梅雨と猛暑、大工の仕事に効いてくる季節の話
冒頭の挨拶から、お二人は梅雨や猛暑が現場に与える影響を語り合います。
皆さんこんにちは。天野保建築の天野洋平です。
AGUくむ株式会社の高橋です。よろしくお願いします。
いよいよ梅雨入りしてしまいましたね。報道では例年通りの梅雨入りで、7月の海開き前後に梅雨明けですから、もう暑い夏がすぐそこまで来てますねっていうことですね。
大工さんの梅雨はなんかお仕事に影響するんですか?
工務店さんでいうと、この梅雨の時期に基礎工事をやっていると、雨の影響でやっぱり延びやすい。現場に乗り込む時期が、台風とか雨の影響で1週間とか2週間延びるっていうことはよくありますね。
確かに予定が立たないですよね。屋根屋さんも大変なのか。
屋根屋さんも大変ですね。屋根屋さんとか基礎屋さんはもうずっと、雨が降ろうが雪が降ろうがずっと外なので、暑いも寒いもずっと。本当に頭が下がる思いです。
どこか忘れちゃったんですけど、その猛暑日の工事の時間を思いっきりずらしてるんですよね。朝涼しいうちに工事をして、午前中ぐらいで工事を終わらせてしまおうと。
あ、サマータイム導入みたいな感じですか。
みたいな感じですね。多分もう暑くて仕事ができないので。富士吉田はまだ都内に比べたら涼しい方ですけど、お昼から3時ぐらいまで仕事しないよみたいな。夕方は夕方で西日が強いんで。ちょっといろんな意味で大変な時代ですね。
新築が難しい時代、なぜリノベーションが選ばれるのか
番組の本題に入り、高橋さんが「リフォーム会社が担う時代は限界か」という相談を切り出します。
今日の本題なんですけど、最近リノベーションの話がちょこちょこ私のところに来て。リノベーションをリフォーム会社が担う時代はもうちょっと限界が来てるのかなっていうのが個人的にあって、天野さん教えてください。何が起きたんですか、業界に。
今まで簡単なリフォームであればよかった。クロスの張り替えとか、主要な構造部分をいじらないようなリフォームですね。お風呂場をちょっと直すとか、その程度だったら特に問題はなかったんですけれども。
新築住宅が難しい時代に突入してしまっているので、私が勧めているのは、住宅1棟をスケルトンの状態まで大規模なリノベーションをしてみてはどうですかっていうところで。新築するよりは持ち家を持つことができるので、希望されているお客さんも多いっていうのが実情ですね。
ざっくりのイメージですけど、基礎と構造を既存のお家から流用できる部分として考えると、大体500万から1000万ぐらいは新築建てるよりは安くなるのかなっていう印象なんですけど。
新築するよりは安くできる。あと、お客さんがどういったことを望んでるのかにもよるんですよね。高気密高断熱にしたいってなると、間取りを変えないっていうことであれば、主要な構造部分を触れなくて済むので。
うちに相談があって「どのくらいかかりますかね」って言われて、その家丸ごとやると「3000万、4000万ぐらい平気でかかりますよ」と。5、6年前になりますけれども、60坪の住宅を2世帯住宅にリノベーションしたんですけれども、その当時で2500万とか3000万近くかかってるんですよね。
3000万で2世帯住宅を作ることは不可能ですけれども、当時であれば1世帯の住宅はできるぐらいの規模感なんですよね。もうちょい頑張っていただけると新築ができるよっていう金額で、ちょっと微妙って言えば微妙なんですよね。ただ、リノベーションっていう方のご要望の声は出てきていますので。
中古を買うなら築何年?おすすめは2000年前後
リノベーション前提で中古住宅を買うなら、どの年代の建物がよいのか。天野さんが具体的な目安を語ります。
中古を買ってリノベーション(するとき)、どのぐらいの年数のものがいいんですか。
今からですと、ちょうど2000年ぐらいの建物ですね。築年数がまだ6年ぐらいのものですと、大体ベタ基礎と呼ばれるもので、耐力面材を外周部に貼り始めた時期でもあるので。耐震等級1は余裕でクリアしていると思うんですけれども、等級2ぐらいまでにグレードアップも比較的容易かなっていう。
それ以前の建物は、好みによるんですけどね。古民家が好きだっていう人には2000年代は合わないんですけれども、とにかく安いっていうと、今の時代ですと、いろいろ足元をすくわれる要素が多い。
当時は建築確認は取っていても、その後の完了検査を受けていない建物が非常に多いです。私の実家、父が作った家も完了検査を受けていなかったりするのが実情で。当時は完了検査を受けなくても罰則がなかったんですよね。
お客さんの要望で、図面上こうするって元に建築確認を取ってたんですけど、作ってるうちにちょっと変わって。「ここのガスコンロの上に木の板張りたいよね」みたいな。本当はダメなんですよ。それを木の板張っちゃったりとか。
いろんなことを変更して、完了検査を受ける時には変更届がすごい大変なことになるから、まあ罰則もないからいっかみたいな形で、その時代はよくやっていたんですよね。
補助金の壁と、リノベーションに向く中古住宅
補助金を受けるには、既存住宅が確認済証や検査済証を持っていることが条件になります。天野さんが手続きの現実を説明します。
そういった建物をリノベーションする時に、国の方で良質なストック住宅を拡充するっていう政策があるので、建築確認は取ってあっても検査済証がない住宅はそもそもダメだよっていうことになってるんですよね。リフォームに対しての補助金の金額枠が大きいんですよ。
それも全部揃ってる住宅だと取りやすいけれども、そもそもない住宅は補助金すら渡しませんっていう。
あの長期優良住宅を目指すぐらいの性能値を皆さんリノベーションではやりますよね。
そうすると結構手厚い補助金も出ますので。ただ、既存の住宅が確認済証、検査済証を持っていることが条件になるんですね。持ってない住宅どうすればいいんですかっていうと、現状の図面をもう一度作成して、それを検査機関に提出をしなくちゃいけないっていう。
あら、めんどくさい。
それで検査済証を取得した上でやらなくちゃいけない。ちょっと詳しくは間違ってる部分もあるかもしれないですけど、そういう流れになっているので、回り道になってしまいます。
私がおすすめするのは、できれば1990年から2000年ぐらいの間のものを購入していただいて。築年数もちょうど30年ぐらいで、銀行の資産評価だと上物は資産価値ゼロになっていると思われるので、その土地だけの値段に評価されやすいっていうところがあるので、それを良質なものに変えていただきたいなと思うんですね。
水回りを直すにしても、傷みが少ないので、開けたら「あら困った」っていう、開けちゃったら「大変なことになってます」っていうことが。「シロアリに食われて土台がないです」とか、「腐っちゃってて木がボロボロです」っていうことが非常に少ないと思われるので、そちらの方がいいのかなっていうのはありますね。
性能向上リノベーションが技術的に難しい理由
高橋さんは、表層的なリフォームと、構造や断熱まで踏み込むリノベーションの違いを問いかけます。ここから性能向上リノベーションの難しさが具体的に語られます。
その見える部分、壁を変えたりお風呂を取り替えたりはリフォーム屋さんができる範囲だけれども、壁を壊して、高気密高断熱、間取り、断熱、耐震、配管、構造みたいな、本当に家を良くしたいよっていうリノベーションの方に行くと、リフォーム屋さんだと手が回らないんじゃないかなっていう。
よく言われるのが性能向上リノベーションっていうのですね。
それがどういうことなのかを教えてもらってもいいですか?技術的に無理なのか、それとも書類提出的に無理なのかとか。
表面上のリフォームを主体としている方で、特に断熱気密とか耐震性はあんまり存じ上げない。エアコンが壊れたから更新するとか、壁紙を張り替えるとか。性能向上リノベーションを行うにあたって何が難しいかっていうと、間取りを変えるってなった時に、どこの梁や柱を抜いて、どういった補強方法をしなくちゃいけないのかを検討しなくてはいけないので。
1階のリビングを広くしたいからって言って、この柱抜いていいんですかねみたいなところを、かつ耐震等級1から2にするとか3にするってなると、いろんなことを検討しなくちゃいけないんですよね。構造計画を立てて、構造計算にかけないとわからないっていうところがあるので、リフォーム屋さんになると技術的に難しいと。
大工さんもやっぱりたくさんの種類の大工さんがいるので、リノベーションになると、大工さんのそれまでの実力が問われるんですよね。
あ、聞きます。すごい聞きます。なんか新築も難しいけど、そのリノベーションの方が過去の経験が生かされるみたいな。
梁を抜いて柱を据え付ける時に、柱にどういった加工をするとか、増築するのにどういうふうに組み立てていくのかみたいな、その墨付け、そういった技術力が必要になってくるので、リフォームを主体としている方たちには少しちょっと難しい。
断熱気密でうちがよくやるのが、家全体そっくり包むっていうのが一番イメージ的には簡単なんですけど、ご予算に応じて難しかったりするんですよね。リビングだけでいいわとかっていう時に、そこのゾーン断熱って言って区画的に分けるんですけど、リビングから外のところは、家の中だけどもう外みたいな扱いでやるんですよね。
その時に気密シートをどこまでやるのみたいなところも、いろいろ勉強をしていかないと難しいですし、下手なことをすると脱落したりする。そういった知見をたくさん持っている会社さんに頼まないと、できますよ、断熱材入れてみたいな形でやっちゃうとすごい大火傷を負うので気をつけて。今のリフォーム会社さんはちょっと難しい時代に少し突入しているかなっていうのはありますね。
2025年の法改正で何が変わったのか
2025年の法改正で、木造戸建ての大規模リフォームには従来以上に慎重な判断が必要になりました。天野さんが「大規模の修繕・模様替え」の中身を解説します。
なんか2025年の7月に法改正があったって聞いたんですけど、その法改正でどうなったのかっていうところも教えていただいてもいいですか?
言葉的には大規模修繕、大規模模様替えっていうんですけれども、大規模の修繕は、主要構造物ですね。壁、梁、床、屋根、階段のいずれかを手直しする場合、確認申請が必要になるんですよ。
階段をちょっと直したいんだけどっていうと、同じ場所で登り方の方法を変えるとかっていうぐらいだと、そんな大したことじゃないんですよ、私からすると。ただ、階段を触った時点で建築確認が必要ってなってくるんですよね。屋根を触ったりすると、その辺が建築確認必要ですよって。だからもうほとんどの場合が建築確認が必要になってきちゃうんですよね。
水回りだけとか、トイレに手すりが欲しいっていうところは、構造上重要でないところですね、全然大丈夫ですよと。その辺の言葉のニュアンスが非常に微妙ですね。構造上重要でない間仕切り部分はOKって、それってどうやって判別するの?っていうところがちょっと難しいんですよ。
構造上重要でない間仕切りっていうと、昔の建物ですと筋交い、バッテンですね。バッテンが入ってないところは、いじってもいいですよっていうことなんですけれども。
えー、危ない感じしますけどね。どうなんですかね。
梁があって、柱があって、土台がある。そこにバッテンがこう作られてる。それを延長線上で1メーター横にずらすとか2メーター横にずらすっていうのはケースバイケースがあるんですけども、簡単な例であれば技術的にはそんな難しくもないし、影響することじゃないんですけども、今この文言だと、基本的には確認申請を取りなさいっていうことになるんですよね。ちょっと間仕切りを取ってみたいなところは非常に難しくなってくるんですよね。
確かに確かに。なるほど。じゃあこの法改正で木造戸建ての大規模リフォームは確認申請の問題もあるし、あとは省エネ的なところ、気密断熱の理解っていうところでも結構課題がたくさんになってきてるんですね。
冬に咲かなかった花が咲いた、リノベーションの効果
難しさの一方で、性能を上げたリノベーションには確かな効果があります。天野さんが自身の実家の事例を語ります。
課題はそうですね。特に気密を取りたいとかは非常に難しいので、私の実家をリノベーションしましたけれども、うちの場合はリビングだけ高断熱仕様にして、元々8畳の続き間だったので、垂れ壁を取ったりとか、そういったことはしましたけれども。
ただやれば、うちの父母も言ってますけれども、分かりやすい事例で言うと、冬に咲かなかった花が咲くようになった。
おお、それはすごい。すごいですね。
冬に本当は咲く予定だった花が、富士吉田は寒いので当然咲かなかったのが、リビングに置いておくだけで咲いたよって。
え、それはすごい。なんかちょっとほんわかしますね、その話。
朝起きて「ああ寒い」「ストーブつけろ」みたいなのが、そこまで過剰な反応がなくなった。本当にリビングだけで全然あったかいねって言って。朝起きても十何度もあったよみたいな。今まで平たくすると、家の中でも氷点下みたいなことが。
そうですよ、外と同じですよ。
そういったものが10度以上、14、5度ぐらいまで、新築まではいきませんけれども、うまくやればそういったことが技術的に可能なので。そういったところに頼んでいただきたいなとは思いますね。
新築かリノベか迷ったら、まず誰に相談すべきか
最後に天野さんは、新築とリノベーションで迷ったときの相談先と、次世代につながる家づくりの考え方を語ります。
新築にするかリノベにするかって悩んだ時点でもう工務店さんに連絡ですね。
工務店さん、そのあと設計者さんですね、その辺を得意にしている設計者さんに、まずご相談をしていただいて。新築にかけるぐらいの費用感でできるよっていう方は、なおのことその辺が得意な方に相談してもらいたいですね。
それ以外で自分の実家が残っていて、そこに居場所を構えるっていう方で費用的に厳しい方は、諦める必要性はないので、その中でどういったリフォームをしていくのかっていうのを長い目で見ていただいた方が。国が良質なストック住宅の拡充を狙っているので、それにお客さんも乗っていただいた方がお得なんですよね。
自分の次の子供の代、孫の代になった時に、その持っている住宅が負の遺産だと目も当てられないのが、資産価値を構成するようなものに変えてもらえると、先々それが資産となって、孫の代には助けてくれると思うので、そういった住宅を目指していただきたいなとは思いますね。
私もすごい同感です。国土交通省の資料を私もちょこちょこ見るんですけど、本当に脱炭素に向けて取り組みがコツコツコツコツと行われてますよね。
もう本当に粛々と。何年もかけてロードマップを策定して、各業界団体の意見も聞きながら、でも方向性はブレずにやっていますので。自分だけ良ければいいっていう考えに陥りやすいですけれども、ちょっと立ち止まってもらって、可愛い子供のために、孫のためにやっていくっていうことを見ていただいた方がいいのかなと思います。
大工の寄り道、河口湖のおすすめスイーツ
後半の恒例コーナーでは、河口湖のおすすめスイーツの話に。今回は高橋さんがお店を紹介します。
じゃあ今日も大工の寄り道お願いします。なんかスイーツ部門とか知りたい。スイーツ。
スイーツ部門か。それ一番俺の苦手な分野だな。
私言ってもいいですか?じゃあ高橋の手土産。めちゃくちゃ美味しいところがあって。この前、河口湖のほうとう屋さん教えてもらったじゃないですか。そこから割とちょっと近いんですけど、エスペランスって知ってます?河口湖の。
あ、知らないです。
河口湖の、猿回し劇場とかの近くで、もみじ回廊のすぐ隣なんですけど。
オルゴールの森とか、そこにある通りですよね。
そう。エスペランスっていう、ここ2、3年かな、割と新しいケーキ屋さんがあって。そこのケーキはもう何を食べても美味しいです。多分ね、素材すごいいいんだと思う。バターがすごいいいんだと思います。
黄色い外観の、本当にもみじ回廊のすぐ隣なんですけど、とっても美味しいんですよ。私が山梨に帰った時に家族で食べるケーキ、もう最近ずっとここなんですよ。富士山のかたどった名物クッキーみたいなのがあって、それもすごい美味しいし、とにかくご褒美って感じがする美味しいケーキです。
なんかピザとかもあって、俺は好き。インスタグラムを見ていたら美味しそうだなと。
すっごい美味しいです。クロワッサンも美味しいし。うちの子はカヌレが好きですね、ここの。東京価格からすればだいぶ安くて、ケーキ一個800円とかするんですけど、エスペランスさんはこの美味しいお味ですごく魅力的なお値段だなというふうに。
良心的な。わか、行ってみよう。
お土産にするにはぴったりなので、ぜひ皆さん行ってみてください。おすすめです。
今これを見てたら思い出した。スイーツ部門、2つぐらいあった。
じゃあ次回はお願いします。今日は富士吉田、山梨でリノベーションするときには、ちょっとこういう観点も必要だよっていうところでお話をしました。
深掘りもできますんで、リフォーム、リノベーションですね、それも深掘りをしていければと思います。
この『天野さん、いい家ってなんですか?』はSpotify、Apple Podcast、YouTubeで配信してますので、皆さんぜひ登録、いいね、コメントお待ちしております。じゃあ天野さん、今日もありがとうございました。
はい、ありがとうございました。
まとめ
この回では、表層的なリフォームと、断熱・気密・耐震・構造まで踏み込む性能向上リノベーションがまったく別物であることが語られました。間取り変更に伴う構造計算や、補助金に必要な検査済証、2025年の法改正による確認申請の範囲拡大など、リノベーションには高度な知識と技術が求められます。天野さんは、中古を買うなら1990年から2000年前後の建物を目安に、次世代の資産となる住宅を目指してほしいと話されています。
- 表層的なリフォームと、構造・断熱・耐震まで踏み込む性能向上リノベーションはまったくの別物
- 間取り変更には構造計画と構造計算が必要で、大工の技術力も問われる
- 補助金には検査済証が条件になる場合があり、なければ図面作成からの回り道になる
- 2025年の法改正で、階段や屋根に触るとほとんどの場合に確認申請が必要になった
- 中古を買うなら1990年〜2000年前後が目安。次世代の資産となる家を目指すのがおすすめ






