最新AI事情、2人はいま何を使っている?
収録日は5月29日。冒頭でまず話題に上がったのは、直前に登場したばかりのモデルや発表でした。
桺本さんは、Anthropicの新モデルや、前週にアメリカで開かれたGoogle I/O ── Googleが毎年開催する開発者向けの大規模カンファレンス。新しいAIや製品の発表がまとめて行われるでの動きを紹介します。GoogleがクラウドやAIエージェント関連で存在感を強めているという話です。
そのうえで、お互いに「最近どんな使い方をしているか」を交換していきます。
今はほぼほぼClaudeCodeと、まあManusも使うけど、9割方ClaudeCodeかなと思って。
小平さんが気に入っているのが、ClaudeCodeに追加されたセキュリティガイダンスのプラグインです。コード作成中にセキュリティの穴を指摘し、過去にGitへ上げたコードまで見て「これはダメなので作り直しましょう」と教えてくれると話します。
やっぱり素人がコーディングすると一番のリスクがセキュリティなんで。それを最初からちゃんと蓋をしてくれるのはすごくありがたいなと。
桺本さんは、ClaudeCodeに加えてCodexも使うようになったと言います。決め手のひとつは、画像生成モデルGPT Image 2.0の質の高さと、スマホからも手軽に扱える点でした。
Codexだと、スマホアプリの中にCodexという機能がついてて、QRをピッて読むと、もうCodexスマホから使えますみたいな。
音声入力ツールで一周回ってたどり着いた答え
話題は音声入力ツールに移ります。小平さんは、TypeLessからAqua Voice、さらにSuperWhisperのローカル利用へと試してきたものの、しっくりこなかったと明かします。
セキュリティを考えてローカルモデルで動かそうとしたものの、日本語の認識精度が上がらず、結局ElevenLabsのScribeを使うとオンラインで処理することになる。それなら、と一周回ってTypeLessに戻ってきたと言います。
結局あのオンラインで処理させてるじゃんとなり、それだったら一周もう一回回って戻ってTypeLessでいいかなってなって。
桺本さんもTypeLessを使っています。誤字脱字を残すより、多少言葉が変わっても意味が通じる形で整えてくれる点が好みだと語ります。
一方で、いったん考える時間が生まれるぶん、サクサク会話するときには一呼吸待つ感覚があるとも話します。それでも今のところ大きなストレスは感じていないとのことです。
音声入力の選択肢は、大きく3つに整理して語られました。
日本語の認識精度が高く、意味を保って整形してくれる。処理はオンラインで行われる。
セキュリティ面では有利だが、日本語の認識精度が上がりにくいと2人は感じている。
自分の声とアバターを、業務にどう活かすか
桺本さんは、自分の声とAIアバターを組み合わせた発信も試しています。
1時間から1時間半ほど自分の音声を入力すると、抑揚まで含めてかなりの精度で声を再現できると言います。それをHeyGenのAIアバターと組み合わせ、スライドに合わせた説明動画を自分の声で作れると話します。
小平さんは、この仕組みが電話の一次対応に使えそうだと反応します。桺本さんも、問い合わせ電話への対応はすでに実現できるレベルだと応じ、アメリカでカスタマーサポート系のAI企業が急成長している例にも触れました。
どんどん人間がいらなくなっちゃうなっていうのは。
AIは人を減らすためではない、と社員に言い切る
小平さんは、社員の不安にどう向き合うかという話へ進みます。人件費とAIエージェントの費用が並べて語られる時代が来ている、という桺本さんのSNS投稿にも触れながら、全社集会で伝えたメッセージを紹介します。
自社の強みはお客さんと話す時間やコミュニケーションの多さにある。だからこそ書類作成や法令対応をAIに任せ、お客さんに向き合う時間を増やすためにAIを使うのだ、という説明です。
人を減らすというわけではない。自分たちの価値をさらに上げるためにAI使うんだっていうメッセージを言い切るっていうのは結構大事だなと。
このメッセージを出したところ、社内の理解度がすんと上がった感覚があったと言います。桺本さんも、新たな仕事をきちんと見つけて任せることの重要性を補足します。
具体例として挙がったのが電話番でした。1人だとトイレや昼食に行けないため事務所に2人置く、という慣習は、AIサービスと組み合わせれば見直せると小平さんは話します。深夜やランチ時間帯の対応も任せられるためです。
SNS発信は、どこをAIに任せると伸びるのか
続いて、SNS発信でのAI活用に話が移ります。桺本さんはClaudeCodeとTypefreeを使い、Xの投稿を大量に作っていると言います。
ラジオやnoteの更新時にリンクを貼る連続投稿や、定期的な自動リポストが地味に効いていて、インプレッションが増えると2人は口をそろえます。
経営者でSNS発信してる人は、ClaudeCodeとTypefreeは絶対使った方がいいなと思いますね。
桺本さんは、AIの最新情報をキャッチアップして引用ポストを作る工程もClaudeCodeで自動化していると話します。動画付きなら必ず1投稿目に動画をつけるといった条件分岐まで仕組み化しているそうです。
一方で、何をAIに任せるかは使い分けが必要だという整理も出ました。自分の考えを出す投稿は自分で書き、企業のサービス紹介や公式寄りの発信はAIで伸ばすといった具合です。
発信媒体によって整形の効き方が違う、という観察も語られます。
すっと頭に入る文章のほうが、いいねやリポストがされやすい。AIで整形したポストは伸びる傾向がある。
表記に揺らぎがある文章のほうが伸びる傾向があり、その場で書き直すことも多い。
さらに桺本さんは、Xで伸ばそうとするなら、AIが仕事を奪うという話よりも、DXしても中の人の給料は上がらないといった、中の人に寄り添う投稿のほうが反応が来やすいと指摘します。
ただし、そもそも伸ばす必要があるかは別だとも付け加えます。自分の考えをつぶやくだけで十分だという立場です。
ClaudeCodeの全社利用で起きた「創造性の爆発」
小平さんは、Xで伸びた自身の投稿として、IT事業部でClaudeCodeの利用を義務化したら創造性が爆発した、というものを挙げます。
IT事業部とバックオフィス部門で利用を進めた結果、これまで開発リソースがネックでできなかったことを社員がどんどん作り始めたと言います。
やってみたみたいなチャンネルがあるんですけど、AIでやってみて、それが毎日バンバン出てくるっていうのがすごく面白いですね、今会社。
バックオフィスでも動きがあります。基幹システムをマネーフォワードに切り替えるのに合わせ、経理担当が部署に応じた販売管理システムを自作しようとしている、という具体例が語られました。
導入時の障壁について問われた小平さんは、社内ルールを設計していると答えます。セットアップ時に読ませるプロンプト、セキュリティ系プラグイン、エンジニアチームで話し合って作るGitのルールなどです。
さらに、デザイナーが作ったdesign.mdを部署ごとに展開する取り組みも紹介されます。マルチカンパニー制に合わせ、部署ごとのテーマカラーに沿ったdesign.mdを用意しているそうです。
部署ごとにdesign.mdを作るみたいなのは初めて聞きましたね。
スライドとレガシー再構築、AIの「勝ち筋」
話題はスライド作成に移ります。小平さんは、ほぼClaudeCodeで作っていると言います。HTMLで出力したり、MCPでつながったCanvaに図を差し込んだりする方法です。
全体の構成や文字は自分で組み、分かりやすい図やイラストをClaudeCodeにHTMLで作らせて差し込むのが多いパターンだと話します。
桺本さんはスライドの最適解がまだ見つかっていないと言いますが、小平さんはデザイナーが作ったスライド用のdesign.mdでクオリティが一段上がったと手応えを語ります。
下地には、公開されたデジタル庁のデザインシステムを読み込ませて作ったdesign.mdがあり、これがよかったとのことです。
そして、この回でとりわけ熱を帯びたのがレガシーシステムの再構築の話でした。誰も触れなくなった何十年も動く古いシステムを、ClaudeCodeで解析してリバースエンジニアリングし、モダンなサービスに作り替える。そこに大きな需要があると小平さんは言います。
今2本か3本かやってんだけど、めっちゃ成功してて。
鍵になるのは、業務知識やバックボーンの知識を持つベテラン層だといいます。小平さんは、AIを手にしたベテランが確変しているとして「Grey Hair with AI」という言葉を紹介しました。
フロントもバックも扱えるベテランなら、古いコードにClaudeCodeを流した結果を読み解き、どう実装し直すかを判断できる。若手には持ちにくい古いコードの知識が、ここで強みになるという見立てです。
桺本さんも、周りに同種の相談が非常に多いと応じます。「ここを直すなら100万かかる」と言われた専用システムを、まるごとPythonなどで作り替え、その後もAIでメンテナンスできる状態にすれば安く済ませられる、という話です。
Web2.0に乗り遅れてオンプレばかりやってきた会社が、ClaudeCodeを手にして急に価値が跳ね上がった、というのが今の熱い部分だと小平さんはまとめます。
2人は、AIの話は地方経営にも直結して面白いとして、定期的に取り上げていきたいと話しました。なお次回からは、出島戦略やデジタルマーケの戦略について掘り下げていく予定です。
まとめ
この回は、後継ぎ経営者2人がAIを個人と会社でどう使っているかを、試行錯誤も含めて率直に語り合う内容でした。ツール選びから社内導入、そしてレガシー再構築という新しい事業の芽まで、地方企業ならではの視点が並びます。
- ClaudeCodeを軸に、CodexやCanva、画像生成モデルなどを用途で使い分けている
- 音声入力はローカル処理を試したうえで、日本語精度と手軽さからクラウド系に落ち着いた
- AIは人を減らすためではなく、お客さんと向き合う時間を増やすためだと社員に言い切る
- ClaudeCodeの全社利用で、開発リソース不足で止まっていた社内の創造性が動き出した
- ベテランの業務知識とAIを掛け合わせたレガシーシステムの再構築に、大きな勝ち筋がある







