乳製品が売れず、酪農家の手取りがまた減る現状
配信の冒頭で、酪農業界のニュースが取り上げられました。脱脂粉乳が売れずに積み上がっているという話です。
牛乳・乳製品が売れていないため、脱脂粉乳の在庫がどんどん増えていると話されています。年末に向けてこれが不安視されているそうです。
その解消のために、酪農家が牛乳1リットルあたり15銭の拠出金を出すよう求められたとのことです。川上牧場の規模では、年間およそ5万円から6万円の負担になると話されています。
売上がこれだけ減った。資材費、餌代、なんやかんや値段が上がっている中、酪農家さんの手取りはまた減ってしまった。牛乳、乳製品が売れないからです。
規模が大きい牧場ほど負担も増えます。搾乳牛が400頭ほどの牧場なら、年間で60万円ほどになる計算だと話されています。
こんなにうまいのに飲まれてないとか。飲まれてる方は飲まれてるんですよね。飲まれてない方は全く無関心。そこを何とかしないといけないんだよ。
今日の質問「乳牛は子牛から牛舎で育てますか?」
お便りコーナーでは、配信アプリのポポポから、つきみさんの質問が紹介されました。
乳牛は子牛から牛舎で育てますか?
一見シンプルな質問ですが、答えは酪農の経営の考え方につながる面白いテーマだと話されています。
まず結論として示されたのは、「牧場によって違う」ということです。
子牛が生まれてから自分の牧場で育てる牧場もあれば、子牛は育てず、妊娠した初産牛を購入して経営している牧場もあります。
自分の牧場で育てる「自家育成」という選択
川上牧場は、基本的に自家育成をしている牧場です。生まれたメスの子牛を育て、大人になって妊娠・出産し、搾乳牛になるまで自分のところで育てます。
牛は生まれてすぐに牛乳を出すわけではありません。人間と同じで、出産して初めてお乳が出ます。
そのため、子牛が生まれてから収入をもたらす牛になるまで、約2年かかると話されています。
この2年間は、餌代も管理費もワクチンなどの費用もかかります。育てるための牛舎も必要ですが、収入はありません。
自家育成というのは将来への投資をしていく、そんな牧場です。
それでも自家育成をする理由はいくつかあると話されています。一つは、自分の牧場に合った牛を作れることです。
川上牧場の場合は、牛舎に合った体が小さめで、少ない餌でお乳を出し、足がしっかりして繁殖性もよい牛を残していきたいと話されています。そうした牛を自分の牧場で育てられるのが強みです。
もう一つは、病気の持ち込みリスクを減らせることです。外部から牛を買うと、どんなに健康診断をしても病気を持ち込む可能性はゼロにはなりません。自分のところで完結していれば、そのリスクを限りなく抑えられると話されています。
さらに、生まれたときから知っている牛は飼いやすいという利点もあります。小さい頃の性格を知っているので、対応がしやすいそうです。
あの牛は小さい頃こんな性格だったなとか。こんな性格だけど仕方ないな、こうやって飼ってあげれば大人になった時はちゃんとしてくれるだろうみたいな。
子育てにたとえながら、反抗期の子供もいずれ立派になるように、と話されていました。
自分の牧場に合った牛を作れる。病気の持ち込みリスクを抑えられる。性格を知っているので飼いやすい。
育つまで約2年かかり、その間は餌代・管理費・牛舎が必要で収入がない。
育てない牧場もある。委託と初産牛導入
一方で、自家育成をしない牧場もあります。特に北海道では、専門の育成牧場があると話されています。
子牛を育てるには広い土地も人手も牛舎も必要です。そこで育成は専門の牧場に任せ、搾乳だけに集中する経営もあります。
この場合は、自分のところで産ませた子牛を育成牧場に預け、大人になってから戻してもらって搾乳するという形になります。
さらに、妊娠した初産牛を購入する牧場もあります。すぐに乳を出す牛を導入できるのがメリットです。
子牛を育てる必要がないため、育成用の牛舎を持たずに済み、労力も減ります。ただし購入費用は高く、初産牛1頭で数十万円になることもあると話されています。
また、導入した牛が自分の牧場に合うとは限らず、環境の変化で調子を崩すこともあるそうです。
| 方法 | 主な特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 自家育成 | 自分の牧場で子牛から育てる | 育つまで約2年、その間は収入がない |
| 育成委託 | 子牛を専門の育成牧場に預ける | 搾乳に集中できる |
| 初産牛導入 | 妊娠した牛を購入する | 購入費が高く、環境変化で調子を崩すことも |
つまり、どちらかが正解というわけではありません。
自家育成は時間もお金もかかるけれど、自分の牧場に合った牛を作れる。初産牛導入は早く戦力を確保できるけど、購入コストや適応リスクがある。
酪農家は、それぞれの土地や環境、人手、資金、経営方針に合わせて、どの方法を選ぶかを決めていると話されています。
地域で違う育て方と、支え合う日本の酪農
川上さんは鳥取県出身で、鳥取では自家育成をする牧場がほとんどだったため、それが当たり前だと思っていたと話されています。
ところが島根県の牧場を見て回ると、自家育成をしない牧場も多く、カルチャーショックを受けたそうです。
半分は自家育成、半分は育成牧場に委託するなど、いろいろな飼い方があります。多様性がある方が酪農としてはよいのではないかと、個人的な考えを話されています。
最後に、北海道と都府県の関係についても触れられました。牛乳の会議で「北海道が搾りすぎている」という声が出ることに対し、疑問を口にしています。
北海道から牛買ってて、それで経営回してるのに、なんで北海道の悪口とか言うの?って本当にちょっと驚愕です。北海道ガンガン絞ってもらいたいと僕は個人的には思ってるんで。
北海道にはどんどん搾って国際競争で勝ってほしいという思いも語られました。北海道と都府県が支え合いながら日本の酪農を作っていることを知ってほしいと話されています。
まとめ
「乳牛は子牛から育てますか?」という素朴な質問から、自家育成・育成委託・初産牛導入という牛の育て方の違いと、その背後にある経営判断が見えてきました。どれか一つが正解ではなく、土地や資金、方針に合わせた選択があることが語られた回です。
- 乳牛は出産して初めてお乳を出すため、収入をもたらす牛になるまで約2年かかる。
- 自家育成は牧場に合った牛を作れて病気の持ち込みも防げるが、時間とお金がかかる。
- 初産牛導入はすぐに戦力になるが、購入費が高く環境変化のリスクもある。
- どの育て方を選ぶかは、各牧場の土地・人手・資金・経営方針によって異なる。
- 乳製品が売れず、酪農家は牛乳1リットルあたり15銭の拠出金を負担することになった。
