WILLとCANの関係性
金岡さんはまず、WILL(やりたいこと)とCAN(できること)は非常にコンフリクト(対立)しやすく、どちらか一方に偏りがちだと指摘します。例えば、小学生の男の子が「消防士になりたい」「電車の運転士になりたい」という夢を持つのはとても素敵なことです。しかし、そのWILLに対して、今すぐ消防車を運転したり鉄道を操縦したりする技術は、当然ながら不足しています。
この葛藤を乗り越えるカギは、WILLに対して今の自分のCANがどうなっているのかを客観的に理解自分の現在地を感情ではなく事実として把握すること。憧れだけでなく、必要な能力と自分の実力の差を冷静に見ることを指します。していくことだと金岡さんは言います。
さらに重要なのが、WILLを「なりたいもの」ではなく「実現したい状態」として置くことです。憧れの職業には、危険をかいくぐる場面や、煙の中で長く息を止めるような、表に出てこない大変な部分もあります。「かっこいい」という憧れだけでは、そうした実態は見えてきません。
「消防士になりたい」── なりたいもの(憧れ)としてのWILL
「どんなことをやれるといいのか」── 実現したい状態・行動としてのWILL。CANとの接続が作りやすくなる
WILLとCANがうまく一致しないと悩む人は、WILLの姿の解像度を上げるとよい、と金岡さんは勧めます。「どうなりたいか」だけでなく「何をやれるといいのか」まで描くことで、今できることとの目線が合いやすくなるのです。
WILLとMUST/NEEDの関係性
続いてMUST(組織の中で求められること)との関係です。金岡さんは、組織のMUSTが生まれる背景には「組織のWILL」があると説明します。組織のやりたいことがあるからこそ、その達成のためにすべきこと=MUSTが出てくるわけです。社会のNEEDも同じで、生活している人々のWILLがあるからこそ、ニーズが発生します。
つまり、世の中の人々のWILLや組織のWILLと、自分のWILLが重なり合うと、MUSTがイメージしやすくなり、取り組む動機も自然と湧いてきます。金岡さんは自身のビール会社での経験を例に挙げます。
組織のWILL
美味しいお酒を作り、多くの人に楽しんでもらって笑顔を届けたい
自分のWILL
多様なお酒を通して、お客さんの生活に合った楽しさを届け、生活を豊かにしたい
重なりから生まれるMUST
営業部門なら、得意先やお客様とコミュニケーションし、届け方を戦略的に考える
飲み物は一人ひとり美味しいと感じるものが違い、そこに個性が出るのが嗜好品の面白さです。金岡さんは「飲み物を人々の個性に合わせて届ける」という組織のやりたいことに共感していると語ります。
WILLとMUSTがすり合わないと感じる人は、まずMUSTの背景にある組織のWILL、NEEDの背景にあるお客様のWILL(ありたい姿)と、自分の共感を作っていくのがよい、と金岡さんはアドバイスします。
MUSTとCANの関係性
3つ目はMUST(組織で求められること)とCAN(できること)の関係です。金岡さんは、MUSTを達成していくためにCANがある、と考えるとよいと述べます。
金岡さんは、会社員としてのビール業と、副業としての対人支援という2つの働き方をしています。組織のMUSTと社会のNEEDを、それぞれ別々のやり方で満たしているわけです。こうしたパラレルワークにおいても、WILLを明確にしておくことが有効だと個人の経験から感じているといいます。
お酒が個性を認めて味わうことに繋がる。そのために必要なMUSTを自分のCANを通してやる感覚
ニーズが直接あるお客様に対して、自分のCANを通じて貢献する
だからこそ、WILLをいかに広く持てるか、そのWILLにどれだけ思いを込められるかが、すべての出発点になります。同時に、いろいろなMUSTやNEEDを満たすために、自分のCANをいかに言語化し、高め、そこに自信を持てるかが大事だと金岡さんは語ります。
4要素のバランスと欠けたときのリスク
最後に、WILL・CAN・MUST/NEEDそれぞれの要素のバランスについてです。金岡さんは、どの要素が欠けても問題が生じると整理します。
| 欠けた要素 | 起こること |
|---|---|
| WILL | 目的を失って燃え尽きてしまう |
| CAN | 価値提供や貢献ができているか分からなくなり、不安になる |
| MUST / NEED | 持続性がなくなり、誰かのためにならず、世の中や組織に求められなくなる |
それぞれの要素をしっかりと把握し、重なるところでキャリアを築いていくことができれば、幸せなキャリアが描けるのではないか、と金岡さんは締めくくります。
まとめ
今回は、WILL・CAN・MUST/NEEDの4要素がどう関係し合うのかが語られました。WILLとCANは「実現したい状態」として解像度を上げることで繋がり、WILLとMUST/NEEDは自分と組織・社会のWILLが重なることで内発的な動機に変わります。そしてMUSTを満たすためにCANを言語化して高めることが大切であり、どの要素が欠けてもキャリアはうまくいきません。理想(WILL)と現実(CAN)、そして周囲の求め(MUST/NEED)が重なる場所を探ることが、幸せなキャリアへの手がかりだと言えそうです。
- WILLとCANは対立しやすいが、WILLを「なりたいもの」でなく「実現したい状態・行動」に置き換えると接続しやすくなる
- 組織のMUSTや社会のNEEDの背景には、組織や人々のWILLがある。自分のWILLと重なると内発的動機に変わる
- MUSTを達成するためにCANがある。WILLを広く持ち、CANを言語化して高めることが出発点になる
- WILLが欠けると燃え尽き、CANが欠けると不安になり、MUST/NEEDが欠けると持続性を失う。4要素の重なりが幸せなキャリアを生む
