久しぶりの配信と、酪農業界でのAI活用の話
今回は久しぶりの配信。冒頭で川上さんは、この日の予定を紹介します。
午前はもみ殻を2袋取りに行き、午後は島根県の若手酪農家が集まる会に参加するそうです。
その会では、最近話題の生成AIを酪農業界でも活用していこうと、川上さん自身が講師になって勉強会を開くとのこと。
もう本当に無駄な業務いっぱいありますよっていうのを伝えていこうかなと。もっと楽して、皆さんが牛に向き合える時間を作っていけたらいいなと思ってます。
牛乳で乾杯と、年末年始の牛乳消費の課題
川上牧場の配信の恒例は、リスナーと一緒に牛乳で乾杯すること。今回も牛乳を準備する時間をとってからの乾杯です。
川上さんは広島への出張で、中四国・近畿の酪農家が集まる酪農教育ファームの会議に参加したことにも触れます。
各地で「牛乳がなかなか売れていない」という声が上がり、大変な状況だと話されています。
特に年末年始は消費が落ち込みやすいタイミング。12月20日から1月8日までが厳しくなるそうで、リスナーにコップ1杯の協力を呼びかけています。
今日の質問「牛に餌の好き嫌いはある?」
お便りコーナーで取り上げたのは、TikTokネーム23さんからの質問です。
牛さんに餌の好き嫌いはありますか?娘の学校の牛はイタリアンライグラスが好きみたいです
川上さんはまず、牛が食べる餌の種類の多さを紹介します。チモシー、アルファルファ、オーツ、イタリアン、クレイン、スーダン、オーチャードなど、牧草だけでもさまざま。
さらにトウモロコシの圧片やフレークといった配合飼料、苦い飼料添加剤、逆に糖蜜やビートパルプのような甘い餌もあると説明します。
結論、牛にも好き嫌いはある
質問への答えは、まず結論から。牛にもはっきりとした好みがあります。
牛には味覚・嗅覚がしっかりあり、甘味・苦味・酸味・旨味を識別できます。特に甘味に強く反応するため、糖分が多い草やサイレージを好む傾向があります。イタリアンライグラスは水分が多く柔らかく、糖分が高めで香りもフレッシュなので、牛が好むのは自然なことです。
つまり「イタリアンが好き」というのは、かなり本物の好み。川上さんは、その理由が科学的にも説明できると話します。
繊維が柔らかい
若い草は噛みやすく、飲み込みやすい
糖分が高く甘い
糖度の高い草は牛が喜ぶ
発酵しやすい
反芻に適した栄養バランスでルーメンに優しい
牛にも個性、好き嫌いはさまざま
人間と同じで、牛にも性格があり嗜好が違うそうです。
サイレージが大好きな牛、乾草ばかり拾い食いする牛、もやしカスを真っ先に食べる牛、配合飼料が好きすぎて先に食べる牛など、1頭ずつ違うと言います。
これは味の好みかける匂いかける食感かける経験の組み合わせです。1頭1頭観察すると性格が出ていて面白いですね。
一方で嫌われる餌もあります。苦味や酸味が強い草、熟しすぎたり腐敗した餌、繊維が硬すぎる草などです。
発酵不良のサイレージの酸味やカビ、アンモニア臭にも牛は敏感。さらに初めて見る食材は警戒して口にしないことも多いそうです。
逆に好きすぎる餌もあり、注意が必要です。配合飼料や糖分の高い草はお菓子のような存在で真っ先に食べに行きますが、食べすぎるとルーメンのpHが急低下してしまいます。
好き嫌いは健康のサインでもある
酪農家の視点で見ると、牛の好き嫌いは健康チェックにもなると川上さんは話します。
好きな草を食べなくなるのは体調不良のサインだったり、ルーメンの動きが弱っている可能性があるそうです。
特定の餌だけ選ぶ様子は、ミネラル不足や繊維不足のヒントになることも。餌に向かうスピードや拾い食いの傾向も、大切な健康チェックの項目だと言います。
嫌いな餌を食べてもらう酪農家の工夫
最後に、栄養はあるけれど牛が好まない餌を、どう食べてもらうかという酪農家の工夫が語られます。
良薬口に苦しで、苦いサプリメントを嫌がる牛は多いそう。そこで子牛の時期からその匂いを覚えさせておくと、大人になっても食べてくれやすくなります。
牛っていう生き物はすごい慣れる動物なので、少量から始めて、ちょっとずつ量を増やしながら、大体2週間くらい続けると慣れて食べるようになってきます。
ほかにも、草を切る長さを親指ほどの5〜6cmと短くして一口大にしたり、配合飼料の後に草を出すなど、給餌のタイミングを工夫する方法もあるそうです。
こうした工夫は経営努力であり、酪農家の技術でもあると川上さんは締めくくります。
まとめ
牛にもはっきりとした好き嫌いがあり、甘い草は好き、苦い草や硬い草は苦手。しかも1頭ずつ個性があって、健康状態によっても好みが変わります。学校の牛がイタリアンを喜んで食べるのは、とても牛らしい光景なんですね。
- 牛は甘味・苦味・酸味・旨味を識別でき、特に甘い草やサイレージを好む
- イタリアンライグラスは柔らかく糖分が高く発酵しやすいので、好かれるのは自然なこと
- 牛には性格があり、好き嫌いは味・匂い・食感・経験の組み合わせで決まる
- 好きな草を食べなくなるなど、好き嫌いは体調を知る健康チェックにもなる
- 嫌いな餌も、子牛から慣れさせたり切る長さや給餌の順番を工夫すると食べてくれる
