台本42ページ、準備2時間半。初のリモート収録で何が起きた?
コテンラジオのアメリカ編は、番組として初めてリモートで収録されたシリーズです。番外編の冒頭で、3人はまずその長丁場をねぎらい合います。
朝10時に始めて今19時38分ですから。
樋口さんは、本番当日まで台本をあえて見ないようにしているそうです。アメリカ編の台本をプリントアウトしようとして、A4で42ページもあると知って驚いたといいます。
深井さんとヤンヤンさんによれば、アメリカ編はいつも以上に多くの本を読まないと理解できなかったテーマでした。樋口さんは、一度に収録したシリーズの総尺としてもおそらく過去最長だと話しています。
さらにリモート収録ならではの苦労として、本番前の準備に2時間半ほどかかりました。一番時間を取られた原因は、メンバーの手元にあるマイクのスイッチがオンになっていなかったことです。
ちょっとしたコントだったよね。
リモート会議にも「礼儀」がある?相槌とマイクの話
ヤンヤンさんは、疫病の流行でリモートワークへのシフトが進んでいることに触れ、リアルの会議とリモート会議の感覚の違いや、気をつけていることを2人に尋ねます。
樋口さんがまず挙げたのは、会話の間合いの違いです。リモートでは0コンマ何秒かの遅延があるため、対面と違って言葉がぶつかりやすいと話しています。
深井さんは、リモートワークには独自の「礼儀」のようなものがあると感じています。全員が顔を出すこと、いつもより相槌をはっきり打つことができていれば、会議レベルならだいぶ慣れてきたといいます。
例えば顔出してなくて、返事もしてなかったら(相手は)聞いてるかどうかさえ分かんないわけ。
樋口さんは、外にいる人がマイクのオンオフを切り替えないと雑音が入り続けるといった例を挙げ、慣れないとわからない文化ができつつあると話します。そこから深井さんは、マイクそのものの重要性を強く訴えました。
マイクみんな買った方がいいよ、絶対。ちゃんとしたやつ。
で、その自分が喋る音質がどういう風に聞こえてるかちゃんと確認した方がいい。
ヤンヤンさんは、普段から相手の言葉を拾うコミュニケーションをしていない人には、リモートの礼儀もすぐには身につかないのではないかと疑問を投げかけます。
これに対して深井さんは、リモートになった瞬間にルールが変わったのだから、気をつけるしかないと答えます。対面なら頷くだけで済んだことも、リモートでは返事が必要になり、人数の多いイベント形式なら逆に相槌は邪魔になってチャットで反応すべきだといいます。
音声とチャットの二本立て、ルールは誰が作る?
樋口さんは、リモート会議では声で進む議論とは別に、チャットでもう1つの話題が進むことがあると指摘します。同時に喋れる人数は限られるので、他の参加者はチャットで反応する、という使い分けが重要だと話しています。
深井さんは、チャットの重要性に同意したうえで、会議の規模やスタイルによってもルールは変わると続けます。議論する会議、情報共有する会議、何かを一緒に生み出す会議といったパターンに分けて、ルールを明文化するとよいという考えです。
結構そこまでやったら普通にみんなそれに従えばいいだけなんで、結構楽だと思いますね。
樋口さんは、多くの人が参加する画面共有の講習会を例に出します。ファシリテーターが「全員ミュートにして、意見はチャットに書いてください」「発言者は私が指名するので手を挙げる機能を使ってください」とルールを示すと、場がスムーズに進むといいます。
樋口さんの見立てでは、今はそれぞれがよいと思うやり方を発明している段階です。ネット上にもZOOM会議のファシリテーションのノウハウまとめが出てきており、いずれ流派ができて淘汰されていくだろうと話します。深井さんは、そうしたルールは数ヶ月で確立されると予想しています。
アイコンタクトと雑談、オンラインで失われるものは何か
ヤンヤンさんが、組織がリモートワークを導入するときにつまずく原因を尋ねると、樋口さんは2つの点を挙げます。1つ目は、視線が画面の正面に固定され、アイコンタクトが取れなくなることです。
コテンラジオの対面収録では、真ん中に座る深井さんが話しながら首を振るだけで、ヤンヤンさんに「次はあなたの番」と自然に伝わっていたといいます。リモートでは同じ合図が使えません。
ずっと真正面向いてる画面がパパパってあるだけなんで。
ヤンヤンさんは、発言のタイミングをいちいち言葉にして渡さないと入りにくくなり、非言語コミュニケーションがオンラインでは難しくなるとまとめています。
樋口さんが挙げた2つ目は、会議の前後にあった余白です。リアルの会議では、始まる前にコーヒーやタバコを片手に雑談し、終わった後も「最近どう?」と残って話していましたが、オンライン会議は終われば即解散になります。
首の向きで発言者を促せる。開始前や終了後に雑談の時間が自然に生まれる
視線が正面に固定されアイコンタクトが取れない。区切られた時間だけのやり取りになり雑談が生まれにくい
深井さんは、雑談ができなくなることによる業務上の弊害は非常に大きいと強調します。ヤンヤンさんも、雑談の総量と組織のパフォーマンスにはかなりの相関があるというデータを紹介しています。
深井さんによれば、雑談がないだけで信頼関係は崩れていきます。人間は社会性のある動物として、そういう機能を持っているのだろうと話しています。
顔を合わせると仲良くなる。リモートワークの「幻滅期」は来るのか
樋口さんは自身の会社ブックでの経験を語ります。東京と福岡県の田川の2拠点に分かれ、3年ほどリモートで会議をしてきましたが、田川で顔を合わせて働くようになってからのほうが、断然仲良くなったといいます。
人間って判断基準の中にいい悪いだけじゃなくて、好き嫌いとか仲いい仲悪いって無意識のうちに絶対入るから。
樋口さんは、同じことを言われてもムカつくか納得するかは、親密度や信頼度に左右されると続けます。深井さんも、会っている頻度や共感した回数が大きく影響しているはずだと応じました。
そのうえで樋口さんは、コロナで一気に進んだリモートワークの今後を予想します。今は満員電車に乗らなくていい、音楽を聴きながら家で働けるといったメリットに沸いている時期で、徐々に弊害に気づき始めるのではないかという見立てです。
急速な導入
コロナをきっかけにリモートワークが一気に広がる
面白さに沸く時期
満員電車がない、家で音楽を聴きながら働けるといったメリットが目立つ
弊害に気づく時期
親密さや信頼が育ちにくいといった、時間をかけて表れる弊害に気づき始める
メリットは分かりやすいんですけど、弊害って分かりにくいというか、時間がかかるような気がします。
本当に難しいのは在宅勤務。子どもとストレス、コロナ離婚の問題
深井さんは、リモートワークの弊害は9割方解決できると考えています。雑談不足も、雑談できる新しい仕組みを作ればよく、新しい状況に果敢にトライする精神があれば十分対応できるという見方です。
深井さんがむしろ大変だと感じているのは、リモートワークではなく在宅ワークの問題です。保育園に預けられず、子どもと同じ部屋で働かなければならない状況には、今のところ解決策が思いつかないといいます。
その子供が話しかけてくることをコントロールするとかってさ、できないわけじゃん。
樋口さんは、すでに「コロナ離婚」がニュースになっていると話題を広げます。深井さんは、子どもが大好きでも仕事ができないことに強いストレスを感じる人は多く、責任感の強い日本人にはなおさら重いのではないかと話しています。
樋口さんは、適度な距離を保っていた夫婦がずっと一緒にいることで苛立ちが溜まる点も挙げます。深井さんは、外出しないことによる運動不足や、それが精神に与える悪影響も今後出てくるだろうと予想しています。
さらに樋口さんは、子どものストレスが親に連鎖していくという話を紹介します。2歳ほどの子どもを持つ樋口さんにとって、世界中でDVの割合が大きく上がっているという話はきついものだったといいます。
子どもが外に出られない
学校に行けず外で遊べず、運動できなくなる
子どもにストレスが溜まる
子どもが嫌がるようになる
親にストレスが溜まる
親も追い詰められていく
虐待・DVにつながる
世界中でDVの割合が上がっていると聞いたという
深井さんは、こうした問題を防ぐために、学問の領域でも企業家の側でも、この環境下でDVや虐待を減らすサービスを作る人が出てくるはずだと話します。樋口さんは、社会全体がアップデートを迫られている状態だと改めて感じているといいます。
コロナ禍の婚活はどうなる?アプリ婚と封建社会のような結婚
深井さんが一番気になっているのは、婚活をしている人たちの今後です。すでに知っている相手とならまだしも、これから相手を見つける人が、ワクチンができるまで2年ほどまともに外出できないとしたらどうなるのか、と問いかけます。
ヤンヤンさんは結婚率がさらに下がるかもしれないと話し、深井さんは家にこもることで出生率は逆に上がるかもしれないと返します。樋口さんの「婚活のデートでのチューは不要不急か」という問いに、深井さんは「必要ですね」と即答し、笑いが起きました。
やっぱりでもね、ちゃんとね、人に迷惑をかけないようにしないといけないですね。
深井さんは、感染の問題だけでなく、新しい人に会いづらくなること自体が婚活にどう影響するのかが気になると話します。ヤンヤンさんが出会い系アプリがもっと流行るかもしれないと言うと、深井さんはアプリ婚はこの5年ほどですでに増えていると指摘しました。
これに関しては予想がつきづらいという意味で面白いと思ってますね。
「100日後に結婚するヤンヤン」は実現する?
ヤンヤンさんが「自分が試してみようかな」と口にすると、深井さんは「100日後に結婚するヤンヤン」という企画を提案します。一度も会わず、顔も見ず、ZOOMで話すだけで結婚するという設定です。
すごいね、マジ(封建社会)の結婚みたいじゃない?
深井さんは、新しすぎて逆に封建社会のようになると応じます。話はアバター同士のバーチャル婚、結婚式で初めて相手を見て「その場で離婚」するかもしれない「結婚式離婚」へと、どんどん脱線していきました。
ヤンヤンさんは、樋口さんがすでに「100日後に結婚する樋口」のような形で結婚していることにも触れます。深井さんは、ヤンヤンさんもやればメンバーの3分の2が達成したことになると笑います。
深井さんは、まずはライトなアンケートとして、YouTubeのコメント欄やTwitterで「ヤンヤンさんとの結婚に興味がある人」を募ってみようと提案します。ラジオを通じてヤンヤンさんの人となりはある程度伝わっているので、相手も判断しやすいはずだという理由です。
一人でもいたら俺もうすげえ嬉しいかもしれない。
深井さんは、誰もいなくても、誰か来ても、たくさん来てもどの結果でも面白いと話します。リスナーからのリアクションを呼びかけつつ、ヤンヤンさんの締めで番外編は終わりました。
まとめ
初のリモート収録を終えた3人の雑談は、リモート会議の作法から雑談の価値、在宅勤務の苦労、コロナ禍の婚活へと広がりました。深井さんの考えでは、リモートの弊害の多くは工夫で乗り越えられますが、子どもとの在宅勤務のように解のない問題も残っています。
- リモート会議では遅延やアイコンタクトの欠如があり、相槌や顔出し、良いマイク、チャットの併用といった新しい作法が必要になる
- 会議の種類ごとにルールを明文化すれば、参加者はそれに従うだけで済むと深井さんは話している
- 雑談は心理的距離と信頼関係を保つ役割を持ち、オンラインでは意識して雑談の仕組みを作る必要がある
- 深井さんが本当に難しいと考えるのは、保育園に預けられず子どもと同じ部屋で働く在宅勤務の問題
- コロナ禍の婚活の行方は予想がつきづらく、話は「100日後に結婚するヤンヤン」企画のアンケートへと脱線した





