SNSで燃えた酪農従業員の待遇問題
配信では、川上牧場の毎日の配信を聞いてくれているリスナーの声が紹介されました。子供の送り迎えのときに聞いてくれているそうで、「研修生さんいいですね」というコメントも届いたそうです。
誰か雇ってください。
好待遇でお願いしたいです。
そこから話は、川上さんの知り合いがSNS(X)で「炎上」した話題へ。求人広告を出したところ、条件をめぐっていろんな人から批判が集まったそうです。
その求人広告で従業員募集中ですってやったら、今時こんなやつで働かせるのおかしいよみたいなやつで、いろんな人からこうやいやい。
問題になったのは、給料が安く残業ありきの働き方だったこと。研修生さんも、酪農の働き方の難しさを実感していると話します。
業務時間は8時間だったとしても、その年間休日がどうしてもすんげえ少なくなるじゃないですか。基本80日とか、なのに基本給がよくて25万とか、安くて23万、21万とかじゃないですか。難しいです。
川上さんは、批判した側の気持ちもわかると言います。ただ、多くが自分の牧場から出たことのない人たちで、比較する対象を持っていない点にモヤモヤも感じたようです。
その酪農をこれから目指す人たちを従業員として受け入れして、頑張っていきたい、地域を盛り上げたいっていう熱意。すげえ僕は心境がわかる。
好待遇の牧場もある。地域と規模で変わる働き方
一方で、年間休日が少ない牧場ばかりではないと川上さんは話します。規模の大きな牧場には、条件の良いところもあるそうです。
北海道で視察に行った牧場は、日本で10位ぐらいまで入るんじゃないかな。そこは週休2日はもう当たり前で残業ないって言ってて、手取り20何万超えてて、寮生活でいろんな資格も取らせてもらえるみたいなこと言ってて。
ただ、大きい牧場では担当が分かれていることも多いそう。研修生さんは全体的にやりたいタイプだといい、働き方は牧場ごとに事前にすり合わせることが大事だと確認し合います。
牛の爪切り「搾蹄」ってどんな仕事?
話題は、川上さんが視察先で出会った、搾蹄を勉強中の若手のことから、牛の爪切りへ。研修生さんも気になっていたテーマだったようです。
搾蹄ってなんですか?
搾蹄とは、牛の爪切りのこと。爪を削るという意味で、削る爪と書いて「搾蹄」と読みます。馬の場合は「護蹄」と呼ばれ、呼び方が違います。
川上牧場では、月に1回「搾蹄師」という資格を持つ人が来てくれるそうです。この資格には1級と2級があり、上級を取るには現役の搾蹄師のもとで一定期間の勤務が必要とのこと。全国に協会もある、れっきとした資格だと紹介されました。
搾蹄師でやってる人たちは、もうエリア関係なく全国飛び回ってる人もいますし。
牛が空を飛ぶ?搾蹄の現場と爪の大切さ
規模の大きな牧場が増えたことで、搾蹄師も株式会社化やグループ化が進んでいるそうです。朝と晩の搾乳の合間に、決められた頭数をこなす必要があるためです。
作業には「電動枠」という装置を使うこともあるそう。牛を入れて足をロープで固定すると、電動で足を持ち上げてくれる仕組みです。
牛縛ったら電動でウィーンって足上げてくれて。空飛んでるみたいな感じになって。4人でババババってやって、1頭5分ぐらいでダーっとやっちゃったりとかもありますね。
なぜ爪切りが必要なのか。それは、爪が伸びると牛が立ち座りしにくくなり、餌を食べられなくなったり、生産性が落ちたりするからです。
今はフリーストール、フリーバーンっていう歩くタイプの牧場が多いので、爪が悪くなると一瞬で生産性落ちるので。
牛は人でいうと、つま先で立っている状態。爪先の「覆蹄」と呼ばれる二つに分かれた部分は、小指と親指にあたるそうです。長く伸びるとハイヒールのようになってしまうこともあるとか。
搾蹄師は1000万プレーヤーも。酪農は体が資本
搾蹄師は日給月給で、こなした頭数に応じて収入が決まる仕事。腕のいい人は稼げる職業だと川上さんは話します。
ただし、体が資本の仕事であることは酪農全体に共通します。研修生さんは、動物関係のインターンでの犬の散歩などと比べても、酪農は重いものを持ったりしゃがんだり立ったりと、体を使う仕事だと感じたそうです。
酪農って結構体使うよなって思って。やってみたいなって思ったんですよね。
搾乳だけを続けると手首が腱鞘炎になることもあるなど、牧場によって働き方はさまざま。だからこそ、いろんな世界を知ることが大切だと二人は話します。
給料が上がりにくい理由と、牛乳の値段
研修生さんは、酪農は「ステップアップしない」と以前聞いた話を持ち出します。最初にもらう給料が、その後もらえるお金の基準になるのではと問いかけました。
川上さんは、規模が決まると頭数が決まり、売上と払える人件費もおおよそ決まってくると説明します。ずっと給料が上がり続ける職業ではない、という前提で目指す必要があるそうです。
独立するとまあ夢は広がるけど、なかなか独立できる状況では今ないよねっていうとこですね。
だからこそ、従業員の給料を上げるには、牛乳そのものの価格や消費が伸びる動きが欠かせないと川上さんは考えています。
年末年始は牛乳が余る?「私のホットミルク」で消費を
研修生さんは、もし他の牧場から牛を引き取って乳量が増えたら、出す牛乳の本数も増えるのか、追いつかないと廃棄になるのかと質問します。
川上さんによると、そのとおり。特に年末年始は学校給食が止まる一方で、牛は調子が上がって乳量が増えるため、需給のギャップが大きくなるそうです。
年末年始、本当に牛乳廃棄になるんじゃないかみたいなニュースは今すっごい出てます。
研修生さんは、バレンタインのチョコのように、牛乳を大量消費するイベントがあればと提案。川上さんは、SNSで盛り上がっている「私のホットミルク」というハッシュタグを紹介しました。
年末年始は牛乳飲んでもらいたいです。
飲んでください皆さん。
まとめ
酪農の給料や休日の難しさから、牛の爪切り「搾蹄」という専門職、そして年末年始の牛乳需給まで、牧場ならではの話が詰まった回でした。給料を上げるには牛乳の消費が伸びること、という川上さんの言葉が印象的です。年末年始はぜひ、ホットミルクで牛乳を味わってみてくださいね。
- 酪農の給料や年間休日は牧場の規模や地域で大きく変わり、好待遇の牧場もある
- 牛の爪切りは「搾蹄」と呼ばれ、資格を持つ搾蹄師が担う専門職。爪のケアは牛の生産性に直結する
- 酪農は規模で売上と人件費がほぼ決まるため、給料が上がり続けにくい構造がある
- 年末年始は給食が止まる一方で乳量が増え、牛乳が余りやすい。消費を伸ばすことが待遇改善にもつながる
