コテンラジオがアニュアルレポート2025の予約販売を開始──歴史データベースとボードゲームの現在地
深井龍之介さん、樋口聖典さんらが出演する歴史を面白く学ぶコテンラジオ(COTEN RADIO)が、全活動をまとめた冊子「アニュアルレポート2025」の予約販売を開始しました。これまでクルー(サポーター会員)にのみPDFで配布していたレポートを、初めて紙版で一般販売する試みです。送料込み1,500円、予約期間は2週間限定。歴史データベースの最新動向やボードゲーム開発の背景など、普段のPodcastでは語られない活動の舞台裏が明らかになります。その内容をまとめます。
アニュアルレポート2025とは
コテンは2022年から、年間の活動をまとめたアニュアルレポート企業や組織が一年間の活動内容、財務状況、成果などをまとめた報告書。年次報告書とも呼ばれ、株主や支援者への情報開示の役割を果たす。をクルー向けにPDFで配布してきました。2025年版では新たな試みとして、クルーでなくても購入できる紙版を期間限定で販売します。
価格は送料込みで1,500円。予約期間は約2週間と短く、受注生産の形を取ります。発送は2月中旬から3月にかけて順次行われる予定です。深井さんは「物を売ってる会社でもないから体制も整ってないし、どれぐらい売れるかわからない」と語り、今回は需要を見極める実験的な位置づけのようです。
深井さんは「形に残るものをほとんど作ってない。グッズもすごい少量だった」と振り返ります。デジタルコンテンツが中心のコテンにとって、手元に残る紙の冊子は珍しい存在です。物質としての価値を求める声に応える形での今回の企画となりました。
充実の掲載内容
冊子には以下のような内容が盛り込まれています。
- この1年間の活動タイムライン
- 経営メンバー4人による座談会
- コテンが目指す方向性を示した戦略図
- 法人向け研修、人文地研究所コテンが設立した研究機関。歴史や人文学を現代社会の課題解決につなげる研究・実践活動を行う。、ジェンダーインクルーシブなど各事業の担当者インタビュー
- 歴史調査部門「ディオゲネス古代ギリシャの哲学者ディオゲネスに由来する名称。真理を探求し既成概念に挑む姿勢を象徴する。コテンの歴史調査部門はこの精神で史実を掘り下げる。」の最新調査テーマ
- 社内勉強会の開催記録
- 歴史データベースの進捗とAI時代における意義
- 開発中のボードゲームの現状
Podcastでは伝えきれない活動の全体像を、一冊にまとめて俯瞰できる内容です。深井さん自身も「こんだけ近くにいる僕でも一覧できるのはなかなかない」と語るほど、普段は個別にしか見えない各事業を統合した構成になっています。
歴史データベースの重要性──AI時代だからこそ
深井さんは「AIが出たことによって、コテンのデータベースって意味あるの?という意見もちょいちょい見る」と明かします。しかし結論は逆でした。
むしろあるよ。AIがあるからこそデータベースの重要性がより伝えやすくなったよって思ってます。圧倒的に重要性がわかりやすくなった。
AIが普及すればするほど、その学習元となる高品質なデータの価値が高まります。深井さんは「取り出しやすいデータがある、取り出す部分がAIができるようになってくるってことは、まとまったデータが必要ってこと」と説明します。つまりAIは検索や要約のインターフェースとして優秀ですが、その背後に信頼できるデータベースがなければ意味がないのです。
深井さんはさらに踏み込んで「究極AIのためのデータベースである必要がある」とまで語ります。コテンの各事業は「データベースを作るための手段にもなっている」といい、人文地研究所やジェンダーインクルーシブなど他の活動も重要ですが、「それを圧倒的に凌駕する超重要な事業としてのデータベース」という位置づけです。
これまでは「サービスとしてどうなるんですか?マネタイズどうなるんですか?」と聞かれ続けてきたそうですが、AI時代の到来によって「それを凌駕する重要性が改めて理解されやすくなってきた」と深井さんは実感しています。アニュアルレポートでは、このデータベースが今どんな状態にあり、どこに向かおうとしているのかが詳しく語られるとのことです。
ボードゲーム開発──疑似体験で伝える人文知
コテンは現在、深井さんの弟であるタイヨウさん、チヒロさんらとともにボードゲームを開発中です。深井さんは「なんでこんなことになったんやろ」と笑いつつも、このプロジェクトには明確な意図があります。
「ポッドキャストで伝わらない層がいる。耳学や座学で伝わらない感覚がある」と深井さん。特に子どもなど、まだPodcastを聞いて理解するのが難しい層に、人文知を届ける手段としてボードゲームは「最も優秀なのではと思ってる」と語ります。
体験から学ぶ力
深井さん自身、趣味でボードゲームを遊ぶうちに「世界をシミュレーションできる」と感じるようになりました。たとえばカタンドイツ生まれのボードゲーム。資源を集めて開拓地や都市を建設し、勝利点を競う。交渉や戦略が重要で、世界中で愛される名作。をプレイすると「第一次世界大戦をやってる各国の気持ちがわかる」という気づきがあったそうです。
疑似体験を通じて人文知の大切さとか、人文知を通じ気づいてほしい無知の知であるとか、そういうものを知らせる、ものすごく優秀な手段なんじゃないか。
座学では得られない「身体的な経験的学び」がボードゲームにはあります。コテンは研修でもこうした体験型の学びを取り入れていますが、ボードゲームならより広範囲に届けられる可能性があります。
深井さんは「ポッドキャストと、もう一つ、実は二大柱ぐらいまでいくと面白い」と展望を語ります。ビデオゲーム開発は余力がないものの、ボードゲームなら実現可能。「コテンゲームス」と呼ばれるこのプロジェクトは、少ないリソースの中で「苦悶しながら」も本気で進められています。
実験的な企業としてのコテン
深井さんは「コテンという会社は、資金調達の仕方からマネタイズの方法からかなり実験的なことをやってる企業だと思ってる」と語ります。そして「実験的なことをやってるんやったら、ちゃんと実験レポートを社会に還元した方がいい」と続けます。
今回のアニュアルレポートは、まさにその「実験レポート」です。ただPodcastで語るだけでなく、冊子として記録を残す意義があります。深井さんは「もし全然売れなかったら、もう多分やめると思います。ニーズねえんだつって」と笑いますが、それもまた実験結果。売れても売れなくても、そこから学びがあります。
これだけ多様な活動をしながら、深井さんは「分散しすぎないように超気をつけながらやってます」と強調します。選択と集中を意識し、「我々しかできないクリティカルなこと」に絞り込む姿勢は一貫しています。
また深井さんは「毎年出して、定点的に成長を見てもらう」ことにも期待を寄せます。単年の報告にとどまらず、継続することで変化の軌跡が見えてくる。それはコテンという実験的な組織の成長記録そのものになるでしょう。
まとめ
コテンラジオのアニュアルレポート2025は、活動の全体像を一冊に凝縮した初の試みです。歴史データベースがAI時代にこそ輝く理由、ボードゲームで疑似体験を届ける意義、実験的な組織としての歩み──普段のPodcastでは語り切れない舞台裏が明かされます。
価格は送料込み1,500円、予約期間は2週間限定。受注生産のため、興味がある方は早めのチェックをおすすめします。購入リンクは番組の概要欄やコテン公式サイトから確認できます。
深井さんが言うように、コテンは「実験的なことをやってる企業」です。その実験レポートを手に取り、人文知と社会をつなぐ挑戦の現在地を確かめてみてはいかがでしょうか。
- コテンが初めて紙版アニュアルレポートを一般予約販売(送料込み1,500円、2週間限定)
- 歴史データベースはAI時代にこそ重要性が増す──中立的で高品質なデータ源として
- ボードゲーム開発は「疑似体験で伝える人文知」の新たな柱に
- 実験的な企業としての活動記録を社会に還元する意義
