リスナーからの質問と川上さんの反応
この日の配信は、リスナーからの質問に答える回です。
質問は、配信アプリのポポポに届いた観心さんからのものでした。
ロケットを飛ばす酪農家として名の知れた川上さんですが、牛糞からメタンガスを取り出して燃料にすることは可能ですか?
川上さんは、自分が「ロケットを飛ばす」と言ったことは一度もない、と苦笑いで応じます。
一度もロケットを飛ばすとか言ったことがないんですけども、どこかで噂になってますか。AIが最近すごくレベルアップしてるのかな、わからないですけども
ただし、牛の糞尿からメタンガスを作ってロケットを飛ばす実証実験は、実際に北海道で行われていると話します。
牛糞がロケット燃料になるまでの流れ
質問への結論から、川上さんははっきりと答えます。
結論から言いますと可能です。しかももう北海道で実証されています
仕組みはこうです。牛の糞尿を発酵させるとバイオガスが出て、その主成分がメタンガスになります。
そのメタンから不純物や二酸化炭素を取り除き、さらに-160度ほどまで冷やして液体にしたものが液化バイオメタン牛の糞尿などから作ったバイオガスのメタン成分を精製し、極低温で液体にした燃料。運搬や貯蔵がしやすくなる。です。
つまり牛糞がそのままロケットに入るわけではなく、バイオガス、メタン精製、液化という段階を経て燃料になります。
北海道では、この家畜糞尿由来の液化バイオメタンを使ったロケットエンジンの燃焼試験が行われていると紹介されました。
最も地面に近い酪農と、最も遠い宇宙開発がつながる。川上さんはそこにロマンを感じると話します。
なぜロケットにメタンが使われるのか
そもそも、なぜロケット燃料にメタンが選ばれるのでしょうか。
理由の一つは、メタンは燃やした時にススが出にくいことです。
ロケットを再利用する時代になると、エンジンの中が汚れにくいことは大きなメリットになります。
さらに液体酸素との相性もよく、扱いやすさと性能のバランスがいいと説明されました。
こうした理由から、世界中でメタン燃料のロケット開発が進んでいるといいます。
牛糞は資源だという酪農家目線
ここから川上さんは、酪農家ならではの視点を語ります。
牛糞はただのゴミではなく、堆肥にもなり、発酵させれば液化メタンガスにもなる資源だといいます。
さらにガスを取った後の消化液も、肥料として使えます。
メタンはそのまま大気に出ると温室効果が強いガスです。だからこそ、逃がさず回収して燃料にすることは環境対策にもなります。
悪臭対策、肥料作り、地域エネルギー、そしてロケット燃料。牛糞の可能性の広さに、川上さんは驚きを隠しません。
本当に牛糞すげえと思います。もしかしたら牛乳より価値が出てくる、そんな可能性も秘めた牛糞でございます
ただし注意点もあります。川上牧場のような小さな牧場が単独でロケット用のメタンガスを作ろうとしても、量がまったく足りないそうです。
バイオガスプラント、精製設備、液化設備、保管タンク、運搬の仕組みが必要になるため、1軒でやるより地域全体で糞尿を集めてエネルギー化する仕組みだと話されました。
酪農は未来産業だという視点
この話で川上さんが一番伝えたいのは、酪農は古い産業ではないということです。
牛乳を作り、堆肥を作り、土を作り、エネルギーを作る。そしてもしかしたら宇宙にもつながる。そんな広がりがあると語ります。
川上さんは、ホリエモンさんが宇宙開発のロケットについて配信している内容も参考にしていると話します。
イーロン・マスク氏のスペースXが飛ばすロケットはメタンガスではないため、長期的には液化バイオメタンの方が優位になるのではという見方も紹介されました。
牛は時代に合わせて価値観を変えてきた生き物だとも言います。
昔は荷物を運んだり畑を耕したりする役割で、その後、栄養価の高い牛乳が薬のように食べられ、加工品や大量生産へと広がってきました。
未来もまだ牛が活躍できる場があると信じて、酪農を続けていきたいと締めくくられました。
まとめ
牛糞からメタンガスを取り出してロケット燃料にすることは可能で、すでに北海道で実証実験が進んでいます。発酵、精製、液化という段階を経て液化バイオメタンになり、それは宇宙開発だけでなく地域のエネルギーや環境対策、循環型農業にもつながる技術だと語られました。
- 牛の糞尿を発酵させてバイオガスを作り、メタンを精製・液化するとロケット燃料になる
- メタンはススが出にくく液体酸素との相性もよいため、世界でメタン燃料ロケット開発が進む
- 牛糞は堆肥や肥料、地域エネルギーにもなり、環境・悪臭対策にもつながる資源
- 小さな牧場単独では難しく、地域全体で糞尿を集めてエネルギー化する仕組みが現実的
- 酪農は牛乳や堆肥だけでなく宇宙にもつながりうる未来産業だと語られた
