新機材MV7iとPodcast Weekendの話題
冒頭は新機材の話から始まります。明石さんが会社の社長室で気軽に録音できるよう、Shure MV7iShureが2024年以降に展開するUSB/XLR両対応のポッドキャスト向けマイク。ノイズキャンセリングなどデジタル処理が特徴。を導入したと紹介します。
MV7iは58マイクをつないでもデジタル処理の恩恵を受けられる点が決め手だったと話します。スポンサー契約は一切ないと笑いを交えて強調しました。
ここまで俺宣伝してShureから一切スポンサードを受けていないってところがポイントです。
話題はPodcast Weekendへ。今年は大型フェス化しており、明石さんはゆる言語学ラジオ枠で登壇する一方、Fashion Victimとしての出演はないと明かします。横山さんは「悲しい」と漏らし、58マイクが急に重くなったと冗談で返します。
明石ガクトの抜き、Applied Art Formというスモック
テーマである「抜き」へ。明石さんはこの日、一見アクロニムにも見えるネイビーのジャケットを羽織っていました。
正体はApplied Art FormColdplayのベーシストGuy Berrymanが手掛けるブランド。ヴィンテージミリタリーウェアを解体・再構築する作風で、ドーバー ストリート マーケットなどで展開。のジップ付きスモックでした。元はイギリス軍のスモックを染め直し、後付け感のあるM65風ジップを加えた一着です。
要は昔のイギリス軍のスモックを後染めしてる。で、一回スモック作った後にこれをぶった切って、後付けジップっぽいよね、これ明らかに。なんかこだわりがちょっとエグい。
生地は表記上「ハイデンシティキャンバス100%コットン」で、ベンタイルに近い密度です。雨の日にフードを被って歩くスタイルに合っていたと話します。
購入先はドーバー ストリート マーケットですが、オンライン直販なら4分の3程度の価格で買えるとも紹介しました。
ヴィンテージ収集
Coldplayのワールドツアー先で1940〜60年代のミリタリーウェアを買い集める
解体と研究
オランダのデザインスタジオでアーカイブを分解・分析
再構築
元のスモックを後染めし、後付け風のジップを加えて現代版に仕上げる
コモリのブラックドリルテーパードと、同じ服を出し続ける哲学
パンツはCOMOLI小森啓二郎が手掛ける日本のファッションブランド。上質な素材と定番アイテムの継続的なアップデートで知られる。のブラックドリルテーパードパンツです。前回話題になったサマーコーデュロイより、テーパードが強く効いた形です。
興味深いのは、去年と今年で同じシリーズが微妙に変えて出されている点です。去年版はオンスがあって硬く、今年版はやや薄手で柔らかいといいます。
俺のこの去年のはちょっと硬いの。だけど、俺これ結構履いてるから薄く柔らかくなってて、つまり1年間履いたやつっぽいのが今年出てるんですよ。
明石さんはこれを「商売に対して真摯」と評価します。去年買った人が1年履いたような風合いが今年新品として出るため、買い時に迷う必要がないという解釈です。
足元は雨対応でサロモンのジップスニーカー、頭にはMoMA別注のヤンキースコーデュロイキャップ。ベージュの差し色で全体を抜く構成です。
横山昴の抜き、ヴィンテージで仕立てる「APRES風」
横山さんも抜きにモチベーションが上がっていると話します。デニムはLevi's 517ブーツカットにクロムハーツのクロスパッチ、足元はウエスコのBOSSという、これまで通りの「顔」を残した土台です。
変化はトップスです。一見APRES風のネイビーシャツジャケットは、実はUS NAVYの1940年代CPOシャツの17ハーフ。リアルミリタリーのヴィンテージを、ビッグサイズでシャツジャケット風に着こなしています。
インナーは2000年頃のヘインズの30番。つまり上はヴィンテージ×ヴィンテージで、そこにクロムハーツの「味付け」を一点だけ加える構成です。
クロムハーツのダブルドッグと「顔を内側に隠す」抜き
指元には太めのシルバーリング。よく見るとクロムハーツのダブルドッグで、犬のモチーフをあえて内側に向けて着けていました。
ガクさん言う通り、「あ、何のリングかな」って思わせるような。横、サイドドッグもありますからね。
ダブルドッグは犬が向かい合うリングですが、反対側は彫りのないシンプルな面です。横山さんは小指のフローラルクロスを外し、つるりとした面を表に出して着けています。
クロムハーツのアイコンを「主張」ではなく「秘めた装備」として使う発想で、ヴィンテージおじさんになりすぎないバランスを取っています。
モテとクジャクのジレンマ、はっぺさんからの問い
リスナーのはっぺさんからのコメントが、議論の核心を突きます。「抜けない、抜ききれない、その先にあるのは異性からモテたいという衝動なのではないか」という指摘です。
明石さんはこれをクジャクの進化に例えます。羽の派手なオスが子孫を残してきた歴史と、顔アイテムを散りばめる男性のスタイルを重ねます。
顔アイテムをちりばめ、気づかれないリスクを排除して異性にアピールする
モテを意識から外し、自分のために装うことで自然に抜けていく
はっぺさん自身、かつてバロック系女子にモテたくて全身Supremeだったと告白します。バロック系女子バロックジャパンリミテッドが展開するSLYやMOUSSY、SHEL'TTERといったブランドを愛好する女性層のこと。ギャル寄りでセクシーな雰囲気が特徴。とSupreme男という組み合わせは、当時のリアルな風景でもあります。
クロムハーツ全身おじさんと「擦り切れるまで着る」自分自身
横山さんが当日体験した、クロムハーツ店舗でのエピソードが続きます。常連の店員と「最近は一点だけ取り入れて抜いてみたい」と話したところ、相手の表情が一変したといいます。
そうしたら、すんごいさっきまでニコやかな顔してたのが怖い顔になってね。「え?ふーん」みたいな。「そうですか」。最後に一言。「まあいずれまた全身に戻りますよ」。
明石さんはその店員を「最もゴリゴリ」な存在だと振り返り、彼の格好は実は10〜15年前のアイテムをずっと着続けるスタイルだと指摘します。顔アイテムだらけなのに、本人の中ではすでに「土台」になっているわけです。
ここから、ブルックさんのコメントを受けて「自分自身」というキーワードが再浮上します。自分を信じる根拠としての服選びという視点です。
明石さんは外商で勧められるままに買うマルジェラMaison Margiela。1988年にマルタン・マルジェラが設立したベルギー発のメゾン。匿名性や4ステッチタグなど独特の世界観で知られる。を「ネガジェラ」と呼び、自分の意思で選び抜く「ポジジェラ」と区別します。横山さんは「マルジェラとバツジェラ」と言い換え、笑いを誘いました。
抜きの相対性理論とブランドの引力
続くペディさんのコメントは、抜きの原則を論理的に整理したものでした。抜きは全体の20〜30%が最もバランスが良く、パンツは土台のため抜きには使いにくい。Tシャツは抜きやすい場所だという主張です。
明石さんはここで「ブランド相対性理論」を持ち出します。Supremeすら、メゾン物に囲まれれば抜きになり、ユニクロに合わせれば顔になるという話です。パリ・Coletteの元店員ギヨーム・ステイックColetteの元バイヤーで、現在もパリのファッションシーンを代表するスタイリスト/ディレクターのひとり。古着とラグジュアリーを横断する装いで知られる。の例も引きながら、本人の体格や合わせるアイテムによって抜きの基準が変わると整理します。
Shogoさんからは、雑誌『&Premium』で平林奈緒美グラフィックデザイナー兼アートディレクター。AERAやUNIQLOなど多数の仕事を手掛け、ファッションメディアでも独自のスタイルが取り上げられている。さんがエルメスのヴィクトリア2のバッグの取っ手に3Mのリフレクターを巻いていたという報告も。高級レザーと工業製品のギャップが「抜き」の好例として共有されました。
常にこれはやっぱ相対性理論というか、ブランド相対性理論がやっぱりあると思って。
着続けることが最大の抜きになる
話は再びクロムハーツの店員に戻ります。彼の格好は決して抜いていないにもかかわらず、誰もが認めるかっこよさを持ちます。
汗まくってて、なんだかわけわかんねえナイロンの。しかもピタピタのナイロンのやつになんかだるっとしたその袖フェードのサーマルにすんげえ細い。だから本当にもうリチャード・スタークの時代のスタイルを自分自身で貫いてる。
明石さんはSupremeのMA-1ジップパーカーを毎日着込んでいると話します。話題のアイテムだからこそ、いち早く自分のものにするためにあえて雑に着るアプローチです。
クロムハーツのような顔アイテムだらけのブランドであっても、擦り切れるまで着れば「自分自身」に変わるという考え方です。タグ付きで保管されるアイテムへの皮肉も挟まれました。
ペディとShogoが教えてくれる、抜きの設計図
Shogoさんは自身も自転車のすそバンドに3Mリフレクターを使っていると報告します。オーラリーの岩井さんがLOEWEのレザーブレスレットをすそバンドにしているのを見て、もう一段の上品さを足すと「キメすぎ」になると感じたという話です。
明石さんは、抜きはギャップそのものだと整理します。エルメスのバッグに工業用テープ、ゴルフ場のスポーティーな格好にエルメスのスカーフ。どちらも「ラグジュアリー×日常」「上品×無骨」というギャップが鍵です。
横山さんが「ヴィンテージのバンダナでも抜きになるのでは」と言うと、明石さんは「ヴィンテージ服にヴィンテージ布が出てきただけ」と切り返します。抜きは素材やブランドではなく、文脈の組み合わせで決まるという結論です。
コーディネートの組み立て順とポイント制
マスターアキオさんはVISVIM中心のスタイルで、アクセサリーは時計のみに絞っていると報告します。顔と土台の境目を持つVISVIMをアイコンとして立たせるための引き算です。
明石さんは、組み立ての順番について興味深い告白をします。多くの人が「顔から決める」と答える中、明石さん自身は実は天気を見てから「靴と時計」を決めているといいます。
全体に使えるポイントがあって、目玉アイテムを使えば使うほど、そのポイント消費はでかくて。土台系になればなるほどポイントが少なく済む。20ポイントを振り分けるような、そういう気持ちでやってるかもしれないですね。
「20ポイントを目玉と土台に振り分ける」という発想は、抜きの相対性理論を実践に落とし込む具体的な指針になっています。
ファースト、セカンド、サード、自分のアイデンティティはどこにあるか
ありがとうのGさんはLevi'sのLVCセカンドを購入し、「自分はセカンドの男」と確信したと報告します。横山さんは「セカンドには白Tか白シャツが正解」と即答します。
Gさんは抜きの足元について「インラインスニーカー」を提案します。シーズンカラーを避け、コルテッツやブレザー、サモアといった王道回避モデルを選ぶ発想です。
明石さんは自身の靴選びについて、「足元から決めたいタイプ」だと振り返り、思い入れのある靴しか履かないため引き算が難しいと話します。横山さんも、テニスクラシック愛が強くスタンスミスを通らなかった人生だと笑います。
最後はサカイのリーバイス×ガッチャンコモデルの話に。明石さんは「一回も着ていない」と告白し、自分のアイデンティティがファースト、セカンド、サード、フォースのどこにあるかを意識することの大切さで締めくくります。
1周年に向けて、リスナーへの呼びかけ
次回でFashion Victimは1周年を迎えると明石さんが告知します。これまで取り上げてきたテーマ、フレーズ、エピソードを振り返り、リスナーに「好きなエピソードやワード」を投稿してほしいと呼びかけます。
軽い気持ちで投稿できる回にしたいというのが二人の狙いです。最後はベスコメ発表で、はっぺさんのバロック女子コメントが選ばれました。バロック女子へのモテ動機ごとカムバックして語ってくれた点が評価されています。
まとめ
今回のFashion Victimは、抜きとブランドカムバックを軸に、顔と土台、モテと自己完結、ヴィンテージとアイコンの関係を行き来する回でした。「抜きは相対的で、最終的には着続けることが自分自身を作る」という結論が、リスナーのコメントを通じて立ち上がっていく構成です。
- 抜きは絶対値ではなく相対的なバランス。周囲のアイテムや体格によって、Supremeすら抜きにもなれば顔にもなります。
- クロムハーツのダブルドッグのように、アイコンの向きを変えるだけで抜きの印象は大きく変わります。
- 顔アイテムを「自分自身」に変えるには、擦り切れるまで着込むことが最も近道。タグを付けたままにする発想とは対極にあります。
- コーディネートは目玉と土台へポイントを振り分ける感覚で組むと、抜きすぎとキメすぎの両方を避けやすくなります。
- 次回は1周年回。お気に入りのワードやエピソードを軽い気持ちで投稿することが、番組と一緒に振り返るきっかけになります。
