ReHacQ出演の裏話と、地方100億円企業の話
雑談回の入り口は、小平さんがReHacQに出演した話でした。話題は「100億シンクタンク」で、石丸さんと一緒に登壇した回だったと言います。
あの100億円の、100億シンクタンクの話で、石丸君と一緒に登壇した回でしたね。
きっかけは、元ニューズピックス社長の坂本さんが進める動きでした。地方に100億円企業を増やそうというムーブメントで、昔から仲が良かった縁での登壇だったそうです。
福岡で登壇あるんで来てくださいって言ったら、前日ぐらいにReHacQの収録入りますって言われて、出ました。
小平さんはまだ自分では映像を見られていないと言いつつ、反響の大きさに驚いていました。
いろんな人からなんか連絡があって、影響力大きいメディアなんだなと。
一緒に登壇したのは、投資畑を歩んできた優秀な人物だったといいます。ゴールドマン・サックスを経て実家に戻り、東京での新業態開発に携わっているそうです。
モデレーターを務めた石丸さんの印象も語られました。切り抜き動画のイメージとは違ったと2人は口をそろえます。
もう見て、めちゃくちゃちゃんとしっかりモデレーターしてはるって思って。
もっとなんかやばい人、切り抜き動画しか見たことないから。リールとかの。
薩摩会議の「100億円」議論と、その反発
話題は小平さんが関わる薩摩会議に移ります。前回は「地方企業は全部100億を目指すべきだ」という議論がビジネス文脈で盛り上がり、一時炎上もしたと言います。
ただ、反発は思わぬ方向にも広がりました。カルチャー系で関わってきた人たちからの声だったといいます。
薩摩会議がビジネスカンファレンスになるんだったら鹿児島でやる意味もないし、「いや、俺らちょっと抜けるわ」みたいな反発があったんですよ。
小平さんは、この反発を「面白い」と受け止めています。ビジネスだけなら東京でやればいい。鹿児島でやる意味は別のところにある、という考えです。
そこで再設計のテーマになっているのが、地域特有の文化の扱いでした。
稼いだ先の問い。「どうお金を使うか」の難しさ
100億円の議論は、より深い問いへとつながっていきます。会社を大きくするプロセスは科学的にできる、と小平さんは言います。
ちゃんとマーケして人取って理念作ってみたいなこと一個一個やってたら、会社は稼げるとは思うんですよ。
難しいのはその先です。稼いだお金をどう使うか。ここには思想が要る、という話でした。
たとえば無料のコミュニティスペースや、今度作る「ねこまの森」という施設。社員から見れば「社長の趣味」に映りかねません。
だからこそ、ロジックを超えた説明が必要になると小平さんは言います。
俺らが汗水垂らしてボンベ担いで作った金を、って思われるから、「こういう思想で使います」って言い切れないと、良いお金の使い方はできない。
一般に地域貢献は「短期では合理的でないが、中長期では合理性がある」と言われます。しかし小平さんは、その先を見ようとしています。
経営者は文化に投資できるか。堤家と渋谷の例
柳本さんは、地域貢献が採用など中長期のメリットにつながる点を指摘します。それに対し小平さんは、社内説得にはロジックで十分だとしつつ、その先を語ります。
もっとそれを超えた、お金の良き使い方みたいのがあるんじゃないかなと。
小平さんは、稼いだ先の虚しさにも触れます。金融資産に預ければ一生困らない。しかし、それで生きた証が残るのか、という問いです。
参照されたのが、かつての経営者たちの姿でした。西武系の財閥・堤家が、アーティストを多く抱え、渋谷の街の再開発から文化を生み出した例が挙がります。
明治・大正・昭和のビジネスマンは、文化的素養のある環境で育ち、文化への投資ができた。それが今の日本の豊かな文化の土台になっている、と小平さんは見ています。
うちガス屋だけど、地域の農とかに投資してパトロン的になるっていうのは、直接的にはなかなか関係性はないんだけど、その意味を経営者が説明できるようにならないとダメだろうなと。
財団ではなく会社で。長期インパクト戦略の設計
柳本さんは、海外でよくある財団設立や大学への寄付を例に挙げ、会社とは別の形で資産を使う方法を尋ねます。小平さんの答えは、会社としてやりたい、というものでした。
そのために進めているのが、長期的なインパクト戦略の設計です。BIOTOPEの山田さんと一緒に取り組んでいると言います。
コビラがある世界とない世界を比べた時に、社会に対して何を残せるのかを可視化しつつ、大きな計画を作っていく。
この設計図を、小平さんは「宝の地図」と呼んでいます。稼いだ先に何があるのか、どんな文化的投資が何を生むのか。その項目もこの地図に含まれるといいます。
薩摩会議の運営に関わる野崎さんや、地域の関係者へのインタビューも重ね、コビラが地域に与える意義を具体化しようとしています。
コビラが良き会社であるっていうことを、もうちょっと具体化してブレイクダウンして見えるようにするっていうのをやろうとしてる。
まだゴールは見えていない状態です。それでも小平さんは、今を楽しんでいると話しました。
今ちょっと楽しい状態です。
AIが変える「かっこいい職業」と文化の価値
話題はAIへと広がります。小平さんは、時代ごとに「一番かっこいい職業」が移り変わってきたと言います。今はイーロン・マスクに代表されるような経営者だと。
しかし、その価値がAIによって毀損されていくのではないか、というのが小平さんの見立てです。
ビジネスをロジック立てて作って儲けるっていうこと自体が、おそらくAIの方がうまくできるようになる。
AIが人を実際に動かして事業を急成長させる。そんな未来では、経営者も代替可能になりかねない、という話でした。
だとすれば、次にかっこいいとされるのはAIに代替されないものだ、と小平さんは考えます。
AIの浸透
ロジックで儲ける仕事はAIの方がうまくできる
経営者の価値低下
代替可能になり、経営者は「かっこいい職業」でなくなる
カルチャーの再評価
AIに代替されない文化・アートの価値と社会的立場が上がる
今の投資の意味
今から文化に投資しておくと、将来効いてくる可能性がある
京都に学ぶ、非合理への投資と長期の価値
小平さんが京都について尋ねると、柳本さんは非合理性の価値を語ります。AIは合理化が得意だからこそ、非合理なものに魅力が残るという見方です。
京都は文化を守るという形で、合理的ではないものを残し続けてきました。だからこそ国内外から人が集まる、と柳本さんは言います。
小平さんは、稼いだ先のお金の使い方を何千年も前から実践してきたのが京都だと指摘します。商人や武家が寺社仏閣や茶道を支えてきた例です。
600万ぐらいの朝鮮の茶碗買いますみたいなことを言っても、あんまり京都って怒られなさそう。
柳本さんも、京都では会社が大きくなるとミュージアムを作りがちだと補足します。歴史を体感できる場を社内に持つ文化が染みついているといいます。
小平さんは、しっかり稼いで文化や社会に投資するというモデルを、京都はすでに1500年前から体現していると受け止めます。
実はもうすごいモデルケースが、モデル地域がすでに存在してるっていう。
その上で、鹿児島の田舎の会社として京都を参考にしながら地域への還元を考え始めた、というのが今の自分の状態だと語りました。
ただし柳本さんは、京都は文化的な歴史が長いからこそ成立する面もあると釘を刺します。文化の土台がない土地では、まず成長を指標にせざるを得ない、という見立てです。
雑談の締めと、ねこまの森の研修プログラム
最後は、小平さんが進める「ねこまの森」の話で締めくくられます。企業が地域とどう関わり、行政主導ではなく企業と市民で地域を作るか、という地域経営がテーマです。
企業と市民が一緒に地域のあるべき姿をどうやって叶えるかっていう地域経営が、去年の薩摩会議の根本テーマでもあった。
鹿児島のいのもとという地域で、それを実際に体験できる研修プログラムを用意するといいます。自分の地域に持ち帰れる内容を目指しているそうです。
募集は7月から。2泊3日の研修付きで、小平さんによる伴走も含まれるといいます。
2泊3日の研修付きで60万ぐらいなんで、まあそんなもんやろって。
LPは公開前の段階で、興味がある人は小平さんへのDMで事前案内を受けられるとのことでした。次回はAIをテーマにした雑談回になる予定だと予告して、この回は終わります。
まとめ
第19回は、地方企業が「どう稼ぐか」から「稼いだお金をどう使うか」へと視点を移す雑談回でした。文化への投資は合理性では説明しきれないけれど、AI時代だからこそ価値が上がるかもしれない。その手がかりとして京都のモデルが繰り返し参照されました。
- ReHacQ出演を入り口に、地方に100億円企業を増やす動きと薩摩会議の議論が語られた
- 会社を大きくするプロセスは科学的にできるが、稼いだ先の使い方には思想が要ると小平さんは指摘
- 地域貢献の「中長期の合理性」さえ超えた、良きお金の使い方を模索している
- AIがロジックの仕事を担う時代には、非合理な文化・アートの価値が上がるという見立て
- 稼いで文化に投資するモデルを1500年前から体現してきた京都が、地方企業のモデルケースとして参照された





