仏教が目指すのは「心を楽にする」こと
仏教というのは、一括りに言うのはちょっと乱暴でもあるんですが、あえて言えば、良いことを行って、心を楽に、清らかにしていこうという教えなんですね。
でも、そう聞くと「一体何がいいことなのか」って、当然疑問に思うと思うんです。
仏教にはいろんないいことが説かれているんですが、今日はその中から「十善」という十の良い行いを紹介してみようと思います。
体に関わる三つ。不殺生・不偸盗・不邪淫
まず一つ目が「不殺生」です。むやみに生き物を殺さず、生命を尊重するということですね。
殺さないだけじゃなくて、暴力やいじめ、虐待みたいに、心と体に害を与えることもしないということなんです。
現代に引き寄せると、環境破壊や生態系を傷つけないよう考えて行動することも、この不殺生に入ってくるんじゃないかなと思います。
二つ目が「不偸盗」。他人のものを盗んだり奪ったりしないことです。
これも現代風に言うと、著作権を守る、違法にダウンロードや転載をして人の権利を奪わない、といったことも含まれますね。
物じゃなくても、たとえば人の時間を無駄に奪わない、というのも今風には言えるのかなと思います。
三つ目が「不邪淫」。よこしまな関係を持たない、不貞をしないということですね。
浮気や不倫をせず、夫婦やパートナーの信頼を裏切らない。そこから、他人の家庭を壊すような行為もしないということです。
最近に引き寄せれば、性的な搾取やハラスメントをしない、といったこともここに含めて考えていいんじゃないかと思います。
この三つは、私たちの身体的な行動に関わるところなんです。
言葉に関わる四つ。不妄語・不綺語・不悪口・不両舌
ここからは、私たちの言葉に関わるところです。
四つ目が「不妄語」。嘘をつかず、正直に、誠実に話すことですね。
SNSやブログで事実を偽った情報を書いたり、フェイクニュースのようなものを作ったり広げたりしない、ということでもあります。
詐欺的な商売や、根拠のない誇大広告で人を煽るようなこともしない。謎の「年収何桁万円」みたいな怪しいことを言わない、ということでしょうね。
五つ目が「不綺語」。無駄なことを言わず、飾り立てない言葉を使うということです。
ゴシップや誹謗中傷ばかりに気を取られない。自分を大きく見せて虚栄心を満たすような発言をしない、ということですね。
SNSって時間泥棒みたいなところもありますけど、無意味な発信を続けて時間を浪費しない、というのも入ってくるのかなと思います。
六つ目が「不悪口」。悪口を言わない、乱暴な言葉を使わないことです。
罵詈雑言や激しい誹謗中傷、根拠のない批判はしない。ここで大事なのは、批判や批評とは違うということなんです。
間違っていると思うことがあっても、暴言を吐くんじゃなくて、相手を尊重して、きちんと伝わる言葉を使うということですね。
七つ目が「不両舌」。いわゆる二枚舌を使わない、他人同士を仲違いさせるようなことは言わない、ということです。
AさんにはBさんの悪口を言い、BさんにはAさんの悪口を言う。そういう対立を生むような行動を避けるんですね。
相手に伝わりやすい話し方をするのは大事ですが、人によってコロコロ意見を変えて、あっちにもこっちにも都合よく振る舞う、というのはしないということです。
心に関わる三つ。不慳貪・不瞋恚・不邪見
最後は、心に関することですね。
八つ目が「不慳貪」。貪るような欲を持たないことです。
物を必要以上に欲しがったり、欲に振り回されて浪費したりしない。お金や権力を過剰に求めて、人を犠牲にしない、ということですね。
ただ、人間は欲がなきゃ生きていけないのも間違いないんです。だから、欲をなくすというより、欲が中心になって自分の行動を決めない、ということなんですね。
あれも欲しい、これも欲しいで頭がいっぱいになって、本当に大切なことを見失わない。それが欲との大事な付き合い方だと思います。
九つ目が「不瞋恚」。激しい怒りを抱かないことです。
怒りに任せて暴言を吐いたり、暴力を振るったりしない。感情的になって炎上に加担するような言動もしない、ということですね。
ストレスが溜まってイライラすると、なかなか冷静になれないものです。だからこそ、今は疲れているな、と自分の状態をよく理解した上で、心を穏やかに整えておくことも大事かなと思います。
最後、十番目が「不邪見」。偏ったものの見方をせず、正しく考えて判断しましょう、ということです。
自己中心的な考えにとらわれず、広い視野で多様な視点を持つ。差別や偏見を持たず、いろんな価値観を尊重して理解する、ということですね。
根拠のないデマや陰謀論は信じない。物事の道理に沿ってちゃんと見て、自分の都合や欲で偏った判断をしない、ということが大事なんです。
なぜこれで心が楽になるのか
この十善は、体に関わる三つ、言葉に関わる四つ、心に関わる三つ、という三つのまとまりになっているんです。
こういう行動を心がけるようになると、私たちは心に苦しみを生みづらくなって、楽を与えられるんですね。
逆に、これと真逆をやるのが「十悪」で、これをやるとかえって自分が苦しみを受けることになるんです。
「これって他人に楽を与える話じゃないの?」と思うかもしれません。当然、他人にも楽を与えます。
でも仏教は、まず自分自身の心を清らかに、楽に養っていくことがメインの視点なんです。自分の心を楽にして、同時に接する人の心も楽にする、ということなんですね。
まとめ
十善はもともと出家の人向けのものなんですが、心がけとしては、日常生活で全然実践していけることだと私は思っています。職場でも、友人関係でも、SNSでも、まずは一個でも覚えて心がけてもらえたら嬉しいです。
- 仏教は「良いことを行って心を楽にする」教えで、その具体例が十善
- 十善は体に関わる三つ、言葉に関わる四つ、心に関わる三つで構成される
- 欲や怒りは「なくす」のではなく、それに振り回されないことが大切
- 十善を心がけると、自分の心も、接する人の心も楽になる
