研修を終えて変わった、牛への見方
この回は収録日が2月28日。研修生は7月からおよそ半年、週3ほどのペースで川上牧場に通ってきました。今日が最終のまとめ配信になります。
まず川上さんが聞いたのは、来る前と今とで酪農への考え方が変わったかどうか。研修生の答えは意外なものでした。
牛を愛護ではもうあんまり見てないかも。可愛いんですけど、なんか違うなって。
家畜動物にこれまで触れてこなかったからこそ、自分でやってみて、話を聞いて、見方が変わったと言います。
つなぎ牛舎の方がかわいそうっていうのは、やっぱり正面でしか見てない人の意見かなって。いろんな背景があって。
来る前は「つなぎっぱなしはかわいそう」というイメージが結構あったそう。実際に体験することで、その印象が大きく変わったんですね。
一番しんどかったのは、朝起きること
次に聞いたのは、一番しんどかったこと。返ってきたのは酪農ならではの、けれど誰もが共感しそうな悩みでした。
朝起きること。私、本当に朝が苦手なんですよ。マジで起きれないから。
研修生の試算では、通勤時間を考えると起床は4時ごろ。8時間寝ないとしんどい体質だと、生活として成り立たないと感じたそうです。
その生活を繰り返してるんだったら寝れるかもしれないけど、たまに朝でもう絶対無理。絶対体調壊れるんですよ。
ただ、牧場によって勤務時間はさまざま。川上さんは、朝が遅く夜も遅い牧場もあると補足します。
だから朝が遅いから夜中も遅いっていうところもある。
一方で、シフト制で朝晩の勤務を交互に繰り返す形態は、川上さん自身も「考えられない」ときっぱり。深夜帯は深夜料金の話も絡み、労働時間や残業の問題があるからだと話します。
子牛のかわいさと、腰への負担
楽しかったこと、テンションが上がった瞬間を聞くと、答えはシンプルでした。
子牛がかわいいですね。
とはいえ、ミルクをはじき返してくる子牛や、干し草を食べていて飲まない子牛もいて、性格の違いを実感したそう。いい経験を積めたようです。
話は哺乳作業の身体的な負担へ。研修生は哺乳をしていて、これは腰を痛めるだろうなと強く感じたと言います。
哺乳しててこれ腰痛めるだろうなって、めっちゃ思った。
川上さんは、頭数が多いと女性の哺乳担当が十数頭を担うこともあると説明し、ホルダーなどの道具を使ったほうがいいとアドバイスします。搾乳や餌やりも含め、腰への負担は現場のリアルな課題ですね。
「酪農にバイトあるの?」世間とのずれ
続いて、世間とのずれを感じた瞬間について。酪農をやっていると周りに話すと、驚かれることが多いそうです。
酪農ってバイトあるの?家族経営だけじゃないの?みたいな。北海道に住んでるの?ってめっちゃ言われます。
「バイト」といえば飲食店やサービス業、コンビニのイメージが強く、酪農でアルバイトができると当てられる人はほとんどいなかったとのこと。
何してると思う?って言って、動物関係だよって言っても、ドッグトレーナー?みたいな。当てれた人一人もいない。
この現状に、川上さんは酪農業界としてもっと頑張っていきたいと語ります。働きたい人はいるはずだ、という思いがにじみます。
消費者に伝えたいことと、豆乳への危機感
消費者に伝えたいことを聞くと、答えは立場そのものでした。
牛乳飲んでください。牛乳高いけど。
ここから話は、売り場で存在感を増す豆乳へ。研修生は、乳糖不耐症の人が増えたことや、脂質の少なさ、体作りの発信をする人が豆乳を飲む流れを指摘します。
もう売り場の半分が豆乳になってきてるから。牛乳と豆乳は全然、全く別物なんですよ。
川上さんは3年ほど前から豆乳の伸びに危機感を口にしてきたと言います。代替食品や培養食品が出てくることへの対策意識です。
さらに川上さんは、豆乳はもともと中国から入ってきた別の名前があったと話します。豆腐屋でのアルバイト経験もあり、大豆を細かくして絞る工程まで語りました。
これから酪農を目指す人が覚悟すること
これから酪農を目指す人へ、覚悟しておくことを聞くと、研修生は現場の空気について踏み込みました。
多分、相当縦社会だと思う。まだ古い考え方を持ってる高齢の方が相当いると思うから。
新しい風を吹かせたいという夢を持って現場に出ると、しんどいかもしれない、と研修生。ただ、これは場所によるとも付け加えます。
川上さんも、農業大学校で最先端の技術を学んでも、現場に出ると全然使えないというギャップはよくあると同意します。
理解がある牧場主の人じゃないと、働いてくのしんどいと思います。
川上さんってどう?そして向いている人
最後に、川上さん自身のことや、どんな人が向いているのかへ話が移ります。研修生の川上さん評は率直でした。
実際どう?まんまだと思う。取り繕ってるとか何もない。このまんまの人って感じです。
研修生は、川上さんが自分の考えを持ちながらも他人に押し付けないところを挙げます。だから働いていて楽だった、と。
自分はこうだけどね、と思うけど、別に自分がしたかったらやりなよみたいな感じじゃないですか。だから私は働いてて楽。
そして向いている人の話へ。研修生が挙げたのは、意外な層でした。
一番いいのは、ニートとか、精神的にちょっと鬱とか、そういう人に向いてると思う。
理由は、たった3時間のバイトでよく、この日に入ってほしいと強要されないこと。好きな時に来ていいという気楽さが大きいと言います。
動物好きだったら、アニマルセラピーを勝手に受けてるみたいな気持ちになります。だから鬱の人、向いてると思う。
川上さんは、365日働く自分には働いていない人の気持ちがわからないと言い、だからこそニートの人にいろいろ聞きたくて面白いと語ります。
周りからの視線を気にしない、かつ家の中でずっと過ごせるタイプじゃないとニートにはなれない。才能なんで。
こうして、次の研修生像は「ニートの方をぜひ」という結論に。休みを強要されない川上牧場ならではの募集メッセージになりました。
令和8年度の研修生募集について
川上牧場では、令和8年度の研修生を長期でも短期でも募集しています。県外の方も対象です。
島根県の定住事業を使えば支援金がある一方、県外に一年間いてUターン扱いになるなど条件があり、手続きはガチガチだと川上さんは正直に話します。
もし定住しなかった場合は、結構いろんな書類を書かないといけなかったりとか。うち、ブラックリストに入っちゃってるんで。
県外の人を呼んで勉強させ、別の地域に送ってしまった経緯があり、「川上のところへ送るな」と言われているそう。使いにくさも含めての募集案内でした。
まとめ
半年の研修を終えた研修生の本音から見えてきたのは、酪農の魅力と現実の両方でした。牛への見方が変わり、朝の早さや腰の負担といった大変さもリアルに語られています。気になった方は、まずフラッと配信を聴いてみてくださいね。
- 家畜を実際に世話すると、「かわいそう」という外からの印象は変わることがある
- 一番のハードルは朝の早さ。ただし牧場によって勤務時間はさまざま
- 豆乳の伸びに酪農側は危機感を持ち、牛乳を飲んでほしいと訴えている
- 理解のある牧場主かどうかで働きやすさは大きく変わる
- 好きな時に短時間だけ働ける川上牧場は、動物好きにとって気楽な場になりうる
