しています。
明後日からは東京への出張が控えているそうです。それまでにヘルパーさんへの引き継ぎや、育成舎の掃除、餌の準備などを進める予定だと語られました。
六月は酪農業界にとってお祭りのような月。ワールドミルクデーや牛乳の日を軸に、各地の乳業や組合がイベントを行います。
ただし川上さんは、駅などで牛乳を無料配布する取り組みには複雑な思いを口にしました。
牛乳を配ることでですね、市場の牛乳が売れなくなるんですよ。これを本当に何回も僕は言ってるんですけどね、毎年本当に。
人間関係が苦手でも酪農家になれる?
最初の質問はYouTubeのMAPLEさんから。新規就農を目指す人の中には、対人関係が苦手で動物と向き合う仕事を選ぶ人もいます。
川上さんは、動物が好きという動機自体は良いとしながらも、酪農にも人間関係が欠かせないと話します。
食事会や地域の行事が苦手だという声に対しては、少しずつ慣れていくことをすすめました。
そういうのできない方はちょっとやっぱり、これからトレーニングでもないですけど、できるようにね、ちょっとずつちょっとずつやっていくといいんじゃないかなと思いますね。
続くThis is Kさんからのコメントは、牛乳の検査についてのYouTubeショートに寄せられたものでした。
川上さんは、毎日の音声配信から一分の質問回答を切り取ってショートにし、そこから本編のポッドキャストへ誘導する動線を説明しています。
牛乳の検査基準は「他社と比べない」
牛乳の検査項目についての配信には、MAPLEさんから「良い時だけ自慢する酪農家あるある」というコメントが届きました。
あるあるですよね。本当にね、俺のとこはすごいっていう、いい時だけ言うっていうね。
川上さんは、牛は生き物なので暑さや寒さで体調が変わると説明します。それでも体細胞数を低く保てる経営は素晴らしいと話しました。
川上牧場でも数値は上がったり下がったりするそうです。ペナルティにならない範囲でやっていければ良いという姿勢を示しました。
Xのミルクアハンさんからは、検査の基準値を書いてほしいという要望も。これに対して川上さんは、基準値は他と比べるものではないと語ります。
自分のところで決めて、その基準値はなぜ自分のところでそうやってやってるのかっていうのを決めるのが大事だよっていうのを研修生と話してるんです。
他の牧場と比べて悪いと落ち込むのではなく、自分の牧場の基準をなぜ設けているのかを考えることが大切だという考え方です。
もしAI搭載の川上ロボが誕生したら
レインさんからは「AI搭載全自動川上ロボが誕生したら何をしたいか」という質問が届きました。
自分の役割を全部やってくれるならと考えて、川上さんが挙げたのは狩猟でした。
やっぱあれがやりたいんですよね。狩猟がしたいんですよね。興味があって。罠猟とかね、あと銃もそうですし、罠とかイノシシとか何か害獣を捕まえたりしたいですね。鷹匠もやってみたいし。
さらに海外旅行にも行きたいと話します。海外の知り合いの酪農家を訪ねてみたいという夢も語られました。
そのうえで、AIが自分の配信を代わりに行う日が来る可能性も冗談まじりに口にしています。
いつか変わる可能性もかなり高いので、その時は教えないです。ずっと川上だと思って聞いていただけたらと思います。
事業継承のリアルと、新規就農の壁
新規就農については、TikTokの八さんから「酪農は定年のない職業で、継承は理想的かもしれない」というコメントが届きました。
川上さんは、物価が上がる中で新規に牧場を建てるには数千万から数億円が必要になると説明します。
採算が取れる規模には多額の資金が要るため、事業継承ありきのほうが始めやすいと考えられると話しました。
一方で、継承には別の難しさもあります。前の代のやり方をそのまま続けてほしいと望む人もいれば、うまくいかなかった地域関係を引き継ぐケースもあるからです。
新しく牛舎を建てる場合は、周囲の理解を得るのがさらに難しいといいます。
牛舎が建ったらハエが出たりとか、臭さもあったりとか、朝うるさかったりとか、夜も牛が鳴いたりとか、作業音がしたりとか、やっぱり理解は難しいかなと思ったりする。
そこで川上さんがすすめるのが、牛舎を建てる前からの発信活動です。ポッドキャストや動画配信で練習しておくことが役立つと語りました。
輸入飼料とオーガニックをめぐる誤解
輸入飼料が止まったらどうなるかという投稿には、まあまあさんから「オーガニックで価格を倍々にする」という案が寄せられました。
川上さんは、オーガニックのようなブランド志向や嗜好品は、普段の牛乳が安定して流通しているからこそ価値が上がると説明します。
もし日常の牛乳が高騰し、安定して飲めない状況になれば、オーガニックはさらに手の届かない価格になってしまうといいます。
その例として挙げたのがコロナ禍でした。独自販売をしていた農家ほど売れなくなり、経営危機に陥ったケースもあったそうです。
北海道の方で知り合いの方でオーガニックでやってる人もいますけど、本当にやめた方がいいよっていうアドバイスをもらったことあります。
もう一つ、トアさんからの「餌を作る会社が増える」というコメントには、問題は餌だけではないと答えました。
餌が止まる背景には、それを運ぶ船や原油、電気、トラクターの部品や燃料まで連鎖して止まる状況があるといいます。
餌が止まるっていうのは単純にその餌だけ止まるってわけじゃなくて、運んでいる船も止まって、原油も止まって、原油が止まることによって電気も止まって、トラクターも止まって、部品がないとか、燃料がないとか、そういうところになってくる。
六月の牛乳月間、盛り上げ企画が続々
最後に、翌日から始まる牛乳月間に向けた企画が紹介されました。
まずは川上さんが所属するメタクリ研究所での画像投稿キャンペーン。家族で描いたイラストや牛乳の写真、画像生成AIで作った作品を投稿すると、抽選で乳製品が当たる内容です。
六月六日の十八時からは、音楽配信アプリAWAで「牛乳で歌おうライブ」を開催。昨年までの企画を大幅にリニューアルし、音楽アーティスト集団のハロニルさんと一緒に作り上げるそうです。
さらに、川上牧場初のKindle本の第二弾も明日発売。遺伝改良と飼料設計を扱った内容で、書籍やノートを読み込ませたカスタムGPTを一ヶ月無料で試せるようにしたと語られました。
音声配信を軸に、noteの記事、公式LINE、メルマガへと少しずつ触れてもらう。そんな一歩ずつの入り口づくりを大切にしている姿勢が伝わる回でした。
まとめ
日曜恒例のコメント返し回では、人間関係の悩みから検査基準、事業継承、輸入飼料の連鎖まで、酪農のリアルな疑問に川上さんが正直に答えました。派手な結論よりも、自分の基準を持ち、発信を続けるという地道な姿勢が印象に残る内容でした。
- 酪農にも人間関係は欠かせず、苦手でも少しずつ慣れていくことがすすめられます。
- 牛乳の検査基準は他社と比べるものではなく、自分の牧場でなぜその基準かを決めることが大切です。
- 新規就農は資金面のハードルが高く、事業継承のほうが始めやすいと考えられます。
- オーガニックや独自販売は、日常の牛乳が安定して流通してこそ価値を持ちます。
- 六月の牛乳月間に向け、画像投稿キャンペーンや音楽ライブ、Kindle本など複数の企画が用意されています。
