夏日の牧場と、逆子の双子という残念な朝
この日の出雲市は最高気温26度の見込みで、川上さんは「夏日やん」と気温の上げ下げにため息をつくところから配信が始まります。
気温差は牛の体調にも影響するそうで、前日から産みそうな牛がいると話していたその牛に、この日分娩がありました。
逆子の双子、マジでなんで?って思ってもう落ち込んでおります。本当に楽しみにしてた子牛なんですけども。
残念ながら子牛は両方とも残念な結果になってしまったものの、親牛は元気なので、今日も治療してもらってケアしていくと話します。
この日の仕事は、修理から戻ってきたトラクターに1日中乗って圃場を打つ作業だそう。そんな日常の合間に、今回は米と農業の担い手不足について思うことを語っていきます。
「Rice or Die」という強烈な広告
今回のニュースは、日本農業新聞の4月15日の記事から。米袋の専門メーカー、朝日パックが公開した特設サイト「Rice or Die」が話題です。
サイトは、耕作放棄地の増加や米農家の後継者不足といった差し迫る課題を、刺激的なタイトルと目を引くイラストで表現し、米への関心が薄い若年層などに問いかける内容になっています。
「Rice or Die」を直訳すると「米か死か」。川上さんも「タイトルもビジュアルもすごい強烈」と、そのインパクトに驚いた様子です。
これをきっかけに、若者の関心がないとか、今の若者はっていう話で終わってしまうと、なんか若者に責任を全部押し付けてる感じがして、ちょっとモヤモヤしたんですよ。
米袋メーカーという裏方の会社が、自ら前面に立って米の未来を語ってくれること自体は、本当にありがたいと川上さんは受け止めています。ただ、その問いかけの矛先には引っかかりを覚えたと言います。
若者が関心を持たないのは「幸せなこと」
「若者は米や食、農に興味がないのでは」とよく言われます。でも川上さんの受け止めは違います。
若者がお米に関心がないとか、食や農に興味がなくない?みたいなとこ、僕はそうは思わなくて、あの、幸せなことなんですよね、これって。
戦後80年、かつて食料に困っていた時代に、先人たちが土地を開墾し、農作に力を入れ、自由貿易で海外の食品も入るようにしてきました。その結果、いつでもどこでも食料がある状況が当たり前になっています。
その当たり前の中で育ったから、関心や興味がないようになってしまう構造があるというのが川上さんの見方です。
さらに、スーパーに並ぶパッケージは生産現場がわかりにくいものになっていて、食や農に興味を持ちにくいのも自然なことだと話します。
「お前ら食えよ、守れよ」への違和感
農業高校出身で、学校の食育授業や小中学生の牧場体験を受け入れてきた川上さん。それでも、そもそも若者が農業に関われる場所が少ないと感じています。
学校では「お米が大事」「食料自給率が低いので上げなきゃいけない」と教わりますが、それは教科書の話。現場を見ずに言葉だけを受け取っても、実感としてはわかりにくいものです。
そういう状況なのに、いきなり米が危ないとか、お前ら食えよ、守れよって言われても、ちょっとそれはなんか違うんじゃないかなと思ったりしますね。
川上さんは、いま起きている問題の原因を一つひとつ整理していきます。
耕作放棄地の増加
生産性の悪い土地では誰も作らず、補助金で賄えなくなればやめてしまう
後継者不足
新しい人が入っても「俺たちの言うことを聞け」という環境になりがち
米の消費減
自由貿易で海外から食料を入れ、その対価に車などを売る産業構造の結果
そうした政策や産業構造の積み重ねで生まれた結果を、まとめて若者に考えさせようとするのは筋が違う、と川上さんははっきり語ります。
ボロボロのバトンを渡さないために
もちろん川上さんも、誰かを責めたいわけではありません。今の状況を作ったのはこれまでの人たちで、これから作っていくのは若者。だからこそ「これからどうしようか」という話をすべきだと考えています。
責任のなすりつけみたいなところに落ち着くのは嫌だなと、僕は個人的には思ったりします。
その上で、自分にできることとして、食育活動や職場体験の受け入れ、オンラインでつなぐ授業、子どもが見ても楽しめるSNS発信などに取り組んでいると紹介します。
チャンネル登録数はまだ少ないながらも、こうした活動を世の中の農家みんながやれば、世界は変わっていくはずだと話します。
特に自分たちの世代が動くべきだと川上さんは考えています。高齢の方は引退していく一方で、若者にはまだバトンが渡っていない。その中間にいるのが自分たちの世代だからです。
残されてボロボロのバトンを渡しても、若者頑張れよっていうのはちょっと無責任じゃないかなと思いますし、そんなバトン誰も受け継がれないと思うので。
裾野の広い農業を、みんなで考えるきっかけに
農業は生産、加工、流通、販売と、とても裾野の広い産業です。牛乳一つとっても、生産物を作り、加工し、届け、飲食店やお菓子屋さんなど多くの場所を経て消費者に届きます。
だからこそ、朝日パックのような関わる企業も含めてみんなが考えれば、もっと状況は変わっていく。川上さんは、この広告がそのきっかけになればうれしいと締めくくります。
最後にコメント欄では「B級映画のタイトルかと思った」という声も。川上さん自身も「でもキャッチーです」と、若者に見てもらいたいという朝日パックの強い意志は感じ取っていました。
最終的に言いたいことは、若者になすりつけるのはちょっと筋が違うんじゃないか、っていうところが言いたかっただけですね。
食育に力を入れてきた朝日パックの新しいチャレンジとして、川上さんはサイトやお米の袋をチェックしてほしいと呼びかけていました。皆さんはこの広告を見て、どう感じるでしょうか。
まとめ
米袋メーカーの「Rice or Die」という強烈な広告をきっかけに、川上さんが語ったのは、米や農業の課題を若者一人に背負わせることへの違和感でした。原因は政策や産業構造の積み重ねにあり、大事なのは責任のなすりつけではなく、これからどうバトンをつなぐかだと話しています。
- 朝日パックの特設サイト「Rice or Die」は、米の課題を若年層に問いかける強烈な広告
- 若者が農に関心を持ちにくいのは、食料が当たり前にある社会で育った「構造」の結果
- 耕作放棄地・後継者不足・消費減は、政策や産業構造の積み重ねから生まれたもの
- 大事なのは責任のなすりつけではなく、ボロボロにせずバトンを次世代に渡すこと
- 川上さんは食育・職場体験・オンライン授業・SNS発信で、農に触れる機会づくりに取り組んでいる





