リスナーの質問「ガンジー牛の違いを教えて」
この日の配信は、リスナーさんからの質問に答える回です。質問は配信アプリ「ポポポ」から、ポポポネームおこめさんから届きました。
ガンジー牛の違いを教えてください。
そもそもガンジー牛とはどんな牛なのでしょうか。川上さんによると、日本で飼われている乳牛の約98パーセントは、みなさんがイメージする白黒のホルスタイン世界でもっとも多く飼われている乳牛の品種。乳量が多く、白と黒のまだら模様が特徴です。だそうです。
残りの約2パーセントの中に、ジャージー牛、ブラウンスイス、ガンジー、エアシャーといった品種がいます。その中でも特に頭数が少ない希少な牛が、ガンジー牛なのだそう。
とあるサイトでは、日本国内で200頭前後しか飼われていないという情報も見かけたと話されています。
ガンジー牛とは何か、そして意外な歴史
ここから川上さんは、ガンジー牛とは何か、ホルスタインとの違い、そして意外と知られていない歴史の3つを順に解説していきます。まずは結論から。
ガンジー牛はイギリス海峡にあるガーンジー島イギリス海峡に浮かぶ島。ガンジー牛の原産地で、品種名もこの地名に由来しています。が原産の乳牛です。名前のガーンジーは、この地名に由来しているそう。
体は比較的小型で、毛色は黄褐色。茶色っぽい色合いの牛です。川上さんは、ぜひ画像や写真を検索しながら聞いてほしいと呼びかけています。
歴史のところが、意外と知られていない部分です。ガンジー牛は中世頃から島の中で改良されてきた乳牛で、ガーンジー島は外部からの家畜の導入を制限してきた歴史があるそう。
その結果、独自の系統が保たれ、19世紀にはイギリスやアメリカなどに広がり、乳質の良い牛として評価されるようになりました。長い時間をかけて、質の高いミルクに特化してきた品種と言えます。
ホルスタインとの違いは「乳量」と「乳質」
続いて、ホルスタインとの違いです。まず乳量は、ホルスタインの方が多くなります。ここには明確な差があるそう。
具体的には、ホルスタインが1頭あたり1日30キロ(30リットル)ほど出るのに対し、ガンジー牛は10〜20キロほどと言われています。
一方で乳質には特徴があります。ガンジー牛は乳脂肪分が比較的高く、色味はやや黄色。これはベータカロテンにんじんなどに含まれる黄色〜橙色の色素成分。牛の食べた草に含まれ、牛乳の色味に影響することがあります。に由来しているそうです。
コクが強い、濃い牛乳と表現されることが多いのだとか。ただし、味の感じ方には個人差があるとも添えられています。
乳量が多く、1日30キロほど。世界中で飼われる主力品種で安定供給に向いています。
乳量は10〜20キロと少なめ。乳脂肪が高く色味は黄色で、コクのある牛乳が特徴です。
なぜガンジー牛のミルクは評価されるのか
では、なぜガンジー牛の牛乳は評価されるのでしょうか。川上さんは、その価値は「希少性」と「乳質」の2つだと話します。
飼養頭数が少なく、特徴のあるミルクであることから、高付加価値の商品に使われることが多いそう。例えばジェラートやソフトクリーム、チーズなどです。
ここから現場目線のリアルな話になります。ガンジー牛は乳量が少なく、経済効率はホルスタインより低い傾向なので、日本の主力にはなっていません。ただし差別化という意味では非常に強いのだそう。
これからの酪農は、たくさん作るだけでなく、どう価値を作るかが重要だと川上さんは言います。ホルスタインで安定供給し、ガンジー牛で高付加価値をねらう。この使い分けが今後のポイントだとまとめています。
なお、ガンジー牛の牛乳はAmazonでも買えるそうで、900ミリリットルで2000円ほど。普通の牛乳より高めの価格設定です。川上さんは、飲んでみた感想をぜひ寄せてほしいと呼びかけています。
川上牧場の牛乳とガンジー牛を比べてみると
冒頭で川上さんは「ガンジー牛の牛乳に勝るとも劣らないぐらい美味いと思っている川上の牛乳」と乾杯していました。その理由が、ここで明かされます。
ガンジー牛の牛乳は乳脂肪が高く、乳糖が4.9パーセントほどあると書かれていたそう。そこで、川上牧場の直近のバルク牛乳の検査結果と比べてみます。
結果は、乳脂肪4.85、タンパク3.6、乳糖4.6、無脂肪乳固形分9.13、全固形14.01という数字。ネットで見るガンジー牛の牛乳と遜色ないぐらいの乳質だと話されています。
これはホルスタインの品種改良の成果でもあります。ホルスタインは世界で一番飼われている品種のため、ゲノム生き物がもつ遺伝情報の全体。乳量や乳質などの改良に活用され、データが多いほど狙った方向に改良しやすくなります。のデータが多く、改良のスピードが速いのだそう。
一方でガンジー牛は、特色ある牛乳で差別化する強みがあります。ベータカロテンがお乳に移行しやすいのか、黄色味がかった牛乳になり、「ゴールデンミルク」として販売されることもあるそうです。
川上牧場でもベータカロテン添加剤を使っており、初乳が真っ黄色になることもあるのだとか。品種にかかわらず、人それぞれ美味しく飲んでほしいとまとめています。
まとめ
リスナーの質問から始まった今回は、ガンジー牛の特徴・歴史・ホルスタインとの違いを、酪農家の目線でわかりやすく整理する回でした。量より質という考え方は、これからの酪農にもつながる話です。
- ガンジー牛はガーンジー島原産の希少な乳牛で、日本では約2パーセントの少数品種のひとつ
- 乳量はホルスタインより少ないが、乳脂肪が高くコクのある黄色味がかった牛乳が特徴
- 希少性と乳質から、ジェラートやチーズなど高付加価値商品に使われることが多い
- これからの酪農は「量」だけでなく「価値」をどう作るかがポイントだと川上さんは語る
- 川上牧場のホルスタインも品種改良で乳脂肪4.85を記録し、ガンジー牛に遜色ない乳質を実現している
