20回記念とワールドカップ、そして建材高騰の現実
冒頭は雑談から。20回記念の話やワールドカップ観戦の思い出のあと、話は建築資材の値上がりという深刻なテーマへ移ります。
皆さんこんにちは。天野保建築の天野です。
住宅ライターの高橋かずえです。
実は20回目の放送が終わっていたっていうことを(知ってますか)。記念すべき20回が終わっていたっていう。ふりかえりする間もなくしれっと終わっていたっていう。
世間ではワールドカップが騒がれておりますが、見てました?
いや、全然ノーマークでごめんなさいっていう感じなんですけど、世間は盛り上がってますよね。
私ももれなくニワカなので、偉そうなことは何も言えませんが。25日にやった時にちょうど横浜にいたんですね。旅行で行ってたんですけど、赤レンガ倉庫に行って、その後、横浜といえば野毛。
野毛ですよ。私も野毛大好きですよ。
(野毛の地下街の)呑兵衛のところで、ちょうどお姉さんたちと席が横になりまして、テレビがあって、皆さんやっぱり見てて。点を入れるたびに「イエーイ」みたいな感じでですね。4年に一度のイベントですからね。酔っ払うネタとしてはちょうどよかったんですけど。
いいなぁ、そういうの大好き私も。ニワカなので、スポーツバーとかで見て、あの雰囲気を楽しみたい感じですね。
雑談を経て、話は住宅業界を直撃している建材の値上がりへと移ります。
便乗値上げのところも多少あるのかなって思っちゃうぐらい、値段が上がってます。うちのところに、各メーカーさん、代理店を通してですけれども、金額として30パーセント、40パーセント。
そんなにですか?
断熱材が40パーセント上がってみたいなお話でしたけれども、もれなくちょっと上がってしまったっていうところで、一定数まだでも落ち着きはやっぱり取り戻してはいないんですよね。(うちも)断熱材ないと結局進められない。
6月から入って、相次いで値上げ情報がたくさん来てまして、断熱材だけじゃなくて、新建材って呼ばれるようなものからこぞって上がっていますので、これはもうどうにもこうにもいかない。止められるんだったらみんな揃って止めたいんですけれども、やっぱり止めようがないですね。
新築のお問い合わせ数も若干減っています。10月ぐらいになるともう一度、我慢してるメーカーさんも当然いるので。今進めてる方は、工務店さんの方によく打ち合わせをして確認してもらいたいですね。
困っちゃいますね、本当に。
天然素材ってそもそも何ですか
新建材が厳しい今だからこそ、と高橋さんは自然素材へ話題を向けます。まずは「天然素材とは何か」という基本から。
新建材がちょっと厳しいよっていうことで、自然素材の方に目を向けてお話を聞いていきたいなと思います。自然素材ってひとくくりに言いますけど、これはズバリどういうものでしょうか。
天然由来によるものですね。代表的な例でいうと、無垢のフローリング、杉であったりとか、ヒノキとか、ウォルナットとか。壁の塗り材であれば漆喰とか珪藻土とか、和紙クロスとか。外壁材だと木の板、杉板、焼き杉っていうところも最近では注目を集めたりとか。
塗料でいうと、柿渋とかそういったものは全く天然由来のものなので。石油がちょっと多少入っているものもあったりとか、古来から伝わるようなものですね。そういったものは比較的、天然由来のものが多めです。
すんなろうのせきおさん曰く、「山へ行って取ってこれるもの」とか。天然素材って呼ばれてるものですね。天野さんの説明にもあったんですけど、ひと手間加える職人技が光るじゃないですか、天然素材のものって。
焼き杉はどう作る?三角焼きとバーナー焼きの違い
高橋さんは杉板を焼く「焼き杉」に注目します。天野さんが作り方や、三角焼きとバーナー焼きの違いを解説します。
杉板じゃなくて焼き杉にするとか。焼き杉についての解説をまずお願いしてもいいですか?焼き杉ってどういうものですか?
焼き杉は焼きって言ってるだけに、焼いてるものですね。一般的に3枚の杉板を三角形になるように組み合わせて、それを縛って下から火をつけて、煙突効果で燃え広がる。
あの長ーいストローみたいにして。
そうですね、ストローみたいにして、大体4メーターとか長さあるので、それを煙突状にして下から火をつけて、一気に燃え上がらせて、表面に炭化層を作るんですよね。燃えることによって防腐防虫効果もあると、お聞きはしています。三角焼きしたものとバーナー焼きがあるんですよ。
バーナーだけ炙ったものは、よく見ると木目が見えるんですよね。三角焼きすると木目見えなくなっちゃうんですよ。
なんかあの、ひび割れたかかとみたいになってますよね。
そうそうそう。その例えは間違いないです。この炭化層がしっかり焼けているので、陰影的にもかっこよく見えるんですよね。バーナー焼きは表面を焦がすだけっていう表現の方が合ってるのかな。経年でやってたりすると、ちょっと落ちちゃったりとかっていうものもあったりとか。
あ、できるんですか?自前で。
できないことはないですね。ちょっと消防とかその辺の手続き、あと時期とかそういったものを考えないと、火の粉で山が燃えてしまい、燃えたりしちゃって、そういった大変なのありますけれども。
結局天然由来のものをひと手間加えて、それでやっているっていうところなんですよね。うちもこの今年中に1件、その焼き杉を使った住宅計画してますんで。
おお、かっこいい。
色味自体も黒なので、派手さはないんですけれども、そういった陰影とかはすごい印象的なので。ただ取り扱いする時は、切ったりする時に炭が舞うので、職人さんもだいたいカッパ着てやらないと真っ黒けになっちゃうんで。
白い洋服で、例えば小さいお子さんとかいると、服が真っ黒けになっちゃったりとかっていうことは(ある)。玄関周りとかだけは来客の人もいるから、ちょっと違う素材を使おうっていうのもやり方としてはいいのかなって。そういう注意は必要かなっていう素材ですね。
なるほど。石油由来の外壁材いろいろありますけど、そうじゃなくても一つの手段として。
手段としてはこれほどいいものは(ない)。コストは焼くとかそういった手間はあるので、普段使ってる杉材よりは高価にはなりますけれども、その使い方によって雰囲気が全然ガラリと変わったりするので、それ以上の効果はもたらしますし、いいとは思いますね。
耐久性もいいんですよ。焼いちゃったから全部崩れ落ちるわけでもないんで、表面上を焼いているだけなので。裏面とか行くと、しっかり木の部分残っているので。
土壁とパッシブデザイン、時代に左右されない素材選び
話題は塗り壁や土壁へ。天野さんは、土壁が持つ蓄熱効果と、パッシブデザインとの相性を語ります。
割と私これ最近知って驚いた塗り壁があったんですけど、版築仕上げ。塗り壁の自然由来の色で、いろんな優しい色を合わせてボーダー模様にするみたいな感じですね。
この版築仕上げとか土壁。
土、土壁?
土の壁、それも見直されてるんですよね。土壁っていうものは、熱を蓄熱する効果が高いので。
夏に海岸沿いに行って、太陽にすごい当たってる石で肉焼けるとかっていう、あるじゃないですか。あれってその石が熱を蓄える力が大きいので、あれができるんですね。同じ条件で木を置いといても、木で肉はやっぱり焼けないので。で、それって夜まで結局冷めないんですよね。
蓄熱っていう力を使うと、冬に家をレンガとかお日様の力で自然に温めて、夜間になるとそれが放熱する、蓄えてる力をどんどん外に出すので、それが今度熱源の代わりになるんですよね。そういった素材が多いと、パッシブデザイン的には完結してくるんですけれども。
なるほどね。
土壁っていうのが土の塊なので、熱を蓄えやすいっていうところと、昔ながらの技術も長続きするんですよね。使う素材で気をつけてることは、何年経ってもあるもの、デザインに左右されないもの。もう5、60年、ずっと昔からあるものってずっとあるんですよ。
木毛セメント板とか。検索してもらうと分かるんですけども、コンクリートで、よく駐車場とか、火に強いんですよね。これって結構ずっと古くからずっとあるんですよ。流行り廃りには影響されないので、いつまで経ってもずっとあるんですよね。
漆喰壁も、お値段はいいんですけれども、時代に左右されにくい。珪藻土もですね、時代に左右されにくいっていうところですね。
柿渋と外壁の塗り替え。家を新しく生まれ変わらせる
塗料の話では、天野さんが古くから使われてきた柿渋を紹介します。無塗装の外壁を後から塗り替えて、家の雰囲気を変えられる話も語られます。
塗料でいうと、昔から日本でいうと柿渋。あれは本当にただ、渋柿を絞って、皮ごと絞って発酵させてるだけですから。法隆寺にも塗られたりしてますので、その耐久性的なものはしっかりと、古来から使われてるものですよね。
気をつけていただきたいのは、作ってるメーカーさんによって多少石油が入っていたりとか。柿渋100パーセントのものもありますし、それに麻に油とか亜麻に油とか混ぜて耐久性よくしてるものもあるんですよね。
今あのサイトで検索して見てるんですけど、ちょっとオレンジっぽくなるんですかね。柿渋塗ると。
日に当たって少しずつ変化していくので。
へー、可愛い。いいですね、これ。
私の自宅も杉の外壁材無塗装ですけど、タイミングあれば、それを塗ってもかえって面白いのかなっていう。家がまた新しく生まれ変わるっていう意味でもですね、内は無塗装でやったとしても、そこから上塗りとか変えられたりとか。
子供が巣立って何年後ぐらいに、ちょっと家の雰囲気変えたいなと思った時に、着色塗装でやると、家がまた別の意味で新しく生まれ変わったりとか、そういったことができるんですよね。木目も生かせますし。
窯業系のサイディングだと、どうしても一色単になってしまって、雰囲気っていうものが出てこない。木の外壁材は無塗装でやってる住宅であれば、上から塗装すること全然可能なので、雰囲気はそのまんまで、色を乗せることができるんですよね。
先ほど言った焼き杉とかは、逆に言うと、紫外線に負けるっていうことはほとんどないので。半永久的に焼き杉のままでいてくれるので、再塗装って再焼きするわけにいかないので。そういった意味では全然いい素材かなとは思いますね。
無垢の床は自分で直せる。傷とのつきあい方
天然素材は機能的にどうなのか、と高橋さんが尋ねます。天野さんは、無垢の床が持つ最大の魅力である「自分で手入れできること」を具体的に語ります。
機能的にどうなんだろうって心配になったりもするかなと思って。無垢の床とかも、傷がつきやすいとか、合板のものと比べてメリットデメリットあるけど、こうやって話を聞くと、天然のものって機能的にも優れてますよね。
機能的にも全然優れてますね。合板のフローリングと無垢の床で何が違うの?っていうところで言うと、メンテナンス性は無垢の床の方が全然。
削ればもう元どおり。
削れば元に戻るので。合板のフローリング、特にシート上のものですと、お子さんがカッターで傷つけたとか、表面1ミリもないようなシートを薄く貼って本物のリアルな木に見せる技術があって、傷ついた後にシートがそのまま元に戻るわけじゃないので、補修屋さんがいる。やっぱりお金はかかってしまうっていうところですね。
無垢の床であれば、引っかき傷程度だったら、ホームセンターに目の粗い150番とか180番と、目の細かい240番から300番ぐらいの紙やすりを買ってきていただいて、まず目の粗いので表面の傷を削り取っちゃうんですよ。
それだけだとガサガサしてるので、仕上げとして240番から300番のでもう一度擦っていただく。それだけで直るんですよ。ホームセンターに行って、1枚50円とかその程度だと思う。
やすりは安い。
安いですよ。自分で直すんで、職人さんを呼んで直す必要性はないので。自分で直していただいた方が直し方わかるだけで全然違いますし。
愛着湧きますね。
凹み傷も、何か落としちゃったみたいな時は、スチームアイロンを用意していただいて、濡れたタオルを当ててスチームアイロンをかけていただくと、木の中に水分入ると木が膨張するんですよね。木がふやける状態、お風呂にずっと入ってやるとふやけますよね、あの状態になるんで。それだけで治っちゃうんで。
ちゃんと扱い方を知ってれば、とっても趣もいいし、気持ちもいいし、健康にもいいしね、いいものですよね、本当に。なんか天野さんの自然大好き、木大好きの愛が伝わってきましたね、今日。
大工の寄り道。天野さんおすすめのスイーツ店
最後は恒例の食レポコーナー。天野さんが、山梨・忍野村のスイーツ店を紹介します。
天野さんの食レポコーナーで大工の寄り道で1店舗ご紹介ください。
店舗型でないので、LINE等でtassyで検索していただけると、スイーツがたくさんあります。
チーズケーキだけじゃないんですね。
チーズケーキだけじゃないですね。どれも美味しいので、ぜひご予約をしていただければと。バスクチーズケーキが美味しいです。めっちゃ。
私も今度帰った時に行ってみたいと思います。
手土産にもいいかと思います。なんか知る人ぞ知るっていうお店みたいで。店舗での引き渡しもしていただけると思うので、忍野村ですね。忍野八海とかありますので、富士山も忍野村も抜群に綺麗ですので、見ていただいて行っていただければと思います。
今日は天野さんが大好きな天然素材の話をたっぷり教えていただいてありがとうございました。
いえいえ、ありがとうございました。
まとめ
建材が高騰する今だからこそ、天野さんは古くからある天然素材に目を向けることを勧めます。焼き杉や土壁、柿渋は、それぞれ防腐・蓄熱・経年変化といった魅力を持ち、流行に左右されずに使い続けられます。天然素材の大きな価値は、傷がついても自分で手入れできること。無垢の床なら紙やすりやスチームアイロンで直せて、手をかけるほど家への愛着が深まっていきます。
- 建材高騰で新建材が厳しい今こそ、古くからある天然素材が見直されている
- 焼き杉は三角焼きで炭化層を作ると陰影が美しく、防腐防虫性と耐久性も高い
- 土壁は蓄熱効果が高く、パッシブデザインと相性がよい。時代に左右されない素材が長く使える
- 柿渋は渋柿を発酵させた天然塗料で、日に当たって色が変化していく
- 無垢の床は紙やすりやスチームアイロンで自分で直せるので、愛着を持って住み継げる




