ホルモン鍋の後で乾杯、初の忘年会ライブは誰が出ている?
コテンラジオの忘年会ライブ配信は、福岡県田川市で昼間にラジオ収録を終え、名物のホルモン鍋で一杯やった後に始まりました。樋口さんは冒頭から「もうお酒入ってます」と宣言しています。
(今回は)1000人達成と、あとはもう今年1年間お疲れ様っていう回です。
配信はいつもの番組の挨拶から始まり、樋口聖典さん、深井龍之介さん、楊睿之さんがそれぞれ名乗りました。この日はふだん画面に映らない2人も加わっています。
1人目は、台本や構成を手伝っている作家の政光さんです。カメラに映るのは初めてで、収録現場ではいつもカメラの右側に隠れて時間の合図などを出しているといいます。
もう1人は、樋口さんの会社である株式会社ブックが運営する複合施設「いいかねPalette」のスタッフ、青柳航哉さんです。コテンラジオはふだんこの施設で収録されており、青柳さんは以前ゲストとして番組に出たこともあります。
青柳さんは楊さんの「質感」をしきりに語り、楊さんにキスしたエピソードまで飛び出して、会場は序盤から酔いの勢いに包まれていきました。
1つの回を10回以上聴くリスナーも?コメントで見えた聴かれ方
配信中は視聴者のコメントを読みながら進行しました。「普段ポッドキャストだから動画で見るのは新鮮」という声や、「各回を10回以上繰り返し聴いている」という声が寄せられています。
青柳さんは、自分は夜に寝落ち用として聴いていると明かし、樋口さんがそれを「古典ASMR」と呼んで笑いを誘いました。通勤中、運転中、夜中の家事の合間に聴いているというコメントも次々と届きます。
樋口さんは、家事をしながら聴いているという声が特に嬉しいと話しています。テレビにはできずラジオにできることは、ながら聴きができる点だという考えからです。
樋口さん自身も、番組を何度も聴いている1人です。収録にはほぼ毎回立ち会い、編集で2回ほど聴くため、世に出る時点で3〜4回は聴いていて、さらに車の中でも流しているといいます。
面白えから。(車で聴く時は)もうリスナーっすね。
ほかにも「コテンラジオのおかげで大学に合格した」「ヒトラーの回をきっかけに世界大戦を勉強し直した」「社内のイントラ掲示板で紹介した」「家事をしながら聴くためにBOSEの首掛けスピーカーを買った」といったコメントが紹介されました。樋口さんは、番組が興味を呼び起こしている点を喜んでいます。
1回の収録に15冊、深井さんと楊さんはどれだけ準備している?
「情報量が段違いで聴き応えがある」というコメントを受けて、樋口さんは視聴者にどうしても伝えたいことがあると切り出しました。深井さんと楊さんは、話す内容をすべて覚えているわけではなく、収録のたびに大量に勉強してきているというのです。
なんでかわかりますか?皆さんに楽しんでほしいからすよ。俺はね、当日それ聞くだけ。むちゃくちゃ楽。
1回の収録で読む本の数を聞かれた深井さんは、15冊ぐらいだと答えています。すべてを一から読むわけではなく、ざっと読んで大事なところを拾っていくやり方です。
樋口さんの目には大変な努力に映りますが、深井さん本人の感覚は少し違います。もともと好きで読んでいる本を、収録の期限があるのでもっと読んでいる、というくらいの感覚だといいます。
もともと好きで読んでるやつが、期限が決まってるからもっと読むぐらいになってる感じだけど、元が好きだから。
樋口さんは、ここまで歴史を愛し、それを仕事にして会社まで作っている人は人類に何パーセントいるのか、と2人の熱量に驚いています。
偉人が「教科書の人」から「漫画のキャラ」に変わるのはなぜ?
樋口さんは、ほかの歴史系のポッドキャストやYouTubeも聴いたうえで、コテンラジオが一番違うのは「抽象化してつなげる感覚」だと話しています。ある戦いを詳しく解説するコンテンツはあっても、2人と話していると人間とは何かが少しずつ紐解かれていくといいます。
青柳さんは、深井さんや楊さんが偉人を「こいつマジでクソ野郎なんすよ」と言い切る語り口を挙げました。汚い言葉ではあるものの、そう言われることで偉人が漫画のキャラクターのように身近になり、そのうえで「この時代はそれが普通だった」と背景まで説明されるのが面白いといいます。
お二人に出会って話す前までって、やっぱり(偉人は)教科書の人なんですよ。で、二人の話聞いてると、ほんと桜木花道、孫悟空、ガンディみたいな、そこに入ってくるんですよ。
深井さんも、歴史を人間を見る1つの切り口として伝えられるのが一番嬉しいと応じています。
参考文献を知りたいという要望には、楊さんが前向きに答えました。番組で話しているのはほんの一部で、自分たちの話し方も完璧ではないので、番組をきっかけに自分で勉強してもらうのが一番いいという考えです。
「樋口さんが歴史を知らないキャラなのがバランスがいい」というコメントには、樋口さん本人が、キャラではなく本当に知らない、世界史も日本史も取っていないと念を押しました。楊さんは、樋口さんの人間に対する洞察が深く、2人が歴史のフィルターを通して話すことを「樋口フィルター」で受け止めてくれるのがありがたいと話しています。
タイトルを全部ジャンプ漫画に?構成作家・政光さんの台本づくり
視聴者から「台本書きで重要視しているポイント」を問うコメントが届き、政光さんが答えました。深井さんと楊さんがほぼ完璧なプロットを作ってくれるので、それをベースにしつつ、ポップな要素を加えるように工夫しているといいます。
たとえば最近のアレクサンドロスのシリーズでは、アレクサンドロスがジャンプ漫画の主人公のようだという話から、各回のタイトルをすべてジャンプ漫画風にしたそうです。樋口さんは「絶対僕たちから出てこない」と評しています。
政光さんと樋口さんの縁は、吉本の養成所NSCにさかのぼります。樋口さんは芸人コース、政光さんは作家コースの同期でした。
樋口さんは昨年まで東京にいて、政光さんは福岡に戻って構成作家をしていました。樋口さんが福岡に戻り、コテンラジオを始めることになった時、構成は政光さんに頼もうと決めていたといいます。
ビジネスコンテストからキャナルシティの飲み会へ、3人はどう出会った?
コテンラジオの3人が出会ったのは、昨年の9月頃のことです。深井さんは「一昨年」と勘違いしかけますが、樋口さんは「長い歴史の中で見ればまだ初めましてですよ」と笑いました。
きっかけは福岡で開かれたビジネスプランのコンテストでした。樋口さんは自社のクラウドソーシングサービスで、コテンは歴史データベースの事業で応募しており、樋口さんの会社が優勝しています。
ただ、コンテスト後の祝賀会では3人は話していません。その場で知り合ったLINE社の方が樋口さんとコテンの2人を誘い、4人でキャナルシティの近くで飲んだのが本当の出会いです。
樋口さんによれば、楊さんが中国人だというところから話が始まり、話し出したら止まらなくなったといいます。2人は人前で話す仕事はほとんどしたことがないと言っていましたが、樋口さんは「これは世に出さないとやばい」と感じました。
ピチピチのマグロを、樋口さんはどう世に出そうとした?
樋口さんは、福岡から田川まで車で1時間かけて2人を連れてきて、無料でいいから一度スタジオでYouTube用に収録させてほしいと頼みました。最初の1本を撮った時点で「これもらった」と思ったといいます。
ピッチピチの素材、食材見つけたなって感じですよ、俺からすると。
一方で樋口さんは、居酒屋で2人の話を聞いた時に、よほど上手い料理人がいなければこの素材は腐ってしまうとも感じていました。使命感や責任感のようなものがあったと振り返っています。
樋口さんが避けたかったのは、腕のある料理人が自分の成功してきた味付けで唐揚げやマリネにしてしまうような出し方でした。2人をマグロにたとえ、どの素材でも同じ料理法で仕上げられるのは我慢できないと話しています。
料理人が自分の得意な味付けで、唐揚げやマリネのように加工して出す
醤油をちょんとつけるくらいで、2人の話をそのまま世に出す
俺はどれだけこの、醤油ちょんってつけるぐらいで、この二人を世に出すかっていうのは、ちょっと思ったっすね、最初は。
テーマ選びでも、樋口さんは「これは引きがあるか」より、2人が本当に話したいものを優先しているといいます。バイキングも一度候補に挙がりましたが、違うと感じたものは出さないという方針です。
番組が伸びてきた時期には、自分ではない人が関わったほうが良い形で出せたのではないかと悩んだこともあると樋口さんは明かしました。青柳さんが別れ話の決まり文句のようだと茶化し、今はもう何も考えず楽しんでいる、と話が締めくくられています。
九州大学の隣の研究室から10年後の飲み会へ、深井さんと楊さんの出会い
深井さんと楊さんの出会いが語られるのは、これが初めてだったようです。2人は九州大学文学部で隣同士の研究室にいて、深井さんは社会学、楊さんは比較宗教を学んでいました。
深井さんは当時から、一度見たら忘れないオーラを持つ楊さんのことを知っていました。Facebookの「知り合いかも」に何度も出てくるほど共通の知人も多かったものの、話したことはありませんでした。
それから10年ほどたった一昨年、深井さんの活動をよく知る知人が、歴史に興味のある人が多く集まる飲み会に連れて行ってくれました。その場に楊さんがいて、深井さんはすぐに「あの彼だ」とわかったそうです。
当時の深井さんは、パソコンを持ち歩き、歴史データベースの事業計画をいろいろな人に話して回っていました。楊さんもその話を聞いて「面白いね」と答え、週1回の打ち合わせから付き合いが始まっています。
僕が会社で大事にしてるのって、人類をより深く知るっていうミッションで、それがもっとしやすくなるような世界を作りたいなと思って。
深井さんは、そのミッションに対して共通の感覚を持っていることが、話しているだけで伝わってきたといいます。楊さんはそれを「音楽性みたいなもの」と表現しました。
とはいえ、関係はまだ新しいものです。小学生の頃から20年以上付き合いのある樋口さんと青柳さんに比べれば、3人の付き合いは20分の1ほどだと笑い合っています。
曲で返事をするエンジニアも?コテンの「ステルスメンバー」たち
青柳さんは、食事の席でコテンのメンバーの話を聞き、歴史の会社というより「普通に悪の組織」だと感じたといいます。楊さんも「基本もう社会不適合者ですもんね」と応じました。
深井さんが紹介したのは、AIの部分を作っているエンジニアです。Slackで仕事の指示を出すと、3日後ぐらいに歌詞のないインストゥルメンタルの曲で「今俺こんな気持ち」と返ってくるといいます。
それで俺も「そっか」つって。「OKわかった」って。そしたらちゃんと出来上がっていくっていう。
メンバーが集まり始めた頃、ネット上のドキュメントにそれぞれ経歴を書いて自己紹介しようとした時も、そのエンジニアは小説を書いてきました。抽象的な内容ながら、彼がどんな感覚で世界を受け取っているのかがよくわかる小説だったそうです。
ほかにも、歴史にとても詳しい橋本さんや、女性メンバーもいます。コテンには公式サイトに載っている人以外にもステルスのメンバーがいて、表に出られるのは今のところ番組に出ている人たちだけだといいます。
ジャンプのたとえから空海・女性の回まで、届いたリクエスト
再びコメントの紹介に戻ると、「楊さん眩しいです」という声が大量に寄せられました。「フランス革命の回を聴いた後、フランスのストライキの記事の見方が変わった」という声には、楊さんが「そういうのが一番嬉しい」と応えています。
楊さんは視聴者のリクエストに応えて、中国語で「いつもラジオを聴いてくれてありがとうございます」とあいさつしました。72歳のリスナーや、「タイムマシンに乗って見てきたような講談のような面白さ」というコメントも紹介されています。
樋口さんは、まだ配信前のアレクサンドロス大王の最終回が特に好きだと話しました。珍しく深井さんが感情的になる回で、電車の中で泣く人もいるのではないかといいます。
オープニング曲は樋口さんが作ったもので、樋口さんは映画音楽も手がける音楽制作のプロでもあります。リスナーからは空海、農業史、モンゴル帝国、応仁の乱、戦国時代などのリクエストが寄せられ、空海はどこかで取り上げる予定だと答えています。
女性の偉人を取り上げてほしいという声に対し、深井さんは、歴史では女性のデータが残っている人物が多くないものの、何人か有名な人物はいるとして、則天武后やエリザベス女王、クレオパトラの名前を挙げました。
採用についての質問には、深井さんが少しずつ募集を考えていると答えています。センター試験で100点以上という冗談を交えつつ、会議が世界史の知識を前提にしているので、知識がないと会議ができないというのが本音のようです。
「生きてるだけでいい」に救われた声と、1つの眼鏡で見ない歴史
樋口さんがピックアップしたのは、「深井さんが生きてるだけでいいと主張しているのに救われた。他の番組はやらないと価値がない感じで馴染めなかった」というコメントでした。
青柳さんは、偉人は必ずしも順風満帆ではなく、遅咲きだったり、失敗ばかりしていたり、実はクソ野郎だったりと、いろいろな人生があるので、多くの人が救われているのではないかと話しています。
今の歴史の語り方で多いのは、すごい過去の歴史を反省するか、偉人が前提という枠の中で歴史を全部押し込めようとするんですよね。
(偉人に学ぶのも)一つの歴史の勉強の仕方だと思うんですけど、そうじゃない仕方もあるし、それってこう、「自分の眼鏡で見ているだけよね」と思いますよね。
樋口さんは具体例を重ねました。インドを独立させ聖人のように讃えられるガンディーは家族を幸せにできなかったし、ヒトラーにも彼なりの正義感があったと、見る角度によってすべてが違って見えるといいます。
偉人に学べ、リーダーシップを学べ、という枠に歴史を押し込める
欠点や失敗も含めて人間を想像し、角度を変えて見る
楊さんは「歴史って本当複雑」で、1つの眼鏡だけで見るのはもったいないと話し、樋口さんは「眼鏡11個ぐらいつけた方がいい」と続けました。「個々人の生き様の集合体、連続が歴史だと再認識する」というコメントにも、青柳さんが深くうなずいています。
一方で樋口さんは、真剣に聴いてくれるリスナーが多いことに「怖っ」とも漏らしました。楊さんは、感情を強く刺激するテーマもあるので、今後どう扱っていくかを考えていきたいと話しています。天皇やヒトラーの回は怖かったものの、思ったよりちゃんと聴いてもらえていると樋口さんは受け止めています。
コテンラジオが言う「リベラルアーツ」とは何か?
樋口さんが知人から頼まれたテーマは、「リベラルアーツ」という言葉の意味がよくわからない、というものでした。青柳さんも、コテンの2人に会うまで聞いたことがなかったといいます。
深井さんによれば、リベラルアーツは一般には一般教養のような意味で使われがちです。一方、番組で使うリベラルアーツは、人間を理解するためにどういう思考回路を使い、何を学ぶか、という意味だといいます。
深井さんの説明では、学問は知識ではなく、世界をどの切り口から見るかで分かれているものです。数学は数字から、国語は言葉から、社会は社会的な切り口から世界を見ようとしていて、リベラルアーツはその切り口を包括して獲得しようという感覚だといいます。
今のこの時代に生きてて、一つの価値観だけにとらわれて生きるってめっちゃ生きづらいと思うんですよね。すごい軋轢が生まれるはずなんですよ、もうあらゆるところで。
楊さんはガンディーを例に挙げました。ヒンドゥー教徒のガンディーは、仏教や他の宗教もきちんと学んだといい、その姿勢がリベラルアーツに近いと話しています。
(相手の視線に立って世界を見る)姿勢がないのだったら、いわゆる原理主義っていうふうになるんですよね。
楊さんは、自分が切り取った世界がすべての正義だと考えれば、それにそぐわない相手は敵や悪になってしまうと続け、その対極にいるのがヒトラーだと話しました。
深井さんは、いい悪いの判断を消す必要はないとも話しています。大事なのは、自分が今信じていることが絶対の正解ではないかもしれないとわかっていることだといいます。
深井さんにとって歴史は、今の経験と対比できるからこそわかりやすい題材です。樋口さんも、人間は自分ではないものとの対比の中で初めて自分を理解できるので、違う時代や文化圏を見て初めて今の常識が理解できる、と応じています。
心地いい世界から飛び出すのはなぜつらいのか?現状維持機能の話
楊さんは、本当の意味で相手の立場に立って物事を見るのはとても難しいと話しました。人間は自分の好きな価値観や無理なく考えられる思考回路の中にいるのが一番心地よく、それは生物として正しいからです。
生物として、その心地いい環境から飛び出すというのは本来はつらいことなんですよね。ただ、あえてそれをやってみるっていうのが、今の時代で大切かなっていうふうに思いますけどね。
樋口さんは、ホメオスタシス ── 生物が体温や体内の状態などを一定に保とうとする性質のこと。日本語では恒常性と訳され、変化を避けて現状を保とうとする心の働きのたとえにも使われます、つまり現状維持機能について、自分なりの考えを話しました。
樋口さんのたとえでは、ある部族が赤いキノコしか食べてこなかった場合、青いキノコは毒かもしれないので、赤いキノコがなくなるまで食べないほうが安全です。今日まで生きてこられたのなら、変えないほうが明日以降も生きられるという理屈です。
しかし樋口さんは、言語や知の蓄積が乏しかった時代には正しかったその機能が、他人の失敗から学べ、数学や物理などの予測ツールもある今の時代には発展の妨げになっているのではないかと考えています。
昔の環境
言語や知の蓄積が乏しく、新しいものを試すのは命がけだった
現状維持の利点
いつもの赤いキノコだけを食べ続けるほうが生き延びやすかった
今の環境
他人の失敗から学べ、予測のツールも増えている
ずれ
社会の進化に人間の機能が追いつかず、現状維持が発展の妨げになる
熱弁を終えた樋口さんが「伝わった?」と聞くと、楊さんは「スイカが6個あるとして、食べたらお腹いっぱいになるやろ」と返し、話は笑いに包まれました。
1000人記念に楊さんは何をする?タトゥーからLINEスタンプへ
話題は、配信冒頭で約束していた1000人達成記念に戻りました。楊さんによると、コテン唯一の女性メンバーからは、英語で「Made in China」とタトゥーを入れるという案が出ているそうです。
ほかにも女装や育毛といった案が並び、樋口さんは育毛の様子を動画にする「ヤンヤンと失われた秘宝」というサブチャンネルまで思いつきました。
そこで樋口さんが「めっちゃいいの見つけた」と出したのが、歴史上の偉人の粗いコスプレをした楊さんの写真で、名言入りのLINEスタンプを作るという案です。12種類ほどで作れること、3人を引き合わせてくれたのがLINE社の方だったことも理由に挙げています。
深井さんは以前から、楊さんに丸メガネをかけて愛新覚羅溥儀 ── 清朝最後の皇帝で、「ラストエンペラー」として知られる人物。清を建てた女真(満洲)族の出身ですになってほしいと話していました。楊さんは、母親が溥儀と同じ女真族で、祖先が騎馬民族だと明かしています。
最終的に、スタンプのアイデアはTwitterやYouTubeのコメントでハッシュタグをつけて募集する方向でまとまりました。
吉田松陰からアレクサンドロスまで、番組はどこで火がついた?
樋口さんは、これまでの回の思い出話をしたいと切り出しました。深井さんが配信順に挙げたのは、吉田松陰、スパルタ、コミュニケーション史、天皇、始皇帝、諸葛亮、三大宗教の創始者、ヒトラー、フランス革命、ガンディー、アレクサンドロスです。
始めた頃はYouTubeのチャンネル登録者も少なく、数か月は伸び悩んでいました。樋口さんは、どこでどう火がついたのかまったくわからないと話しています。
深井さんによると、三大宗教の回で一度伸び、ヒトラーを経てフランス革命から上がり続けているそうです。樋口さんは、ポッドキャストのランキング20位に入ってから、いろいろなおすすめに表示されるようになったと見ています。
始めた頃
数か月はYouTube登録者もポッドキャストも少ない
三大宗教の回
一度大きく伸びる
ヒトラーの回
ポッドキャストでも聴かれ始める
フランス革命以降
ランキング入りをきっかけに伸び続ける
好きな回を聞かれた深井さんは、好きなテーマしか出していないので特にこれというものはないと答えました。ちなみに一番好きなのは諸子百家で、まだ本編ではやっていないそうです。
勉強していて一番つらかったのはヒトラーの回
楊さんにとって思い出深いのは、ヒトラーの回です。勉強していてつらくなったのはヒトラーの回だけだったといいます。
深井さんもつらかったと振り返ります。Netflixで「アウシュビッツ」や「ヒトラー」と検索すると、強制収容所の記録映像がたくさん出てきて、深井さんは実際の遺体が映るものも勉強のために見たそうです。
俺一応それ見ようと思って見たけど、まあもう本当に暗いっすよ。あれは確かに精神揺れたね。
楊さんも、焼かれた遺体の口から金歯を抜く場面などの資料を見たと話しています。樋口さんにとっても、ヒトラーは心を動かされた度合いで2位で、ポジティブに一番響いたのはガンディーだといいます。
未配信の「お金の歴史」は何がこれまでと違う?
深井さんが一番勉強が大変だったと話すのは、この日の昼に収録した未配信の「お金の歴史」です。1冊1冊がとてもヘビーだったといいます。
樋口さんは、YouTubeによくある10〜20分のお金の歴史の動画とはレベルが違い、その時間では伝えられない内容だと話しています。
樋口さんによれば、ガンディーやコミュニケーション史では知らない人や物事を知って驚いてきました。しかしお金の歴史では、普段使っているお金や銀行、自分が経営する株式会社が、どんな思想でどう生まれたのかがわかり、見え方が一変したといいます。
知らない人や出来事を知って「すげえ」と驚く
知っているはずのお金や銀行、株式会社の印象がガラリと変わる
知らないものが知れるじゃなくて、知ってるものがなんか、ガラリと印象が変わるっていうイメージなんだから。
樋口さんは、当たり前に享受しているものが先人たちの試行錯誤の上に成り立っていると知り、感謝の気持ちが湧いたとも話しています。お金儲けができるとは思わないものの、お金は人間の幸福や生きる指標のごく一部でしかないことはわかる、というのが樋口さんの見立てです。
次のシリーズ以降も3つ先まで決まっていて、深井さんは、題材になる歴史自体はとてつもなく多いと話しました。
フランス革命と令和の怒り、なぜ今と重なって見えるのか?
青柳さんが特に面白かったと挙げたのは、フランス革命の回です。最初は旗を立てる話くらいに思っていたものの、主人公がいないこの出来事が、令和元年の今とあまりにリンクしていると感じたといいます。
青柳さんは、SNSで有名人がたくさん出てきて、さまざまな価値観が噴き出している今の状況と、一人ひとりが理念を持ち、それが集約されて革命になった当時の狂気を重ねています。素晴らしいようで怖いとも感じたそうです。
樋口さんは、Twitterを見ていると怒っている人が多いと話しました。ワイドショーが怒りやすい切り取り方をして視聴率を取っているのは、怒りたいというマーケットがあるからではないか、というのが樋口さんの考えです。
人間って怒りのエネルギーってすごい簡単に出せるんで。エネルギーを出すまでの添加コストが低いんですよね。
深井さんによれば、民衆を動かしたい人が怒りを煽るのは古代からよくある手法で、古代ギリシャでも十字軍でもヒトラーでも同じだったといいます。
怒りの性質
人間が少ないコストで大きな力を出せる感情
扇動
民衆を動かしたい人が怒りを煽る
大きな動き
古代ギリシャ、十字軍、ヒトラーなどで繰り返されてきた
樋口さんは、電車の中で奇行をする人の動画を見るのも、怒りたくて見ているからではないかと話しています。日本人は怒ってはいけないと育てられ、鬱憤がたまっている面もあるのではないか、という見方です。
青柳さんは、今はみんなバラバラに怒っていて足並みがそろっていないとも指摘しました。樋口さんは、N国 ── 2019年の参院選で議席を得た政党「NHKから国民を守る党」の通称ですが出てきた後にヒトラーの回を収録し、奇人変人と言われた人物が支持を集めていく過程を重ねて見たといいます。
深井さんは一方で、怒りを出せずに自分に向けてしまうと、鬱や自殺につながる人も多いと付け加えました。怒りは誰にでもある感情なので、抑えつけるほど大きくなるのでしょう、と話しています。
天皇の回で見え方が変わったニュースと、性の歴史の構想
樋口さんがトイレに立った間、政光さんは思い出の回として天皇の回を挙げました。天皇と武家のパワーバランスを理解した直後に、ある大手お笑い事務所の問題が報じられ、ニュースが違って見えたといいます。
政光さんは、企業の象徴とそれ以外の関係性にいろいろ感じるものがあったと話しています。青柳さんも、100年続く組織にはヒエラルキーや利権、文化が固まってくると応じました。
コメントで「性の歴史」のリクエストが届くと、深井さんは楊さんがずっとやりたがっていて、文献もすべて買ってあると明かしました。楊さんは「やるんだったらアクセル全開でいきたい」と話しています。
「クソほど純粋」、20年来の後輩が語る樋口さんの人間性
「樋口さんがいない間に人間性について話してほしい」というコメントを受けて、小学5年生の頃から20年以上付き合いのある青柳さんが語り始めました。
青柳さんの答えは「めちゃくちゃわかりやすく言うと純粋」です。あれだけボケるのに冗談が通じないこともあり、あるがままを受け入れたいと思っている人だといいます。
深井さんも、打算で生きていないのがよくわかるところが好きだと話しました。青柳さんは、会社の代表なので打算が出ることもあるものの、出た時にすごくわかりやすいと付け加えています。
青柳さんが面白いと見ているのは、樋口さんの中にある矛盾です。いろいろなものを受け入れたいと思う一方で、自分のルールにはとても厳格なので、人に強制はしなくても違和感は生まれるはずで、そこに葛藤があるのではないかといいます。
青柳さんはさらに、樋口さんが田川を盛り上げようとしているのは、世界を変えたいと思っているからではないかと話しました。戻ってきた樋口さんが、24時までにブログを書き切るというマイルールを守っていたことがわかり、深井さんは「ルールに厳格だな」と笑っています。
イロコイ族の口伝に、ナスカの地上絵、どこまでを語るのか?
アメリカ史のリクエストを受けて、深井さんはネイティブアメリカンについて語りました。精霊信仰が強く、宗教がとても初期のかたちのまま残っていて、哲学も思いもよらない角度から来るといいます。
深井さんが特に面白かったと話すのは、イロコイ族 ── 北アメリカ北東部に暮らしてきた先住民の部族連合。独自の口承の伝統や、部族同士の連合のしくみで知られていますの口伝です。有史以前の話を代々口頭で伝えていて、大洪水の話や、陸続きだったベーリング海峡を渡った話が、渡る途中で1人亡くなったという細部まで残っているといいます。
ただし深井さんは、それがどこまで本当かはわからず、これまでの歴史よりも考証性が低くなるとも断っています。ケルト人やナスカの地上絵のように資料が残っていない題材は、どうしてもオカルトに寄っていくからです。
文脈がないことって、もう想像しかできないから。一応自分たちでファクトを伝えるのをすごい大事にしてるんで。
番組はロマンも重ねますが、フィクションにはしたくないというのが深井さんの姿勢です。バイキングも面白くできると思って調べたものの、面白さに気づくまでに民族の説明が多く必要になるため見送ったといいます。
オフ会は東京と大阪?海外リスナー7%と、良いお年をの締め
チェ・ゲバラのリクエストに続いて、オフ会をやりたいという声が上がりました。コメントで住んでいる地域を聞くと、東京、大阪、愛知、神奈川、埼玉、茨城、九州など、さまざまな場所が挙がっています。
深井さんによると、ポッドキャストのアナリティクスでは日本からの再生が93%ほどで、7%が海外からだそうです。計算すると500人ほどが海外から聴いているはずだといいます。この日もスペインから視聴している人がいました。
樋口さんは、海外に出ると日本人としてのアイデンティティにぶつかり、その時に歴史に行き当たるのではないかと話しています。
来年は海外ロケも考えていて、樋口さんは吉田松陰ゆかりの萩に行きたいと話しました。オフ会の形については、深井さんは生収録をして、その後に懇親会をするイメージを持っているといいます。
開催地は東京と大阪が多くなりそうで、正式なアンケートを取ったり、一定の人数を超えた地域で開いたりする案が出ました。
日付が変わっても79人が見続けるなか、樋口さんが「良いお年を」と呼びかけて、2時間に及ぶ初の忘年会ライブは締めくくられました。
まとめ
コテンラジオ初の忘年会ライブは、酔った勢いの掛け合いのなかで、メンバーの出会いと番組の芯が語られた回でした。深井さんは歴史を人間を知るためのケーススタディとして扱い、楊さんは1つの眼鏡で見ないことの大切さを、樋口さんは素材を活かす届け方を語っています。
- 3人は昨年のビジネスコンテスト後の飲み会で出会い、樋口さんが2人の話を「醤油ちょん」で世に出そうと考えて番組が始まった
- 深井さんと楊さんは1回の収録で15冊ほどの本を読み、偉人を欠点も含めた1人の人間として描いている
- 番組でいうリベラルアーツは、いくつもの切り口から世界を見て、自分の正しさを絶対視しない姿勢を指している
- 怒りは少ないコストで大きな力を生む感情で、フランス革命やヒトラーの回が現代と重ねて聴かれている
- 1000人記念のLINEスタンプ、性の歴史やお金の歴史、オフ会など、次の年に向けた構想が次々と語られた



