日曜恒例のまったりコメント返しコーナー
この回は、川上牧場の川上さんが1人で進める日曜恒例の「コメント返し」の日です。
1週間のあいだに各SNSや音声配信に届いたコメントを、牛乳を飲みながらどんどん読んでいくスタイルで進んでいきます。
今週も本当にたくさんのコメントをいただいたんで、ちょっとどんどん読んでいこうかなと思います。
この日は2月22日の日曜日。「ニャンニャンニャンの日」で猫の日だと触れつつ、3連休でもいつも通り配信に向かっている様子が語られました。
牛の高齢飼育と子牛の行方をめぐるコメント
最初に紹介されたのは、YouTubeに毎日コメントを寄せているメイプルさんからの声。牛の歯が生え変わるかどうかの配信に、「高齢で歯が抜ける牛はまだ見たことがない」という自身の経験が届きました。
川上さんは、フリーストールで高齢の牛を飼い続けるのは難しいと説明します。年齢がいくと足がもたず、若い牛にいじめられることもあるからです。
長く飼う「長命連産」を狙うには技術と遺伝改良が必要だと話しつつ、遺伝改良が進みすぎた今の牛は、初産・二産で生産性のすべてを出しきる方向になっている、と現状を語りました。
続いて、ジャージー種の雄牛の行方についてのコメント。「すぐ殺処分されてしまう」という記事を見た消費者の不安が寄せられました。
川上さんは、コロナ禍で牛乳が売れなかった頃、子牛が100円で売られるといった衝撃的な記事が多く出たことに触れます。
インターネットにはその情報がずっと残るため、今もそれを見て「今の酪農業界はこうなのか」と誤解する人がいる、と指摘しました。
まあ誤解ですよっていうのをこの配信の中でもお話ししてるんで、ぜひまた見ていただいて。
「かわいそう」という言葉と経済動物の考え方
いつもコメントを寄せるナベルミさんからは、生きている牛を見てから別れがくるのがかわいそうでたまらない、という率直な気持ちが届きました。手紙のように、川上さんの信念へのリスペクトも綴られています。
見出してからさよならしてしまうのがかわいそうでかわいそうでたまらなくなります。川上さんたちは強い信念を持ってお仕事と向き合っているのだなとリスペクトしております。
これに対して川上さんは、経済動物と愛玩動物を分けて考えたほうがいい、という以前の話を踏まえつつ、消費者が「かわいそう」と思うこと自体は普通だと受け止めます。
動物を可愛いと思う人がそう感じるのは自然なことで、それを否定するつもりはない、と話しました。あくまで自分がどう飼っているかを伝えているだけで、いろんな受け取り方があっていい、という立場です。
ただし、その気持ちを相手に強要するのは違うのでは、とも語ります。そう思うなら自分で飼って業界を変えてほしい、という考えです。
そして川上さんは、ホルスタインという乳牛の役割を、人にどれだけ役立てるかがその牛の価値だと考えている、と自身の向き合い方を語りました。
人手不足を補うAIとDXへの期待
メイプルさんからは、法人化した牧場が多い地域で獣医さんが人手不足になっている、1日3回搾乳でパーラーが24時間動くギガファームもある、というリアルな現場の声も届きました。
川上さんは、そうした牧場があるからこそ生産が維持されている面があるとしつつ、業界全体で考えないと解決しないと話します。
それを解決するのがAIとかDXだと思ってるんですよね。
たとえば急患を獣医さんに頼む前に、まずAI獣医に相談して自分で対策できるケースがある、と具体例を挙げます。写真や動画を撮って状況を伝えれば、どうしたらいいか聞ける仕組みができているそうです。
さらに、事故が起きたときの再発防止策もAIに聞けると話し、こうしたことを学べる場として、3月6日開催の「酪農DXサミット in 岡山」を紹介しました。アーカイブチケットも販売中とのことです。
ベース好きの元バンド少年としての一面
YouTubeのレイニーさんからは、ベースアンプやプリアンプのおすすめ、今からバンドをやるなら何から揃えるか、という質問が届きました。
川上さんは中学・高校の頃にベースとボーカルでバンドを組んでいた経験があり、レイニーさんはそこを狙ってゴリゴリに聞いてくるのだそう。
わかんないですよ。もう調べてもわかんないです。もう本当これもAIに聞いてもらった方がいいですよ。僕に聞かない方がいいですよ。
それでも「今からバンドをやるなら」と聞かれれば、やっぱりベースをもう一度やりたい、と即答します。
当時使っていたのは、家中の窓ガラスがビリビリ揺れるほど大きなアンプ。田舎だからできたと振り返りつつ、あれくらいでっかいアンプが欲しい、と楽しそうに語りました。
海外からの研修希望や牛乳・品種改良の話題
TikTokからは、タンザニア出身で茨城在住のサルマさんから、川上牧場で働いてみたい、モダンなパッケージングを学びたい、というDMが届きました。
川上さんは、茨城から島根の出雲市まではさすがに遠く研修は難しいかもしれないとしつつ、研修生は募集しているので縁があれば受け入れたい、と応じます。
作業マニュアルをChatGPTでタンザニアの言葉に翻訳すればすぐ伝わるはず、と、ここでもAI活用の発想を見せました。
牛乳を毎日1リットル飲んでいるというカンシンさんのコメントには、飲み過ぎと笑いつつ、下痢をしないなら無理せず継続的に飲んでほしいと返します。
角が生えない無角品種を「シャインマスカットみたい」と表現したコメントには、無角品種のほかに、A2ミルクや、夏の暑さに強い「スリック遺伝子」の牛など、品種改良が進んでいる例を紹介しました。
一通の手紙が教えてくれたこと
コメント返しの最後に、2週間前に牧場へ酪農体験に来た中学2年生の親子から届いた手紙が読み上げられました。名前は伏せた上での紹介です。
手紙には、川上さんの話で特に印象に残ったこととして「廃棄乳ゼロを目指して取り組んでいること」が挙げられていました。
生産したものを無駄にせず、大切に活用しようとする考え方には、食べ物や命に対する責任感が表れているように感じました。
この中学生は、小さい頃に牛乳アレルギーを持っていて、それを克服したことをきっかけに牛乳に興味を持ったそうです。
牛乳が余って捨てられるニュースを見て「なんとかならないか」と考え、牛乳からプラスチックを作る技術を家で実験し、発表までしたという頑張り屋さんでした。
その経過や小学校時代からの研究を見せてもらった川上さんは、素直にすごいと感じつつ、複雑な思いも口にします。
そういう中学生とかそういう子にこういう考えをさせている、この酪農業界というのが本当に恥ずかしく感じました、僕は。
一方で、こうやって解決しようとしてくれる気持ちは嬉しかったとも語り、力になれることがあれば何でもしたい、と応じます。
川上さんが書き続けているnoteの記事は1000本を超えているそうで、酪農の可能性を広げるために、若い子に向けて書いてきた面もあると明かしました。
酪農はきつい・汚い・お金が少ないとネガティブに語られがちで、だからこそ角度を変えて発信してきた。その記事を、こうして若い子が読んでくれることに手応えを感じた、と話します。
まとめ
日曜のコメント返しは、牛の飼育や子牛の行方といった素朴な疑問から、人手不足を補うAI活用、そして中学生からの手紙まで、酪農のいまと未来がぎゅっと詰まった回になりました。若い世代の熱意に触れて、川上さんも「一緒に変えていきたい」と背中を押されたようです。
- フリーストールで高齢牛を飼い続けるのは足腰や群れの力関係の面で難しく、長命連産には技術と遺伝改良が必要
- 「かわいそう」という気持ちは自然なもので、川上さんはそれを否定せず、自分の飼い方を伝える立場をとっている
- 獣医の人手不足など現場の負担は、AIやDXで補える部分があり、その学びの場として酪農DXサミットが紹介された
- 牛乳アレルギーを克服した中学生が廃棄乳の問題に取り組む姿に、川上さんは責任を感じつつ「一緒に変えていきたい」と語った
