NotionAIでオンボーディングが倍速に。新入社員育成の実例
本編前の雑談として、AI推進室長でもある池田さんに最近のAIツールが話題として振られます。
この話膨らみすぎると本編を圧迫しそうだなと思うぐらいいろいろ語りたいんですけど。
池田さんが最近注目しているのはNotionです。3月に広報と人事で2人の新入社員が下に入ったため、オンボーディングに使い倒すトライアルをしているといいます。
使い方の核は、会社情報や過去の意思決定、第四創業期の3年半でやってきたことを、AIが判断できるコンテキストページとして用意しておくことです。それを新入社員向けに整えて渡しています。
人事担当のメンバーは、社内特有の単語が飛び交う会議で、わからない言葉をその場でAIに聞きながら議事録を取っているそうです。
AIとの対話で理解をしながら議事録取ってくれたりとかしてるんで、こちらの育成コストをかけずにキャッチアップをして、もう即戦力になってくれてるのは本当助かってますね。
新しい環境では単語を覚えるだけで数ヶ月かかることもあります。育成コストをかけずにキャッチアップできる点が、池田さんの実感する大きな効果だと語られています。
右腕探しは「結婚相手探し」。熱意とビジョンで口説き切る
本編は「どうやって右腕人材を探せばいいか」という問いから始まります。
これは結婚相手を探すのと一緒なので、いろんなルートもあるし、探し方もあると思っていて。
池田さんは、基本は熱意とビジョンで押し切るしかないと考えています。参考として、NewsPicksの元社長が編集者のドリームチームを作った事例を挙げます。
その元社長は、口説きたい人のリストを作り、全員にコンタクトして口説きまくったといいます。池田さんは「口説くのはタダだ」と続けます。
まずはこんな人はいたら理想だっていうのをちゃんと書き出して、自分に足りない部分を考えて書き出して、その上で人材リストを例えばAIに作ってもらって、それで一番上から徹底的にアタックしていく。
断られたら別の人を紹介してもらいに行く。これが今、現実的にいい方法ではないかと話します。ただし、相手の興味を引くビジョンや熱意、面白そうなプロダクトがなければ成立しません。
具体的な手段としては、その人に送るためのリンクをきちんと作れるかが鍵になります。加えて、副業サービスや地域図鑑のような仕組みで採用し、そこから引き込む方法もあると池田さんは挙げます。
柳本さんも、Facebookなどで10年以上かけて出会ってきた人たちを一度見直すだけでリストになると応じます。プロフィールサイトを作って送るだけでも印象が違うといいます。
網を投げるのは大事でも、一人ひとりへのアプローチは一本釣りで行くべきだと2人は確認します。
口説ける自分になっているか。出会う前の準備が先
小平さんは、恋愛や結婚相手探しとの共通点をさらに掘り下げます。
網を張っておくのもすごく大事なんですけど、この人だって人に出会った時に、ストレートに最大火力で口説けるだけの準備を自分として持っとくのは、経営者としては大事なんだろうな。
小平さん自身は、コビラが魅力的だから移住したのではなく、先に移住してきた組だといいます。その体験から、エリア全体としてどう訴求するかが重要だと考えています。
コビラにジョインするのはミクロの事象ですが、飛び込んで一緒に暮らすなら、周辺の暮らしや人のつながりもセットでその人の人生にやってきます。
どんなにコビラが素敵でも、周辺の人と反りが合わなければ移住もジョインもしないだろうと小平さんは指摘します。
鹿児島が今横で繋がって面で見せていってるのはすごくいいなと思うし、それがあったから鹿児島ならいいかなと思えた。
地域ぐるみの共同採用と、歴史を物語として編集する力
池田さんは、コビラが進める地域「井戸元」の開発にも、この地域に住みたいと思わせる側面があると話します。
この地域に住みたい、コミラという会社に関わりつつ井戸元楽しみたいなと思わせればもう勝ちなので。
うちの特殊条件だと断りつつ、地域の複数社で一緒に採用する共同採用の仕組みもいいと池田さんは挙げます。ある会社で合わなかった人材を別の会社で受け入れるような発想です。
柳本さんは、薩摩会議やオープンファクトリーのような試みも、地域に行くきっかけとしていいと応じます。
さらに小平さんは、正面から頼むと高額な外部パートナーが、価格を頑張って一緒にやってくれる背景を語ります。彼らはコビラを面白がってくれているといいます。
何が面白いか。それは積み重なった歴史の分厚さと、その重たさがありながら新しいことにも挑もうとし、両立させている点だと言われることが多いそうです。
歴史というものをちゃんと面白がってもらえるように物語として編集していくのはすごく大事だなと思ってんですよね。
どんなに優秀な人が集まったスタートアップでも、作ったばかりなら創業1年目にしかなりません。100年以上続いてきたというファクト自体が訴求要素になると小平さんは話します。
物語への投資は「利回りのいい投資」。理念を外に出すだけで人が来た
柳本さんは、歴史を伝えるコンテンツ作りが難しいと感じる会社が多いと投げかけます。
池田さんは、短期的にリターンにならない物語やデザイン、地域への投資は、実は利回りのいい投資だと考えています。
短期的にリターンにならない、物語とかデザインとか、地域のことに対して投資をするのは、実はすごく利回りのいい投資だと僕は思っていて。
デザインは20万から30万ほど、ホームページも有名な人に頼んでも1000万まではかからないといいます。それを通じて会社の魅力や伝え方を再編集してもらえるのが価値です。
古い経営者だと判断しづらい領域ですが、人的資本や物語資本へのリターンは大きいと池田さんは語ります。会社を1人で変えられるスペックのある人材が右腕の定義だといいます。
小平さんも、物語への投資は短期的にはリターンがないという固定観念があるものの、実際には人材獲得という意味でのリターンが思ったより早く来たと振り返ります。
コビラでは大王産業機のプロジェクトで理念経営に舵を切り、2020年頭に人事部を作ってミッションビジョンバリューをホームページや採用媒体に載せました。
2年で結局19人とか人が入社してくれて、当時80人弱だったんですけど。それまで来なかった人たちがちゃんと応募してきてくれたのは、理念をちゃんと作って外に出しただけっちゃだけなんですよね。
物語まで編集できていなくても、理念が核として形にあるだけで効いたといいます。物語や理念を言語化するところに投資するのは、初手として結構いいと小平さんは結論づけます。
中小企業だからこそ理念が刺さる。抽象化しないという強み
柳本さんは、大企業ほど理念を外に出さず、社内で使う用にとどめるケースが多いと指摘します。
池田さんは、大きい企業で複数事業をやると理念が抽象化してしまうと補足します。20個ほど事業があれば束ねきれず、抽象度の高い言葉にならざるを得ません。
一方、コビラも近い問題は抱えつつ、地方や暮らしという筋は通せます。理念を強く印象づけられるのは中小企業の強みだと池田さんは話します。
札束では勝てない。意味と意義、そして時間を味方につける
小平さんは、東京にいた身からすると、大半のローカル企業はお金の条件では戦えないと言い切ります。
お金とかの条件だと戦えないと思うんですよ。大半のローカル企業は。札束じゃ勝てないんで。
そこで訴求できるのが意味と意義であり、その根っこにあるのが理念と物語だと小平さんは考えます。
もう一つ、小平さんがコビラを選んだ背景には裁量と時間があります。人事の界隈にいた経験から、その重要性を語ります。
スタートアップは半年後のキャッシュが尽きたら終わるため、人事施策も半年で成果を求められます。しかし組織は半年では変わりません。
大企業に行けば歯車の一つにならざるを得ない。そのいいとこ取りができるのがローカル後継ぎだと小平さんは気づいたといいます。
外部資本入ってなくて、経営トップが決められて、積み上がったアセットはあるので、数年スパンで組織の施策打てる。
時間を味方につけた施策をやれることは、東京や大都市圏でコンサルをやっていた人にとって魅力になると小平さんは話します。
キャッシュ都合で半年で成果を求められる、または歯車の一つになりがちで、腰を据えた施策が難しい
外部資本がなく経営トップが決められ、積み上がったアセットもあるため、数年スパンで施策を打てる
コンサル・副業人材は狙い目。ただし泥臭さまで行けるか
柳本さんは、自社の副業マーケ人材を採用するとき、10人ほどと面談し、その半分がコンサル出身で同じことを言っていたと明かします。
上流の仕事しかできず、手触り感のある仕事がしたいという理由で副業を望む人が多かったといいます。
小平さんは、募集面ではそこが美味しいと見つつ、注意点も挙げます。
理屈先行型のタイプも多いので、ローカル来て理屈だけで戦うと大体全部上滑りして失敗しちゃうから。
泥臭いところまで行けるコンサル出身者が、右腕のポテンシャルマーケットとしてありそうだと小平さんは話します。
さらに、元ライフプランナーの目線として、ライフステージの変化も大事だと付け加えます。子供が生まれ、自然の近くで子育てしたいと思う人はいるといいます。
移住のハードルの一つは仕事です。自然の近くに移住でき、なおかつ面白い仕事があるなら飛び込んでみようという人はいると小平さんは考えます。
働き方はお金がかからない。環境整備が地域での差別化になる
池田さんは、社内の規則も採用に効くと話します。コアタイム付きフレックス、副業OK、フルリモートOK、リモートワーク支援の福利厚生などを導入しています。
最近入った優秀な社員が、そうした制度を見て「社員を大切にしてくれる会社だ」と感じたと語っていたそうです。
福利厚生はお金かかったりするけど、働き方はお金かかんないんで。
DXを進めて働き方を変え、AIの申請もどんどん通す。残業代が1時間減れば元が取れるという発想です。
一方で、基礎的な環境が整っていないリスクも池田さんは指摘します。
GoogleWorkspaceもない、違法なExcelとWordしか使ってないパソコン渡されたら、その日のうちに辞めるんで、多分。
小平さんは、その基礎的なところが整っているだけでも、鹿児島というマーケットでは大きく差別化できると応じます。上位何パーセントかという話になるといいます。
一回断られても口説き続ける。タイミングは向こうからやってくる
話題は、副業から巻き込むのが王道だという前提に戻ります。小平さん自身はエイヤで飛び込んだクチで、副業でパフォーマンスを出すのは難しい側面もあると振り返ります。
柳本さんも右腕人材を探し続けていると明かします。アナテック・ヤナコの家業ではまだ継ぎではなく取締役の状態のため、右腕を入れるタイミングではないといいます。
それでも、右腕になり得そうな人とは3、4年ほど毎年会い、毎年誘い続けているそうです。
この人っていう人にコンスタントに、一回断られようが、口説き続ける、しつこく口説く、大事ですよね。
相手側もライフステージが変わることで、状況が動く瞬間が来ます。小平さんは自身の移住の経緯を例に挙げます。
移住のハードルの一つは妻の仕事でした。コロナが来て第2子を妊娠し、満員電車での通勤に違和感を覚え、妻が転職または独立を考えたことがきっかけで移住OKになったといいます。
本人の理由ではない家族の理由とかでハマってOKになる瞬間も来ると思うんで。そのためにもコンスタントに口説き続けるっていうのは大事な気はしますね。
柳本さんが誘っている相手は、東京で会社を経営している人です。中途半端な人材ではなく、これまでやってきて自分と合う人を呼びたいため、妥協せず無理を承知で誘い続けているといいます。
小平さんは、優秀な人が社長を務める会社ごと買って一緒にやるパワープレイができたらいいと話します。海外の大手企業が採る手法にも通じる発想です。
池田さんにとって右腕とは。胆力、信頼関係、俯瞰する視点
クロージングとして、池田さんに「右腕とは何か」が問われます。前回まで右腕にはいろいろなタイプがあると話してきましたが、共通して求められるものを3つ挙げます。
1つ目は胆力です。火事場経験のように、外側からの理屈だけでなく、どんな修羅場をくぐってきたかが大事だといいます。
ピンチの瞬間もいろいろありましたけど、そこでも腹くくって一緒にやれる胆力は大事だなと思うと。
2つ目は経営者との信頼関係です。表面的な条件ではなく、この人となら修羅場をくぐっても一緒にやっていけると思えるかどうか。お互いにそう思える関係が必要だといいます。
3つ目は組織を俯瞰する視点です。CFO的なファイナンスの専門性があっても、他が見えなければ経営の視座には立ちづらいと池田さんは話します。
柳本さんは、この3回の話が右腕を探す人にも右腕になりたい人にも役立つものになったと締めくくり、池田さんへの感謝を述べます。
ローカル後継ぎ企業の右腕とかほんと面白いフィールドだと思うんで、もっとみんなチャレンジする人増えたらいいなと思ってます。
まとめ
右腕人材探しは結婚相手探しと同じで、網を張りつつ一本釣りで口説き続けることが基本です。札束で勝てないローカル企業だからこそ、理念と物語、時間を味方につけた裁量、整った働き方という「意味と意義」で訴求できると語られました。
- 右腕は「いい人いないかな」では取れない。リストを作り、一人ひとりを最大火力で口説く
- 物語やデザイン、理念への投資は利回りが高く、理念を外に出すだけで応募が変わる
- 札束で勝てない分、意味と意義、数年スパンの裁量、整った働き方で差別化する
- コンサル・副業人材は狙い目だが、泥臭さまで行けるかが鍵になる
- この人と決めた相手は、一度断られてもライフステージの変化を待ちながら口説き続ける







