リスナーからの質問と、まず押さえたい結論
今回のお便りは、ポポポという配信アプリのリスナー、リンさんから届いた質問です。
家畜とペットの違いを酪農家目線で語ってください。
川上さんは、このテーマは感覚で語るとずれやすいと話します。人によって価値観が違うからです。
そこで今回は、法律や制度と、畜産現場のリアルという2つの軸で整理していきます。
まず結論として押さえてほしいのは、法律上の扱いと役割が違うということ。そのうえで、命の価値が違うわけではないという点だと話されています。
法律から見た「愛玩動物」と「産業動物」
日本では、動物はざっくりと愛玩動物、いわゆるペットと、産業動物、いわゆる家畜に分けられると説明されます。
この2つに共通する法律が動物愛護管理法正式には動物の愛護及び管理に関する法律。動物をみだりに殺したり傷つけたりすることを禁じ、適正な飼養を求める日本の法律です。です。すべての動物に関わる法律だといいます。
内容は、みだりに傷つけてはいけない、適正に飼養する義務、虐待は禁止といったものです。
つまり、ペットも家畜も等しく守られる存在だと法律で決まっているということです。
ここからが違いになります。家畜は産業として扱われる動物なので、追加のルールが関わってきます。
病気を広げないためのルール。配信でもよく話題にされる法律です。
安全な餌の管理をするための法律です。
屠畜場での手続きや、食肉にする際のルールを定めた法律です。
家畜は、命、食品、産業の3つを同時に管理されている存在だと話されています。
ペットと家畜の本質的な違いは「目的」
では、ペットと家畜は本質的に何が違うのか。川上さんは一言で「目的が違う」と表現します。
ペットは、癒しや家族、共に生きるという、その個体そのものに価値があるといいます。
たとえば同じ柴犬でも、自分が飼っているその一頭には愛着があり、家族としてその個体が大事になる。これがペットの価値だと説明されます。
一方で家畜は、牛乳やお肉、卵といった役割として価値があるといいます。
個体そのものに価値がある。癒しや家族として、共に生きる存在。
役割に価値がある。牛乳やお肉、卵など、人の役に立つ存在。
ただし、役割に価値があるからといって、雑に扱っていいわけではない。むしろ逆だと川上さんは強調します。
畜産現場のリアルと、避けられない判断
ここからは畜産現場のリアルです。川上さんも、子牛が生まれれば嬉しいし、白目で寝ている姿を見れば「何じゃこりゃ」と思うと話します。
家畜として飼われていても、顔も一頭ごとに違い、性格も違う。体調の変化もすぐにわかるといいます。
川上牧場では、すべて個体識別番号で血統登録をしていて、一頭ごとに名前もつけているそうです。
ただし同時に、産業としての判断もあると話されます。
体調をみる
一頭ごとに顔も性格も違い、体調の変化もすぐわかる。
経済的な判断
治療するのか、しないのか。お肉にするのか、飼い続けるのか。
命をいただく
最終的には食として命をいただく。これが現実だと話される。
愛着とは別に、こうした経済的な判断がある。それが現場の話だといいます。
今日の核心「人を支える命」
一番大事な話として、川上さんはこう話します。家畜は命を使って人を生かしている、と。
どれだけ人の役に立つのか。それが家畜に求められているものだといいます。
だからこそ、健康管理や衛生管理、ストレスの管理などすべてを行う。法律もそれを前提にできているそうです。
家畜は命を使って人を生かしている。守るだけではなく、安全に人へつなぐというのが、家畜の大事なところじゃないかなと思います。
まとめとして、ペットは共に生きる命、家畜は人を支える命。違うのは役割と法律上の扱いであって、命の価値はみな同じだと話されています。
価値観は多様でいい、そのうえで選んでほしい
川上さんは、牛を可愛いと思う人もいれば、酪農家の中にも飼い方はさまざまだと補足します。
子牛の頃からいい子いい子して育てる人もいれば、産業動物としてドライに判断する酪農家もいる、と。
そのうえで、どちらが正しい・正しくないではなく、地域や文化も違うので、価値観は多様でいいと考えていると話します。
これは別に、それが正しい、それが正しくないというわけではなく、いろんな判断があって、いろんな価値観があって、地域文化も全然違いますので、本当に多様でいい。多様の方がなお良いと思っています。
そのうえで消費者へのメッセージとして、自分の価値観に近い酪農家の農産物を買って応援してほしいと伝えます。
川上牧場は、牛を可愛がるよりも人の役に立つことを重視した飼い方をしているそうです。そうした牛乳を飲みたい人に応援してほしいといいます。
もし、もっと愛玩動物寄りに考えてほしいという意見があれば、会話をしましょう、と。理解してもらえるよう頑張ると話されています。
まとめ
家畜とペットの違いは、感情ではなく法律と現場で整理すると見えてきます。守られる点は同じでも、目的と役割、そして法律上の扱いが違う。そのうえで川上さんは、命の価値はみな同じであり、飼い方の価値観は多様でいいと話しました。
- ペットも家畜も動物愛護管理法で守られる存在で、命の価値に差はないと話されています。
- 家畜には家畜伝染病予防法・飼料安全法・屠畜場法などが追加で関わり、命・食品・産業を同時に管理する存在です。
- ペットは個体そのものに価値があり、家畜は牛乳やお肉などの役割に価値があるという「目的の違い」が本質だと説明されます。
- 現場では愛着と、治療や飼育継続をめぐる経済的判断が同時に存在し、最終的に命をいただくのが現実だと語られました。
- 飼い方の価値観は多様でよく、自分の価値観に近い酪農家を選んで応援してほしいというメッセージで締めくくられています。
