モチベーションは幻想かもしれない
みやちゃんは十年以上、モチベーションの研究をしてきたと話します。人のやる気や欲求にずっと興味があるそうです。
そのうえで、最近の心理学会ではある議論が起きていると切り出します。
そのモチベーションって、実は幻想なんじゃないかっていう議論が、最近この業界、心理学会でも言われていて。それについてお話ししたいなと。
つんさん自身も、やりたいことはあるのにモチベーションが湧かない状態にあると打ち明けます。
本当は英語でコーチングができたらいいなと思ってるんですよ。だけど、英語学習のモチベーションは一向に上がらないっていう、不思議な状況が生まれて。
みやちゃんも、産後に痩せたいと思いながら子どもが二歳になろうとしている、と自身の例を重ねます。
やる気が先か、成果が先か
多くの人が思い描くのは、まずやる気がみなぎり、そこから行動が起き、成果につながるという順番です。
だからこそ最初にやる気を作らなければと考え、それができずにくじけてしまう人が多いとみやちゃんは指摘します。
ところが最近は、その順番が逆かもしれないという説が出てきているそうです。
まず最初にできることが出てきて、そこから「あ、私はできるんだ、じゃあもっとやってみようかな」って。気づいたら、それがやる気や興味、モチベーションと呼ばれるものになってきているんじゃないかと。
つんさんはこれを「成果に引っ張られて、やる気が後から出てくるイメージ」と言い換えます。
やる気が先にあり、行動を経て成果につながる
先に「できた体験」があり、それが後からやる気になる
鶏が先か卵が先か
もっとも、やる気があるから成果が出るという流れも、それ自体は自然な話です。好きで関心があれば、たくさんやるからできるようになる、というのは筋が通っています。
同時に、何かができると楽しくなり、もっとやりたくなるという流れもあります。やる気と成果はぐるぐると相互に作用していると考えられます。
そうなると「そのサイクルはどっちが先に起きたのか」という、鶏が先か卵が先かの問題になります。
長期的な研究で二つの矢印の強さを比べると、成果からやる気へ向かう矢印の方が強かったとみやちゃんは説明します。
つんさんは、できることがない中でやる気だけを出そうとすると相当きつい、と受け止めます。
「楽しい」と「頑張る」は違う
つんさんは、やる気という言葉に「頑張る」「しんどいけど取り組む」というイメージを持っていると話します。
一方で、英語が楽しいと感じてやっているときは、やる気がなくてもできそうな気がするそうです。
楽しい中でやるから成果が出て、成果が出たらもっとやりたいって思う。それが多分モチベーションになって、また原動力になって。いいスパイラルが回っていくっていう。
問題は、楽しくないことをどうするかです。ここでみやちゃんは、好きでも興味がなくても、とりあえず「できた」という体験さえあれば後から好きになる可能性は十分にある、と応じます。
できてないと思い込む罠
つんさんは、マレーシアで毎日英語に触れているのに、できなかった場面ばかり覚えてしまうと言います。
通じなかった、言いたいことが言えなかった、単語がわからず理解できなかった。そうした失敗ばかりが頭に残り、楽しさが湧いてこないそうです。
象徴的なのが、家族でタクシーに乗ったときのエピソードです。
僕の(タクシーを)降りた時の感想は「今日も通じなかったな」なのよね。だけどカミさんは「めっちゃ喋れてたやん」って。客観的な評価と自己評価がまるで違うのね。
みやちゃんは、ここが重要なポイントだと言います。やる気につながる成果とは、あくまで自分が「できた」と感じられる体験だからです。
本当はできていても、自分の中で「できた体験」に落とし込めていなければ、やる気は生まれにくいと考えられます。逆に、傍から見て不十分でも本人が「自分にしてはできた」と思えれば、やる気はついてくるかもしれません。
ハードルの下げ方が難しい
つんさんは、ハードルを下げるのは有効かもしれないと言います。子どもに縄跳びを教えるとき、いきなり三十回ではなく一回、二回から、というのと同じ発想です。
ただし、下げすぎると別の問題が起きるとみやちゃんは指摘します。
自分でめちゃくちゃ下げてるって理解した上でやると、あんまりできたって思えない。だってハードル下げてるし、できるよねって思っちゃう。
理想は「できなさそうだけど、できそう」というラインだと二人は話します。簡単には超えられないけれど、手が届くくらいの高さです。
つんさんは、ここで「現実を見る」ことの大切さに気づきます。マレーシアに来る前後で、コミュニケーションが取れた体験は明らかに増えているはずだと言うのです。
勝手なイメージの中で「英語ペラペラの人はこんな感じ」っていう、現実ではないハードルを設けている気がするのよね。現実のハードルにちゃんと着地できると、上手にハードルが下げれるかもって。
みやちゃんも、それは「できた体験」につながりやすくなると同意します。
興味がないことを習慣化するには
話題は、そもそも興味も関心もないことをどうするかへ移ります。みやちゃんは、単位のために仕方なく授業に出る学生を例に挙げます。
嫌いなことを好きにさせるのはほぼ不可能だと言います。そこで有効になるのが習慣化です。
とりあえず何でもいいから習慣化、ルーティン化して、やる機会を増やす。何回も何回もやってたら、人って必ずどっかではできるようになるわけで。
学生であれば課題を出し、途中でくじけないようフィードバックやサポートの時間を作る、といった工夫が挙げられます。
ジムが三日坊主になる例では、毎週月曜のこの時間は絶対に行くと決め、インスタで全員に告知して引くに引けない状態を作る方法が語られます。
周りの力を借りるっていう感じやね。
みやちゃんは歯磨きを例に、習慣化の感覚を説明します。毎日続けているうちに、しないと気持ち悪くなる。得意でないことも同じように機会を増やせば、いつか「できた」瞬間が生まれると言います。
それを何個も積み重ねると、時間はかかっても、気づけば「意外と得意かも」と思えるようになるそうです。
ただし、つんさんは習慣化の難しさも正直に語ります。歯磨きは軽いから続くけれど、多くのことは歯磨きより重く、時間もかかると言うのです。
その「どうすればいいか」は次回のテーマになりそうだと二人は話し、この回を締めくくります。
まとめ
今回は「やる気が先か、成果が先か」という問いを軸に、モチベーションの正体を考えました。先に小さな「できた体験」を作ることが、やる気を後から連れてくる、という視点が語られています。
- 最近の心理学では、やる気より先に成果があり、それが後からやる気になるという説が注目されている
- 同じ場面でも、客観的な評価と自己評価はずれやすく、できていても「できた体験」に落とし込めないとやる気は生まれにくい
- ハードルは下げすぎると効果が薄く、「できなさそうだけどできそう」なラインが理想
- 現実離れしたイメージを手放し、現実のハードルに着地することが有効
- 興味がないことは習慣化で機会を増やし、周りの力も借りながら「できた」瞬間を積み重ねていく




