読書が苦手な人は、本を開いたあと何につまずくのか?
この回は、読書が苦手な人に向けて、水野さんと堀元さんが普段使っている「小手先のコツ」を伝える企画です。水野さんは2022年の年明けごろから、読書に苦手意識のある人へのアプローチをしたいと話していたそうです。
最初にね、読書200冊年間読むって言ったんですけど、まず最初にね、読書冊数ではありませんから、冊数を誇るような人間にはなってほしくないですね。
冒頭で「年間200冊以上を読む読書家」と紹介した直後にこう話し、堀元さんから「あなたやってましたけどね」と突っ込まれています。2人とも年間200冊前後、堀元さんは月20冊ほどを読むといいます。
ゲストの樋口さんは、COTEN RADIOで「歴史弱者」として聞き役を務める人物です。今回は「読書弱者」として、読書が苦手な人の代表を引き受けました。樋口さんが読む本は年に1〜2冊ほどだそうです。
樋口さんが話す読めない原因は、多くの人に覚えがありそうなものです。面白そうだと思って本を買い、2〜3ページは進むものの、頭の中で文字の音は鳴っているのに意味が入ってこない。ページを戻っても記憶になく、「また今度読もう」と寝てしまうといいます。
堀元さんは、目が文字を追っているのに内容が頭に入らない「目が滑る」状態はよく聞く悩みだと応じます。水野さんも事前に集めた読書が苦手な人のエピソードに、同じ声が多かったと話しています。
勝敗の8割は本を開く前に決まっている
水野さんは今回を2部構成にしたと説明します。前半は読む前にすべきことや知っておいてほしいこと、後半は読んでいる最中の工夫や気をつけることを扱います。
前半がまるごと「読む前」の話になる理由について、水野さんは後半の話を早く聞きたい人にもここを聞いてほしいと強調します。
僕はね、主張逆で、ページ開き始める前に勝敗の8割ぐらい決まってると思ってます。
堀元さんはこの考えを、瀧本哲史さんの交渉術の本の一節に重ねます。交渉はテーブルについた時点でほぼ勝敗が決まっていて、交渉が強いのはテーブルにつく前の根回しや下調べが十分にできる人だ、という内容です。
堀元さんが挙げた例は、ビジネスで「お前の会社と組まなければ、この会社と組む」という代案を用意しているかどうかです。代案の有無で交渉の有利さはまったく違ってくると話しています。
水野さんは引っ越しの見積もりに置き換えます。相見積もりを取らずに1社だけと交渉すると、その会社の条件で決まってしまう。業者が「他社に電話をかけないならこの価格にします」と即決を迫るのは、代案を出させないための交渉だといいます。
他の業者はここまで下げてくれましたけどって言ったら、どんどん下がっていくの面白くてさ。A社とB社を競わせ続けてさ、8連続ぐらい下げさせたことあった。
テーブルにつく前の根回しや下調べ、代案の用意で有利さが決まる
ページを開く前に、どの本をどう選ぶかで勝敗の8割が決まる
途中で樋口さんと水野さんが漫画『刃牙』の例えで盛り上がり、堀元さんが「刃牙の回じゃないから、今日は」と止める場面もありました。
初心者がやりがちな失敗の第1位は「おすすめを読む」
本題の前に、水野さんは2つの断りを入れます。1つ目は、水野さんが小説をほとんど読まないため、今回の話は教養書、ビジネス書、自己啓発書の読み方に限られるという点です。小説の読み方は三宅香帆さんの本を参考にしてほしいと話しています。
2つ目は、今回の内容が研究に基づくものではなく、約3000冊の読書記録を持つ水野さん個人の体験、つまり「N=1」の話だという点です。
そのうえで水野さんが挙げる「読む前に知っておきたいこと」の1つ目は、本の探し方です。樋口さんがXで見かけた本や、人に勧められた本、書店で気になったタイトルを買う、と答えると、水野さんは「唾棄すべき」と大げさに返します。
初心者がやりがちな読書失敗ナンバーワン、おすすめを読むです。これがね、アウトです。
理由を説明するために、水野さんは「読書筋力」という独自の概念を持ち出します。難しい本が読める人は簡単な本も読めるが、その逆は成り立たない。読書の能力には段階があり、少しずつステップアップしていく必要があるという考えです。
ほとんどの人は本を勧める時に、その本がどれぐらいの筋力がないと読めないかまでつけないんですよ。
水野さんによると、その結果として初心者が、ある程度の筋力が必要な本を勧められて買い、「私は向いていない」と落ち込む現象が頻発しています。堀元さんが「初めての筋トレでベンチプレス200キロ」と例えると、水野さんはベンチプレスなら注意書きがあるが、読書にはそれがないと返しました。
おすすめされる
勧める側は、その本に必要な読書筋力を伝えない
誤解して買う
勧められた本だから面白いはず、自分にも読めるはずと思い込む
挫折する
筋力が足りず読めず、「私は向いていない」と感じる
この現象は、ゆる言語学ラジオ自身も起こしています。番組で紹介した『ピダハン』を買ったが難しくて読めなかった、という声を水野さんは編集者の仕事でよく聞くそうです。大学教員でさえ前半で閉じてしまったという例もあったといいます。
堀元さんは、番組ではかなり噛み砕いて演出も入れているため、聞いて理解できたことから本も読めると思ってしまうのだろうと分析します。水野さんは、翻訳書は日本人が書いた本より25%増しぐらいの筋力がいると付け加えました。
水野さんはさらに、読書に慣れていない人は翻訳のハードカバーと新書のどちらが読みやすいかも判断できないと指摘します。映画ならハリウッドは痛快な娯楽作、フランス映画は難解そう、という位置づけを誰もがなんとなく知っていますが、本にはそうした地図が共有されていません。
樋口さんも、出版社ごとのイメージはまったくないと答えています。映画の配給会社を気にしないのと同じで、著者はわかっても出版社はわからないという感覚です。
水野さんの結論は、初心者のうちはおすすめされた本を無視すること。読むなら、勧めた人と仲良くなりたい場合か、相手が読書筋力を正確に見積もって勧めてくれる場合に限ってほしいと話します。樋口さんが以前、堀元さんに『科学者たちが語る食欲』を勧められたと明かすと、堀元さんは「これね、読書筋力いります」と慌てていました。
最初の1冊は「読み終われそうな薄さ」で選ぶ
では、何を基準に本を選べばよいのか。水野さんがぶっちぎりの1位に挙げるのは、読み終われそうだと思える薄さかどうかです。行間の余白が多いかどうかも手がかりになるといいます。
水野さんは本当は絵本や子ども向けの本から始めてほしいと考えていますが、それではプライドが傷つく人もいます。そこで勧めるのが中高生向けのレーベルです。例としてちくまプリマー新書 ── 筑摩書房が刊行する新書レーベル。主に中高生を読者に想定し、平易な言葉で学問や社会のテーマを紹介していますや岩波ジュニア新書、岩波科学ライブラリーを挙げました。
この辺の版元のレーベルって読者をなめてないんですよ、全く。
水野さんによると、これらのレーベルは中高生でも読めるうえに大人が読んでも面白く作られています。それなのに子ども向けの棚のように見えるせいで、良さが届いていないと話しています。堀元さんは、字の大きさや分量に加えて、使われている単語の難しさも大事な基準だと付け加えました。
樋口さんは、2人の著書『言語沼』は読めたと明かします。難しい言葉を減らしていることに加え、対談の語り口調になっていることが大きかったといいます。水野さんも、読書筋力があまりない人でも読めるよう意図的に読みやすさを上げたと話しています。
堀元さんは、筋力がなくても読めるおすすめとして『本と図書館の歴史 ラクダの移動図書館から電子書籍まで』を紹介します。今度は筋力を見積もったうえでの推薦です。
しっかり骨太な情報が詰め込まれていて、出典も結構書いてあって。
堀元さんは以前、番組で図書館学を扱った際に大学生向けの教科書『図書館情報学概論』を読もうとして心が折れたそうです。そこで手に取った絵本のようなこの本は、旧約聖書や古代エジプトの記録まで引きながら書かれていて、読者をまったくなめていなかったといいます。
水野さん自身も、リサーチでは絵本やちくまプリマー新書から入ると話します。読書家はこうした段階を隠しがちだが、2人はなるべく挫折の話もするようにしていて、水野さんの家にも絵本や字の大きな本がたくさんあるそうです。
簡単な本は「階段の1段目」と考える
水野さんはもう1つの補足として、できればリアル書店に行ってほしいと話します。ネット書店では本の厚さや中身がわかりにくく、書店で開いて選んだほうがハズレは少ないからです。
本って1日200点ぐらい出てるんですよ、新しいのが。
水野さんによると、毎日200点も新刊が出る市場なら、樋口さんにぴったりの本も必ずあります。年間50点しか出ない小さな市場とは違い、書店を歩けば自分に合う本が見つかる、恵まれた市場だと話しています。
一方で、簡単な本を見ると「自分はもうこのレベルではない」と思ってしまう、という声も出ます。大学院を出たのに、センター試験を突破したのに、というプライドです。ただ、社会人になって読書筋力は落ちているはずなので、一から筋トレし直す感覚が必要だという話になりました。
水野さんは、簡単な本にはむしろ利点があると話します。難しい教養書は事実を書き並べがちですが、やさしい本は事実をもとに著者の考えや別の見方へと話を広げているため、思索が広がって面白いといいます。
全体の見取り図があると、その後同じ知識でも入ってきやすさ全然違うんですよ。
堀元さんは、この考えを心の持ち方に置き換えます。簡単な本を読むときは「自分はこのレベルか」と思うのではなく、その分野に詳しくなるための1段目を上っているのだと考えればよい、という提案です。
堀元さんは、姉妹番組のゆるコンピュータ科学ラジオに出演した東京大学特任講師の江崎貴裕さんの話を紹介します。卒論が学会誌で100回ほど引用され、博士課程を1年飛び級したという研究者でさえ、新しい分野の研究を始めるときは中学生向けレベルの一般書から読むと答えたそうです。
ただし水野さんは、簡単な本を人に見られるのは恥ずかしく、本棚の奥にしまって難しい本を手前に並べることもあると打ち明けています。
興味の種を育てておくと、本はどう変わる?
読み切れそうな本は書店に無数にあります。そこからどう絞るかについて、水野さんは、生きながら「これを知りたい」という種を育てておき、芽吹きそうになった瞬間に本を読み始めるのが2人のやり方だと説明します。
堀元さんの直近の例は、「頂き女子りりちゃん」の事件です。お金を持つ男性から多額のお金を受け取り、そのノウハウをマニュアルとして販売し、本人も詐欺ほう助で逮捕されたと堀元さんは説明します。水野さんは横で「詐欺です」と繰り返していました。
マニュアルには、男性を3種類に分けてそれぞれの攻略法をとるといった内容が書かれていたそうです。堀元さんは、こうしたマニュアルは歴史上なかったのかと気になって調べました。
僕が一番酷似してるなって発見したのは、古代インドの聖典。古代インドで書かれてた、1600年前に書かれてたカーマスートラっていうものの中にまるっきり同じ教えがあって。
堀元さんによると、カーマスートラ ── 古代インドで書かれた性愛や恋愛についての古典的な文献。愛の技法だけでなく、当時の社会生活の作法も扱っていますには、援助してくれる人をケチな人や物惜しみしない人に分ける記述があったそうです。最近の社会現象だと思ったものが、実は歴史上よく見られる現象だったと見つけるのが好きだと話しています。
樋口さんが、カーマスートラを事前に読んでいたからわかったのかと尋ねると、堀元さんは、似た教えがあることは別の本で読んで知っていたと答えます。マニュアルを読んで「そういえば」と思い出し、初めて原典に当たったという流れです。
種をまく
別の本などで、カーマスートラに似た教えがあると知っておく
きっかけ
頂き女子のマニュアルを読んで、過去にも例があったのか気になる
本に当たる
カーマスートラそのものを調べ、同じ教えを見つける
水野さんは、知りたいことや仕事や人生の悩みを軸に本にアクセスすると話します。水野さん自身は、物忘れが激しいのはなぜかと思えば記憶の研究を読む、というタイプです。知りたい状態で読み始めると、何でもない記述まで全部面白くなるといいます。
樋口さんにも心当たりがありました。子どもが保育園に通っていたころ言うことを聞かず、お風呂にすっと入ってもらう方法を探して買った本は、一気に読めたそうです。書いてある通りにすると、実際にお風呂に入ってくれるようになったといいます。
僕ら読書が上手いんじゃなくて、読書の前の世の中を面白がるセンサーの感度が一般人よりかなり高いんだと思うんですね。
堀元さんには別のパターンもあります。怪しい健康食品を売るインフルエンサーが「自分の体で試すのが一番」と書いているのを見たとき、それは医療の歴史が繰り返してきた過ちだと気づいたそうです。
僕はこいつら(リプ欄)より気の利いたバカに仕方をしたいぞと思って頑張って医学史の本を読みますね。
樋口さんは、子どもを健やかに育てたい自分と、インフルエンサーをばかにしたい堀元さんを並べて笑います。動機は違っても、本気で知りたいことがあると本が読める点は同じだという話です。
読む前にゴールを決めると、知りたい箇所が飛び込んでくる
水野さんが次に勧めるのは、読む前のゴール設定です。本にこんなことが書いてあってほしい、こんな記述があったら助かる、と思って読み始めると、その部分がよく頭に入ってくるといいます。
読む前にこの本にこんなこと書いてあってくれたらとか、こんな記述があったら助かるなって思って読み始めると、そこめっちゃ入ってくるんですよ。
水野さんは、研究をきちんと確認したわけではないと断ったうえで、動機づけがあると定着もよいはずだと話します。こうした状態は事前に自分で作れるのに、多くの人は漫然と読んでしまうという指摘です。
堀元さんは、一番いい読書法はゆる言語学ラジオの台本を作るときの読書だと話します。「こういう事例がないと台本が弱い」と思いながらその話を探して読むので、最もはかどるそうです。
樋口さんにとっては、COTEN RADIOの番外編に呼ぶゲストの著書がこれにあたるようです。何を質問しようかという目的があるため、前書きで本の狙いをつかみ、聞きたいところから読むと入ってくるという話が出ています。逆に、1ページ目から順番に読むときは読めないといいます。
水野さんは、この本を読んだあとに自分がどうなっていたいかを持って読み始めることを「事前に体を作る」と表現します。付き合いのある人が言語化の遅さに悩んでいると感じたとき、『ビジュアル・シンカーの脳』を読むとよく入ってきたという例も挙げています。
一方で堀元さんは、台本に役立つと思って読んだのに使えなかった本を「ハズレの本」として覚えてしまうと明かします。水野さんはあらゆる本にいいところがあると考えるタイプで、ハズレと言いたくない気持ちが強すぎるかもしれないと話し、この点は次回じっくり扱うことになりました。
何を読んでも元が取れる「つながり」と「あるある」
水野さんは、ゴールが思いつかない人に向けて「自分の知っている何かとつながればいい」という設定でもよいと話します。今回の収録のために読書について調べたあと、隣接領域としてフォントのデザイナーが書いた本を読むと、ちゃんとつながったそうです。
繋がりが現代では本当にギリギリ合法的なぐらい気持ちいい。
堀元さんは、興味のない本を読むときも、自分がまったく知らない世界の「あるあるネタ」を探しているといいます。例として『クジラと話す方法』に出てきた、国際生物音響学会のあるあるを紹介しました。
国際生物音響学会あるある。トイレに入る時、周りの人に音聞かれてないかなって不安になる。
生き物の小さな音を聞く専門家なので、自分の排尿の音まで聞かれていないか気になってしまう、というネタです。水野さんの場合は、うんちくエウレカクイズの問題を作ることが読書の動機の1つで、問題になりそうな話が1つあれば元を取った感覚だといいます。
さらに、堀元さんが以前YouTubeの生配信でビジネス書を茶化していた話も出ます。ツッコミどころを探して必死に読んだ結果、出版関係者から「こんなに深く読んでくれる人は他にいない」と褒められたそうです。面白いと思えない本でも、読む目的次第でプラスに変えられるという例です。
本は高い? 講演やnoteと比べた本の値段
水野さんが次に取り上げるのは、本は1000円もして高い、という感覚です。本が高いから買わないという人は実際にいるため、この問題にも向き合う必要があると話します。
会話の中では、本を読むのは師匠に教えを聞きに行く感覚で、何時間も学べるのに1000〜2000円で済む、という見方が出ます。水野さんも同じことを言おうとしていたと応じました。
読んで1個だけでも面白いと思った内容があったら元取ったっていう感覚で。これ何と比べてるかっていうと、1時間4000円の講演とかと比較してるんですよ。
水野さんによると、4000円の講演で何も持ち帰れないことはあるが、本は価格が4分の1で、好きなときに読めて、関心のないところは飛ばせます。インターネットのnote記事が1本500円なら、2本分で製本も校閲もされた本が1冊買えるという比較も出ました。
| 情報源 | 値段の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 講演 | 1時間4000円 | 何も持ち帰れないこともある |
| note記事 | 1本500円 | 製本も校閲もされていないデータ |
| 本 | 1000円前後 | 好きなときに読め、不要な部分は飛ばせる |
堀元さんはさらに踏み込み、著者に会って1時間で聞ける情報量より、本を1時間読んだ情報量のほうが明らかに多いと話します。本は体系的に整理されているからです。
水野さんは、著者に会うこと自体に大きな価値があると補ったうえで、本は校閲や編集者の校正を経ているため、だらだら話すよりまとまっていると整理しました。会えば質問ができ、本に書いていないことも聞けるという利点も挙がっています。
会う前に予習していけば効率よく聞くべきこと聞けるんすよ。
働きながら読むなら、本を難易度で持ち分ける
最後の論点は、働きながら、子育てをしながら本を読むのはきつい、という問題です。まとまった時間が取れず集中力が切れてしまうという悩みが挙がります。
水野さんは、自分や堀元さんはひどく疲れているときでも新書が読める程度の筋力があると話します。元気なときは難しい本、疲れた日や酒を飲んでいる日は新書、という使い分けです。これを読書に慣れていない人に当てはめると、集中できるときは新書が読めても、忙しいと簡単な本も読めなくなるのではないかと考えています。
朝すげえ難しい本読めるんですよ。頭にタスクが引っかかってないから。
堀元さんによると、仕事を始めると頭にタスクが積まれ、息抜きに本を読んでも「あの連絡をしないと」と割り込んでくるため、認知資源 ── 注意や記憶など、頭の働きに使える限られた容量のこと。同時にいくつも考えごとを抱えると、1つの作業に回せる分が減りますを100%使えなくなります。マルチタスクが得意な堀元さんでも、息抜きの読書はできないそうです。
水野さんは、寝る前、トイレ、飲食店で料理を待つ間、電車の移動時間に細切れで読んでいます。ただし、細切れの時間に学術書を読んではいけないといいます。
刻める本と刻めない本があって。だから読書家あるあるなんですけど、本は基本的にカバンに3冊はあるっていうのがまあ基本設計で。
| 難易度 | 本の種類 | 読む場面 |
|---|---|---|
| 上 | 集中して読む骨太な本 | 電車で30分ほど移動するとき |
| 中 | 細切れで読める本 | 飲食店で料理を待つ5分ほど |
| 下 | くたくたでも読める簡単な本 | 疲れているとき |
堀元さんはこれを突き詰めた結果、トイレでも大か小か、朝一か仕事の合間かで本を分け、6パターンほどになったそうです。読みかけの本がトイレに8冊ほど積まれているといいます。水野さんのトイレの棚にも本が30冊ほどあり、雑学本とじっくり読む本の2つに分けているそうです。
一方で、同時期に複数の本を読むと忘れてしまう、5分で文字に集中できない、という悩みも出ました。水野さんは、自分たちも実はできていないと明かし、読んでいる最中の話として次回扱うと予告しています。
読書家も本の中身を全く覚えていない
堀元さんと水野さんは、本に書いてあったことを全く覚えていないと口をそろえます。堀元さんは、先ほどの『クジラと話す方法』のあるあるも、話す直前に自分のデータベースを検索して見ながら話していたと明かしました。
この外部媒体の助けを得ないと僕は何もしゃべれないです。
水野さんによると、外部媒体がないときの堀元さんは、飲み会で本に1行も書いていない話や具体的な数字を語り続けるそうです。堀元さんは、「3600万人がこう言っているデータがある」と話したのに、帰って確かめると800人だったこともあると笑います。2人はこれをハルシネーション ── 生成AIなどが、事実ではない内容をもっともらしく出力してしまう現象。「幻覚」を意味する英語に由来しますにたとえていました。
クイズ番組でも、収録で答えを聞いて納得したのに、3か月後に編集された映像を見ると初めて見る問題のように感じるといいます。堀元さんは、読書も同じで何も覚えていないのだから勇気を持っていいと話しています。
水野さんは最後に今回の内容を振り返ります。初心者のうちは勧められた本を避け、まず読み切れそうかどうかで選ぶ。次に、感覚が高まる自分のテーマを見つけておく。樋口さんの場合は育児がそれにあたります。そして知りたいことを決めてから読み始めると、定着率が大きく変わるという流れです。
次回は、読んでいる途中で忘れてしまう、ほかの本を読みたくなるといった、読んでいる最中の悩みに答えると予告されています。
まとめ
この回で水野さんと堀元さんが繰り返し伝えていたのは、読書の成否は本を開く前の選び方と準備で大部分が決まる、ということです。読書家も簡単な本から入り、中身もほとんど覚えていないと明かすことで、読書が苦手な人のハードルを下げようとしています。
- おすすめ本は、必要な読書筋力がわからないため、初心者には挫折の原因になりやすい
- 最初は読み終われそうな薄さの本や、中高生向けレーベルのやさしい本から始める
- ふだんから興味の種を育て、読む前に知りたいことを決めておくと本の内容が入ってくる
- 細切れの時間で読むなら、難易度の違う本を持ち分けるとよい
- 読書家も中身の多くを覚えておらず、外部の記録に頼っている



