ティーポットを名乗るステータスコード418とは?
「うんちくエウレーカクイズ」は、答えを知ったあとに友達や家族に話したくなるうんちくを当てるクイズです。今回の出題役は放送作家のこしやまさんで、最初はジャンルを伏せたまま始まりました。
1問目の投稿者名「スコットランドの羊はみんな黒い」について、堀元さんは元ネタのジョークを紹介します。黒い羊を見た学者たちが順に「少なくとも1頭が黒い」「少なくとも1頭の羊の片側が黒い」と厳密さを競い合う、という話です。
HTTPステータスコード、例えば404 Not Foundなどの418には「I'm a teapot」という名前がついています。これはジョークとして作られたコードなのですが、どのような時に用いられるものかをお答えください。
水野さんはここで形式意味論 ── 言葉の意味を論理式や関数として形式的に扱う言語学の分野。文が真か偽かを、世界のあり方との関係で説明しようとしますの話を持ち出し、「I'm a teapot」を命題として分析し始めます。堀元さんからは「得意分野に持っていこうとしてる」とツッコミが入りました。
私はteapotなので応答できませんという時に使うステータスコードですよね。
だからサーバーがteapotだったら面白いなっていう(ジョークですよね)。
ステータスコード418の正体は、コーヒーポットの制御・監視・診断を行うためのプロトコルという体裁のジョークで、実際にこれを使ってコーヒーポットを開発した人もいたそうです。この問題で、今回のジャンルが「コーヒーおよび紅茶」だと明かされました。
コーヒーを一切飲まない水野さんは「苦くて飲めない」と言いますが、堀元さんからは「でもビールは好きですよね」と返されていました。
気象予報を外して吊し上げ?岩崎卓爾の逸話
2問目は、ゆる気象学のかわうそさんから寄せられた問題です。
気象庁のウェブページには国の省庁のページとしては非常に珍しい特徴があります。それはこの庁が抱える深刻な問題とも関わっているのですが、何でしょう。
考え始めた堀元さんは、最近Wikipediaで読んで衝撃を受けたという気象観測者の話を持ち出します。石垣島で気象観測を通じて台風を研究し、八重山地方の生物や民俗、歴史も研究した岩崎卓爾 ── 明治から昭和初期にかけて石垣島の測候所で働いた気象観測者。八重山の文化・生物研究でも知られますさんです。
堀元さんによれば、当時は気象予報の扱いがまだ理解されておらず、台風被害が出ると「外したじゃないか」と観測所に石を投げられたり、ひどい場合は縛られて吊し上げを食らったりしたそうです。
やっぱ昔ってだからさ、科学的な機関に勤務するってめっちゃリスキーだったんだなっていうのをこれ見て思いましたね。
ただ岩崎さんは人柄が良すぎて、最終的には島民から「みんなの親父」のように慕われたといいます。中央気象台から所長就任を打診されても「私はここが好きだから」と断った、という逸話も紹介されました。
クイズの推理はなかなか進みません。「職員ブログがある」「キリ番を踏み逃げ禁止」と、昔の個人サイトのような珍回答で脱線しながら、問題は気象庁という組織よりも国家の問題に近い、というところまで絞られていきます。
気象庁サイトに広告があった理由とは
突破口になったのは「政治的・経済的な問題か」「予算が関係あるか」という質問でした。答えはどちらも「はい」で、気象庁は予算が足りないという方向に絞られます。
寄付やクラウドファンディングは「惜しい」、企業から募っている、広告枠を売っている、までは合っているとわかり、残るは広告の媒体です。台風のネーミングライツ案は外れましたが、ここからアメリカのハリケーンに女性の名前がつく話へ脱線しました。
怖そうな名前にしたらトラウマになるし、優しそうな名前にしたらなめて被害増えちゃうし。どうしようもないね、なんかね。
最終的に水野さんが「ホームページに広告枠を設定して広告が見られるようになっていた」と答え、正解しました。国のサイトに広告があるという事実そのものが意外で、クイズになるのも納得の内容です。
こしやまさんの解説によると、気象庁の予算は「コーヒー予算」と呼ばれているそうです。600億円ほどの予算を国民の人数で割ると、1人あたりコーヒー1杯分ぐらいになるからです。
予算が少ないなか、気象庁はWebページの維持費ぐらいは稼ごうとGoogleアドセンス ── Googleが提供する広告配信サービス。サイトに枠を設けると、閲覧者や内容に合わせた広告が自動で表示されますの広告枠を設けました。ところが怪しいブランド品や、漫画のきわどいコマの切り抜き広告などが表示されてしまい、広告の掲載はわずか1日で終了したといいます。
予算不足
気象庁の予算は約600億円で「コーヒー予算」と呼ばれる
広告枠を設置
サイトの維持費を稼ごうとランダム表示の広告を導入
想定外の広告
怪しいブランド品やきわどい漫画広告が表示される
1日で閉鎖
その後は「広告枠」の表記だけが残っていたとされる
その後は広告枠という表記だけが残っていたとされますが、こしやまさんが調べた限りでは、今はその表記も見当たらないそうです。水野さんは「予算が少ないから頭を使って稼げと言われて頑張った結果なのだから、しょうがない」と気象庁に同情していました。
変な広告を売るのが好きだという堀元さんは、以前「2000円くれたら公園で叫んで宣伝する」という広告を出したことがあると明かします。代々木公園でプログラミング学習教材「プログラムービー」の名前を叫び続けたものの、説明する間に人が通り過ぎてしまい、広告効果は皆無だったそうです。
デカフェで抜いたカフェインはどこへ行く?
デカフェコーヒーは科学的にカフェインを取り除いたコーヒーなわけですが、デカフェコーヒーの生産時に抽出されたカフェインは捨てられずに、あることに利用されています。さて、カフェインが使用されているものとは何でしょう。
問題文の前置きでは、コーカソイド系の人はカフェインへの耐性が低いとされ、デカフェの需要が欧米で高いことも紹介されました。コーヒー好きの堀元さんは、デカフェについて調べたことがあるといい、カフェインの抜き方の変遷を説明します。
堀元さんの説明では、豆を水につける方法は旨味まで抜けてしまい、水以外の溶液につける方法でもカフェイン以外の成分が多少抜けてしまいます。そこで人類がたどり着いたのが超臨界二酸化炭素抽出法 ── 高温・高圧で液体と気体の区別がない「超臨界状態」にした二酸化炭素を溶媒として使い、特定の成分を取り出す方法だといいます。
水につける
カフェインと一緒に旨味も抜けてしまう
水以外の溶液
旨味は残りやすいが、カフェイン以外も多少抜ける
超臨界二酸化炭素
カフェインだけを取り除けるとされる
なんかすごくない?カフェイン取り除くためにそんな頑張ってんの人類。
堀元さんの「カフェインのサプリメント」は近接ジャンルで惜しく、水野さんの「エナジードリンクに入れられている」が正解でした。堀元さんは「だいぶ近いところに投げたのに」と悔しがります。
問題の解説によると、デカフェコーヒーの生産過程で抽出されたカフェインの多くは、エナジードリンクに添加するカフェインとして流用されています。レッドブルには1缶80ミリグラム程度のカフェインが含まれ、全世界で年間75億缶販売されているため、相当な量のカフェインが使われていることになります。
補足として、アメリカではエナジードリンクにアルコールを入れた商品が一時期売られていたものの、一気飲みで亡くなる大学生が続出して販売停止になったことも紹介されました。水野さんは、管理栄養士はエナジードリンクとお酒を割ることを勧めておらず、別々に飲むよう呼びかけていると話しています。
イギリス軍の戦車に必ず積まれているもの
イギリス軍の戦車や装甲車は他国軍の戦車などにはないあるものが積まれている。何でしょう。
「紅茶かコーヒー」とジャンルからメタ読みした回答は外れます。ここで堀元さんは、フランス軍が食事を大事にしすぎて行軍が遅れた話や、マリー・アントワネットが逃亡中に豪華な食事を楽しんでいたヴァレンヌ逃亡事件 ── 1791年、フランス国王ルイ16世一家が国外脱出を図り、途中のヴァレンヌで捕らえられた事件の話を思い出します。
質問を重ねるうちに、答えは「紅茶を入れるために使う」「ポットの役割をする」ものだと判明します。正解は電気式の湯沸かし器でした。
解説によると、第二次世界大戦中、イギリス軍は紅茶を作ったり食料を温めたりするために戦車の外に出て焚き火をしていて、そこを敵に狙われることが非常に多かったそうです。そこで防御力のある車内で紅茶を作れるよう、湯沸かし器が標準装備されました。
紅茶を作るため戦車の外で焚き火をし、敵に狙われる
湯沸かし器を標準装備し、車内で紅茶を作れるようにする
堀元さんは「命の危険があってでも紅茶を飲みたいんだね」と国民的な飲料の強さに感心します。一方でロンドンにいたことがあるという話も出て、昼からパブで酒を飲む人ばかりで、ティータイムという雰囲気ではなかったという感想も語られました。
そこから堀元さんは、慶應のSFCの図書館にあるグループワーク室で、学生が炊飯器を持ち込んで米を炊き始めた思い出を披露します。
外に出て行って危ない目に遭うよりは、図書館の中に引きこもって炊飯器で米炊いてる方がいいってことですね。
タピオカ増量キャンペーンが多いのはなぜ?
タピオカミルクティー屋でタピオカ増量キャンペーンを行う店が多い背景は何?
最初の「茹でたタピオカは傷みやすいから、まとめて出したほうが合理的」という回答は外れでした。続けて水野さんが挙げた原価の話が、そのまま正解になります。
正解は、ミルクティーよりもタピオカのほうが原価が安いという点です。同じ価格でもタピオカを増やせばミルクティーを減らせるため、原価率が下がって店は儲かり、客はタピオカがたくさん飲めて喜ぶという仕組みです。
水野さんは、麺は安く油の部分にお金がかかる油そばの例も挙げていました。あっさり正解した水野さんに、堀元さんは「ぬるっと正解するのやめろ」とツッコみ、スコアは3対1になります。
ルノアールの主な収益源は立ち退き料?
タピオカの問題をきっかけに、二人は「商売の問題を出してほしい」と盛り上がり、堀元さんがその場で出題します。
ルノアールの主な収益源。
喫茶店チェーンのルノアール ── 首都圏を中心に展開する老舗の喫茶店チェーン「喫茶室ルノアール」。ゆったりした席と落ち着いた雰囲気で知られますについて、水野さんは不動産業を挙げます。広く言えば合っているものの、テナント料で稼ぐイオンのようなモデルとは違う、というのが堀元さんの説明です。
堀元さんのヒントは、ルノアールはレトロな店なので古いビルにばかり出店している、というものでした。水野さんは「家賃が安いまま借り続けている」と自信満々に指を鳴らしますが、これは全く違いました。
正解は、古いビルが取り壊されるときに受け取る立ち退き料です。堀元さんによると、ルノアールは立ち退きに慣れているため、法務が関連法に詳しく、正しく立ち退き料を取れると聞いたそうです。
小売よりも、テナントに高く貸し出す賃料で儲ける
古いビルに入居し、取り壊し時の立ち退き料が収益になる
堀元さんは、丸山不動産事務所の記事で決算書を読んだ分析を紹介しました。特別利益の「受取補償金」に高い金額が計上され、利益の3分の1を占めているといいます。水野さんは「主力事業やな」と反応していました。
ロイヤルホストはホテルと機内食でも稼いでいる?
続いて水野さんが、上場企業の飲食店には意外な収益構造を持つところが多いとして、ロイヤルホストの問題を出します。ロイヤルホスト以外の事業で、同程度の利益を稼ぐものがあるというのです。
水野さんによると、ロイヤルホールディングスという持株会社の1事業がフードサービスで、それ以外の事業があります。堀元さんが「ホテルとかじゃない?」と答えて正解しました。
ロイヤルホールディングスはリッチモンドホテルも運営していて、ホテル事業と外食事業の経常利益がほぼ同程度だと水野さんは説明します。さらに空港内レストランや機内食を手がけるコントラクト事業が、その半分ぐらいの経常利益を稼いでいるそうです。
| 事業 | 内容 | 経常利益の規模 |
|---|---|---|
| 外食事業 | ロイヤルホストなどの飲食店 | ホテル事業とほぼ同程度 |
| ホテル事業 | リッチモンドホテルの運営 | 外食事業とほぼ同程度 |
| コントラクト事業 | 空港内のレストラン、機内食 | その半分ぐらい |
その結果、コロナ禍で飛行機が飛ばず人がホテルに行かなくなると、ロイヤルホールディングスの株価は一気に下がりました。水野さんは、事業ポートフォリオの偏りを示すケーススタディとしてよく取り上げられると話しています。
僕が倒れると0円になるので、全く保険かけられてないですね。
堀元さん自身の事業ポートフォリオはYouTubeと文筆が中心で、上のように自虐していました。最後に二人は、自分が儲けたいわけではなく「意外な儲け話」を知るのが好きだと語ります。
堀元さんは、時計メーカーの人に「ポスターを貼らせてもらえれば5000円」と言われた自営業者の話のような、しょぼくて不思議な儲け話も好きだといい、リスナーに実体験の投稿を呼びかけて回を締めました。
まとめ
紅茶・コーヒー編のクイズでしたが、気象庁の「コーヒー予算」やタピオカの原価、ルノアールの立ち退き料など、飲み物の周りに潜むお金の話が次々と出てくる回でした。
- 気象庁は予算不足からWebサイトに広告枠を設けたが、怪しい広告が表示され1日で終了したとされる
- デカフェで抜いたカフェインは、エナジードリンクに流用されている
- イギリス軍の戦車には、車外で焚き火をして狙われないよう湯沸かし器が積まれている
- タピオカ増量は原価の安いタピオカでミルクティーを減らす仕組みで、ルノアールは立ち退き料が大きな収益源になっている
- ロイヤルホールディングスはホテルや機内食でも稼ぐ一方、コロナ禍で大きな打撃を受けた


