資本主義を形づくる6つの特徴とは?
資本主義シリーズ最終回の冒頭で、深井龍之介さんは株式会社COTENの今後を語る前に、第1話から第3話までの内容を整理し直します。樋口聖典さんは「難しかった」と率直に受け止めています。
第1話で深井さんが示したのは、資本主義の定義は経済学者や社会学者によってバラバラで、人類全体でのコンセンサスは得られていないという前提です。ただ、多くの本を読んだ結果、資本主義の特徴は6つに大別できそうだと整理していました。
1つ目は、市場経済を前提として成り立っていることです。2つ目は、その市場経済の上では、市場にとって良しとされる行動にしか報酬やインセンティブが出てこない仕組みになっていることです。
3つ目は、期待値が定量化されるという機能です。ただし定量化されるのは「お金が儲かる」という類の期待値だけで、社会が良くなる、あなたが幸せになるといったことは、社会的には定量化できていないと深井さんは指摘します。
4つ目は、資本が資本を増大させていく仕組みの強化です。中世にもあった動きですが、金融商品が大量に開発されたことで圧倒的に強化されたと説明されています。
5つ目は、持続的な成長を前提とした思想であることです。深井さんは、持続的成長は生産人口に比例するため、人々の意思だけではどうにもならない部分があると補足します。
人権思想の方が生まれたあの人たちの思想を使って考えると(出生は個人の勝手と)解釈できるであろうことが、資本主義の思想的なところから解釈をすると、生産人口を増やすことはとても世界にとっていいことになってしまう。
深井さんはこれを自分の思想ではないと断ったうえで、だからこそ出生率が社会問題として語られるのだと整理します。樋口さんが環境問題との関わりを挙げると、深井さんは出生率は環境問題に対してはマイナス因子として働いていると応じています。
6つ目が、資本主義は私たちのOSとして機能しているという点です。深井さんはこの発見をとても大事なものと位置づけています。
OSとして機能しているため、6つの特徴のうち1つだけを問題視して変えようとしても、おそらくそれだけを変えることはできません。生き方、社会システム、文化、慣習を包括していて、私たちから切り離して相対化できるシステムではないからです。
樋口さんが民主主義とも関わりがあると言うと、深井さんは、ポスト資本主義に移る過程では政治形態や政府、福祉、人々が幸せだと思う形までが包括的に変わっていくと予想されると話しています。
資本主義の議論を、なぜ今COTENが届けたのか
深井さんは改めて、4話にわたって資本主義の話をした理由を説明します。経営者や、社会で何かをやりたい人たちに会って話を聞くと、自覚の有無にかかわらず、ポスト資本主義に分類されるようなことを語る人がかなり多いと感じたからです。
ただ、社会学的・歴史学的・経済学的に資本主義を包括的に整理することは、普通の人はまずやりません。深井さんは、その知見を共有できれば、社会をこうしていきたいという人たちの動きがもっと洗練されるかもしれないと「傲慢にも」考えたといいます。
もう1つの理由は、深井さん自身が法人サポーターを展開するにあたって、まさにこの部分を整理したかったことです。樋口さんはこれを「一石二鳥」と表現しています。
第1話の振り返りでは、6つの特徴をもつ資本主義は、近代社会が出てきたときに近代的な概念として生まれたと整理されます。時間の概念や右肩上がりの成長の概念などがそれにあたり、お金を儲けたいという思い自体は昔からあったとされています。
お金を儲けたい人がポスト資本主義時代になくなるわけじゃないってことなんです。いるはずなんです、そこ(ポスト資本主義時代)にも。
深井さんは、変わるところと変わらないところを区別できると、今後の当たりをつけやすくなると話します。私有財産の概念や、あらゆるものに金銭的価値がついて商品化していくことも、近代の資本主義的なものとして挙げられています。
第2話は経済学から見た資本主義でした。経済学のメインの議論は、政府がどこまで経済に介入すべきかという点にあり、一部の経済学者や社会学者が資本主義のルーツや精神を論じてきたと紹介されています。
深井さんは、紹介した説が正しいかどうかを言っているわけではないと強調します。それぞれの見地から資本主義を見たとき、自分が今やろうとしていることと照らし合わせてどう解釈できるかを考えてほしい、というのが紹介の意図です。
第3話ではポスト資本主義を志向する人たちの思想を紹介しました。深井さんによると、そのほとんどは現在の資本主義がもたらした豊かさを否定していません。
一方でほぼ全員が否定していたのが、リーマンショック ── 2008年、米投資銀行リーマン・ブラザーズの経営破綻をきっかけに広がった世界的な金融危機。過剰なリスクを取った金融取引が背景にあったとされますのような金融資本主義のマネーゲームです。加えて、多くの人が資本主義を脅かす外的要因として環境問題を、一部の人が内的要因として「人々が幸せになれないこと」を挙げていました。
お金と幸せのズレは、社会をどう変えるのか
ここから先は自分の意見だと、深井さんははっきり区切ります。コテンラジオでは歴史を紹介するとき、自分の考えは「ちゃんとしたノイズ」になるため、普段は感想パート以外ではあまり言わないようにしているからです。
深井さんが考える資本主義の問題点の1つは、金融資本主義のマネーゲームにインセンティブがついてしまい、誰の幸せにも実際には寄与していない活動にブーストをかけるシステムになっていることです。
深井さんの感覚では、お金はある一定の値まではとても大切ですが、それを超えると自分にとっての価値が急に減ります。たとえば年収が1000万や2000万あれば、それ以上増やしても幸せにはあまり寄与しないはずなのに、さらに稼ぐことに自分と人のリソースを使ってしまうシステムになっていると話します。
もう1つの問題点は、市場が評価することを私たちも評価しようとするOSが、人々の実態とコンフリクトを起こし始めていることです。樋口さんが第3話の「美人投票」の話に触れると、深井さんはこれを受けて説明を続けます。
深井さんは、エビデンスのない自分の想像だと断ったうえで、先進国に住む人の1割か2割ほどは、お金があっても幸せになれないとすでに知っていて、お金を稼ぐ以外のところにリソースを振り始めているように見えると言います。転職者の動機や、若い世代の話からもそう感じるそうです。
担当者の人本人は、実はすでにそういう倫理でお金のために会社を動かすということは当たり前だと思いつつも、自分の人生単位ではそのように動くことに矛盾を感じているっていう状態がある。
一方で、みんながコンセンサスを得られるロジックは今も旧来の資本主義のほうです。新しく感じ始めたことで人を納得させようとすると、ものすごくコストがかかる。樋口さんはこの話に「めちゃくちゃわかる」と強く共感しています。
深井さんはここで、歴史から見た社会変革の挙動を持ち出します。システムが先に変わって人々の考えが変わるのではなく、先に考えが変わり、その後をシステムが追っていくという順番です。
一部の考えが変わる
ごく限られたコミュニティの少数の人たちの意識が変わる
実態が変わる
人々の行動や実態が先に変わっていく
システムが追いつく
その後を制度やシステムが追っていく
深井さんはフランス革命 ── 1789年に始まったフランスの市民革命。絶対王政が倒れ、人権宣言が出されるなど、近代の政治体制に大きな影響を与えましたや明治維新を例に、ほぼすべての社会変革が少数の人たちの考えの変化から起きていると話します。そこから見ると、すでにポスト資本主義への移行は始まっているように見えるというのが深井さんの見立てです。
株式会社COTENは、どう「非資本主義的」に成り立ってきたのか
こうした認識を前提に、深井さんは株式会社COTENの運営方針を語り始めます。樋口さんは「ここですよ」と身を乗り出します。
COTENも資本主義社会の中の株式会社で、賃金を払っている以上、お金を稼ぐ必要があります。ただ深井さんは、COTENの事業は特に当初はお金を稼げず、現時点の資本主義の論理では説明できないものだと判断していました。最終的には、データベースは稼げる事業になると考えているそうです。
そのため当初は、深井さんが他社の役員報酬として稼いだお金をすべてCOTENに回して運営していました。その後、個人サポーターからの収入や、講演、顧問、取締役の報酬も加わって成り立たせてきたといいます。
一事業単体で見ると(COTENは)成り立ってない。
さらに深井さんは、未来を語ることで投資家を集めました。投資家とは、COTENへの出資を金融商品としては見ないでほしいというメッセージを互いに確認しているそうです。
お金を稼ぐための投資ではなく、未来の世界をつくるための投資、あるいは面白いという意味での投資として出してほしい、という確認です。深井さん自身は、大きくして返すつもりはあると話しています。
もっと金儲けたいわっていう人が出してるわけじゃないんですね、コテンに対しては。
深井さんは、この時点でのCOTENは非資本主義的な成り立ち方をしていて、それはポスト資本主義的だとも考えていると話します。
ただ、資金はもっと必要です。コテンラジオの制作には実際に月400万円ほど、データベースの作成にも月数百万円がかかっていて、もっとかければもっと早く進むからです。深井さんは、それが人類に大きく貢献すると考え、自分で稼いだお金を流すほどの価値を感じていると言います。
広告も有料化もサロンも、ミッションと衝突する理由
リソースにはお金と人があり、人は啓蒙活動で集まりつつあります。けれども優秀な人ほど給料が高く、お金がなければ雇えません。深井さんはこの半年、資本主義的な稼ぎ方をいくつも検討したといいます。
深井さんは広告を今後やる可能性も十分あり、やらないと言っているわけではないと断ります。そのうえで、広告をやると市場経済の仕組みがそのまま当てはまってしまうと説明します。
COTENのミッションは、ブラッシュアップされた言葉で「メタ認知のきっかけを世界に提供する」です。200話以上の配信があるので、過去100話分ほどをアーカイブして聞けなくする有料化もでき、海外のポッドキャスターは実際にそうしていると深井さんは話します。
世界にきっかけを提供したいのにも関わらず、その機会を損失させることになるわけじゃないですか。維持させるために。
深井さんは、この矛盾は市場にとって良いことしか評価しない仕組みから生まれると考えています。そうでなければ、COTENの活動は全員にとって良い形で維持できるはずだというのが深井さん個人の考えです。
オンラインサロンも悪いことではないとしつつ、深井さんの時間を大きく使うため、データベースづくりの時間がなくなってしまいます。講演もCOTENの認知度が上がって単価が上がり、それで生きていくこともできそうですが、同じことが起きるうえに効率が悪いと深井さんは言います。
一回お金に変換してますからね。
樋口さんの指摘に、深井さんは、ダイレクトにデータベースを作れればいいだけだと応じます。検討した稼ぎ方とその問題点は、次のように整理できます。
| 手段 | できること | 問題点 |
|---|---|---|
| 広告 | 市場経済の中で収益を得る | 市場経済の仕組みがそのまま当てはまる |
| 一部有料化 | 過去回をアーカイブして有料にする | 世界にきっかけを届ける機会を損なう |
| オンラインサロン | 会員から収益を得る | 深井さんの時間がデータベースに使えなくなる |
| 講演 | 上がった単価で収入を得る | 一度お金に変換するため効率が悪い |
見返りなしのサポーター制度は、どんな社会実験なのか
これまで個人サポーターは、アーリーアクセスなどの見返りがあるような言い方で募ってきました。深井さんは、この放送の時点から「完全に振り切る」と宣言します。
振り切った結果、COTENが潰れそうになったら、いったん資本主義に戻して広告を復活させることも当然あり得ると深井さんは話しています。それでも、多くの人は心の中ではもうわかっていて、慣習的に突破できていないだけではないかと考えているからです。
深井さんには、経済学の見方への違和感もあります。経済学でも市場経済の変化自体は認知されています。ただ、人は自分の欲求のためにものを買い、リターンがなければお金を払わず、そうでないものは寄付だ、という概念は固定されたものとして扱われているように見えると言います。
そういう概念っていうのは社会のあり方によって規定されているので、平気で変わり得るものであり、かつ現代社会を見ていると、この変化の早い社会の中で変わらないことの方がおかしいはずだ
お金を払うことで自分に何が返ってくるかの捉え方が変われば、市場経済の性質自体が変わり、資本主義はポスト資本主義に移行していく。ここが深井さんの意見の核心です。
税金を課すなど、制度設計によって移行を目指す
ごく一部の人の意識が変わることで世界が変わる
この仮説を、深井さんはCOTENを使って社会実験したいと考えています。法人サポーターも個人サポーターも、お金の見返りは一切ありません。データベースづくりや、世界にメタ認知のきっかけを提供することに価値を感じる人が、それに対してお金を払う形です。
深井さんは、お金はとても大事なので、たとえば8割は自分の生活や自分のために使い、2割ほどを世界に還元するところに投資するのが、ホモサピエンスとして幸せになりやすい使い方ではないかと話します。倫理観ではなく生物としてそうではないか、という見立てで、比率は人によって違うとしています。
サポーターの金額は、法人サポーターが月5万円から、個人サポーターが月1000円からです。深井さんは、これは超自己犠牲で世界を進めるのではなく、ちょっとだけお金を払って世界が進むことに参加する喜びを感じてもらうための設定だと説明します。
それ(このお金の使い方)は確かに今の資本主義のシステムとか、今の一般的な論理ではおそらく説明ができません。だからこそポストなんです。
深井さんは、革命を起こしたいわけでも、右翼や左翼のような動きをしたいわけでもないと強調します。成功すれば、これまでリソースが集まらなかった世界に寄与する事業が増えるかもしれず、失敗してもみんなが次のステップを踏めるので「全員win-win」だという考えです。
いくつもの会社の役員として資本主義の中で生きている深井さんは、これがどれだけ異常なことを言っているかも重々わかっていると言います。それでも、見返りなしの法人サポーターを臆面もなく言う勇気がなかったものの、今回整理した理由によって言えるようになったと語ります。
わかんないけど、実験でちょっとやりたい。1年間ぐらいは俺はこれで耐えてみたい。
1年後に本当に潰れそうなら広告を入れると言うだろうし、そのときはなぜダメだったかを分析してシェアしたい、と深井さんと樋口さんは話しています。
15億円の想定と、すでに集まった6社
演説を聞いた樋口さんが冗談まじりに「なんぼや?」と尋ねると、深井さんの口から億単位の金額が出て、樋口さんは「クッソ資本主義や最後だけ」と笑います。深井さんは、金額の発言自体は6つの特徴のどれにも該当しないから資本主義ではない、と切り返しています。
現実的な数字として、深井さんはデータベースをみんなの役に立つ形で提供するには15億円ほどが必要だと想定しています。5億かもしれないし25億かもしれないが、計算すると15億円ぐらいだという見立てです。
サポーターの申し込みは、COTENのホームページや番組の概要欄にリンクが置かれます。放送前の時点で、近しい人や声をかけてくれた人に話をし、すでに6社が法人サポーターになっていると深井さんは明かします。
樋口さんが、建前上もリターンを期待せずに払うことが大事なのかと尋ねると、深井さんはCOTENに関しては建前上も実質上も今の話をすると答えます。ただ、各社の社内稟議では「価値がありそうだ」という形で通してもらうことになるだろうとも話しています。
世界がまだそうなってないからね。それはその革命期、すべてで同じことが起こってるよね。
深井さんは、見返りをうたうバージョンとうたわないバージョンには大きな違いがあると話します。アーリーアクセスがあると言えば「アーリーアクセスがあるから」という話になってしまうためです。アーリーアクセスは消さないものの、それを目的にする人はやめたほうがいいと深井さんは言い切ります。
一方で、サポーターへの感謝の気持ちは本当にあり、進捗報告をたまにしていきたいと深井さんは話します。法人サポーターになれる先駆的な考えの人たちで年に1回でも集まれたら面白そうだとも語りますが、それが目当てになると「いたちごっこ」になるので期待はしないでほしいと念を押しています。
贈与と時間の概念から、資本主義シリーズを振り返る
本編のあと、全4回の資本主義シリーズを3人で振り返ります。楊睿之さんは、資本主義は悪者にされがちで、OSに乗っているからこそ得体の知れない怪物と暮らしている感覚に陥りやすいと話します。
僕たちにたくさんの恩恵も与えているし、けど同時にダメージも与えてくると。ごく普通の社会システムというか。
楊さんは、どのOSと暮らしても恩恵とダメージの両方があり、それが整理できたのがよかったと振り返ります。そのうえで、今回は触れなかった人類学の贈与 ── 見返りを直接求めずにものを贈る行為。文化人類学では、贈り合いが人間関係や社会を結びつける仕組みとして研究されてきましたという概念を持ち出します。
資本主義社会では、ものを手に入れる方法が基本的に市場での交換しかなくなりました。一方、前近代的な社会ではものを贈り合っていた、と楊さんは説明します。
皆さんが株式会社コテン(COTEN)に贈与する、贈り物をする。僕たちはただ受け取るだけで、その贈り物は返さないんだが、僕たちは僕たちでまた別の贈り物を社会に還元していく。
データベースやラジオという形で社会に返したものが、巡り巡って贈った人のところに何かとして返ってくる。楊さんは、法人サポーターの仕組みを単純な交換ではない循環として捉えられると話します。
サポーター
株式会社COTENに贈り物をする
株式会社COTEN
受け取った贈り物を、データベースやラジオとして社会に還元する
社会
巡り巡って、贈った人のところに何かが返ってくる
樋口さんは、第1話の時間の概念の話につなげます。自分の外に時間が流れているという概念を得て長期で考えられるようになったはずが、かえって近い未来の自分に意識が向き、時間のスパンが短くなった感覚があるというのです。
樋口さんは、浅い知識だと断りながらゲーム理論 ── 複数の主体が互いの行動を読み合いながら意思決定する状況を、数学的に分析する理論。協力と裏切りの選択などが代表的なテーマですに触れ、全体で見れば与えたほうが幸せになるという感覚を人間は本能的に持っているのかもしれないと話します。楊さんも「そうかもしれない」と応じています。
樋口さんはさらに、マルクスやアダム・スミスだけでも大学4年分になる話を数時間で聞いたので完全な理解は難しいとしつつ、マップが大まかにつかめ、1つ上のレイヤーから俯瞰できるようになったと語ります。
国がどれだけ経済に関与すべきかという議論も振り子のように揺れ、思想家はその時々の社会情勢に強く影響されていた、と樋口さんは振り返ります。社会構造の外に出ないと今の社会構造は認識できないこと、その中でのCOTENの立ち位置まで含めて、メタ認知が進んだと話しています。
飲み会から始まったCOTENと、企業家としての深井さん
続いて、楊さんにあたる話者が、深井さんとの出会いを振り返ります。3〜4年前、共通の知人の飲み会で、みんなが飲む中1人だけMacBookを持ってプレゼンして回っていたのが深井さんだったそうです。よくわからないまま誘われて一緒に始め、4年経った今も楽しく面白いと話し、COTENと関わることで聴き手も面白さや楽しさを得られるかもしれないと語っています。
樋口さんは、コテンラジオ自体も飲み会で出会い、楽しいと言って始まったもので、始めたときは利益を一切求めていなかったと話します。深井さんも、出発点が資本主義的ではなかったと応じます。
深井さんは、資本主義には利用しようとする、コントロールしようとする、テイクしようとする性質が出やすいと言います。それでも自身はベンチャーやスタートアップで資本主義の恩恵を大きく受けてきたので、否定する対象とは思っておらず、他のOSで生まれたいとも思わないと話します。
深井さんが感銘を受けたのは、中川さんの「社会にも人類にとってもいい形での利益を出すことにコミットする」という言葉です。利益を出すのは簡単でも、誰も不幸にせず利益を出すのは難しい。だからこそ深井さんは、社会と人類にとっていい形でしか利益を出さないことに企業家としてコミットしたいと語ります。
社会と人類にとっていい形でしか、このメタ認知領域で利益を出さないと。それすごい楽しい。
樋口さんは、この話を自我をどこまで広く捉えるかの話に似ていると受けます。個体なのか、家族、会社、地域、人類全体なのか、という捉え方の違いです。
すると深井さんは、私生活では自我がとても狭く、すぐイライラするし自分勝手だと打ち明けます。そういう自分を理解しているからこそ、企業活動では人類に振り切りたいという欲求が生まれているのだろうと話します。
だって(深井さんは)ラジオ収録中にバクバクもの食ってストップしますからね。
深井さんも、収録中にUber Eatsが届いたり、音声チェックで自分のひどい言い方に気づいたりすると笑いながら認めます。そういう自分を克服したいのかもしれない、と締めくくり、最後に法人サポーターの告知をして資本主義シリーズは幕を閉じます。
まとめ
資本主義シリーズ最終回では、6つの特徴による資本主義の整理を振り返ったうえで、深井さんが自身の意見として、意識が先に変わればシステムが後を追うという歴史観をもとに、株式会社COTENで見返りなしのサポーター制度を試す構想を語りました。楊さんの贈与の視点や樋口さんの時間の視点も加わり、お金の払い方そのものを問い直す回になっています。
- 資本主義は6つの特徴をもつOSとして機能し、1つだけを切り離して変えることは難しいと整理された
- 深井さんは、お金は一定額を超えると幸せに寄与しにくいのに、市場の評価軸が人々の実感と乖離していると指摘した
- 広告や有料化、サロン、講演は、メタ認知のきっかけを届けるミッションやデータベースづくりと衝突すると判断された
- 制度設計ではなく一部の人の意識の変化で市場経済が変わるという仮説を、見返りなしの法人・個人サポーターで1年ほど試す構想が示された
- 楊さんは、サポーター制度を交換ではなく、社会を巡って返ってくる贈与の循環として捉えられると振り返った




