正月も休まない酪農家の1日
配信はお正月、1月2日の金曜日。世の中がお休みモードのなか、酪農家の川上さんは休まず牛の世話をしています。
この日の天気は雪時々曇りで、最高気温は2度。完全防備での作業だったそうです。
酪農家の私は休まず、正月も休まず今日もお仕事をしております。
さらに、除雪などに使うホイルローダーが止まってしまうトラブルも。隣の牧場のホイルローダーを借りて作業していると話します。
もう幸先悪すぎるっていう。
今日の質問「牛は毛をカットする?」
お便りコーナーで紹介されたのは、TikTokネーム「なおみちゃんLOVE」さんからの質問です。
牛さんは犬や猫みたいに毛は定期的にカットしますか?
川上さんは、これは牛をよく知らない人ほど自然に出てくる、とてもいい疑問だと受け止めます。
犬や猫は人と同じ家の中で暮らす動物で、毛が伸びすぎると暑くなったり蒸れたり、皮膚のトラブルが起きたりします。だからトリミングや毛のカットが必要になるんですよね。
では牛はどうか。結論から言うと、牛の毛は基本的にカットしません。その理由を、体の仕組みと季節から順に見ていきます。
牛の毛は「自動で衣替え」する
川上さんによると、牛はもともと屋外で四季を過ごすことを前提に進化した動物です。だから牛の毛はファッションでも見た目でもなく、体温調整のための道具なのだといいます。
牛の毛はファッションでも見た目でもなく、体温調整のための道具だということですね。
牛の毛の最大の特徴は、季節ごとに自然に生え変わること。冬は長くて密な毛、夏は短くて薄い毛になります。これを「換毛」と呼びます。
春になると冬毛がごっそり抜けて夏毛に切り替わるので、暑くなるから毛を刈る、という必要は基本的にありません。
現場では、春先の牛舎は毛だらけになるほど。ブラッシングをすると手のひらいっぱいに毛が取れることも普通だそうです。
でもこれは病気でも異常でもなく、正常な季節のサインですということですね。
刈ることもある「例外」と、夏の暑さ対策
基本は刈らない牛の毛ですが、例外もあります。治療や手術をする部分、注射や検査をする場所、そして乳房まわりの衛生管理などです。
とくに乳房のまわりは毛にゴミがつきやすいため、毛刈りをすることがあるとのこと。これはトリミングというより、医療や衛生を目的としたものです。
では、毛を刈らなくて夏は暑くないのか。答えは「暑いです」。ただし、大事なのは毛の長さよりも環境だと川上さんは言います。
牛舎に風が通るか、日陰があるか、水がしっかり飲めるか。暑熱対策は送風機やミスト、日除けや換気設計といった環境づくりで行うそうです。
もし全身を丸刈りにしたらどうなるか。紫外線を直接浴びて皮膚が傷みやすくなり、かえって体温調整がうまくいかなくなります。つまり、刈ることで不利になることの方が多いんですね。
現場のリアル。共進会と暑熱対策の毛刈り
まとめのあとに、川上さんは現場ならではの補足を加えます。全身を丸刈りにする場面が実はあるのだそうです。
それが「共進会」。定期的に開かれる、いわば牛の美人コンテストで、出品する牛はほぼ丸刈りにするといいます。
牛舎の中で飼う場合は紫外線の問題は特に大きくなく、むしろ体が綺麗になって管理しやすくなる、という衛生面のメリットもあるようです。
また、毛の状態は牛の健康を映す鏡でもあります。栄養不足や管理が行き届いていない牛は、毛がボサボサになったり背中にホコリがたまったりするそう。
人間もこう、体調悪くなってずっと寝てたりすると、髪の毛がボサボサしてきて、皮膚がハリがなくなるみたいなことがありますけど、牛も一緒ですね。
だから毛の様子は、餌をちゃんと食べられているか、健康かどうかを見る観察の指標のひとつになるといいます。
暑さ対策として毛刈りをする牧場も少なくありません。全頭を丸刈りにするのは大変ですが、牛の肩口には人間でいう汗腺が多くあり、そこだけを刈ると効果的だという技術情報もあるそうです。
乳房の毛刈りは川上牧場でも頻繁に行うとのこと。充電式の小型バリカンで長い毛を整えたり、大きな牧場では軽いバーナーで細かい毛を焦がして処理する方法もあると紹介しています。
まとめ
「牛は毛をカットするの?」という素朴な疑問から、牛の体の合理的なつくりが見えてくる回でした。犬や猫との違いや、現場での毛の扱い方まで、酪農家ならではの視点で語られています。
- 牛の毛は基本的にカットせず、季節ごとに「換毛」で自然に生え変わる
- 牛の毛は体温調整のための器官で、丸刈りにするとかえって不利になることが多い
- 毛を刈るのは治療・検査・乳房まわりの衛生など、必要な部分だけが基本
- 夏の暑さ対策は毛の長さより、風・日陰・水・換気といった環境づくりが重要
- 毛の状態は牛の健康や栄養状態を見る観察の指標にもなる
