プレスリリースって、そもそも何?
『ひろがるローカル〜地域のための広報実践録〜』。この番組では、地方に移住やUターンをして広報の仕事に取り組む二人が、日々の実践からの気づきを語りながら、地域ならではの難しさや面白さ、これから広報に取り組むためのヒントをお届けしていきます。皆さんこんにちは。さとととし広報の川島飛鳥と。
合同会社企画百貨代表の小林祐太です。よろしくお願いします。
今回からはテーマを決めて、いろいろ話していければなと思います。最初のテーマなんですけれども、広報の第一歩としておそらくみんなが想起するのってプレスリリースだと思うので、プレスリリースについてお話ししていければと思ってます。
最初に聞いてる方は、そもそもプレスリリースって何なのかっていう人もいると思うので、ちょっと小林さんから教えていただいてもよろしいですか?
そうですね。一番わかりやすいのは、新商品が出ますっていうのを発表するものだったり、経営系だと役員が変わります、経営者が変わりますみたいな発表だったり。メディア向けの広報施策として一番オーソドックスなものがプレスリリースで、会社からの公式の発表の文書っていう感じですね。
川島さんも事業会社で広報やってた時ってリリース配信って結構してました?
そうですね。ほんと最初にやってたのは、新サービスのローンチ、こういうのを新しく始めましただったり。あとは、この企業さんがうちのサービス導入してくれましたっていう導入リリースとか、そういうのを作成して配信していましたね。
コーポレート寄りだと、他にはCSRの取り組みでこういうことやりますみたいなものとか、結構幅広くて。最近スタートアップの会社さんとかだと資金調達のリリースとかもあったりとか、結構いろんなテーマがあるのかなと思いますね。
本当に会社の中のニュースというか、お知らせを世の中にするためのツールというか、発表みたいな感じで捉えてたら合ってますかね。
そうですね。なので、その翌日とかに、どこどこという会社がこういう商品発表しましたって記事になったり、いろんなメディアで取り上げられていくっていうものですね。
もともとはメディア向け、今は一般にも届く
そもそもプレスリリースって、メディアさん向けの発表のものを言うのか、世の中に対してのものを言うのかだと、どういう感じなんですか?
伝統的にはメディア向けのものだったんですけど、最近はPR TIMESさんとか、プレスリリースの配信プラットフォームがすごく普及しているので、結果的に一般の方にも目に触れる機会がすごく増えてるのかなと。Xとかでもプレスリリースにリプライされてたり、引用リポストされてたりっていうのを結構見るので、割と最近は両方に広がってる感覚はありますね。
確かに、そういうサービスが増えて一般の人も目にできるようになったから、皆さんもプレスリリースっていうワードがなんとなくわかるようになったりしてるって感じなんですね。
そうだと思いますね。僕がPR会社に入ったのはもう10年以上前なんですけど、その頃は配信のサービスがちょこちょこ出てきたなぐらいの感覚だったので、元は本当にメディアリストを作って郵送で配信するとか。あと記者クラブ。地方だと各自治体、市役所とか県庁とかに入ってたりするんですけど、そこに駐在しているメディアの方がいるので、リリースの投函ですって持っていくと配ってくれて効率よく届くとか。そういうのが基本的な配信作業だったんですけど、割と最近はもうPR TIMESで配信しますみたいな会社もかなり多いんじゃないかなと思ってますね。
そうですよね。結構それが主流になってきているなっていうのは感じますね。
プレスリリースを出せば取り上げてもらえる、わけではない
川島さんは、これから広報を始める人がまず何をすべきかを小林さんに尋ねます。
これがまあ最初にやることなの?っていうところで、初めて始められる方から相談とか結構来ると思うんですけど、そういう時ってどういう風にお返しされてるんですか?
もちろんプレスリリースを配信すること自体はすごく重要な施策だなと思いつつ、もし本当に今から始めるんですっていう会社さんだとすると、プレスリリースを配信したからといっていい成果が得られるかっていうと、多分そうじゃないことの方がほとんどだなと思うし。どちらかというと、個別の記者の方々とコンタクトを取って会話するっていう方が、最初のステップとしてはもしかするといいのかなと思ったりもしますね。
え、その心は?みたいな感じで聞いてもいいんですか?
これ感覚値なんですけど、プレスリリースを配信したら広報活動したよねって思ってる人がもしかしたら多いって言ったらあれなんですけど、配信したから仕事したなみたいな感覚になりやすくなってるっていう。
そうですよね。そこまで一応手も動かして頭も使ってますもんね。
表向きもウェブ上に出たりするので、広報の仕事してる感覚はあるんだろうなと思いつつ。一方でメディアの人にうまく取り上げていただいたり、その活動が社会にとってどういう価値のあるニュースになりうるのかっていうところを磨いていくとなると、ただ配信してるだけだとその辺が磨かれにくいんじゃないのかなと思っていて。そういう意味で個別の記者の人にアプローチしてフィードバックをもらったりとか、そういうことが結構大切なんじゃないかなと思ってますね。
これも本当に広報のこと知らない方だとすると、プレスリリース出せば取り上げてくれるんでしょ?っていうわけではないってことですよね。
そうですね。地元の新聞社さんとかテレビ局を想定するのか、全国の大きなメディアに取り上げてもらうのかで、距離感とかレベル感がいろいろだったりするので一概には言えないかなと思いつつ。やっぱりリリース配信される数も多分めちゃくちゃ増えてると思いますし、どう自分たちに目を留めてもらうのかっていうのは、昔よりもだいぶ難しくなってるんじゃないのかなと思いますね。
取材誘致という、最初のもう一歩
小林さんのお仕事の流れだと、最初に記者さんに会いに行って、その方がどういうことに興味あるのかをヒアリングしながら聞いて、その上でより興味を持ってもらいやすいリリースにしたりとかだと思うんですが、具体的な流れがわかんない方もいらっしゃるかなと。
入りとしてやりやすいのは、取材誘致の方がもしかするといいのかなと思っていて。プレスリリースってこういうの発売されますみたいなもので、それを見て取り上げてねっていう感じだと思うんですけど。取材案内状みたいなものを作って、例えばこの日にこういうイベントやりますっていうのを、新商品発売のタイミングでどこどこでこういうことをやるのでぜひ取材に来てくださいとか。そういう実際のメディアの方々との接点を持てるアプローチだと、やりとりが発生しやすかったりするので、そっちの方が最初としては大切なのかもって思いますね。
確かに。よかったら来てくださいみたいな感じだと、誘う側も誘いやすいのかなって聞いてて思いました。結構そういうことも、今移住されてからもやったりされてるんですか?
もちろん広報の仕事全般いろいろさせてもらっているので、リリース配信ももちろんあるんですけど、取材誘致して直接会話しながら関係を作っていくっていう方がステップとしてはいいんだろうなっていうのは、これ完全に僕の肌感覚。
肌感覚の話ぜひ聞きたいので。
やっていて思いますね。メディアの方々も、話していく中で、あ、こういうのを求めてるよなっていうのがより深くわかっていくなと思っていて。企画書を作ってアプローチすることもあるんですけど、そういう取り組みの方がいいんだろうなと思いますね。
発売しますじゃなくても、やれることはある
プレスリリースから始まり、取材誘致、企画書とかいろいろ出てきましたけど、やり方は似てるけど微妙に違くて。でも関係性築いたり、まず気になってもらうきっかけっていうところだと一緒な感じですか。
そうですね。具体例を出すと、新商品できました、発売します、でプレスリリースを配信してアプローチするだと、どうしてもこういうものが出ましたっていう物質だけになっちゃうことが多くて。
ただ、これからこういう商品の開発をやっていくんですっていうものを、僕だとPowerPointで3枚ぐらいにまとめて持っていったりするんですけど。そうすると、この商品開発のプロセスを取材したいです、密着して何回か撮影したいですみたいな形で膨らんだりするので、そういう持っていき方の方が喜ばれるなっていう感覚はありますね。
一般の方が関わってるとか、どこどことどこどこのコラボですみたいな座組としての面白さとか、この商品ってこういう目的で作っていくんですっていう社会的な背景や意義を企画段階で盛り込んでいけると、確かにこれは取り上げたいねって思ってもらえる感覚は結構ありますね。
確かに。だからもう発売しますっていうタイミングじゃなくても、やれることはあるっていうことなんですね。
そうですね。広報の人ってどうしても最後に発信する担当ですよねって見られがちだなと思うけど、どちらかというと、どんどん中に入り込んで、取材のネタになるものを拾っていく。現場の人たちって気にしてなかったりするので、そういうところをしっかり拾っていけるようになると、広報のアプローチとしても点じゃなくて線になっていく感覚はありますね。
メディアのフィードバックが精度を上げる
今日このテーマで話そうっていう時に、メディアさんからのフィードバックとか声を聞くのも結構大事になってくるんだよねってお話あったんですけど、それって具体的にどういうことなのかもぜひ聞いてみたいなと。
メディアの方って取り上げる時に、テレビだと確実に撮れる絵がないと成立しないので絵があるかとか、このタイミングで取り上げるべきものなのかとか、取り上げる観点がいくつかあるんですけど。個々の記者さんやメディアによって、どこを重視するのかって結構違ったりするんで。それを一個一個拾っていくのが、アプローチの精度を上げていくところというか、逆に言うと、そこを押さえてくれてると助かりますというか。
その辺の合意形成ができると、広報としての信頼感も高まっていきますし、このネタ絶対いいと思うんですけど、どうですか?って、こっちも自信を持っていける。そういうところが出てくるので、直接声をもらうっていうのはすごい重要かなと思いますね。
じゃあ実際にやってみようかなっていう人がいた時に、例えばどういう問いかけ方をしたらいいのかとか、これまで小林さんが意識してるところがあればぜひ聞いてみたいなと。
メディアのそれぞれの記者によって関心事や専門担当が変わったりするので、できる範囲で一回下調べしていくことは重要だなと思っていて。例えば新聞だと署名記事っていうんですけど、記事の一番最後や途中に括弧書きで名前が書いてある。それはその方が取材企画したり執筆している記事なので、この方はこういう内容に関心を持つんじゃないかとか。
あと地域だと結構エリアで分かれてたりするので。僕今愛媛にいるんですけど、愛媛県でも広島寄りの辺りの担当の人と、県庁所在地の松山近辺にいる人とかで分かれてたりして。松山担当なんだけど、今治でこういうことあるんだけどって言った時に、刺さりにくかったりってものによってはあるので。この人はこういうことをおそらく追っているだろうという見立てを立てていくことがすごく重要ですね。
地域だとあんまり医療健康の担当ですみたいなことまで分かれてなかったりするんですけど、全国紙とかだと医療とか細かく分かれてるので、この人はこの所属でこういうことを追われてるっていうところを、事前リサーチでしっかり把握していくのはすごく重要な部分ですね。
どうしても全然関係ない話をアプローチしても、それは無理なものは無理で。単純に人つながりがあるみたいな話、例えば大学の時のつながりだけど領域としては全然違うんですみたいな話だと、メディアとつながってるようで自分たちのサービスとは距離が離れてたりするので。僕自身はネタというか領域とか関心ベースでいい方とつながるっていうのが、いい関係の作り方なのかなと思ってますね。
今話しながら思いましたけど、私も事業会社の広報の時、最初にやったことって図書館に行って、当時でいうと採用広報のサービスのことを書いてる記事を探して、それを書いてる人は誰なのかっていうところから始めて。ってことは、この人って私たちのサービスも興味持ってもらえるんじゃないかっていうところを探すところからやったのを今思い出しましたね。茨城でもエリアごととか市単位でも担当者の方が違うので、まずその方と仲良くさせていただいて、その人がどんな記事を書いてるかも追いながら、タイミング見て小出しでこんなの今進んでますみたいなのをやってました。
最初本当に地道なんですけど、そういうのをやりながら感覚値をつけていくのがすごく重要かなと思っていて。そういうところができてくると、単にプレスリリース出しますとかではなくて、こういう観点でメディアが取り上げる可能性があると思うのでこういうことしませんかとか、この時期はこういうテーマを興味持ってもらいやすいので、このタイミングで取り上げてもらえそうなことってなんだろうっていうところから企画してアプローチしていくとか、そういう発展のさせ方ができるのかなと思いますね。
あと、社内的に広報の人が何をするのか理解してもらえてない時とかに、単純に自分はこう思いますとかではなくて、メディアの人からこういうフィードバックもらってますっていうところがパキッと話せる方が、社内理解とか力強い後押しの部分ではすごく役に立つところもあるかなと思いますね。
確かにそうですね。そこが言えると、じゃあそこ興味あるならこういうことも社内でやってみるかっていう風に、もしかしたら社長さんが言う可能性もあったりするので、そういう機会を自分から作っていく動きも起こるかもしれなさそうですよね。
目的は「いい形で取り上げてもらうこと」
プレスリリースっていうのはオーソドックスな広報の技の一つではあるんですけど、それをするというよりは、それに載せる情報としてどういうものが響くのかとか、そこにアンテナを広げていくのがすごく重要なんだろうなと。昔はここがすごくトレンドだったけど、今は全然トレンドじゃなくなってることも結構するので、メディアの声を聞きながらチューニングしていくところはすごく重要かなと思いますね。
本当そうですよね。まず出すのが第一歩だろうって思ってたんですけど、出した先にどういう関係性がメディアさんと作れて、どう取り上げてもらえるか。やっぱ出して終わりじゃないよなっていうのと、その先のことも考えてどういうことを盛り込むべきなのかっていうのが改めて大事なんだなって感じました。
今日プレスリリースがテーマなんですけど、プレスリリースだけというよりは、メディア露出を作っていくための企画提案書作り、プロモートシートって言ったりいろんな言い方があるんですけど、そういうものを作ったり、取材してもらう機会を作っていく。取材案内状でアプローチしていくとか、工夫の仕方はいろいろあるので。プレスリリースと言われたからプレスリリースなんですというよりは、目的やゴールとしてはいい形で取り上げてもらうことですよねと。その中で最適なことをしていくっていう姿勢がすごく重要なんじゃないかなと思います。
ちなみに、そのいい形で露出していくっていうのは、どういうことを指すのかっていうのは、小林さんの方で説明できたりしますか?
これは会社とか事業サービスの内容によって変わってくるところなので、そこはいろいろかなと思いつつ。新商品とかであれば、とにかく情報がいろんなところに取り上げてもらえるっていうのは非常に重要なので、量っていうところはあるなと。一方で、なんでそれを作るのかっていう戦略とか、強みをどう伝えていくのか。単純にこれ発売しますっていうだけではなくて、なぜその領域に取り組んでいるのかみたいな経営的な話とか、ここが特徴ですというところを言ってもらえるのかとか。
あと観点が違うんですけど、意外と現場の方々にとっては取り上げてもらえることってすごいポジティブなことで、インターナルでいい循環を生んだりするので。この人たちが頑張って作ったんですみたいなことを少しでも入れ込めないかっていうのは、観点としてあると思ってますね。
商品じゃない場合だと、CSRとかポジティブな取り組みで、なぜこの会社がそれをするのかっていう背景とか、社会的な位置づけとかビジョンをどれだけ報道の中で伝えてもらえるか。よく知られてるメディアで報道されましたっていうだけではなくて、こういうキーワードで上げてもらいましたとか、トレンドの中に盛り込んでもらえるとか。そういうところもあるので、質をどう測るのかっていうのは、キーワードの含有量とか、どういう特集の文脈の中でなのかとかで測れるのかなと思いますね。
確かに。特集に取り上げられるパターンと、今月こんな商品がこの会社から発売されるみたいですっていうのだと、同じ情報でも受け取り方が変わったりするから。どういう方向性で言ってもらうのが今自社にとって一番嬉しいことなのかを考えながら、いろいろ作戦を考えて、広報の方と社長さんと一緒に会話するっていうのがいい感じなんですかね。
そうですね。メディアに取り上げてもらうっていうのは大前提ある中でも、どういうふうに知られるのか、どういうふうに好意を持たれると良いのかっていうところをすり合わせしておけるといいのかなと思います。
プレスリリースっていうトークテーマから、結構いろんなキーワードが出てきたっていう感じがしてるんですけど、小林さん的に話してみてどうでしたか?
プレスリリースって本当に接点の一つかなと思っているので、メディアといい環境を作っていく上で、最適なアプローチをしていくっていう発想の転換がすごく重要なんだろうなと。そういう頭を切り替えるきっかけになったらいいなとすごい感じました。
ありがとうございました。続きはまた次回にしたいなと思っております。広がるローカル、地域のための広報実践録、ここまでお聞きいただきありがとうございました。番組への感想はハッシュタグ広がるローカルで投稿いただけると嬉しいです。ご質問や話してもらいたいテーマは番組の概要欄のフォームまでお気軽にご連絡ください。それでは次回もお楽しみに。
まとめ
プレスリリースは広報の第一歩ですが、配信して終わりにしても成果は出にくいと語られました。個別の記者へアプローチしてフィードバックをもらい、取材誘致や企画提案で接点を作ること。記者ごとの関心やエリア担当をリサーチし、載せる情報や取り上げられ方まで設計することが、いい形での露出につながると整理されました。
- プレスリリースはオーソドックスな手法だが、配信するだけでは成果に結びつきにくい
- 個別の記者へのアプローチや取材誘致で、直接フィードバックをもらうことが精度を上げる
- 署名記事やエリア担当をリサーチし、関心ベースで記者とつながる
- 広報は発信担当ではなく、現場に入って取材ネタを点から線にしていく役割
- 目的は「いい形で取り上げてもらうこと」で、手法は最終ゴールに応じてカスタマイズする
