ライフコーチつんさんの自己紹介と「学びと悩みのハイブリッド」
第2回は、つんさんの自己紹介から始まります。マレーシアで妻と息子との三人家族で暮らし、オンラインライフコーチをしていると話されています。
つんさんは、みやちゃんとの担当分野の違いをこう整理します。学校の先生であり研究者のみやちゃんは「学び」の世界にいて、自分は「悩み」に軸足を置いていると。
そのうえで、悩みの解決には悩みだけを見ていてもたどり着けない、と話されています。
悩みの解決は悩みの解決だけを考えていても全くできないですよ。やっぱりそこには、視野を広げるという意味での学びが必要かなと。インプットはもうすごい皆さんたくさんしてると思うんだけど、そのインプットが視野を広げる効果を発揮できてないかなと思ったりする。
インプットは足りている。けれど、それが視野を広げるほうに働いていない。そこで必要になるのが「研究」の姿勢だ、というのがこの回の入り口です。
「勉強」と「研究」は何が違うのか
つんさんが、勉強と研究の違いについてみやちゃんに問いかけます。
みやちゃんは、勉強と研究ってどんなふうに感じますか?
勉強は、すでにある課題を記憶したり理解したりするもの。研究は、そこにない知識を作ることがゴールで、どこを見てもわからないことを試行錯誤しながら新しい知識を構築していくもの、という違いだと話されています。
みやちゃんは、研究をこう説明します。答えを追うのではなく、自分で思考を巡らせる営みだと。
研究は、ゴールがあるものを学ぶというよりは、そこにない知識を作るっていうところがゴールにあって。何かをインプットするというよりも、自分で思考を巡らせて、ああでもないこうでもないみたいな、試行錯誤して、新しい今までになかった知識を構築していく感じかなって。
すでにある課題や答えを記憶し、理解する。調べれば見つかる知識をインプットする
どこを見てもわからないことを、試行錯誤しながら自分で考え、新しい知識を作り出す
つんさんは、AIの発展で勉強はしやすくなった一方、これからの鍵になるのは研究のほうだと考えていると話されています。
答えを探しているうちは、視野は広がらない
多くの人は、悩みを解決しようとするとき「これってどうすればうまくいくんだろう」と調べます。それは答えがある前提の勉強に近い、とつんさんは指摘します。
そして、答えを探している間は視野が広がらない、と続けます。
答えがあると思って探してるうちは、実は視野は広がらないのね。どっちかというと収束していくのよ。関係なさそうな話を外していって、関係ありそうなことにグーッと集まっていって、これでうまくいくぞみたいなことを探そうというのが、悩んでる人の勉強に近いと思うのね。
そこで必要になるのが、新しい観点を生み出す研究の視点です。ただ、これが苦手な人は多いかもしれない、とつんさんは話します。
その背景には、教育の影響もあるのではないかと二人は振り返ります。
詰め込み世代なので、むしろ答えを覚えろと。解き方やプロセスよりも大量の情報を暗記して、なんでそうなったかはもうええと。記号と文字を覚えましょうみたいなことが結構多かったし。正解があった時代とも言える。
こうすればうまくいく、という正解がシンプルにあった時代。けれど今は、AIの登場もあって変化が速くなり、先人の作ったロールモデルを追うだけでは通用しなくなってきた、とみやちゃんは話されています。
小学生のプレゼンで大汗をかいた話
つんさんは、マレーシアのインターナショナルスクールに通う11歳の息子の話を持ち出します。そこでは探究型の学習が多く、代替エネルギーや環境問題について研究して発表する、といった課題が出るそうです。
発表会を見に行ったつんさんは、その内容に驚いたと話します。
どのブースを見ていても、本当にこれが小学生なのかなっていうぐらい。しかも英語だから、僕には半分ぐらい意味がわからなかった。で、最後クイズを出してくれるんだけど、「これについて論じてください」みたいな問題を出してきよるのね。こっち汗だく。
クイズと言われれば、答えを選ぶものというイメージがあります。けれど出てきたのは、自分の考えを書かせる問題でした。
え、これ今この英語のプレゼン一回聞いただけで僕の考えを書くの?みたいな。大汗かいて、グッドだけ書いて帰ってきたりするんだけど。
子供たちは時代に適応した学びを進めていく。一方で、大人が今から学び直す機会はなかなかない、というのがつんさんの問題意識です。
考える力は、考えることでしか身につかない
話は「考える力」の身につけ方に移ります。多くの人は考える力をつける本を読みがちだけれど、と、つんさんは自身の感覚を語ります。
考える力って、考えることで身につくんかなと思うのね。
みやちゃんは、これを「ラーニングバイドゥイング」という言葉で受けます。
つんさんは、会社員時代のエピソードも紹介します。部下に「考えてくれ」と頼んだところ、「考え方がわからない」と言われたそうです。
考え方をどうやって身につけたか、僕もわからないですみたいになって。その質問って、考え方に答えがあるような概念があるのかなと思ったのね。
つんさんは、考え方に答えはなく、百人いれば百通りだと話します。たまたまある考え方がその場面で最適な結果を生んだとしても、次も同じやり方でうまくいくとは限らない、と。
これは子育てでも似ている、とつんさんは続けます。「こうすればうまくいく」を、みんな探してしまうのだと。
「時間がない」と感じる本当の理由
現代人は忙しく、どうしても近道をしたくなる、とみやちゃんは話します。つんさんは、その「時間がない」という感覚を掘り下げます。
時間がないっていうのも面白い感覚で、なぜ時間がないと感じるかっていうと、これって相対的なもんな気がして。今ここにある時間に対して、求められるアウトプットがたくさんあると思ってるから、時間が足りないと思っちゃうような気がするのね。
つんさんによれば、それは「やること」というより「出すべき結果」が多いと感じているからだと言います。
子育てなら「こういう子にする」、仕事なら「売り上げを上げる」「契約を取る」。そうした成果にフォーカスすると、キャパを超えてしまうのではないか、と話されています。
そしてその背景には、子育ての正解、仕事の正解を語る人が多すぎることがあるのではないか、と指摘します。SNSでそうしたコンテンツが目に入りやすいことも一因かもしれない、とみやちゃんも応じます。
自分で考えて、誰が言ったわけでもないけど、自分がこう思うっていうのを、もうちょっと大きい声で言っていいんじゃないかなと思うのね。合ってますかね?って聞かれることがあるんだけど、合ってても間違っててもないし、あなたがそう考えたことでしょっていうふうに思うのね。
正解を求める気持ちと、「不安とお友達」でいること
みやちゃんは、学生も「例」を強く求めると話します。課題を出すと、以前の良い論文の例をほしがる。自分で考えるより、まず先を示してもらってこそたどり着ける、というタイプの人が多いと感じているそうです。
学校では、先生も効率よく学んでほしいから例を出す。けれど、と、みやちゃんは私生活や子育てに話を広げます。
子育ての学校なんて誰も行ったことはなくて。SNSの発信を例として捉えてしまうと、シェフが作ったんですか?みたいなお弁当の写真が一例として飛び交っていて。それが例だと思ってしまうと、そこへたどり着けなかった時に、やっぱ心が折れてしまうというか。
つんさんは、例を求めるのは不安を解消したいからだと受けます。間違えたくないという不安を減らすために、模範解答を探したくなるのだと。
そのうえで、つんさんはリスナーに向けてこう呼びかけます。
右でも左でもない真ん中を漂うのは不安なもの。けれど、その不安を抱えられる力があるからこそ、新しいことを生み出すまでの時間を過ごせる、とつんさんは話します。
不安を早く解消しないとと思うと、これ正しいレシピあった、この通り作ればいいのねと感じて安心はするんだけど、不安がまたどうせ生まれてくる。どうしたって子育てだって本質的なとこに行ったら、答えが見つかんないわけよね。
平均的な人間なんて、実は一人もいない
みやちゃんは、心理学者の立場から重要な視点を提示します。心理学の知見が、SNSで「うまくやる方法」としてねじ込まれることは多いけれど、と前置きしたうえで、こう話します。
心理学の知見って、自分たちの生活の中でそのまま活かせることって、多分一パーセントとかしかなくて。そのセオリーは、何千人、何万人のデータを基に平均的な値をとって、平均的な人たちは多分こうだよねっていうことを基に作られてるものだから。
何万人の平均から作られたセオリーを、目の前の子供一人に当てはめようとしても、その子が平均値とは限りません。むしろ、と、みやちゃんは言い切ります。
大切なのは、セオリーをそのまま当てはめることではなく、それを知ったうえで、自分の子が平均からどこがどれくらいずれているのかを考えることだ、とみやちゃんは話します。
ずれを埋めるのではなく、困っていることがあるならどうサポートすればその子が幸せになれるかを考え、自分なりの答えや環境を示す。そこがゴールだと。
つんさんは、研究データ自体も母集団や国によって大きく変わると受けます。マレーシアで育つ日本人の両親を持つ子に、その研究は本当に当てはまるのか、と。
そして、海外に住む自分たちだけが特別なのではない、と話を広げます。
実は日本で暮らす親子それぞれも、一般的な人というのは架空の存在で、多分一人もいないと思っていいんじゃないかな。ど真ん中の人って。全平均です、私。そんな人珍しいってなるから。
モヤモヤは、楽しむもの
エンディングでは、この番組の姿勢が語られます。お便りフォームに寄せられたモヤモヤに、明確な答えを出すのではなく、一緒にモヤモヤしていきたい、とつんさんは話します。
みやちゃんは、モヤモヤすることそのものを楽しんでいると言います。
研究者って基本二十四時間ずっとモヤモヤしてるんですけど、本当にずっとモヤモヤしてるんですよ。モヤモヤがモチベーションなんです。モヤモヤするから調べようみたいになるわけで。
モヤモヤには、早くスッキリさせたい、白黒つけたいというネガティブなイメージがあります。けれど研究者はずっとグレーの中にいる、とみやちゃんは話します。
白の方に近づいたり、黒の方に近づいたりしながら、結局グレーに収まって、一年経っても二年経っても、ようやくちょっとグレーの中にも光が見えるみたいな、そんなプロセスだと思うんで。でもそれをすごく楽しんでるんですよ、我々は。
つんさんも、答えの出る研究ばかりではないと補足します。調べてみると、15年、30年かかる研究もざらにある。だから、今日や今週、一年悩むことは当たり前だ、と。
悩みも「こんなことを学びたい」という声も、フォームに寄せてもらえれば一緒に勉強し、一緒にモヤモヤしていきたい、と番組を締めくくっています。
まとめ
この回は、正解を探す「勉強」から、答えのないモヤモヤを扱う「研究」へと、大人の学びの姿勢を問い直す対話でした。二人が共通して伝えていたのは、すぐに白黒つけようとせず、不安やグレーを抱えたまま自分で考え続けることの価値です。
- 勉強は答えを覚えること、研究は答えのないところで新しい知識を作ること
- 答えがあると思って探すうちは視野が収束し、広がらない
- 考える力は本を読むより、考えること自体で身につく
- 平均から作られたセオリーは、目の前の一人には当てはまらない。みんな外れ値
- モヤモヤは早く消すものではなく、モチベーションとして楽しむもの
