岡山のホテルから届ける酪農DXサミット当日の配信
この日の配信は、いつもの牛舎からではなく岡山県のホテルからお届けされました。川上さんが酪農DXサミットに講師兼運営企画者として参加するためです。
前日はトラブル続きだったそうで、退肥の注文が重なったうえ、自動餌やり機がこれまでにない故障を起こしてしまったとのこと。
なんやかんや、ホテルに着いたのが夜の時ぐらいで。そのままお酒を飲んで寝てしまったので、もう声がこんな感じで。
それでも当日はSNSを動かしながら会場の雰囲気を届ける予定と話し、いつも通り張り切って配信をスタートしました。
ご当地牛乳を楽しむすすめ
この日は自分の牧場の牛乳が手元になく、ミルクコーヒーで乾杯。それでも川上さんは、いつも1リットル飲んでいるだけあって「自分家の牛乳が飲みたいなぁ」とこぼします。
酪農関係の会議では、お茶ではなく牛乳を出すのが一般的なのだそう。この日も岡山のご当地牛乳を2種類飲む予定だと楽しそうに話していました。
各社ブランドいろんなやつがありますから、ぜひそちらも楽しんでもらえたらと思います。味違いますよ、マジで。
今日の質問と3つのテーマ
お便りコーナーでは、YouTubeに届いた質問に答えていきます。きっかけは、1月に上げた逆子分娩の動画。Instagramのリールで9万回近く再生され、TikTokでも話題になっているそうです。
牛さんの羊水は人間の倍くらいありますか?破水も人間と同じですか?逆子はいつのタイミングでわかりますか?
川上さんは、この3つを獣医学で知られている事実と現場の経験を合わせて解説していきます。ただし、数値は研究や個体差によって幅がある点も前提として伝えられました。
牛の羊水は2種類ある
まず大事なポイントは、牛を守る液体は羊水だけではないということです。牛には主に羊水と尿膜水という2種類の胎膜液があります。
量については、尿膜水が多く羊水はそれより少ないという特徴があります。研究報告や獣医学資料では、出産前の合計量はおよそ20リットルから30リットル程度とされることが多いそうです。ただし個体差があります。
一方、人間の羊水は妊娠後期で約800ミリリットルから1リットル程度。単純に比べると牛のほうがかなり多くなります。
ただ、体の大きさが違うため、川上さんは「何倍」という言い方より、体格に比例して多いと考えるほうが正解だと話しています。
牛にも破水はある、現場では「水胞」
質問の2つ目、牛にも破水はあるのか。結論から言うと、牛にも破水があります。
ただし人間と違って、牛の場合は出産の進行中に水の入った袋が外に見えることが多いのだそう。酪農現場では「水胞が出た」とよく言うそうです。
この袋は胎膜で、これが破れると液体が出ます。ここが人間の破水との見え方の違いですね。
牛の正常な出産の体位は、前足2本と鼻先が出てくる形です。前足2本が先に見えて、その間に鼻が見える。これが獣医学で正常前方位と呼ばれる正常な出産です。
水胞が出る
水の入った袋(胎膜)が外に見える
前足2本が見える
先に前足が出てくる
鼻先が見える
前足の間に鼻先が見える
逆子はいつわかる?現場での判断
質問の3つ目、逆子はいつわかるのか。逆子は、後ろ足が先に出たり、足が出なかったり、頭だけ出てきたり、足の向きが上下逆になっていたりする形になります。
酪農現場では、水胞が出た後や足が見えた段階で、正常かどうかを判断します。
もし異常な場合は、子牛の足を触りながらどういう向きになっているか、首の位置はどうかを確認し、必要なら向きを直していくそうです。
観察と確認が正常分娩のカギ
川上さん自身も、前足や足先が出てきそうな時には手を入れて子牛の向きを確認するのが、分娩を見つけたらまずやることだと話します。
さらに、生まれた後にもう一度手を入れることもあるそう。理由は双子の可能性です。1割ほどは双子があるため、子牛が小さかったり分娩が遅れたりした時は確認するのだといいます。
正常な分娩をしようと思うと、分娩の瞬間だけでなくその前後の様子までよく観察することが本当に大事だと締めくくられました。
まとめ
リスナーの疑問をきっかけに、牛の羊水・破水・逆子を獣医学と現場経験の両面から解説した回でした。動画で気になったことを送ると、こうしてリアルな酪農の裏側を知るきっかけになりますね。
- 牛の胎児を守る液体は羊水と尿膜水の2種類で、合計はおよそ20〜30リットル程度(個体差あり)
- 牛にも破水があり、現場では水の入った袋を「水胞」と呼ぶ
- 正常分娩は前足2本と鼻先が出てくる形で、それ以外は逆子などを疑う
- 分娩の前後をよく観察し、手を入れて向きや双子を確認することが正常分娩のカギ
