不調だった数回の反省と復帰
冒頭、明石さんは「今日から心を入れ替えてやっていきましょう」と切り出します。
直近数回の収録は話のクオリティが低かったと2人は反省します。特に前回の2026年AW回で、横山さんはほとんど話ができなかったと言います。
明石さんはその原因を明かします。休みの前後で働きすぎたうえに、体調も崩していたそうです。
腹鼻腔炎だったんです。鼻がずっと詰まってた、とにかく。脳に酸素行ってないから。だからさ、びっくりしたよね、ブランドの名前が何にも出てこなくて。
不調はコメント数にも表れ、リスナーからは体調を気遣うような「お元気ですか」というコメントが届いたといいます。明石さんはそれを「初診見舞いコメント」と表現します。
横山さんの母親からも「そんなに無理しなくて毎回撮らなくていいんだよ」という連絡が来たそうです。無理が周囲に伝わっていたことがわかります。
ちょっとこの、ここ3回ぐらいの配信のことは忘れてください。俺たちのファッションビクティムが帰ってきました。
ガクトの「今日何着る?」〜狙って手に入れた一着
復調を印象づけるように、明石さんはこの日のコーディネートを気合を入れて紹介します。
足元は京都バード別注のサイドゴアグイディです。ゴア部分が深く取られているのは、グイディの形に合わせるためだと説明します。グイディイタリアの革製品ブランド。独特のなめしによる質感のレザーで知られる。
眼鏡はクロムハーツで、テンプルのダガー(短剣)モチーフが酸化して変色し始めていたそうです。放置していたものを、この日から老眼鏡として使い始めると話します。
そしてこの日の主役は、THISISNEVERTHATとfragmentのコラボスウェットです。背中に「Never enough」の文字が入っています。THISISNEVERTHAT韓国発のストリートウェアブランド。
Good enoughの文脈でNever enoughですよ。これはもうね、めちゃくちゃいいですよ。
黒が退色して茶色寄りにフェードしたグレーの色味が魅力だと言います。写真ではわからず、現物を見て良さに気づいたそうです。
8月なのにスウェットを着ているのは、裏起毛ではなく表裏が同じ薄い生地で、暑くないからだと説明します。サイズはXLで、日本での流通量が少なく瞬殺だったといいます。
どうしても欲しくて、あの手この手で手に入れた。
後ろ髪をまとめるヘアゴムには、ゴローズのフェザーモチーフを付けています。クロムハーツのヘアゴム根付は重くて外れやすいのに対し、ゴローズは軽くシルバーが薄いわりに面積が大きく、髪への食いつきが良いといいます。
トゥデイの「今日何着る?」〜コモリのノースリーブとアルバーンチノ
横山さんもこの日はコーディネートを改めてきました。まず紹介したのはコモリのノースリーブTシャツです。サイズ3を、しかも2枚買ったと話します。
2枚買ったってことは相当気に入ってるね。どういいの?
丈が短く身幅が広いボックスシルエットが基本にありつつ、アームホール(脇)が狭いのが良い点だといいます。脇が開いたシャツだと仕事場で「乳首見えてるよ」などと指摘されることがあったが、これは体に沿ってピタッと収まり、インナーとして着ても干渉しないと説明します。
店員から「コモリの服は染めや洗いによってサイズに個体差が出る」と言われた一言も刺さったといいます。「自分だけのオンリーワン」と感じたことが、購入の後押しになりました。
コモリのノースリーブ、おしゃれなんだなって思ったんですよ。
ボトムは、前回話題にしていたナイスネスのアルバーンチノです。店舗でもオンラインでも買えず、初めてスニーカーダンクのようなフリマアプリを使って手に入れたと話します。ナイスネスヴィンテージの文脈を汲んだ服作りで知られるブランド。M43などの軍パンをベースにしたアルバーンチノが人気。
このチノは、ウエスト部分が本物のスラックス履きのように折り返して縫製され、ガスフラップのような布も付いています。そのため股間まわりで布が「渋滞」し、ミルフィーユ状態になっていると2人は笑います。
これを我々が許せるかどうかなんですよ。
それをやってるから、ほんといい意味で気が狂ってる服じゃん。そこにみんなグッときてんじゃない?
明石さんは「そういう見た目なんじゃないんだよ。リアルなんだよ」と、単なる見た目のコピーではない点を評価します。この「リアルさ」が、後半の議論につながっていきます。
審美眼の被害者〜「今を着る」ことへの気づき
横山さんは前回2026年AWの話に一言も返せなかったことを反省し、店を回っていろいろなブランドを試着したと言います。話題の若者向けブランドも着てみたそうです。
しかし一着も刺さらなかったといいます。そこで横山さんは、自分が陥っていた状態に気づきます。
審美眼ということにすごく意識しすぎて、結局審美眼の被害者になってたんだよ。
布より金属、布より革と、削ぎ落とすことにこだわりすぎた結果、2026年の服が魅力的に見えなくなっていた、と横山さんは分析します。
明石さんは、この停滞を番組の「シーズン2の物語」になぞらえます。ゴテゴテだった横山さんが削ぎ落とし、「自分自身がある」というキーワードにたどり着いたものの、こだわりすぎて過去の名作ばかり着るようになっていた、というわけです。
転機は、アルバーンチノを一度手放そうとしたことでした。売るつもりで着てきたこの日、鏡に映る自分と、会社の同僚からの言葉で見方が変わったといいます。
絶対履いた方がいいですよ。大人らしくてめっちゃかっこいいです、おしゃれです、って言われて。おしゃれなんですよ、めっちゃ。
横山さんは、自分が古着を合わせることにこだわる一方で「おしゃれをする」ことをしてこなかったのかもしれない、と気づいたと語ります。
「編集」へのリスペクト〜現行品にしか出せない今っぽさ
明石さんは、この気づきを「編集」という概念で整理します。ヴィンテージを現代のサイズやシルエットに合わせて再構成する作業を、横山さんは軽視していたのではないか、と指摘します。
M43の本物を折って履いてもこうはならない、と2人は言います。ナイスネスが計算して作ったシルエットだからこそ、みんな熱狂するというわけです。
明石さんは自身の経験も挙げます。リーバイス505の40インチをスラックスのように穿いても2回しか使わなかった、と。本物にしか出せない良さと、編集された現代の服の良さは別だと語ります。
着丈の短さと、ここのもたれ具合のバランスとか、多分現行のものしか出せない今っぽさ。
一方で2人は、ヴィンテージに偏る危うさにも触れます。高い服を着てもおしゃれとは限らない、いわゆる「物になってしまう」問題です。
全体の身につけるもののファッションとして、っていう。ファッションビクティムってどうしても物に偏重する。だけどセカンドシーズンは、ファッションに寄り添っていくってことなのかもしれないな。
場所が変える価値観〜北海道で見えた「本物」
明石さんは、長期滞在した北海道での気づきを語ります。指輪やアクセサリーが「いらない」と感じ、着ては洗える服2種類ほどで毎日を過ごしていたそうです。
すっごい気持ちも充実してるわけですよ。「あれ、なんかこれで良くない?」みたいな。
そのうえで、こういう暮らしでも手元に残したいものが「本物」だと考えます。ゴローズのイーグルフェザーは、実際にイーグルがいる北海道の大地にも合うと感じたそうです。
対照的に、クロムハーツはこの日つける気にならなかったといいます。明石さんはそれを「都会の病」と表現します。
クロムハーツはかかりたい病ではないけど、田舎に行ったらこの病は治ってしまう。
同じ東京でも、仕事や暮らしの場所によって必要な服は変わる、と明石さんは言います。この視点から、飛行機に乗る直前に見たSupremeのプレビューにも「一つもいらない」と感じたそうです。
これ北海道でいるかな、いらないかな。東京にいるから欲しくなるのかな。
記念買いとリアル買い〜Supreme26FWを判定する
後半、2人はSupreme26FWのアイテムを「機能美・トレン美・味わ美」という自分たちの軸で判定していきます。基準は、着るかどうかだけでなく「未来の自分が買っておいてよかったと思えるか」です。
現時点で自分自身がない、機能美も味わ美もない、トレン美しかないもの。これを未来の自分が「買っててくれてありがとう」って思えるかどうか。
横山さんは「記念買い」の二つの意味を整理します。ただ記念に買うだけの服は着ないが、後世に残るシグネチャーアイテムなら意味がある、という区別です。
Tシャツは有象無象の一つなのに、なんでStussyのスタジャンはいい記念買いなの?
Stussyのスタジャンはヴィンテージの中でもシグネチャーアイテムであり、ラフシモンズのMA-1のように後世に残る一着だからだといいます。今は着なくても、未来の自分のための買い物として意味があるという判断です。
実際のアイテム判定では、赤いドカジャンは機能美と味わ美に疑問が残るとして見送り、ルイヴィトンを彷彿とさせるモノグラム柄のデニムジャケットは「記念碑的」だが着ないだろうと保留にします。
一方で、5年ぶりにシンプルな形で出たBDUシャツジャケットは、本物にはないSupremeのサイズバランスを理由に「あり」と判定します。
BDUはサイズがないっす、マジ。だからこれSupremeトレンドのサイズ感。
結果、7アイテム見た中で明石さんが選んだのは、BDU、キリストをあしらったプレイヤーカードTシャツ、そして記念買いのダース・モールTシャツの3つに絞られました。
いつもだったらガクさんだったら7アイテムいってる。で、なんでこれ買っちゃったんだろうなみたいな感じになるんですよ。
リスナーが磨くフジロック装備の知恵
番組の不在中には、リスナーから「フジロックに何を着ていくか」というコメントが多数寄せられていました。2人はそれを紹介していきます。
都会でパタゴニアを着るのは「F1で公道を走るようなもの」だが、フェスならその機能が生きると2人は話します。フジロック13年目のリスナーからは、キーンのサンダルより蒸れにくく安定するノースフェイスのロングレインブーツが最適解だという知見が共有されました。BDUBattle Dress Uniformの略。米軍の戦闘服をベースにしたミリタリーウェア。
靴下はCEP(着圧ソックス)で疲労軽減、Tシャツは汗が蒸発しにくくなる大きなプリントを避ける、雨具は脱ぎ着が楽でタープにもなるポンチョ、といった実践的な工夫が並びます。
十三年目になってなお、千人の域には達せず、そこを突き詰めていくフジロッカーたちの熱い思いにグッときましたね。
さらに、高温多湿な日本とイギリスのブランドを掛け合わせ、各アイテムの重量まで記したリスナーのコメントに横山さんは感銘を受けます。保水しない水陸両用シューズや、着脱が楽で寒い時に温められるレイン巻きスカートなど、新しい選択肢が紹介されました。
横山さんはこれらを踏まえ、来年のフジロック装備を「ビボベアフットの水陸両用シューズ+CEPソックス+レイン巻きスカート」に更新すると宣言します。この重量まで記したコメントがベストコメントに選ばれました。
装備購入が一年の中で最も楽しい時間っていうのが、これビクティマーですね。
まとめ
夏の休養を経て、2人は「物への偏重」から「今のファッションを着る楽しさ」へと視点を移します。リアル買いと記念買いの基準は、着るかどうかだけでなく、未来の自分がその一着をどう受け止めるかにあると語られました。
- 直近の不調は働きすぎと体調不良が原因で、コメント欄や家族にも無理が伝わっていた
- ヴィンテージの「編集」に価値があり、現行品にしか出せない今っぽさがあると横山さんが気づいた
- 場所が変われば必要な服も変わり、明石さんは北海道でアクセサリーやクロムハーツへの執着が薄れた
- Supreme26FWは「機能美・トレン美・味わ美」で判定し、7アイテム中3つに絞り込んだ
- フジロック装備はリスナーの知恵で更新され、次回テーマは「記念買いの基準」に決定した
