やっぱりSupremeボックスロゴが好き!「ブランド合わせ論」が辿り着いた「自分自身」の境地
ファッションの深淵を探求するPodcast番組『Fashion Victim』。今回は、奇しくもSupremeとMM6のコラボ発売当日に収録が行われました。パーソナリティのGACKT氏とよしあき(Today)氏が、新作コラボの熱狂から、過去最長のシリーズとなった「ブランド合わせ論」の決着までを熱く語り合います。単なるコーディネートの話を超え、服を着る者の精神性にまで踏み込んだその内容をまとめます。
Supreme × MM6コラボの「文脈」を読み解く
収録当日は、大きな話題を呼んでいたSupreme1994年にニューヨークで設立されたスケートボードショップおよびファッションブランド。ストリートカルチャーの象徴的存在。とMM6 Maison Margielaメゾン・マルジェラのコンテンポラリーライン。ナンバリング「6」を冠し、より日常的でクリエイティブな表現を特徴とする。のコラボレーションアイテムの発売日。GACKT氏は諸事情で並ぶことはできなかったものの、あらゆるネットワークを駆使してボックスロゴパーカーを全色手に入れたと明かしました。
否(ネガティブな評価)のやつがいる意味がマジでわからない。これぞコラボの醍醐味だと震えたもんね。
このコラボに対し、よしあき氏は当初「安直ではないか」「ロゴを割る意味がわからない」と懐疑的な立場を示していました。しかし、GACKT氏はそこに秘められた膨大な「文脈」を解説します。今回のボックスロゴパーカーには、以下のような過去のサンプリングや意図が詰め込まれているといいます。
- スプリットロゴ:かつてのCOMME des GARÇONS川久保玲が設立した日本を代表するモードブランド。Supremeとは過去に何度もコラボレーションを行っている。コラボを彷彿とさせる意匠。
- カラーリング:ネイビーの絶妙な色合いは、初代ボックスロゴパーカーへのオマージュ。
- メイド・イン・カナダ:初期Supremeの象徴であるカナダのファクトリー製。現在は非常に希少で高品質な仕様。
- ジップ仕様:海外の著名人が勝手にカスタムして話題になった文脈を統合。
これらを知ることで、よしあき氏も「物としての完成度が高い」と納得。単なるブランド名の並列ではなく、歴史とリスペクトが重なり合った「奥行き」のあるアイテムであることが強調されました。
「自分自身(自分に自信)」という新たな評価軸
番組後半では、リスナーからのコメントを元に「ブランド合わせ論」が総括されました。ここで、リスナーの誤字から生まれた「自分自身(自分に自信)」というキーワードが、議論の核心として浮上します。
GACKT氏は、COMOLI小森啓二郎が2011年にスタートした日本のブランド。「全ての洋服の原型は欧米にある」という考えのもと、日本の気候や体型に合う上質な日常着を提案する。のパンツを直営店で裾上げし、ブランドが意図する「正しい履き方」を知ったエピソードを披露。ブランドの文脈を理解し、納得して着ることで、自分の中に揺るぎない自信が生まれると語りました。
たとえばユニクロのスウェット上下で外に出る際、それが「言い訳」になってしまうのであれば、それは自分自身を持てていない証拠。一方で、背景にあるストーリーに納得して選んだ服であれば、たとえ安価であっても、あるいは奇抜であっても、それは「スタイル」として成立するという結論に達しました。
「顔」と「土台」が織りなすコラボレーションの正体
リスナーのペディ氏からは、「顔(主役級のブランド)」と「土台(シンプルで質の良いブランド)」というレイヤー構造を用いた鋭い分析が寄せられました。これによると、SupremeやMM6のようなコラボが成立するのは、同じレイヤーにある「顔」同士が衝突し、ブランドネームを並列にすることでその緊張関係を解消し、新しい意味へと昇華させているからだといいます。
一方で、Supreme(顔)とCOMOLI(土台)のコラボが想像しにくいのは、そもそも競合するレイヤーにいないため。これらはコラボするよりも、日々のコーディネートにおいて「レイヤーの違いによって共存させる」方が自然であるという法則が導き出されました。
Supreme, MM6, Chrome Hearts
衝突と解消のレイヤー
古着, コラボアイテム
文脈の掛け合わせ
無地Tシャツ, 軍モノ下着
実用性のレイヤー
COMOLI, YAECA, Dickies
共存と支えのレイヤー
「役作り」と「INTHEMIX」──対極を混ぜる楽しみ
さらに、リスナーのSHOGO氏からは「上質な服を古着への役作りに使う」というテクニックが提案されました。ボロい古着に、あえてMARKAWARE石川俊介が手がける日本のブランド。原料選びから縫製まで徹底的にこだわり、大人のための上質なワードローブを提案する。のような極めて上質な服をぶつける。これは「B級グルメを高級な皿に盛る」ような感覚であり、野暮ったさを上品な「外し」へと変える手法です。
この考え方は、GACKT氏らが藤原ヒロシ日本のマルチクリエイター、プロデューサー。裏原宿文化の先駆者であり、Fragment Designを主宰。ストリートファッションの神様とも称される。氏から学んだ「INTHEMIX!(混ぜること)」という教えとも合致しています。
西と東、古いものと新しいもの、労働者と貴族。対極なものを混ぜることで、初めてスタイルが完成するんだよね。
例えば、アメリカの労働着であるヴィンテージリーバイスに、フランスの貴族的な上質さを持つエルメスのジュエリーを合わせる。この異質な文脈の衝突こそが、深みのあるファッションを生むのです。
「ブランド合わせ論」の終着点と次なるテーマ
3回にわたって議論された「ブランド合わせ論」は、以下の結論を持って一つの節目を迎えました。
- 自分自身(自信):そのブランドを、文脈ごと納得して自分のものにできているか。
- 顔と土台:主役と脇役のバランスを理解し、レイヤーを使い分けているか。
- INTHEMIX:あえて対極にある要素を混ぜ合わせ、独自の「役」を作っているか。
番組の最後には、よしあき氏の今後の課題として「抜きの美学」というテーマが提示されました。全身を「顔」のアイテムや強い文脈で固めてしまうと、時に「妖怪」のような過剰な存在になってしまいます。いかに力を抜き、客観的なバランスを取るか。この新たな問いに向けて、番組はまた一歩進んでいくことになります。
まとめ
「ブランド合わせ論」のフィナーレを飾った今回は、Supremeの新作コラボという時事ネタから、ファッションにおける哲学的な領域までを網羅する回となりました。自分の着ている服に「自分自身(自信)」を持てるか。その問いこそが、迷えるファッション・ビクティムたちへの一つの答えとなるのかもしれません。
- 文脈の重要性:Supreme×MM6コラボには、ギャルソンやカナダ製ボディなどの膨大なサンプリングが詰まっている。
- 自分自身(自信)の定義:ブランドの背景を納得して着ることで、価格や流行に左右されない「自分自身のスタイル」が生まれる。
- 顔と土台のレイヤー:強いブランド同士は「コラボ」で衝突を解消し、違うレイヤー同士は「合わせ」で共存させる。
- INTHEMIXの美学:古着と上質な服、西欧と米国など、対極にある要素を混ぜることで奥行きが出る。
- 次なる課題:全身を固めすぎない「抜きの美学」と、離れたブランドに再び出会う「ブランドカムバック論」へ。
