偏差値シャワーから優しさドーパミンへ
収録はプラグインというシェアスペースで行われました。冒頭は、おしょうが手書きの文字が苦手で、書かなければならない時はパートナーの「むっちゃん」に頼っているという話からスタート。そこから「偏差値」を持ち出して盛り上がるおしょうに、清水さんが「最も好感度の下がる言葉」とツッコむ場面もありました。
おしょうはその流れで、「偏差値は卒業します」と宣言。代わりに掲げたのが「優しさドーパミン」という新しい行動基準です。相手に優しくして喜んでもらえた時に出るドーパミンの量で、行動を決めていくという考え方です。
優しさドーパミンで行きます。ドーパミンとセロトニンの両輪で回していく。
この話は、コミュニケーションが「体から始まる」という共通認識につながります。清水さんは、やりたい気持ちが先ではなく、まず体を動かすと気持ちがついてくる、という本の内容に共感を寄せました。おしょうも「メンタルなんてほぼ体からじゃん」と応じ、コンパで場を温める時にまず表情筋を緩めるところから始める、という以前の話とも重なっていきます。
なぜ広報はひとりでうまくいかなかったのか
今回のテーマの中心は、清水さんがトネリライナーノーツに参画した際、おしょうから読むよう勧められた一冊の本『ひとり広報の戦略書』です。話はまず、おしょう自身がなぜ広報を人に頼むことにしたのか、という経緯から始まります。
おしょうはもともと広報=PR(パブリックリレーションズ)を自分でやろうとしていました。本を読み、動画も見て学んだものの、結果はうまくいかなかったといいます。その理由を振り返ると、大きく2つの壁にぶつかっていました。
1つ目は、コミュニケーションの壁です。PRパーソンにとってコミュニケーションは何より大事なのに、おしょうは「飲んでいる時しかコミュニケーションできない」と自認します。2つ目は、社会を見る目です。トレンドや世の中の動きを読む力が広報には必要とされますが、おしょうは小説で育った人間で社会情勢を追うのが苦手だと語ります。
PRは人との関係構築が要。しかし「飲んでいる時しか話せない」という苦手意識があった。
トレンドや世の中の動きを読む力が必要。だが社会情勢を追うのは苦手だった。
そこでおしょうが白羽の矢を立てたのが清水さんでした。地域のワークショップなどに実際に足を運び、街の流れを肌で知っている点を高く評価しています。清水さん自身は「狭い範囲ではありますけど」と控えめですが、興味関心のある場所へ行き、聞きに行く姿勢を持っています。おしょうはそれこそが大事だと語ります。
地域の中をたくさん動いて、どういう流れがあるのかを、足を使って知るみたいな。
憧れの著者へ送った取材依頼のラブレター
今回の目玉は、清水さんが『ひとり広報の戦略書』の著者・小野あかねさんへ、トネリライナーノーツとして送った取材依頼メールです。清水さんは本もラジオも読み込み、憧れを募らせた末に、何度も書き直して昨日送ったばかりだと明かします。
取材依頼メールでは、まず一読者として本への思いが語られます。「私の手元でボロボロになっています。付箋が何枚も貼られ、いつもカバンの中に入っている一冊です」と、駆け出しの広報として何度も膝を打った体験を率直に伝えていました。
さらに、著者がnoteで書いていた「情報の受け手側を突き動かすところまでを地続きで考え、実行することが広報の仕事だ」という言葉が印象に残っていると引用。情報を出すこと自体を目的にせず、その先にいる人の行動まで想像する、という視点を胸に刻んで仕事に向き合っていると綴っています。
依頼の核心は、「なぜ小野さんでなければならないのか」という理由づけです。宮崎県への移住後に地域で広報に取り組み、「広報って何?」という地点から出発する人たちに言葉を届けてきた著者だからこそ、足立区・荒川区の街の人たちにも必ず伝わる言葉を持っている、と清水さんは確信を綴りました。そして「大きな会社でなくても、予算がなくても、広報は自分の言葉でできる」という考え方を街の人へ届けたい、と依頼を締めくくっています。
読み終えると、おしょうは「スタンディングオベーション」「舎人ライナーノーツの歴史に残るね」と絶賛。取材依頼といえば飲んでいる時に「取材いいっすか?」で終わりがちな自分のスタイルとの落差に驚きつつ、思いがまっすぐ伝わってきたと語りました。
普通に、自分が著書を出してこれが来たら嬉しいけどな。読んでくれるよ。
『ひとり広報の戦略書』が地域にとって特別な理由
おしょうは、この本が地域の人にとって特別な意味を持つ理由を語ります。広報の本の多くは大企業の広報担当者向けのノウハウ書で、地域でローカルに活動する人が実践できる形では書かれていない、というのです。
その点、小野さんの本は「地域の人一人一人がこの視点で動いたら社会が変わるんじゃないか」と思えるほど、実践的で身近な内容になっていると評価します。宮崎県の実例が「よくある地域の話だよね」というところから出発している点が、まさにローカルメディアの現場と重なります。
清水さんには、この本にまつわる小さな“謝罪”もありました。最初に一度読んだ時はフィットせず、「他の本も探します」と伝えてしまったというのです。しかし2周目に読み込むと、実際に自分がプレスリリースを書き、動き出したタイミングで、内容がめちゃくちゃ参考になったといいます。
広報を始めたばかりの1周目。まだ実感が伴わず、内容がフィットしなかった。
実際にプレスリリースを書き、自分が動き出した後の2周目。めちゃくちゃ参考になった。
この体験から清水さんは、本をそのまま地域の人に渡して実践してもらうのは難しくても、トネリライナーノーツとして違う伝え方で地域の人へ届けられるのではないか、という展望を語りました。今回の取材依頼は、その第一歩でもあります。
期待しすぎないで待つ、という心構え
取材依頼のメールを送ったあと、清水さんはおしょうにスクショを送りました。返ってきた言葉は「期待しすぎないで待ってよ」。人に告白する時も、仕事でオファーする時も、好きで期待が大きいほど、断られた時に辛いという“人間の性”への戒めです。
好きであればあるほど、期待すればするほど、ダメだった時辛いじゃないですか。
わかる。俺も、表紙をこの人って言ってるのを断られたらどうしようってめっちゃ思ってるけど。
だからこそ清水さんは、この回で「茶化してもらおう」と考えていました。渾身のラブレターだけに、少し痛手を和らげたいという心理です。とはいえおしょうは「もう茶化せないよ、あんなに」と、思いのこもった文章を前に真面目に受け止めていました。
ちなみに清水さんがラジオでメールを読み上げたのには“下心”もあるとのこと。メールが読まれなかった時のために、電波を使って全方位から届けたい、という狙いです。番組後半では、おしょうがパートナーのむっちゃんを雑誌『ブルータス』や『ポパイ』に出したい、という夢を語り、清水さんが「広報として独り立ちした実績になる」と乗せられる場面も。真面目な話と軽妙なやり取りが交互に続きました。
まとめ
今回の回は、広報という仕事の本質が、清水さんの取材依頼メールという具体的な形で立ち現れた回でした。ノウハウそのものより、「なぜあなたに頼むのか」という思いを、相手の背景まで踏まえて言葉にすることの力が伝わってきます。
同時に、「期待しすぎないで待つ」という心構えも印象的でした。好きだからこそ全力で伝え、でも結果には執着しすぎない。その距離感は、広報に限らず、人と関係を育てるあらゆる場面に通じる“モテの本質”と言えそうです。届くことを願って、まっすぐ思いを綴る。その姿勢こそが、この回の芯にありました。
- おしょうは「偏差値」ではなく「優しさドーパミン」を行動基準に。コミュニケーションはまず体から始まるという考えを大切にしている。
- おしょうがひとりで広報に挑んでうまくいかなかったのは、コミュニケーションと社会を見る目という2つの壁があったため。だからこそ清水さんに広報を託した。
- 清水さんは憧れの著者・小野あかねさんへ取材依頼のメールを送付。本への率直な思いと「なぜこの人でなければならないか」を丁寧に綴った。
- 『ひとり広報の戦略書』は、大企業向けが多い広報書の中で、地域の人が実践できる稀有な一冊として評価されている。
- 「好きなほど期待すると辛い」からこそ、全力で伝えつつ結果には執着しすぎない。その距離感が“モテの本質”に通じる。
