テーマは「暗唱はなぜ求められるのか」
この回のメインテーマは「ラジオ英会話はなぜ暗唱を求めるのか」です。渡邉さんは2018年からこの番組を聴き続けてきたと話します。
番組では音読・暗唱がくり返し勧められます。これはラジオ英会話に限らず、英語学習でよく言われることでもあります。
収録時点の8月号は「便利なフレーズ」がテーマでした。フレーズを扱う号なので、覚えてしまう必要があると渡邉さんは説明します。
フレーズは取り替えがきかない
渡邉さんはまず、フレーズは基本的に取り替えられないと指摘します。
例として「よかったね」を表す“Good for you”を挙げます。onを使って“Good on you”とも言えますが、それ以外の言い換えは難しいと話します。
“Great for you”って、まあ通じるんでしょうけど、あんまり聞かない。つまり“Good for you”“Good on you”で一つのフレーズになっているわけです。
だからこそ覚えていないと使えない、と渡邉さんは言います。この点で、フレーズはラジオ英会話が求める音読・暗唱にぴったりだと話します。
そのまま使わない英文まで覚える理由
ラジオ英会話では、フレーズだけでなく、普段の会話文やキーセンテンス、それにまつわる例文も覚えるよう言われます。
「覚えてもそのまま使わない」と思うかもしれない、と渡邉さんは前置きします。
ただ、扱われる英文は日常や仕事で使う内容を英語にしたものが多く、そのまま使える短い文もたくさんあると話します。
仮にそのまま使わなくても、覚えた英文が自分の中に残っていれば、主語や目的語だけ入れ替えてすっと出せる、というのが理由です。
覚えた英文の骨組みみたいなものを使ってアウトプットすれば楽になるっていうわけなんですね。
会話中に「作文」している時間はない
渡邉さんは、会話の最中に主語や動詞、変化形を一つずつ考えて作文している暇はない、と強調します。
日本語で話すときも、形を決めてから話しているわけではないはずだ、と例を挙げます。英語も本来は同じだと言います。
ただし英語は外国語なので、つい作文のように頭を動かしてしまいがちです。特に会話ではその時間がないと話します。
書く場面なら推敲や修正ができます。一方で会話は語順通り、文の形通りに発信していくため、作っている時間がないというわけです。
だからこそ、もうできるだけ頭の中に入れておいて、変えるべきところだけ最低限変えて口にしてあげるっていうのが必要だよと。
番組やテキストでも「この文、覚えていましたか」「すっと出てきましたよね」と問われることがあると渡邉さんは言います。つまり暗唱まで仕上げておかないと使い物にならない、と受け止めています。
講師自身も抵抗していた
渡邉さんも最初は音読・暗唱に抵抗があったと明かします。覚えてもそのまま使わないし、調整も必要だから、という理由でした。
それでも、何も覚えていない状態だと本当に一から組み立てることになる、と話します。軸になるものがあれば多少はマシになるというわけです。
日本語をスムーズに話せるのも、これまで聞いて読んで話してきた「型」が入っているからだと渡邉さんは考えます。その型が英文そのものだと言います。
TOEIC指導でも暗唱を勧める理由
渡邉さんはここで自身の指導の話に入ります。大西先生が音読・暗唱を勧めていて、当初はTOEICには不要かと思っていたそうです。
しかし頭に英文が入っていると、TOEICでも聞く・読むスピードが上がると気づいたと言います。知っている英文に似た形はスムーズに読めるからです。
たくさん覚えましょう。たくさん英文を頭の中に入れましょう。そうすることで頭の余裕、リソースみたいなのが生まれるから。
音読・暗唱で土台となる英文ができれば、頭の中で英語を組み立てる労力が圧倒的に減ると渡邉さんは説明します。理由を意識しながら取り組むと、納得感を持って続けやすいと話します。
覚えても忘れる、だから繰り返す
最後に渡邉さんは、覚えても忘れるものだと伝えます。5分前に覚えた英文でも、その後すぐに言えないことがあると自分の例を挙げます。
僕は普通の人より英語をたくさんやってきましたよ。一般の人より英語力が高いと言えるはずです。でもこんな感じなんですね。
だから最近英語を始めた人ほど、忘れる確率は高いと考えられます。渡邉さんは、忘れては覚え、また忘れては覚えるくり返しが大切だと言います。
忘れるのは仕方ないと知っておけば、「なんて自分はできないんだ」と責めずに済む、と締めくくります。
まとめ
渡邉さんは、暗唱を求める理由を「会話で作文している時間がないから」だと語りました。覚えた英文を土台にすれば、組み立てる労力が減り、TOEICのような試験でも役立つと言います。忘れるのは前提として、くり返し取り組む姿勢が勧められています。
- フレーズは取り替えがきかないので、覚えていないと使えない
- 会話では一から作文する時間がなく、頭に入れた英文を最低限だけ変えて出す
- そのまま使わない英文も、骨組みとして残ればアウトプットが楽になる
- 暗唱は英文を読む・聞くスピードも上げ、頭のリソースに余裕を生む
- 覚えても忘れるのは当然なので、責めずにくり返すことが大切
