胃腸炎でも搾乳は止まらない
久しぶりに配信に戻ってきた研修生さん。お休みの理由は胃腸炎だったそうです。
いや全然。でもTwitterとかで調べたら流行ってるっぽい。しかも今インフルエンザのB型が胃腸炎と結構同じような症状が出るらしくて。喉とか下痢とか。
病院にはすぐ行かず、まずはChatGPTに相談したという研修生さん。「行っても行かなくても一緒」と言われ、腸を休ませるためにご飯を食べずに寝て過ごしたそうです。それでも治らず、5日ほど経ってから受診しました。
そんな研修生さんが気になったのは、あの痛みで酪農ができるのか、ということ。川上さんの答えは即答でした。
やるよ。やるって。無理じゃないよ。やる。
私も本当にもう寝ててもうーって唸るくらいお腹が。
うーって唸りながらやるよ。オムツを買おうか悩むぐらいでもやりますよ。それが酪農ですから。
体調が悪いときは酪農ヘルパーを頼めないのか、という質問も出ました。
川上さんによると、傷病の場合は病院の診断書があればヘルパーを頼めるそうです。ただ、自分は使わないとのこと。
病院に行くのがそもそも面倒くさいからね。どうせやらないといけないから。
熱があるときは病院で点滴を打ってもらってから仕事に戻ることもあるそうで、だからこそインフルエンザにはなれない、と話します。
牛乳はなぜ冷たいまま売られるのか
ここから今日の質問コーナーへ。牛乳が冷たいまま売られる理由についての話です。
牧場では、搾った牛乳をバルククーラーで冷やしています。理由は菌を増やさないためです。
殺菌のときに一度熱を通しますが、そのあとまた急いで冷やすそうです。
ほとんどの牛乳は120度3秒とか、本当に一瞬パッて。ちょっと温度上がるけど、それからまた急に冷やしますね。
あたたかいまま売らないのは、やっぱり菌が繁殖しやすいから。ここで研修生さんが、牛乳100%のペットボトル飲料を見かけないことに気づきます。
あれはその食中毒を防ぐためにないんです。
ペットボトルは口をつけて飲むため、口の中の菌がそのまま中に入ってしまいます。だから紙パックより菌が繁殖しやすいというわけです。
あたたかい牛乳と乳糖不耐症のしくみ
あたたかくするとお腹がゴロゴロしにくいのはなぜか。川上さんは牛乳が体の中でどう変わるかから説明します。
牛乳は液体で入ってきますが、胃酸に触れるとチーズのような固形物になります。このとき、冷たいよりあたたかいほうが上手に分解されるそうです。
体温に近い38度ぐらいのやつの方が吸収がいいってされてて。
そもそも乳糖不耐症とは何なのか、という問いも出ました。
乳糖を分解する酵素がそもそも少ないのが原因で、アジア人はもともとその酵素が少ないのだそうです。
欧米人のところはそれが吸収しやすいように進化したんですけど。
もともと牛乳はほとんどの動物や人種が分解できないもの。それを欧米人は長い食文化の歴史の中で獲得したといいます。日本人も飲み続ければいずれ変わるかもしれませんが、それより先にお腹がゴロゴロしない牛乳のほうが出てくるだろう、と川上さんは話します。
エジプトから日本まで、乳の1万年史
話は牛乳の歴史へと広がります。いちばん古い記録はエジプトの壁画に描かれたものだそうです。
ただ、それは残っているものであって、実際はもっと前から飲まれていただろう、と川上さん。古い記録でだいたい1万年ほどさかのぼるといいます。
マジ、ウニを食おうと思ったやつすげえと思うから。タコ、ウニ、カニを食おうと思ったやつはヤベえと思うけど。
日本に入ってきたのは、中国の秦の時代あたりに、貿易で薬として伝わったのが始まりだそうです。ただし川上さんも「そこら辺が曖昧」と話しています。
当時飲んでいたのは貴族や偉い人など一部の人だけ。昔はお寺のお坊さんが医者の役目をしていて、牛乳は薬として扱われていました。
仏教を開いたブッダが、牛乳の粥を村娘からもらったときに悟りを開いたと伝わっている、というエピソードも紹介されました。
徳川と白牛、日本の酪農のはじまり
身分の高い人の薬だった牛乳が、なぜ後の時代には身分の低い人が牛を扱う話になるのか。研修生さんの素朴な疑問から、日本の酪農のはじまりへ話が進みます。
川上さんによると、徳川吉宗が中国から白牛を千葉に3頭入れ、そこから日本の酪農が始まったと言われているそうです。1600年代あたりの話です。
そういう歴史を調べると、その食文化が見えてきますんで。
日本の牛乳の歴史は2000年ほど、酪農としては数百年ほど。それでも世界には1万年の歴史がある、という話にまとまりました。
ゼブー種とA2ミルク、体質に合う牛乳の話
千葉の南房総には今も白牛が飼われていて、ソフトクリームや牛乳も売られているそうです。この白牛のもとになったゼブー種が、これからの時代に注目されているといいます。
地球温暖化で平均気温が上がる中、ホルスタインよりゼブー種のほうが適応できるかもしれない、と言われているそうです。粗い餌でも乳を出すため、環境負荷を減らせる持続性のある牛だとも紹介されました。
去年だったかな、ブラジルはやっぱり生産量が多いんですよ。このゼブー種っていうのは一頭6億円で売られてた。
温厚と書かれることもありますが、実際に飼っている人からは「気性が荒い」と聞くそう。川上さんが飼いたいと言ったら、日本では飼えないと止められたそうです。
お肉のコブの部分はピカーニャと呼ばれ、ブラジルでお祝いのときに食べられる部位。川上さんも輸入品を食べたことがあり、赤身のうまみが強い味だったと振り返ります。
そして牛乳の話へ。お腹がゴロゴロしにくいA2ミルクについても触れられました。
ブラウンスイスやジャージーの一部から見つかったA2の遺伝子は、ホルスタインにも一部あり、今はA2が増えるよう品種改良が進んでいるそうです。味は変わらないとのこと。
うちA2ほとんど8割A2です。
同じA2でも、実は牛乳が体質に合うかどうかは牛の個体差にもよるといいます。
その菌によるから。牛のお腹のルーメンの中の酸を作る微生物のバランスが牛乳にも出てくるので、体質に合う牛乳と合わない牛乳があります。
これはヨーグルトで考えるとわかりやすいそうです。すごく体調が良くなるヨーグルトと、そうでもないヨーグルトがあるのと同じで、良し悪しではなく体質との相性だといいます。
うちの牛乳、飲ませてみてよ
研修生さんは、川上さんの牧場の牛乳をお母さんにはあまり飲ませていないそうです。お腹を壊すとわかっているから、と話します。
いや、飲ませてみてよ。うちのやつ全然ゴロゴロしない。僕2.2リットル飲んだけど、お腹ゴロゴロしてなかったんで。
実はこの2.2リットルには理由があって、配信の罰ゲームで飲んだものだそうです。
罰ゲームで2.2リットル飲みましょうって言って、19分で2.2リットル飲むっていうのをやったなぁ。お腹パンパンになるよマジで。
研修生さんは今年9月いっぱいまでの参加とのこと。研修生さんへの質問も引き続き募集しています。
まとめ
胃腸炎でも搾乳を止められない酪農のリアルから、牛乳が冷たく売られる理由、乳糖不耐症のしくみ、そして1万年の乳の歴史まで、研修生さんの素朴な疑問がどんどん学びに広がった回でした。牛乳との相性は体質しだい、というのも覚えておきたいポイントですね。
- 牛乳が冷たいまま売られるのは、菌の繁殖を抑えて食中毒を防ぐため
- あたたかい牛乳は体温に近く分解・吸収されやすいので、お腹がゴロゴロしにくい
- 乳糖不耐症は乳糖を分解する酵素が少ないことで起こり、アジア人はもともと少なめ
- 日本の酪農は徳川吉宗が白牛を導入したのが始まりとされ、世界では約1万年の歴史がある
- 同じ牛乳でも体質に合うかどうかは個体差や菌のバランスによる相性の問題
