「この米は洗うまい」で始まった諸刃の剣クイズ
今回の企画は、以前に番組で募集した「いいダジャレ命名」をクイズにしたものです。例として堀元さんが挙げたのは、墓石をくっつけておく接着剤の名前が「倒れま先祖」だという話でした。
水野さんは募集フォームを作ったこと自体を覚えておらず、堀元さんから「過去回の内容全部忘れることでおなじみ」とからかわれます。フォームにはリスナーから多くの投稿が届いており、その中から越山さんが問題を作りました。
愛媛県の株式会社姫ライス姫ライスが販売している無洗米の商品名は何でしょう。
この1問目で、堀元さんは「この米は洗うまい」と答えて一発で正解します。堀元さん自身は「もう洗わない」という意味だけで考えていましたが、「あらうまい」とのダブルミーニングにもなっていると気づき、作り手のセンスに感心します。
え?もしかしてですけど、このコーナー当てたら株が下がる?当てたら俺の評価下がっていく?えーつら。諸刃の剣のクイズじゃん。
投稿者によると、この商品は愛媛でよくテレビCMが流れている有名な商品だそうです。堀元さんは「県の恥」と口を滑らせてすぐに謝り、水野さんから「あなた以外は誰も思わない」と突っ込まれます。
シクロデキストリンをもじった化合物の名前は?
ブドウ糖を環状に結合したシクロデキストリンという化合物があり、内部に香料などを包み込み少しずつ放出する性質を持つことから、消臭剤、芳香剤などに使われています。この化合物を参考に徳島文理大学の研究グループが1991年に別の糖を環状に結合させた新しい化合物の合成に成功しました。この化合物に何と命名したでしょう。
2問目で水野さんは、問題文の「環状に結合」を「感情」だと聞き違え、感情を包み込む化合物なのかと戸惑いました。堀元さんは、名前にシクロ ── 「環状の」を意味する化学の接頭語。英語のサイクル(円・輪)と同じ語源で、原子が輪のようにつながった構造の化合物名に付きますと付いていることから輪になった構造だと読み解きます。
堀元さんの回答は「暴露できるよリン」「ザクロ食べるよリン」「シクロオルドリン」と迷走します。越山さんからは、シクロの部分は残っていること、語尾は「トリン」が濁った「ドリン」であることが明かされました。
行き詰まった二人は、越山さんが用意していた2段階のヒントを使います。ヒントの出方と、正解にたどり着くまでの流れは次のとおりです。
第1ヒント
化合物の見た目から思いついた名前だと明かされ、六角形の構造式の画像が示される
第2ヒント
徳島の研究グループが合成したことが強調される
連想
堀元さんが鳴門、淡路島、玉ねぎと徳島の名物を挙げていく
正解
水野さんが漏らした「阿波おどり」を堀元さんが拾い、シクロ阿波おどりで正解
実は水野さんは、小学生のころ祖母と姉の3人で阿波おどりを見に行った思い出を口にしていました。その言葉から正解を出せなかった水野さんは、祖母の名前を呼んで謝ります。
心温まるね。そいつがね、阿波おどりは行ったけど俺じゃないしなっつって、全部思い出捨ててたね。
命名の理由は、構造式の水酸基 ── 酸素と水素が結びついた「-OH」の部分。構造式では本体から枝のように飛び出して描かれることが多いですの部分が阿波おどりの手に見えなくもない、というものでした。まだ実用例はなく、合成しただけの段階だそうです。
投稿者からは補足もあり、この報告を見た北海道の研究者が「なら俺は札幌雪まつりんを作る」と言ったものの、その後音沙汰はないとのことです。さらに鳥取大学が別の糖の環状化合物を合成し、「シクロ傘踊り」と命名したことも紹介されました。自分ならどう名付けるかと問われた堀元さんは、祭りの名前が並ぶ中の逆張りとして「あとのまつりん」を挙げています。
実験用マウスの模型は「ギッジーマウス」か「モッケーマウス」か
動物実験の手技のトレーニングのために用いられるマウス型の実験動物シミュレーターの商品名は何でしょう。
3問目では、元ネタがミッキーマウスであることにすぐ見当がつきます。堀元さんがボケのつもりで出した「ギッジーマウス」が「惜しい」と言われ、堀元さんは自分のセンスがおじさんと一致してしまったことに落ち込みます。
そこから二人は、ミッキーマウスに近い響きの候補を次々に出していきました。どの候補がどういう発想だったかは次のとおりです。
| 候補 | 発想 | 結果 |
|---|---|---|
| ギッジーマウス | 疑似的なマウス | 惜しいが不正解 |
| モッケーマウス | 模型のマウス | 不正解だが二人とも高評価 |
| ニッテーマウス | 似てます | 不正解 |
| ミミッキーマウス | ミミック(模倣)のマウス | 正解 |
越山さんは、ミッキーマウスはそのまま残っていて、頭に1文字付くと明かします。堀元さんは「オミッキーマウス」「モミッキーマウス」と苦しい候補を出したあと、ミミックに寄せた「ミミッキーマウス」で正解しました。
よーし。しかもこれちょっと何かいいやつだったぞ。そのしょうもない出し合いじゃなくて。
それでも水野さんは、公式の正解より「モッケーマウス」のほうがいいと言い張ります。投稿者は獣医学の学生だった方で、当時は本物のマウスで実験手技を練習して何度も苦しい思いをさせたので、ミミッキーマウスにお世話になりたかったという思いで投稿したそうです。
柔らかさが売りのイカ釣り用疑似餌は、何を吸う?
柔らかさが売りのイカ釣り用疑似餌は何という名前でしょう。
4問目は、最初「イカした疑似餌」「やわらイカ」など、イカにかけた方向で考えが進みます。越山さんはここで、日本に古くから伝わるスッテ ── イカ釣りで使われる日本の伝統的な疑似餌。小魚などに似せた細長い形で、先端にイカを引っかける針が付いていますという疑似餌があることを知識として伝えました。
水野さんは「吸ってもんでいいか」という案を出し、さらに柔らかさは乳のことかと口にして、堀元さんから「一旦帰ってリセットしてこいよ」と叱られます。しかし越山さんの判定では、この下ネタの方向がこれまでで一番惜しいものでした。
近づくと恥ずかしいですね。切れ者って感じがなくなるもんね、これ。
最後は堀元さんの「おっぱい吸ってとかそういうの?」が正解となり、答えは「おっぱいスッテ」でした。水野さんは、自分の「吸ってもんでいいか」のほうが品があると主張します。
越山さんの解説によると、スッテの本体は硬いプラスチックが一般的ですが、柔らかく弾力のあるエラストマー ── ゴムのように伸び縮みする弾性を持つ高分子素材の総称。合成ゴムや熱可塑性エラストマーなどがあり、柔らかい部品に広く使われますを使ったものがおっぱいスッテです。表面に巻かれた布も、女性のランジェリーに使われるトリコットという素材だそうです。
投稿者は「釣り人はスケベな人が多いです」と添えていました。二人はこのクイズの構造を、正解に近づくほど恥ずかしくなる「新感覚」だと面白がり、ブランドイメージを守っている人を呼んで解かせたら一撃で崩れるのではないかと話します。
裸体彫刻を漠然ともっこりさせる手法の名前とは?
幕末以降の日本美術における男性裸体像について書かれた木下直之の著作『股間若衆 男の裸は芸術か』からの出題です。男性裸体彫刻の股間の造形において、リアルに表現せずに漠然ともっこりさせているものを木下は何と呼んだでしょう。
最後の問題に二人は「品がない」と不満を漏らしつつ、しぶしぶ考え始めます。問題を整理しているだけで株が下がっていくと、堀元さんはこのクイズの仕組みを嘆きました。
堀元さんはモナリザにかけた「もっこり座」を出し、水野さんに減点されます。ところが越山さんによると「もっこり」は答えに入っていて、語尾は「リ」で終わり、「〜法」は付かないことがわかりました。
水野さんがダビデ像 ── ミケランジェロが16世紀初めに制作した大理石の男性裸体像。フィレンツェにあり、裸体彫刻の代表例として知られていますの逆の表現だと整理したところで、堀元さんが「曖昧もっこり」と答えて正解します。四字熟語の「曖昧模糊」にかけた名前です。
サイン書いてくださいって言われて、宛名どうしますか?って聞いたら、曖昧もっこりでお願いしますって言われて。
堀元さんには言い訳があり、リスナーに「曖昧もっこり」というハンドルネームの女性がいて、以前サインを書いたことがあったそうです。その方が木下さんの命名を借りていたのではないか、と二人は推測します。
木下直之さんは東京大学の名誉教授で、静岡県立美術館の館長も務める方だと紹介されます。二人は、講演でこの言葉をまじめに説明するのか、フリップ芸のように披露するのか想像し、どちらでも好感度が上がりそうだと話しました。著作名の「股間若衆」も、古今和歌集にかけているのではないかと堀元さんは推測しています。
締めくくりに二人は、この企画を「発明」と評価しつつ、答えるほど評価が下がるので今回で終わりかもしれないと笑います。フォームは引き続き開けておくとし、「モッケーマウス」のような別解も募集しました。
まとめ
ダジャレ命名クイズは、おじさんのセンスを読み切るほど正解に近づき、同時に解答者の品位が下がっていく企画でした。「洗うまい」「シクロ阿波おどり」「ミミッキーマウス」「おっぱいスッテ」「曖昧もっこり」と、実在する名前の背景にある作り手の発想も見えてきます。
- 無洗米「この米は洗うまい」は「洗わない」と「あらうまい」のダブルミーニングになっている
- シクロ阿波おどりは、構造式の一部が阿波おどりの手に見えることから徳島の研究グループが名付けた
- 実験用マウスの模型の正解はミミッキーマウスだが、二人は別解のモッケーマウスも高く評価した
- おっぱいスッテや曖昧もっこりのように、正解に近づくほど恥ずかしくなるのがこのクイズの特徴
- フォームは継続しており、公式の名前を超える別解も募集している



