リスナーからの質問と震災当時の記憶
今回のテーマは、東日本大震災から15年という節目に届いた、リスナーからの質問でした。
311で悲しいことになった牛屋さんは、その先どうなったりしたんでしょうか?
川上さんは、この震災の年にちょうど長男が生まれたそうです。小さな子どもを抱えながら、テレビに流れる津波のニュースを見ていた当時の不安を、今でも覚えていると話します。
この先どうなるんだろう、この子たちはどうなるんだろうって不安になったり、酪農の経営もいろんな餌とか資材がその影響で入ってこないみたいなことがあったりして、本当に不安になったのを今でも覚えてます。
そのうえで、事実として確認されていることと、酪農家としての現場感覚。この2つを分けてお話ししていく、と前置きしていきます。
311で何が起きたのか
2011年の東日本大震災では、地震、津波、そして原発事故が重なって起きました。
特に福島では、原発事故による避難指示区域が設定されました。多くの住民とともに、酪農家も避難することになったんですね。
牛たちはどうなったのか
ここは、事実として確認されていることを中心にお話しされています。
避難区域では牛を連れて避難することが難しく、牛を残して避難せざるを得なかったケースがありました。その結果、餌や水の供給が途絶えた牛がいたと言います。
一部の牛は放たれた状態になったという記録もあります。一方で、行政や関係者によって移動・保護された牛も存在しました。
ただし川上さんは、状況は地域や農家ごとに大きく異なる、と補足しています。
酪農家の「その後」はひとつではない
被災した酪農家のその後も、ひとつの答えではなく、いくつかのパターンがあったと整理されています。
避難先や別の地域で酪農を再開した人、避難指示が解除された地域で元の場所に戻って再開した人がいる
年齢や資金繰り、震災・原発事故の影響で、酪農をやめざるを得なかった人もいる
別の地域で新しく牧場を始めた方もいます。これは、支援・資金・土地の3つがそろった場合に可能だったそうです。
地域に戻って再開した方には、設備の再整備や風評被害、経営の再建といった課題がありました。
命を預かる仕事としての重さ
川上さんは、酪農は動物の命を預かる仕事だと語ります。だからこそ、災害時に牛を残して避難するという判断は、非常に厳しい現実だったと考えられると話しました。
ここは感情とかではなくて、そういう現実状況があったということを、皆さんにも知ってもらえたらいいなと思います。
この経験から、災害時の家畜の対応や避難計画、リスク分散といったことが、今の畜産でも重要視されるようになってきているそうです。
簡単に答えられる問いではないけれど、事実を知ること、想像すること。それが大事だと締めくくられました。
浪江町で始まる、国内最大級の復興牧場
ここでは、つい先日出た福島の復興牧場のニュースが紹介されました。
福島県浪江町で今年4月に開所する大規模酪農施設が、報道陣に公開されたそうです。乳牛など約2300頭を管理し、開所すれば国内最大級の規模になると言います。
この2300頭すごい頭数多くて、東日本の生産を支える基盤になるかなというところになりますけども。
この施設から出るバイオガスや堆肥を土地に戻すことで、放射線の影響で作物がまだ作れない土地を、牛の力を使って再生していく取り組みにもつながっているそうです。
15年という長い時間がかかっていて、「もう本当になんとかならないのか」と思う気持ちもある。それでも、少しずつ再開が進んでいる、と川上さんは話しました。
被災を経て再開する人たちからもらう勇気
最後に川上さんは、災害はいつどこで起こるかわからないこと、中東情勢の不安なども重ねながら、酪農を続けることの難しさに触れます。
そんな中でどうやって酪農するのかっていうのを考えると、もう胃がキュッとなってしまいますね。
それでも、できることをやるしかない。震災を経験して再開している人たちがいることが、自分にとっては少し勇気をもらえると語りました。
経験して再開している人たちがいるっていうのは、僕の中では少し勇気をもらえるというか、頑張っていかないといけないなというところですね。
酪農を次の世代につなげる活動を頑張っていきたいと、改めて思わせてくれる。そんな質問だった、と回を締めくくっています。
まとめ
リスナーの素朴な質問から始まった今回は、震災で被災した酪農家と牛たちのその後を、事実と現場感覚を分けて丁寧にたどる回になりました。答えはひとつではなく、それぞれの選択と現実があったことを知るきっかけになりますね。
- 避難区域では、牛を残して避難せざるを得ないケースがあった
- 牛の状況は地域ごとに異なり、放たれた牛も、保護された牛もいた
- 酪農家のその後も再開・廃業などさまざまで、答えはひとつではない
- 浪江町では約2300頭の国内最大級の復興牧場が開所を控えている
- 事実を知り、想像することが、命を預かる仕事の重さを考えるきっかけになる
