「中身が見えないと不安」というコメントから
今回の配信は、以前流した牛乳の消費が落ちているという話に寄せられたコメントから始まります。
YouTubeネームのヒデさんから、瓶牛乳についての質問が届きました。
なぜ瓶牛乳がなくなったのか。生鮮食品なのに中身が見えないから買わない人がいるんですよ。
川上さんは、この視点にかなり共感できると話します。
実際、瓶牛乳ってこう安心感みたいなのも、ちょっとね、皆さんに伝わるところがあるんじゃないかなと思います。ずっしり買ってる感がある重さとか、ガラス瓶特有の冷たさ、これもやっぱり本物っぽい感じがあるかなと思いますね。
ただし、瓶牛乳が減った理由は「単純に人気がなくなったから」ではないと言います。
昔は瓶牛乳が最先端だった
大前提として、昔の瓶牛乳はむしろ超最先端だったと川上さんは説明します。
明治時代ごろの牛乳販売は、大きな缶からの量り売りが中心でした。今でいうと衛生的にかなり危うい方法です。
そこに登場したのがガラス瓶です。透明で中身が見えるという点が、当時はとても重要でした。
変なもの入ってないよね、分離しないよね、腐ってないよね。これを消費者が自分の目で確認できた。つまり瓶って信頼の容器だったということですね。
缶で扱っていた時代には、水で薄めるようなこともあったと聞くそうです。
昔はバルククーラーがなかったんで、水で冷やしてたんですよね、牛乳を。その時に水がちょっと入ってしまって、もうけもうけみたいな感じになってたっていうのを聞いたことがありますからね。
つまり、中身が見えないと起きてしまうことを防ぐ意味でも、透明な瓶には価値があったということです。
瓶牛乳が減った複合的な理由
では、なぜ瓶牛乳は減ったのでしょうか。理由は一つではなく、複合的だと川上さんは整理します。
一つ目は「重い」ことです。中身だけでも重い牛乳に、瓶そのものの重さが加わります。
重量制限のため、紙パックなら大量に積めるトラックでも瓶だと運べる本数が減り、燃料代も上がって物流コストが厳しくなります。
二つ目は「割れる」ことです。大量陳列・大量輸送・大量回転が前提の今のスーパーでは、瓶はかなり扱いづらい存在です。
破損するとガラス片が出て危険な上、中身も飛び散るため片付けも大変になります。
三つ目は「回収と洗浄が大変」なことです。
昔の瓶牛乳はリターナブルで、回収して洗ってまた使う仕組みでした。これは昭和の地域密着型配達や団地には合っていました。
しかし今はスーパー中心で全国流通やコンビニ流通が広がり、回収システムが成立しにくくなっています。洗浄設備の水道代や洗剤代、人件費もかさみます。
重い
輸送コストが上がり、運べる本数が減る
割れる
大量流通の中で扱いづらく、破損時は危険
回収・洗浄が大変
全国流通で回収が難しく、設備コストもかかる
瓶はエコ、は単純には言えない
瓶はリサイクルするから環境にいい、と思われがちです。しかし川上さんは、単純にはそう言えないと話します。
瓶は重いので輸送エネルギーが大きく、洗浄にも大量の水と熱が必要になります。
ライフサイクル全体で見ると紙パックの方が効率的な場面もあります。この辺は感情だけでは語れない部分ですね。
歴史を振り返ると、紙パックが一気に普及したきっかけの一つが1964年の東京オリンピックだと言います。
大量供給・大量消費・大量廃棄の中で、軽くて捨てられる紙容器の便利さが強みになりました。
さらにスーパーの時代になると、瓶は棚効率も悪く、どんどん紙パックへ置き換わっていきました。
紙パックは安全なのか
コメントにあった「中身が見えないから不安」という感覚を、川上さんは本質的だと受け止めます。
便利になった代わりに、瓶を持つ重さや冷たさ、脂肪が上に溜まる感じといった五感の実感が減ったと指摘します。
昔は瓶を持つ重さ、冷たさ、脂肪が上に溜まってくる感じ。でも今は均質化されて情報で信頼する時代になってきてます。だから逆に本当に大丈夫?って感覚も出てきてます。
では、中身の見えない紙パック牛乳は安全なのでしょうか。結論として、日本の牛乳はかなり厳しく管理されていると川上さんは説明します。
殺菌、冷蔵、細菌検査、成分検査が細かく行われ、検査回数は他の農産物と比べても牛乳が飛び抜けて多いそうです。
紙パックだから危険という話はなく、むしろ光を遮ることでビタミンの劣化を防ぐメリットもあると言います。
それでも瓶牛乳が残る理由と、川上さんの夢
それでも瓶牛乳は、銭湯や観光地、低温殺菌、地域の牧場などで今も残っています。
そこには体験価値があるからだと川上さんは話します。
牛乳ってただ栄養を取るだけじゃない、美味しかった記憶や懐かしさ、特別感、そういう感情も含めて飲み物なんですよね。
瓶牛乳が減ったのは味や人気の問題ではなく、物流・コスト・安全・流通構造・社会の変化が積み重なった結果だとまとめます。
一方で、見える安心感はやはり大事だとも言います。自身の配信が牛乳の見える化に役立てばと考えているそうです。
さらに川上さんには、海外にある仕組みを日本でも実現したいという夢があります。
海外では、酪農家が牛乳売り場の自動販売機みたいなところに朝搾った牛乳を持って行って、地域の人が瓶を買って、そこで自分で洗浄して、新鮮な朝搾った牛乳を入れられるみたいなのがあるんですよね。これを日本でやりたいっていうのをずっと言ってます。
ただ、日本の一元集荷という流通の仕組みの中では反対意見も多く、機械の輸入も難しいのが現状だと話します。
だからこそ、やってほしいという声が集まれば動くはず、と川上さんはリスナーに呼びかけていました。
まとめ
瓶牛乳が減った背景には、重さや割れやすさ、回収と洗浄の負担、そして東京オリンピック以降の大量流通という社会の変化がありました。中身が見えない不安は本質的な感覚である一方、日本の牛乳は厳しく管理されていると川上さんは説明します。
- 瓶牛乳はかつて「中身が見える信頼の容器」として最先端だった
- 減った理由は人気ではなく、重い・割れる・回収と洗浄が大変という複合要因
- 紙パックは光を遮る利点もあり、日本の牛乳は検査回数が飛び抜けて多い
- 瓶牛乳は体験価値や懐かしさとして今も残っている
- 川上さんは海外にある朝搾り牛乳の直売自販機を日本で実現したいと考えている
