年商1億円社長を名乗りたい男と、運営会社の正体
この回は、堀元見さんの冗談から始まります。堀元さんは、Twitterの名前を「年商1億円社長」に変えようかと言い出します。水野太貴さんは即座に「本日でゆる言語学ラジオ解散です」と返しました。
やっぱコンビよりね、年商1億円社長名乗れることの方がでかいから。
減るの?年商が。
このやり取りを入り口に、堀元さんは番組の運営体制を明かします。ゆる言語学ラジオは、堀元さんが2022年4月に立ち上げた株式会社pedanticが運営しています。取材時点で、同社の3期目がもうすぐ終わるところでした。
堀元さんによると、pedanticの売上は毎年50%のペースで伸びています。前期に年商1億円を超え、今期は1億5000万円を超える見込みで、来期は2億円を超えるかもしれないといいます。
水野さんが「10万ぐらい出資できますよ」と申し出ると、堀元さんは「年商1億の会社に10万あんまいらない」と返します。さらに堀元さんは、実家の病院を閉める際に父親が医療器具を「子分の先生」にあげたという話を披露しました。水野さんは「子分」を「古文」と聞き違え、国語の先生の話だと勘違いしています。
年商1億円でも、手元に1億円は残らない
堀元さんによると、pedanticは経営の多角化が進み、何をやっている会社なのか自分でもわからなくなるほどだといいます。事業として挙がったのは次のようなものです。
- ゆる言語学ラジオなど自社YouTubeチャンネルの運営
- バリューブックスの積読チャンネルなど他社YouTubeの運営
- ビッグタイトルのアニメのYouTubeチャンネルの制作代行
- 収録場所でもあるゆる学徒カフェ(貸しスタジオ兼飲食店)の運営
- 企業の発信コンサル
ただし堀元さんは、売上が増えた分だけ外注費も大きく増えているので、会社はそれほど儲かっているわけではないと説明します。
年商1億円社長って名乗ってるやつ、実際1億円手残りしてるわけじゃないから、よくて3000万とかじゃないかな。
二人は、利益率3割なら上等な方だという話に進みます。水野さんが「小売だと1割を切ることもある」と応じ、堀元さんはスーパーの利益率は3%や4%らしいと付け加えます。ここでも水野さんは「スーパー」を「スーパーセント」と聞き違えました。二人は「今日は同音異義語が多い」と笑っています。
堀元さんは、Twitterなどで年商1億円社長を名乗っている人も、そこまでお金を持っているわけではないと注意を促しました。
会社をつくった理由は、崇高な理念ではなく節税
堀元さんは水野さんに「なぜこの会社は設立されたでしょう?」とクイズを出します。水野さんが「やりたいことがはっきり固まったからでしょ」と答えると、堀元さんはそれを否定しました。
大きなビジョンがあってね、設立したとかね、そういうことは一切ないです。
節税のためです。
堀元さんの説明では、売上がある程度の額を超えると法人化した方が得だといわれているため、会社にしたそうです。そのうえで堀元さんは、30年後にインタビューを受けたら、もっとかっこいい理由を語るつもりだと宣言します。
売上が一定額を超えると法人化した方が得だから。節税のため
新しいエンタメコンテンツを創出し、社会に活力を与えるため
社史を捏造する自信が今からあります。
堀元さんが「社会をエンパワーメントするために」と言い直すと、水野さんは「エンパワーメントの具体的な中身は?」と突っ込みます。この回では、この「エンパワーメント」が最後まで繰り返し使われるネタになりました。
面白そうなオファーは全部受けた結果、毎月650万円が出ていく
堀元さんによると、pedanticは気まぐれに面白そうなオファーを全部引き受けてきたそうです。その結果、カフェを出したり、ラジオをチェーン展開したり、積読チャンネルのような他社メディアを作ったりしてきました。
取材時点では、別の大企業のメディアを立ち上げる準備も進んでいました。堀元さんは、大企業相手でも対等な立場で予算の交渉をするつもりだったといいます。ところがその会社で学生時代の先輩が働いていて、先輩から「上司からこの仕事の話がいってると思うから、よろしくね」と連絡が来ました。
(先輩から連絡が来て、)急にヘコヘコしちゃいました。
お前がエンパワーメントしろよ自分を。
仕事量が増えた結果、pedanticにはフルコミットに近いメンバーが10人近くいます。水野さんは、堀元さんが以前は「1人がいい」「身軽な方がいい」と話していたことを指摘しました。
先月ね、650万ぐらい(口座から)減ってて。
堀元さんは、家賃や人件費で毎月大きな額が出ていくため、計算を間違えたらいきなり潰れそうだと戦々恐々としている様子でした。
編集チームがピラミッドになり、問い合わせは1週間から45分へ
堀元さんによると、pedanticには幹部メンバーだけで10人ほど、副業の人も含めると50人ほどが関わっています。特に力を入れているのが、ゆる言語学ラジオの動画編集です。
編集スタッフの上に、スタッフを束ねる編集チーフがいて、その上にさらに腕の立つ人がいて、全体を編集マネージャーが管理しています。堀元さんは、この体制を「完全にピラミッド」と表現しました。最初期から編集に関わってきた大学生スタッフは、今の様子を見て「会社っぽくなりましたね」としみじみ話したそうです。
編集の方針も、3年前とは大きく変わっています。堀元さんは、初期の動画はテンポが悪く、二人が唇を開く音まで全部入っていたと振り返ります。
皆さんもぜひ(3年前の動画を)見てみてください。一回気になりだしたら一生気になると思う。
今では、特定の周波数を10Hz単位で調整したり、カットのタイミングを0.02秒単位でこだわったりしています。水野さんは、元テレビ東京の上出遼平さんも、1〜2フレーム単位の調整は人に頼めないので最終的に自分で素材を触ると話していたことを紹介しました。
堀元さんは、ゆる言語学ラジオを始めてから1年〜1年半ほどは、仕上げの工程を自分でやっていたといいます。理想を人に押し付けるとパワハラになると考えたからです。そのうち最古参のスタッフが堀元さんの感覚を学び取り、今では「俺よりうめえな」と思うほどになりました。そのスタッフ、BBさんは、AIで生成した架空の人物をアイコンにしていて、大学では哲学を学んでいたそうです。
編集以外では、カスタマーサービスも改善しました。以前は問い合わせに1週間待たせることもありましたが、今は対応の中心を担う人が入っています。
問い合わせの返信に1週間ほどかかることがあった。事前の「待ってください」連絡を忘れることもあった
カスタマーサービスを中心に担う人が入り、平均応答時間が45分になった
ややこしいもののエンタメ化というビジョン
体制が整ってきたことを受けて、堀元さんは「節税なんてケチなことは言わずに」と前置きし、会社のビジョンを2つ掲げます。1つ目は「ややこしいもののエンタメ化」です。
堀元さんは、ゆる言語学ラジオの最大の功績はここにあると考えています。例として挙がったのは、擬音語・擬態語を扱った「楽器用のオノマトペ」の回や、初期の助詞「は」の用法の回です。従来はエンタメにならないと思われていた日本語学の分類の話を、水野さんが良い台本にし、このフォーマットで楽しく話すと十分エンタメになることがわかった、と堀元さんは話します。
堀元さんは、詐欺のスキームのように、一見複雑すぎて何が起きているかわからない題材もエンタメにできると考えています。水野さんは、甲斐谷忍 ── 漫画家。詐欺師同士の騙し合いを描いた『LIAR GAME』などで知られますさんの漫画『カモのネギには毒がある』がそういうことをやっていると応じました。
同じ発見は、姉妹番組のゆるコンピュータ科学ラジオにもあるといいます。堀元さんによると、この番組は直近1ヶ月でゆる言語学ラジオより伸びていて、「機械音痴にサーバーを説明する」というフォーマットが金脈になりました。
俺追随されてて悔しいから(ゆるコンピュータ科学ラジオには)潰れてほしいんすよ。
水野さんは自分は機械音痴ではないと主張します。しかし「キャッシュ」を現金のことだと思っていたことが明らかになり、堀元さんに「キャッシュをクリアするってお前大損しとるがな」と突っ込まれました。水野さんは、企画は最初から見えていたわけではなく、当たると思ったらその方向に走ったと振り返っています。
退屈な広告を駆逐する、ストック型の企業YouTube
堀元さんが掲げる2つ目のビジョンは「退屈な広告を駆逐する」です。例として挙がったのが、pedanticが制作と運営を請け負っているバリューブックスの積読チャンネルです。
積読チャンネルは開始1年でチャンネル登録者5万人を突破しました。堀元さんが重視しているのは、登録者数よりも、必ず最後まで見てくれるコアファンが3万人ほどいることです。広告費を1億円使っても、3万人の熱い人はなかなか獲得できないと堀元さんは話します。
多くの人に見てもらえて認知は広がる。ただ「こういう会社があるのか」で終わり、応援したいという気持ちにはなりにくい。ややこしい話は伝わらない
コンテンツとして残り続け、10年後も価値が減らない。熱量の高いファンを半永久的に獲得し続け、ややこしい話も最後まで聞いてもらえる
積読チャンネルのファンの間では、バリューブックス以外で本を買うたびに謝る文化も生まれているそうです。「Amazonで買っちゃいました。代わりにサロンに入りました」と、懺悔としてお金を落とす人もいるといいます。
堀元さんは、ストック型のYouTubeには広告収益が得られるという利点もあると付け加えます。自社の広告のつもりで作っても、それ単体で黒字になる可能性があるということです。
水野さんに「広告みたいになってる」と指摘されても、堀元さんは企業のYouTubeチャンネル運営代行の宣伝を続けます。pedanticが仕事を前向きに募集するのは、この回が初めてだといいます。
堀元さんによると、企業向けのYouTube制作会社は多いものの、綺麗な動画は作っても面白さには責任を負わない会社がほとんどだそうです。夢物語として、クリエイティブの総合商社のような会社にしたいとも語りました。バリューブックスと出版社を作る構想もあり、その場合は水野さんを社長にするつもりだと、堀元さんは冗談交じりに話しています。
水野さんの目標は、自分の可能性を閉じること
話題は二人の個人的な目標に移ります。水野さんは、去年一番感じたのは「自分にブレイクスルーが必要だ」ということだったと切り出しました。
水野さんは、クリエイターやアーティストから「刺激をもらっている」と言われるたびに、「この人たちはものを作ってるけど、俺もの作ってねえな」と感じていたといいます。企画書を書いた人が偉いと考えているため、ゆる言語学ラジオも自分が作ったものには入らない、というのが水野さんの認識です。
舞台装置だなって感じですね。僕どっちかって言ったら。
水野さんは本業の編集者として、書籍『動物たちは何をしゃべっているか』を手がけました。ただ、最高の著者やライター、デザイナーのチームを作った時点で仕事はほぼ終わっていて、自分が編集者でなければできなかったという感覚はあまりないといいます。
そこで水野さんが目標に選んだのが、単著を書くことです。水野さんは堀元さんに頼んで番組の更新を週1回にしてもらい、1年間リサーチを続けました。収録日の12月28日の数日前に初稿を書き上げ、締め切りの20日ほど前に編集者へ送っています。11月と12月は遊びの誘いもほとんど断ったそうです。
堀元さんが「自分の実力が明らかになるのは怖くないか」と尋ねると、水野さんは怖さはあまりないと答えます。
人生のボラティリティ閉じたいんですよ、今。
水野さんによると、編集者の仕事、ゆる言語学ラジオ、結婚していく友人たちの姿、書く仕事の可能性と、人生の選択肢が発散してしまっているといいます。本気で本を作って面白くなかったら黒子に徹し、面白いと評価されたらたまに書かせてもらう、というのが水野さんの考えです。
堀元さんは、このテーマに強く共感しました。20代の頃に苦しんでいた理由はほぼ「これをやってもいいし、あれをやってもいい」という状況だったと振り返っています。
堀元さんが、評価を恐れて原稿を出さずに山月記 ── 中島敦の短編小説。詩人になる夢を果たせず、自尊心と羞恥心から虎になってしまった李徴が、旧友の袁傪と再会する物語ですの李徴のように虎になるコースもあると振ると、水野さんは「その声は李徴か」と返しました。水野さんは、出版社の編集者が付き合ってくれる恵まれた立場にいる以上、逃げるわけにはいかないと話します。受験生の頃も、「あの時頑張らなかっただけ」と言い続けるのは嫌だったと振り返りました。
単著3万部という目標と、二人での全国巡業
水野さんは退路を断つ意味も込めて、単著で発行部数3万部という目標を宣言しました。
水野さんによると、3万部は『動物たちは何をしゃべっているか』も、過去に書いた『言語沼』や『きょう、ゴリラをうえたよ』も届かなかったラインです。これを超えられれば、編集者やゆる言語学ラジオの仕事を脇に置いてまで物書きをする適性がある、と捉えるつもりだといいます。
堀元さんは、自分の最初の本『教養悪口本』が今2.8万部ほどで、3万部にはギリギリ届いていないと明かします。すると水野さんは目標を「2万部、1万部、7500部」と下げ始め、堀元さんに「自分の目標を叩き売りしてる人初めて見た」と笑われました。
水野さんは、この本は一気に売れるタイプではないとみています。誕生日の8月31日までに出版し、下半期は販促に駆けずり回るつもりです。
堀元さんは、水野さんの生き方が映画『チック、チック…ブーン!』に似ていると勧めます。ミュージカル作家を目指す青年が、30歳までにデビューできなければ筆を折ると決め、最後のチャンスに全力を賭ける物語です。水野さんは、自分には本業があるので退路を断っていない、だからこそ1年を丸ごと本に注いだのだと答えました。
堀元さんも同じ年に同じ新潮社から本を出す予定です。水野さんは、本のPRも兼ねて二人で地方巡業をしたいと提案しました。以前は経済合理性がないと地方ツアーに反対していた堀元さんも、2冊を同時に売れるなら効率が2倍になると賛成しています。
堀元さんの本の仮題は『読むだけでぐんぐん頭が良くなる下ネタ大全』です。性科学の論文や性の文化史を読んで書いたもので、クレオパトラが最初にバイブレーターを作ったという話は俗説だと示せると堀元さんは話します。水野さんは、講演のメインスピーカーを当日に発表する「講演ガチャ」を提案しました。
新潮文庫に入ること、そして堀元さんに見せずに書くこと
水野さんはもう1つ、堀元さんと共有できる目標として「将来的に新潮文庫で文庫化してもらう」ことを挙げます。二人とも中学生の頃に、筒井康隆や星新一、三島由紀夫、『サイモン・シン』の本を新潮文庫で読んできました。文庫になることは長く読み継がれる価値があると認められた証だ、と水野さんは話します。
堀元さんによると、新潮文庫は作家ごとに背表紙の色が決まっていて、2冊出すと作家の色がもらえるそうです。堀元さんは、コネで文庫化してもらおうと冗談を言い、水野さんに「こんなやつの本読むなみんな」と突っ込まれました。
水野さんは、紀伊國屋じんぶん大賞 ── 紀伊國屋書店が主催する、人文書を対象にした賞。書店員や読者の投票をもとに選ばれますや書店員が選ぶノンフィクション大賞も狙いたいと話しました。堀元さんは、賞金が1000万円なら賞の傾向を研究して本を書き換えるとまで言っています。
水野さんが特にこだわったのは、単著を堀元さんのコメントなしで作ることです。第1章だけは堀元さんに見てもらったものの、それは失敗だったと感じたといいます。
それで堀本さんからコメントもらって直して作ったら、それってゆる言語学ラジオとやってること変わんないから。
堀元さんだってゆる言語学ラジオの企画書書く時に一度も僕にお伺い立てなかったじゃないですか。
後半の章は、ほぼ担当編集者にしか見せていないそうです。堀元さんは、ゆる言語学ラジオのリスナーも見たことのない「生の水野太貴」が見られる本になると期待を寄せました。水野さんは、敬意を持っているクリエイターたちも同じ孤独と向き合っているのだから、自分だけがあちこちにお伺いを立てるのはおかしいと考えています。
一方で堀元さんは、一人で考え続けることの危うさも語ります。ブロガー時代に、ジャイアンと元太のどちらのセリフかを当てる二択クイズを100問並べた記事を書いたところ、まったくウケなかったそうです。
英語文献を日本語と同じ速さで読みたい
水野さんの2つ目の目標は、洋書を1冊読み通すことです。単著のリサーチや番組の台本を書くうえで、英語文献へのハードルが大きなボトルネックになっているといいます。
酒飲みながらでも英語文献読めるぐらいまで持っていきたいですね。
堀元さんが「DeepLでいいのでは」と尋ねると、水野さんは、正確な情報発信をするには要約が間違っていた時に自分で責任を取れないといけないと答えます。堀元さんも、マウスのストレスの論文をDeepLで読んだ際に「顔面ニヤけ抑制」という訳が出てきて、結局英文を読まないと実験設計がわからなかった経験を話しました。
水野さんは、この挑戦にはもう1つの意味があると話します。以前番組で提唱した読書筋力 ── 本を読む力を筋肉にたとえた、水野さんの考え方。鍛えるほど負荷の高い本も読めるようになる、という発想ですを、洋書で意図的に落とす実験になるというのです。
洋書を読む
知らない単語が多く、何を言っているかわからず、眠くなる
初心者の感覚が戻る
表紙や装丁からどの本が簡単かもわからず、読書初心者が書店に行った時の感覚を追体験する
熟達の過程を記録する
英語で読めるようになるまでの障壁や工夫を記録して発信する
初心者向けに活かす
読書が苦手な人へのアプローチの解像度が上がり、初心者向けの回をもう一度作れる
水野さんは、日本語で一度読めるようになった経験があるため、自分は読書初心者よりずっと有利な立場から始められると話します。堀元さんも、池袋の中国語の本だけを置く書店で、可愛い女の子の表紙を写真集だと思って開いたら文字ばかりの小説だったと、勘が働かない感覚を振り返りました。
水野さんが目指すのはリーディングに限った能力です。二人は以前、Cambly ── オンラインで英語を話す講師とレッスンができる英会話サービスの案件で英語のスピーキングを試し、二人とも「家の周りを走っている」と同じ答えを書いて驚いたそうです。研究者から善意で英語論文を送ってもらっても、要旨しか読めないのは失礼だという思いもあるといいます。
英語論文の輪読と、読書初心者を巻き込むイベント
水野さんは、自分が洋書を読む1年に合わせて、読書初心者の人と一緒に1冊を読み通すイベントをゆる学徒カフェでやりたいと話します。堀元さんは、祖父が70歳を過ぎてからドイツ語の辞書を引きながらヘルマン・ヘッセを読んでいた姿を思い出していました。
堀元さんも、コンピュータサイエンスには日本語に翻訳されていない本が多いため、英語を読めるようになりたいと言い出します。水野さんは、英語文献を読めることは、追随するチャンネルが現れた時の差別化にもなると付け加えました。
二人は、半年に1回、読んだ英語論文の中で面白かったものを紹介し合う会を開くことで盛り上がります。社会人になると先生も発表の場もないので、大学でやっておけばよかった、という話にもなりました。
最終的に二人は、朝の時間は洋書を読むと決めた「インプット奴隷合宿 洋書縛り編」を企画します。最終日にどこまで進んだか、どんな失敗をしたかを報告する形です。
キンゼイ報告の新訳という、英語を学ぶ最高の動機
堀元さんは、下ネタの本を書く中で見つけた課題も明かします。性科学の大規模な統計レポートとして有名なキンゼイ報告 ── アメリカの性科学者アルフレッド・キンゼイらによる、人間の性行動についての大規模な調査報告。1940〜50年代に刊行されましたは、日本語訳が戦後まもなくのもので、漢文調で読めない漢字の嵐だといいます。
これ新訳出したらすげえ意味あることだぞって思ってたから。
水野さんは、これこそ英語を学ぶこの上ない動機だと応じます。以前番組に福田先生が来た際、第二言語習得で最も効くのは学習者の意欲だと話していたことを思い出したのです。
水野さんは、翻訳についての研究ジャンルがあることも紹介し、堀元さんが翻訳をするならそれに合わせてリサーチして話せるかもしれないと提案しました。やりたいことが次々に出てきたところで、水野さんは「友達に恵まれたな」とこぼします。
最後に堀元さんは、年商1億円社長を名乗るのはやめて堅実にやっていくと締めくくりました。二人はリスナーに、今年の目標や一緒に読みたい洋書をコメントで寄せてほしいと呼びかけています。
まとめ
この回は、運営会社pedanticの成長とビジョンから、水野さんが単著と洋書に賭ける一年の目標まで、二人の去年と今年がまとめて語られました。どの目標にも共通しているのは、ややこしいものを面白く伝える力を磨くという姿勢かもしれません。
- pedanticは節税目的で設立されたが、毎年50%成長し、年商1億円を超えた
- ビジョンは「ややこしいもののエンタメ化」と、ストック型YouTubeで「退屈な広告を駆逐する」こと
- 水野さんは人生の可能性を閉じるため、堀元さんに見せずに単著を書き、3万部を目標に掲げた
- 洋書を1冊読み通し、読書初心者の感覚を追体験して発信することも今年の目標
- 二人での全国巡業、英語論文の紹介会、キンゼイ報告の新訳など、やりたいことが広がった





