再燃した『一億人の英文法』熱
渡辺さんは、最近時間をかけて読んでいる本として『一億人の英文法』を挙げます。
「またネタにしているのか」と思われそうだと自ら言いつつ、この一冊への熱が再び高まっていると話します。
二月末から三月末までの一ヶ月は、「基本英文を極める」というテーマで例文の音読に取り組んでいたそうです。
音読中は基本的に英文だけを見ます。説明まで読むと時間がかかり、例文を音読する時間がなくなってしまうからです。
何度読んでも痺れる説明の仕方
渡辺さんは2006年から大西先生の説明を追いかけてきました。その説明に、今でも痺れると言います。
一番感動したのはto不定詞の説明だそうです。TOEICの授業でもよく使ってしまうと明かします。
形容詞用法、副詞的用法と、色々な説明があるじゃないですか。それを全部「足りないを補う、足りないを説明する」でひとくくりにしてしまう。そうすると、あんだけ色々覚えたのに何だったんだ、みたいなことが生じて気持ちいいわけですよね。
仮定法についても、ルールを暗記するのではなく感覚で捉える説明が印象的だと語ります。
仮定法は「もしこうだったらな」という風に距離を感じる、遠い目を見る。それは過去形の形とも結びついているから、それを使うの自然だよね、と言われたら、確かにそうだなみたいな。
十五年読んでもまだ落とし込めない部分
大西メソッドで英語を学んで二十年、『一億人の英文法』に至っては十五年経つと渡辺さんは言います。
それでも、こういう言い回しをしていたのか、と今も気づく部分があるそうです。まだ自分の中に消化しきれていないところがある、ということです。
英語講師として、大西先生の説明を「めちゃめちゃコピーしている」とも正直に話します。分かりやすい伝え方をそのまま使っている部分も多いそうです。
最近ではパラパラ見ていて、時制の一致の項目にある「無意識、瞬時、自動的」という言い回しに感心したと言います。
この語呂の良さとかめちゃめちゃ考えたんだろうなとか、これそのまま使いたいな、と思って、そこにマーカーを引くみたいなのが最近の流行りなんですね。
独特の例文と「ねっちょり」した記述
『一億人の英文法』は例文も面白いと渡辺さんは言います。人によっては「こんな場面ないだろ」と感じるような例文もあるそうです。
比較の項目にある例文が最近のお気に入りだと紹介します。
「私は本を読む方がディズニーランドに行くより面白い」みたいな。最高だな、みたいな。「なんで思いついた?」って。あとは「このケーキは見た目の半分ぐらいしか美味しくない」みたいな。「それもうどうなの?」みたいな。
さらに『一億人の英文法』全体の記述には、独特の「ねっちょり」した雰囲気があると表現します。
従来の英文法への思いがこもった一冊だと語り、その好き嫌いが分かれる部分を削ぎ落としたのが『FACTBOOK』だと位置づけます。
気分で使い分ける二冊
音読の一ヶ月間は、この二冊を基本的に使い分けていたそうです。同じ先生の本を別々にやる必要はないのでは、と自ら疑問を挟みつつ、その日の気分で選んでいたと言います。
今日は暑苦しく大西節を聞きたいなっていう時は一億人の英文法。今日疲れてるから、サッと喉越しいいやつを読みたいなって時はFACTBOOK。そんな風に使い分ける人はあんまりいないと思うんですけど。
四月半ばから大学で講師を始めるとテンションが上がり、暑苦しくなってくると言います。そのタイミングで『一億人の英文法』を読み込んでいるそうです。
付箋の色も分けていて、黄色はまだ消化しきれていない部分に貼っているとのことです。
『一億人の英文法』には「ウルトラアドバンスト」というレベルの高いコラムがあり、そこには例文をまだ自力で作れないものも残っていると明かします。
someの高等テクニックという発見
具体例として、渡辺さんは「someの高等テクニック」というウルトラアドバンストを挙げます。
someは「いくつかの」「何人かの」と覚えて止まりがちですが、ここには使いどころが二つ示されているそうです。
「あの男とね」と関心を持たずぼかす。例として「女房はイタリアから来たどっかの男と駆け落ちした」で some guy を使う
情報源をあえてぼかす。「どっかのやつが教えてくれた」を some guy told me about that のように表現する
どっかの男という時にsome guyっていう。言えないですよね。でも言えたら自分の表現の幅が広がりますよね。あと言いたくない場合、どこでこのネタ手に入れたんだ、というのを、どっかのやつが教えてくれたんだよ、とぼかしたい時にsome guy told me about that みたいに使えると。
こういう例文がまだまだ作れないと気づくからこそ、読み込む価値があると渡辺さんは話します。
時間をかけて落とし込む英文法書
渡辺さんは、英文法書とは著者が長い間考えてきた英語の見方を一冊にまとめたものだと捉えています。
大西先生が何十年も英語と向き合って出した一冊を、十五年や二十年で完全に習得できるわけがない、と語ります。
十五年とか二十年で習得できないよね。まだまだ完全にはね。だから時間をかけてやっていく必要はあるんだろうなと思います。
ずっと文法書を読むのではなく、例文をスムーズに言えるかを自分に問いながら進めるのがよいとしています。
一度で全部は救いきれないので、折に触れて読み返し、そのつど自分の中に落とし込んでいく必要があると話します。
なぜ『FACTBOOK』は無印がいいのか
ここから話は『FACTBOOK』へ移ります。最新版はThird Editionで、動画やリーディングのコラムもついてお得だと渡辺さんは認めます。
それでも、これから英語をやる人や大西メソッドを学びたい人には、初版の無印を勧めると大胆に言います。
理由の一つは分量です。初版が一番分厚く、版を重ねるほど紙質の影響で薄くなっているものの、ページ数はむしろ増えていると説明します。
初版は上下左右の余白が多く、文字の敷き詰め具合がゆるいのが読みやすさにつながっていると言います。
『一億人の英文法』は説明が長く、渡辺さん自身は好きですが、くどく感じる人もいます。それを極限まで削ぎ落とし「高校生でも読める本」にしたのが無印だと位置づけます。
版を重ねるほどコラムなどが足されて内容は充実しますが、最も読みやすいのは初版だというのが渡辺さんの見立てです。ただしあくまで本人の予測で公式ではないと断っています。
通読で気づくこと、そして今後
この一連の発見は、Xにあった「基本英文を極める」というハッシュタグに乗って読み直したのがきっかけだったそうです。
分かっているつもりの英文法ほど通読する機会がなくなりますが、読み直すと新しい発見があると渡辺さんは言います。
普段はラジオ英会話を聞きながら、その項目が『一億人の英文法』や『FACTBOOK』でどう説明されているかを調べているそうです。
そういうのが頭の中に整理されていくと、割と英語って楽になるなっていうことを思ったりした。
大西メソッドを深く掘り下げるのが最近の楽しみだと語り、今後も続けていきたいと締めくくりました。
まとめ
『一億人の英文法』は独特の説明と例文が魅力で、十五年読んでも新しい発見がある一冊です。一方で、その暑苦しさを削ぎ落とした『FACTBOOK』、特に初版の無印が最も万人受けするというのが渡辺さんの結論でした。
- 大西先生の説明は、to不定詞や仮定法などをシンプルな感覚でひとくくりにする点が魅力
- 『一億人の英文法』には独特の例文や「ねっちょり」した記述があり、好き嫌いが分かれる
- someの高等テクニックのように、長く読んでもまだ落とし込めない項目が残っている
- 万人受けするのは『FACTBOOK』で、最も読みやすいのは余白の多い初版の無印
- 分かっているつもりの文法書も通読すると発見があり、時間をかけて落とし込む価値がある
