リスナーの質問から始まる甲冑の話
餃子への愛を語る番組「聴く餃子」に、ラジオネーム・カモメのおばさんさんから質問が届きました。
小野寺さんの甲冑すごいですね。甲冑はどこでどんな方が作ってくださるのですか?
小野寺さんはこれまでも「なんで甲冑着てるんですか」「あれはオリジナルなんですか」「いくらかかってるんですか」など、多くの質問を受けてきたそうです。
今回はそれらの質問にまとめて答える形で話が進みます。一番気になるであろう値段の話は、最後に語られました。
モデルは直江兼続。愛の字が餃の字になるまで
この甲冑にはモデルがあります。戦国武将・直江兼続の甲冑です。
小野寺さんの甲冑は、大河ドラマ「天地人」で妻夫木さんが演じた直江兼続の甲冑をモデルに作られています。
直江兼続の甲冑で一番印象的なのが、兜の上についた飾り、前立ての部分です。ここが「愛」という字になっています。
この甲冑が実物になる前、浅草にあったスタジオで直江兼続の甲冑を着て撮影し、その写真をFacebookにアップしたことがきっかけでした。
すると当時の同僚が10分ほどで「愛」の字を餃子の「餃」の字に変えてきたそうです。
さらに別のデザイナーが「餃の字は本当はこうした方がいい」と修正を重ね、現在の形になりました。
CGから実物へ。制作を頼んだ工房探し
今の甲冑の写真は、もともとCGでした。実物はなかったのです。
実物化のきっかけは、とある百貨店からのイベント出演依頼でした。「甲冑も」と言われて「実はCGで実物がない」と答えたところ、残念そうな反応だったそうです。
あ、そうなんですか、残念ですねみたいな感じの反応だったんで、やっぱこれ実物ないとダメだなって、その時思いまして。
そこでまず兜だけを作ることにしました。既製品はないため、オリジナルで甲冑を作ってくれる業者を探していきます。
有名なところとして、大河ドラマの甲冑を手がける鹿児島の甲冑工房丸武や、外国人向けに甲冑を販売するサムライストアがありました。
ただ、これらはなかなか高価です。本物志向の甲冑は鉄で作るため重く、一式そろえると数百万円になることもあります。
そこで小野寺さんが選んだのが、強化プラスチックで甲冑を作ってくれる姫路の武楽衆でした。
武楽衆は加古川武将隊としても活動しており、写真を見ても実用として問題なさそうだと判断し、まず兜の制作を依頼しました。
兜の出来栄えに惚れ込み、甲冑一式へ
兜は当初、被るつもりはなく、飾りとして買ったものでした。ですが飾ってみると、その出来栄えが見事だったといいます。
兜は近くで見ると細かな部品の集合体で、一本一本糸で留められています。すべて手作りだとよくわかる仕上がりです。
細かな手作業がすごくいい仕事してんなって思いまして、見てるだけでも惚れ惚れするなって感じの出来上がりでございまして。
実際に被ってイベントに持っていくと評判も良く、甲冑一式が欲しくなり、追加で制作を依頼しました。この甲冑も「天地人」の直江兼続の甲冑がモデルです。
直江兼続ゆかりの地、南魚沼の五日町餃子
ここで今週のお取り寄せ餃子です。直江兼続が生まれたとされる新潟県南魚沼の餃子が紹介されました。
南魚沼市の五日町にある経理会社が作る「五日町餃子」で、楽天で販売されています。五日町が直江兼続の生誕地というわけではありません。
南魚沼はコシヒカリの名産地として知られますが、八海山など山に囲まれた高原地帯でもあります。
その高原で育った地元の津南ポークや高原の野菜を使い、肉肉しい食感が特徴です。皮は地元の製麺所が作り、手包みで食べ応えも抜群だといいます。
実際には直江兼続は幼少期から上杉景勝の側近として連れて行かれたため、南魚沼にいた時期は短かったと考えられます。
それでも生まれ育った土地の水や食べ物には縁があるという思いから、今回紹介されました。
当然、直江兼続がいた頃こんな餃子まだありませんので食べてはいないと思いますけど、食べたら美味しいって言うんじゃないかなと思ってご紹介させていただきました。
甲冑のパーツを一つずつ紹介
甲冑と一言で言っても、いろいろなパーツに分かれています。ここで部品の紹介もされました。
まず一番大きいのが胴です。剣道の胴はお腹や胸、横腹あたりまでですが、甲冑の胴は肩から背中まで守ります。
腰のあたりには草摺という小さな板がつながったものがひらひらとついていて、紐でつながって一体になっています。
胴の前に着けるのが籠手です。甲冑の籠手は袖と一体化していて、肩から腕を通し、最後に籠手のところで指を通します。
甲冑には、左右あるものはすべて左から装着するというルールがあります。
戦う時に左側を敵に向けて戦うから、まず左側をつけるんだとか、装着作業中に敵が襲ってきても右手で刀を取って戦えるようにするためだとか、いろんな説があります。
籠手には鎖もついていましたが、実用上あちこちに引っかかって物を壊すため、後で外してもらったそうです。
また最初に注文した籠手は少し小さかったといいます。一般的な甲冑は身長175センチほどを想定しているようですが、小野寺さんは185センチあり、長さが足りずに入れ替えました。
下半身の装備と足元の工夫
下半身には、太ももを守る脛当という大きな板や、脛や膝を守る膝当てがあります。
小野寺さんはこれらの装備をよく壊してしまうそうです。特に脛当や草摺は、椅子に座ると体重に負けてパキッと割れてしまうため、装備を避けて座る必要があります。
膝当ては馬に乗る前提で作られていて、馬に当たる部分は革、外側には細い板がついて防御する構造です。
もし甲冑を着た人を刀で襲わなきゃいけないシーンがあった時には、ふくらはぎの内側、体の内側から狙うと倒しやすいと思いますので、いざという時のためにぜひ覚えておいてください。内側を狙えです。
足元は足袋を履いていますが、長時間立っていると普通の足袋では足が痛くなります。そこで最近はソールにエアの入った足袋を履いているそうです。
これは高鍋町で太鼓を叩く清水さんから教わり、Amazonで買ったものです。マルゴというメーカーが作る「エアジョグ」という足袋で、長く歩いても疲れなくなったといいます。
パンツは本来は袴などを履くところですが、面倒なのでニッカポッカを履いています。鳶職人が履く、太もも部分が膨らんだズボンです。
戦国時代の人たちもニッカポッカ履いてたら、あ、ニッカポッカいいじゃん、それ買うわって風になると思うんですね。それぐらい甲冑を着ても違和感ありませんので。
陣羽織と、気になる総額100万円の内訳
甲冑だけでは格好がつかない時があります。甲冑は現場服にあたり、指揮官はその上に陣羽織を着ます。
陣羽織だけは直江兼続とは関係なく、甲冑の色味に合わせた赤い地に、背中に「餃」の字を刺繍して作ってもらいました。
前から見ると兜の前立てで「餃」の字が見え、後ろから見ると陣羽織で「餃」の字が見えます。前後どちらから見ても餃子の何かの人だとわかる一式です。
ただし餃子を焼く時や活動が主な時は、動きづらく着脱も面倒なため、陣羽織は動かない時だけ着ています。
兜、甲冑一式、陣羽織に加え、甲冑を入れる鎧櫃という箱や、飾る台も一式あります。最近は着る前提で、甲冑をスーツケースで運ぶことも多いそうです。
これらを全部合わせると、およそ100万円かかっています。
上記に加えて、運搬用のスーツケースが約10万円で、トータルで約100万円という費用になっています。
この費用は個人のポケットマネーではなく、焼き餃子協会の会員から集めた会費で作られています。
お金だけでなく時間もかかる甲冑の運用
スーツケースにもこだわりがあります。甲冑がまるごと入るサイズが必要で、一部屋にドンと置けるものは限られます。
運搬時に割れないよう、タイヤにサスペンションのような仕組みがついた少し良いものを選んでいます。
さらにスーツケースと甲冑を合わせて20キロ以内にしないと飛行機で預けるのが大変なため、軽めのスーツケースを選ぶ必要があり、それも高くつきます。
お金だけでなく、時間もかかります。装着には20分ほど、椅子がなく立ったまま着替える場合は30分ほどかかるそうです。
装着中にたくさん汗をかくため、脱ぐ時も紐がびしょびしょで時間がかかります。
脱いだ後はホテルで干して乾燥させる作業もあります。濡れたままスーツケースに入れると20キロを超えてしまうことがあるためです。
一着で回すんでね。そういった点で言っても、金も時間もかかるものでございますんで、なかなか皆様全員にお勧めとは言いづらいんですが。
それでも甲冑でイベントに行くと、とても喜んでもらえるといいます。
なんでぜひ甲冑、皆さんも買ってみてください。
今週の一言本音。AIエージェントと餃子の使命
番組の最後、今週の一言本音では、話題のAIエージェントについて語られました。
古いM1のMac mini(メモリ8ギガ)に、マシンを自分でコントロールしながら動くエージェントを入れてみたそうです。
セキュリティ面の懸念があるため、完全に隔離した状況で運用し、チャットツールのDiscordからコントロールできるようにしています。
止まったりもするそうですが、頭で理解するのと実際に使ってみるのとでは違い、汗をかいて動かないとわからない体験があると話しています。
やってみるとやってみるで、これじゃなくてもだいぶできるよねっていう部分もかなりあったりして、いろいろ発見もありまして。やっぱりやってみるってこと大事だなと思ってます。
人類が、ホモサピエンスがやるべきことは何かと考えた時、本能に基づく部分が主になると小野寺さんは考えています。
その中で自分にできることは、餃子を食べたくさせること。美味しい餃子を食べる人と作る人をつなぐことを使命だと語ります。
その使命をより広く深くやっていくために、これから出てくるテクノロジーをうまく使うことが大事になると締めくくりました。
まとめ
餃子ジョッキー・小野寺力さんの甲冑は、大河ドラマ「天地人」の直江兼続をモデルに、姫路の武楽衆が強化プラスチックで制作したものでした。SNSでの遊びから始まり、CGを経て実物になり、総額はスーツケース含めて約100万円。お金も時間もかかりますが、イベントで喜んでもらえることが原動力になっています。
- 甲冑のモデルは大河ドラマ「天地人」の直江兼続で、前立ての「愛」を同僚が「餃」の字に変えたのが原点
- 鉄製の甲冑は数百万円と高価なため、強化プラスチックで作る姫路の武楽衆に発注した
- 総額は兜20万円、甲冑60万円、陣羽織・修理代など10万円、スーツケース10万円で約100万円
- 費用は個人負担ではなく、焼き餃子協会の会員の会費で作られている
- 装着に20〜30分かかり、乾燥やメンテナンスなど日々の運用にも手間がかかる
