授業中にハマった「千円の知恵の輪」とは?
水野さんは高校生の頃、授業中にずっと知恵の輪をやっていたと切り出します。その知恵の輪とは、1個1000円ほどで売られていた立体の知恵の輪「キャストパズル」です。
本屋とかでさ、レジの横にこれ積んであってさ、いいなと思いつつ、ちょっと高えなと思って買えないっていうのがめっちゃありました。
堀元さんは気になりつつも一度も買ったことがありませんでした。水野さんのコレクションは20個弱あり、この日はその中から出来がいいと感じたものだけ、約10個を選んで持ってきたといいます。
最初に登場したのはレベル6段階中3の「キャストオーギア」です。立方体の箱から5本のトゲが出ていて、それを引き抜くだけというシンプルなパズルです。
めちゃくちゃ抜けそうで抜けない。
キャストオーギアは、箱から1本を抜こうと傾けると、逆側の刃が別の穴に刺さってしまう設計です。堀元さんは「この技術、パズルに使っちゃダメだって」と驚きを隠しません。
知恵の輪との違いと、オランダの鬼才オスカー
水野さんによると、キャストパズルは針金を引き抜く一般的な知恵の輪とは違い、どれだけ力を加えても抜けない金属製のパズルです。さらに、デザイン性にも富んでいるのが特徴だといいます。
キャストパズルには原案があり、考案者の名前が書かれていることもあります。キャストオーギアを作ったのは、オランダのパズル作家オスカーです。
キャストパズルを始める時、まずオスカーのものを買えっていう格言がやっぱりね、僕の中であります。
針金のようなものを引き抜く遊び
金属製で力では抜けず、デザイン性が高く、外した後に戻すまでが工程
物理的に抜けないはずの「キャストホース」に堀元さん苦戦
次に出てきたのは、古典的なパズルをキャストパズル化した「キャストホース」です。蹄鉄を模した形で、手錠のような部品の間に輪っかが挟まっています。
真ん中のさ、このはまってるやつの一番長い径が、それぞれ通さなきゃいけない上下のこのパーツの径より小さいから、どういう角度にしても通過しようがない。
キャストホースはレベル2で、水野さんは小学生でも解けると言います。部品が剛体で形を変えられないため、堀元さんは「先にここを通しておく」といった知恵の輪の定石が使えないと頭を抱えます。
水野さんは、ガチャガチャ触って偶然外すのは本質的ではないと話します。キャストパズルは外した後に戻すまでが1つの工程として想定されているからです。
なんとなく外れたけど戻せない。(それは)解いたうちに入んないんですね。
堀元さんは論理パズルは得意だが、空間把握を要するものは苦手だと打ち明けます。適当に言った推理が「めちゃめちゃ答えに近い」と言われたものの、最後はパスしました。
答えを見ても納得できない不思議さ
水野さんが実演すると、手錠部分をねじって通すだけでキャストホースの輪っかが外れました。堀元さんは目の前で外れても理屈がのみ込めません。
そうならんやろ。そうならんやろ。今物理法則無視したよ。ダメダメ。バグバグ。バグあるよ。
キャストホースは、パズル作家の芦ヶ原伸之 ── 日本のパズル作家。パズルの創作や紹介を多く手がけ、キャストパズルにも作品を残していますさんが古典パズルに改良と創作を加えた作品だと紹介されます。水野さんは、何度も触って構造を知ると幾何学の不思議さがわかると話します。
これさ、1000円ですよ。
水野さんは高校時代、理系ばかりの友人にパズルを貸して回し、「3人で1個ずつ買って回したら3倍楽しめる」と持ちかけて流行らせたそうです。小学生で将棋、中学生で麻雀を友達に広めたという話も出ました。
編集スタッフまで夢中になる大人のパズル
堀元さんは、キャストパズルをなめていたと認めます。収録中でも油断すると手が伸びてしまい、画面外では編集スタッフまでずっとカチャカチャ解いていたといいます。
ここはMOD4なんですけど、ここはMOD5だからそのズレを使うんすよみたいな。
物理専攻の編集スタッフは、聞かれてもいないのに数学的な解き方を語っていたそうです。堀元さんはその口ぶりを真似して紹介しています。
最高傑作「キャストマーブル」の美しい仕掛け
水野さんが最高傑作に挙げたのは、オスカーとブラムの共作「キャストマーブル」です。レベル4で、玉2個と台座2個の4パーツに分かれるシンプルな構造ですが、一見すると1つの動きしかしません。
ただね、必要な情報は出揃ってるんですよ。これ。
水野さんは、QuizKnockでふくらPが触らずに解けるかという企画で取り上げていたことも紹介し、外から観察するだけでも解ける人は解けると話します。
キャストパズルは現在「Huzzle ── キャストパズルの現行シリーズ名。玩具メーカーのハナヤマが販売しています」という名前に変わり、色味も親しみやすいものになっているため、買う時はその名前で探すとよいそうです。
キャストマーブルの解き方は、玉の斜めの線を台座の線に合わせ、玉と台座が連動して動く向きにそろえることです。表だけでなく裏も合っていないと動きません。
アイデアだけじゃなくて、ちゃんと構造としてエンジニアリングしないといけない。
水野さんは、力では外れず、本来の解法以外でも解けないように作る必要があると話します。
それをちゃんと技術的に問題のない形で市販されてる、そしてそれが1000円で買えるっていうのは、(奇跡)みたいなもんです、これ。
二人は、海外の村で目の前で外してみせれば神にも魔女にも思われそうだと笑い合いました。
知恵の輪のセンスがない水野さん
編集スタッフがレベル1のパズルを解けずに本気で落ち込む姿を見て、堀元さんは「大人がマジで悔しがるおもちゃ」だと感心します。
ところが水野さんは、実は絶望的に知恵の輪のセンスがないと告白します。数学的に構造を捉えるのではなく、ガチャガチャいじって解き、家で何度も戻しては構造を把握していたそうです。
その解ける瞬間の、「おー、いける」っていう喜びが好きなんでしょ。
水野さんはバッハの大フーガをモチーフにした「キャストバロック」も紹介しました。絡み合うメロディーをイメージした美しい形で、外れる瞬間の興奮がすごいといいます。
アンビグラムになった「キャストキーリング」
レベル2の「キャストキーリング」は、同じ形の2パーツを回しているうちに外れるタイプです。刻印は上下を返すと「キー」と「リング」が入れ替わります。
だから全く同じパーツでくるくる回してるうちに取れるものに名前がキーリングっていう風になってて、それをちゃんと[[アンビグラム::向きを変えると別の言葉として読めるように文字をデザインする手法]]にしている。
堀元さんは挑戦中、惜しい状態に戻ろうとしたら偶然解けてしまいます。
ガチャガチャやってたら取れたおじさんだ、俺もう。
その後は元に戻せなくなり、水野さんも手伝ったものの、どうやって戻ったかはわからないままでした。
ワーキングメモリは「言語」に偏っていた
堀元さんはここで新たな自己理解を得たと話します。一度曲がると元の場所がわからなくなる道のように、パズルも一度通すとどう変わったのか覚えていられないというのです。
メモリの割り当てが極端に言語っぽいとこに割り当てられてるだけで、図形っぽいところが本当に短期記憶ダメなんだっていうことが今わかった。
二人は、図形は苦手でも言葉で出される論理問題なら得意だと意気投合します。
水野さんが例に挙げたのは、正直者と嘘つきを見分ける質問です。「あなたは正直者ですか?と聞いたらはいと答えますか?」と尋ねれば、嘘つきは嘘を2回重ねるため、打ち消し合って本当の答えが返ってくるといいます。
内側の質問
「あなたは正直者ですか?」なら嘘つきは「はい」と答える
外側の質問
「はいと答えますか?」にも嘘をつき「いいえ」と答える
結果
嘘が打ち消し合い、嘘つきは「いいえ」、正直者は「はい」と答える
二人とも高校や大学の頃、論理パズルやパラドックスを集めた本を解き続けていたと振り返ります。堀元さんは「俺らに適正あるのそっちよ」と結論づけました。
最後は、「位相を変える」といった上級者風の言葉や、微分・三角関数といった数学用語をもっともらしく並べる冗談で締めくくられます。
北海道ローカルの「大根抜き」とは?
堀元さんは自分も小学生の頃、抜けるか抜けないかの遊びにハマっていたと話し始めます。それが北海道ローカルの遊び「大根抜き」です。
大根抜きでは、みんなが壁沿いに座って腕を組み、鬼が足を引っ張って引き抜きます。堀元さんは「非常に知的に高度なゲーム」と冗談めかして紹介します。
夢中になってやりすぎて肩脱臼するっていう。
ルールが緩いと、床の引っかかりに指をかけるズルが生まれます。やがて誰かが体育館横の金属の排水溝をつかめば無敵だと気づき、遊びの性質が変わってしまうそうです。
クラスメイトと腕を組み、自重で耐える絆の遊び
誰とも組まず排水溝をつかみ、脱臼するまで引っ張り合う
大体ね、このイノベーションが起こるのが小4ぐらいなんですよ。だから小5になったら大根抜き禁止になる。
ドロケイとポコペン、子どもの遊びの地域差
水野さんは大根抜きを聞いたことがなく、子どもの遊びには地域性があると話します。泥棒と警察に分かれる鬼ごっこの呼び方でも、「ドロケイ」「ケイドロ」をめぐって二人の認識が食い違いました。
堀元さんは、缶蹴りで缶を踏むときの「ポコペン」という掛け声を紹介します。『こち亀』で知ったとし、掛け声が一人歩きして、缶の代わりに電柱などを触る遊びになったのがポコペンだと説明しました。
プロジェクションサイエンスですね。
水野さんは、電柱に缶の役割を見立てるのは人間の認知能力の話だと言語学ラジオらしく受け止めています。
ブランコと跳び箱の骨折エピソード
水野さんは、ブランコを後ろ向きにこいで後ろへ飛び降りる遊びを真似し、頭から落ちて両手を骨折したそうです。
堀元さんは、高校の体育で跳び箱のウォーミングアップ中に手を変な場所について骨折した経験を語ります。大技ではなかったため、先生にも「今骨折したの?」という顔をされたといいます。
水野さんの中学には器械運動を徹底させる先生がいて、全員が跳び箱に熱中しました。骨折中の生徒が褒められたくて居残りで跳んでいたそうですが、腕か足かは水野さんも覚えておらず、堀元さんにつっこまれます。
北海道のスキー学習あるある
堀元さんによると、札幌の小学校では体育の時間を1か月分集め、丸一日スキー場で過ごすスキー学習があります。
はしゃいだ小学生はリフトからよく落ちますが、下が雪なので大ごとにならないといいます。担任の先生は落としたストックを回収するため、最初から下で待っているそうです。
アベレージ1スキー授業あたり3人ぐらい落ちてました。
林間コースでスピードを競い、木の手前のオレンジ色のネットを突き破る子も1回に4人ほどいたそうです。はぐれた子を先生が探しに行くのも定番で、二人は先生の苦労をしのびました。
コレクター水野さんの自慢と、幼少期の遊びの募集
締めくくりでは、編集スタッフがまだパズルを解き続けていることが明かされます。
水野さんは、バーコードを集めて応募した人の中から抽選で当たる「キャストメダリオン」を2個持っていると自慢しますが、限定品のはずがのちに普通に市販されたそうです。
堀元さんもミニ四駆のシャーシに穴を開けすぎて割った思い出を挙げ、リスナーに幼少期の遊びの思い出を募集して回を終えました。
まとめ
キャストパズルは力では外れず、デザインと精密な設計が詰まった大人向けのパズルです。初体験の堀元さんも夢中になる一方で、二人は自分たちが図形より言葉に強い思考のタイプだと再確認しました。
- キャストパズルは外した後に元へ戻すまでが1つの工程
- キャストマーブルやキャストホースは、観察と発想で物理的に不可能に見える状態を解く
- 堀元さんはワーキングメモリが言語寄りで、図形の短期記憶が弱いと自己分析した
- 北海道の大根抜きは、排水溝をつかむ攻略法の登場で小5には禁止されるのがあるある
- 子どもの遊びには呼び方やルールの地域差がある





