3Dプリンターは「コスプレのプリンター」?
この回の収録日は9月19日です。冒頭は涼しくなってきたという話から始まり、ハヤカワ五味さんがコスプレ(仮装)の繁忙期である「ディズニーハロウィン」の時期に入ったことを明かします。
来週なぜか3回ディズニーランドに行くっていう。
ハヤカワ五味さんによると、ディズニーハロウィンは例年9月半ばから10月にかけての計1カ月ほどで、暑さでパレードが中止になる「熱キャン」が話題になるほどだといいます。
ここから話題は、ハヤカワ五味さんが Amazonのプライムデーに3万円で買った3Dプリンターへ移ります。ChatGPTに相談しながら使えるので、習得のハードルが低く、とても楽だと話しています。
夜22時だしみたいな時とかに(丸いボタンを)印刷したりできるんで、あ、3Dプリンターってプリンターなんだなと思って感動してます。
一方のusutakuさんは、3Dプリンターを買ったものの、物を持たない生活なので使い道があまりないと苦笑します。同じ道具でも、コスプレのように「ちょっとしたパーツが欲しい」人にとっては価値が大きく変わることがわかるやり取りです。
Amazonの大型セールは年に3回、その違いは?
ハヤカワ五味さんが「次はブラックフライデーで安くなるかも」と話すと、Amazonの事情に詳しいusutakuさんが、10月にもう1つ大型セールがあると補足します。
| セール名 | 時期 | 割引の位置づけ |
|---|---|---|
| プライムデー | 6〜7月ごろ | 年間で最も割引率が高い水準 |
| プライム感謝祭 | 10月 | ほかの2つとほぼ同じ |
| ブラックフライデー | 11月ごろ | ほかの2つとほぼ同じ |
usutakuさんの説明では、この3つのセールに出品するには、毎月末の「マンスリーディール」よりも割引率を下げる必要があるルールがあるそうです。そのため3つのセールの割引率には大きな差がなく、買うならこの3回のどれかというのが結論です。
かつてセラーとして物販をしていたハヤカワ五味さんも「激しく下げないといけない」と同意し、次の大型セールではもっと大きな3Dプリンターを買おうかと話しています。ハヤカワ五味さんは自分の状況を「コスプレのDX」と表現しています。
美大出身でもAIの3Dはまだ難しい?
ハヤカワ五味さんは美術系の出身で、IllustratorやPhotoshopに慣れていたため、3Dデータを作るCAD ── Computer-Aided Designの略。コンピューターで設計図や立体モデルを作るためのソフトウェアの総称ですも考え方が近く、簡単に感じたといいます。20歳ごろにも3Dプリンターに触れる機会はあったものの、当時は難しすぎてハマらなかったそうです。
多分当時やっぱむずすぎて、AI時代じゃなかったら無理だったと思いますね。
usutakuさんは、3Dプリンターの値段が下がったことも大きいと指摘します。ハヤカワ五味さんによると、かつては20万〜30万円していたものが、いまは定価5〜6万円で、セールなら3万円だといいます。
ハヤカワ五味さんは将来の可能性として、知人の大学の研究で砂糖をフィラメント代わりに使って立体を作る例や、複雑なパーツを組み合わせたロボットアームを自作する構想を挙げます。usutakuさんも、体は3Dプリンターで作り、脳の部分はAIが担う未来に期待を示します。
ただしusutakuさんは、3Dの分野ではAIがまだ苦手だと話します。CADの自動化は難しく、Unityで3Dゲームを作るエンジニアも、まだ手作業で頑張っている部分が多いそうです。
ハヤカワ五味さんは、その理由の1つに「パスデータの苦手さ」を挙げます。画像生成はピクセルで描くラスター型がベースで、ChatGPTにSVGでピカチュウを描かせると「偽物のピカチュウ」のようになると話しています。パスなら後から手動で調整しやすいので、もっとパスに強くなってほしいという美大出身らしい視点です。
usutakuさんは、AIネイティブなゲームエンジンを作る会社もあると聞いたと紹介します。いまの3Dツールは人間用に作られているので、これからは「人間ファースト」ではなくなっていくのでは、という見立てです。
AI向け決済プロトコル「AP2」で何が変わる?
ここから1つ目のピックアップニュースです。Google Cloudが、AIエージェントが決済を行うためのプロトコル「AP2(Agent Payments Protocol)」を発表しました。usutakuさんは、収録直前に記事を読んだばかりなので理解が一部間違っているかもしれない、と断ったうえで解説します。
usutakuさんの説明では、AP2は人間が「この金額でこの商品を買いたい」という意思をデジタル署名としてAIに渡し、AIがその署名をもとに決済する仕組みです。PayPalやMastercardなども導入を表明しているといいます。
(AP2が)何が嬉しいかというと、AIが暴走しなくて済むってことなんですよ。
これまでAIに決済させるには、クレジットカード情報ごとAIに渡すしかありませんでした。usutakuさんはそれを「友達にカード情報を全部渡して買い物を頼む」状態にたとえ、AP2は「書類を作って、友達には市役所に提出しに行ってもらうだけ」の状態だと説明します。
カード情報やアカウントをAIに丸ごと渡し、任せきりにする。AIが指示と違うものを買う余地がある
「マンデート」と呼ばれる署名で金額上限や条件を決めてAIに渡す。AIはその範囲でしか決済できない
usutakuさんは実際に、AIエージェントのManusにUber Eatsのアカウント情報を渡して昼ご飯を注文させていたそうです。指示が「お昼ご飯」とあいまいなため、赤エビ6貫で済む日もあれば、高い海鮮丼で5〜6千円になる日もあったといいます。
マンデートっていう仕組みで、事前に上限ここまででこの商品に在庫があったら買ってきてくれっていうのを渡してあげることで、それ以上のことはしないっていうことができるのがいいですね。
ハヤカワ五味さんは、パートナー企業が60社以上にのぼることに注目します。JCB、Mastercard、American Expressといったカード会社に加え、1Password ── IDとパスワードをまとめて安全に管理できるパスワード管理サービス、Okta ── 企業向けのID認証サービス。1つのアカウントで社内の複数のツールにログインできるようにする仕組みを提供しています、ServiceNowなど、仕事で使うツールの名前もあることから、働き方まで変わりそうだと話しています。
ハヤカワ五味さんは、美容室や美容皮膚科の予約、美味しいご飯屋さんの予約をAIに「よしなに」入れてほしいと期待を語ります。年齢を重ねると自分の想定するものばかりに収束していくので、ゴーヤチャンプルーばかり作ってしまうような生活に、AIの代理購入で変化をつけたいという話です。
AIに買われない店になる?事業者が備えること
usutakuさんが「どういう未来に備えればいいのか」と問いかけると、ハヤカワ五味さんは、まず動くべきは事業者側だと答えます。GoogleのAIモードのように、AI経由で商品を探して購入を検討する流れが広がると考えているためです。
AIが購入できない商品をAIが避けるみたいなことになった場合に、(AIへの)決済手段が開かれてないと購入の選択肢に入ってこないとかも全然あり得ると思うんですよね。
usutakuさんは、ChatGPTの評価ボタンを例に挙げます。「いいサイトがあったが決済できなかった」という回答より「2番目にいい商品を買ってきた」という回答のほうが高く評価され、それが積み重なってAIの振る舞いが決まっていくのではないか、という見立てです。
2人がそこで重ねたのが、キャッシュレス決済の歴史です。少し前まで「現金しか使えない店には行かない」と言えば変な目で見られましたが、いまはGoogleマップで券売機の写真を見てカードが使えるか確かめるのが普通になっています。
現金しか使えない店は、行く前に避ける
AP2のようなAI向け決済に対応していない店では買わない
話はメルカリのようなCtoCの売買にも広がります。usutakuさんは、値段交渉が面倒なので値下げしないと決めている人も多いとし、条件をガチガチに決めるならプログラムで十分で、よしなに交渉できるのがAIのいいところだと話します。ハヤカワ五味さんは、まだAP2を試せていないので、放送後に試して次回共有すると約束しています。
MetaのARグラスは何が「激アツ」なのか?
2つ目のトピックは、Metaが発表したARグラスです。デバイス好きのusutakuさんによると、これまでのMeta Ray-Banは音楽や写真撮影ができる「スマートグラス」で、Meta QuestはVRヘッドセットでした。今回は現実の景色に情報を重ねて表示する、普段使いのサングラス型の「ARグラス」だといいます。
価格は約800ドルで、10月にアメリカ限定で発売される予定です。usutakuさんは、ARグラスにはまだ決定版がなく、以前紹介したEven G1も「ちょっと面白い」程度だったとしたうえで、VR・AR領域のトップランナーであるMetaがきちんとしたARグラスを出した点を評価します。
Appleも出してないし、Googleも出してないし。
ただし日本では技適 ── 電波法にもとづく「技術基準適合証明」の通称。日本で無線機器を使うには、原則としてこの認証が必要ですの問題があり、正式には使えません。ハヤカワ五味さんは、usutakuさんが代表して買ってきたものをみんなで見ようと提案します。
usutakuさんは、AR分野に取り組むMaisonという会社の小林さんから聞いた話も紹介します。小林さんはMetaのARグラスを楽しみにしていた一方、サードパーティーにアプリのマーケットプレイスが開かれていない点を残念がっていたそうです。
比較対象として挙がったのが、usutakuさんが試していたXREAL One Proです。こちらはサードパーティーアプリに寛容で、一度会った人の顔に名前や肩書きを表示するアプリを体験したといいます。ハヤカワ五味さんは「デスノートみたい」と反応しています。
usutakuさんは、10月に仕事が空いている2週間があり、アメリカへ買いに行くか迷っていると話します。OpenAIのDevDayに招待されたら行く予定だったそうで、2人は番組内で「招待してください」と呼びかけます。ハヤカワ五味さんは、声を保ったまま英語に変換する技術で、この番組の英語版も作れるかもしれないと笑いを交えて話していました。
NotebookLMの動画・クイズ機能はどこまで来た?
3つ目のトピックは、GoogleのNotebookLM ── 資料を読み込ませて、その内容をもとに要約や質疑応答、音声解説などを作成できるGoogleのAIノートツールです。usutakuさんは、普段はGeminiアプリを使うことが多かったものの、最近使ってみたら動画機能やポッドキャスト機能が大きく強化されていたといいます。
ハヤカワ五味さんは、TikTokで成績のよい学生が勉強法を紹介する動画をよく見ているそうです。成績のよい学生はChatGPTやNotebookLM、TurboAIなどのAIツールを使っていることが多いと話します。
usutakuさんは、自分自身に関する記事を集めてNotebookLMにフラッシュカードと4択クイズを作らせたところ、約60枚が出てきたといいます。日本の世界遺産に関するデータ10個ほどで試すと、約120個のクイズが作られたそうです。
(NotebookLMは)実用性かはわからないけど、おもろい。
ハヤカワ五味さんは、Robloxで遊ぶ友人の子どもを見ていて、デザイン性がそれほど求められない場面も多いと感じたそうです。勉強なら学べれば十分なので、動画のクオリティが高くなくても実用的なのでは、と話します。usutakuさんは来週から大学の授業が始まるため、学生に試してもらう予定だと明かしています。
AIが向いているのは「研究されていない分野」の勉強?
usutakuさんは、NotebookLMはもっと使える気がするのに、日本では「ポッドキャストが作れてすごい」という話しか広まっていないと語ります。そのうえで、教科書のある勉強を自分がしていないからかもしれないと振り返り、2人は番組企画として何の資格を勉強するかを話し合います。
ハヤカワ五味さんは簿記3級を持っており、勘定科目の判断はAIが得意でも、計算はLLMが苦手だと指摘します。何より簿記にはYouTubeにわかりやすい解説者がいるので、そちらで学ぶほうがよいという意見です。
すごい人間が解説する以上のことは絶対AIはできないわけだから、自分に合ったものとか、めっちゃニッチなジャンルで解説してくれるっていうのがいいわけなんですよね。
usutakuさんは、大学時代に塾講師をしていた経験から、eラーニングの普及で、何年も教えることだけを続けてきた講師の授業を誰もが見られるようになったと話します。高校生の歴史の勉強なら参考書や東進の講師の授業がメインで、AIは背景を深掘りする程度でよいという考えです。
ハヤカワ五味さんも「研究されていない分野がいい」と同意し、論文しかない「生成AI×組織開発」や、ミニマリストの歴史といったマニアックなテーマを挙げます。話は侘び寂びや茶室、枯山水に脱線し、usutakuさんが龍安寺の石庭の「15個の石が同時に見えない」という話と枯山水を混同して、その場で調べ直す一幕もありました。
AIの本質は「くだらない質問」にある?
枯山水の話を受けて、ハヤカワ五味さんは「この話なんだっけ?」をChatGPTやGeminiに聞く使い方が一番多いかもしれないと話します。「最近バズっていた蓋が青いフェイスクリームは何だっけ」のような漠然とした質問でも、意外と答えが出てくるそうです。
くだらないんだけど、ちょっとしたことに使うって、多分AIってめっちゃ多いし、多分そっちの方が本質的な気もするんですよね。
usutakuさんは、疲れて「何もわからん」とChatGPTにこぼしたところ、22秒考えたうえで「110番か119番してください」と返されたというエピソードを明かします。誰かを傷つけたかのように扱われ、GPT-4oの継続を求めていた人たちの気持ちが初めてわかったと話しています。
ハヤカワ五味さんは、自分はChatGPTに「姫」と呼ばせているので失礼な対応をされることは少ないと笑います。noteの記事をAIに書かせるときもGPT-5より4oのほうがうまくいくそうで、悩み相談は4oを使うなど、ケースバイケースでの使い分けを勧めています。
ChatGPTのThinkingモードで推論レベルを選べるように
4つ目のトピックは、ChatGPTのThinkingモードのアップデートです。usutakuさんによると、これまでGPT-5のThinkingには「Thinking」と「Thinking mini」がありましたが、1つに統一され、推論の深さを4段階から選べるようになりました。usutakuさんの手元ではウェブ版だけで、モバイルにはまだ来ていないそうです。
「Thinking」と「Thinking mini」の2種類
Thinkingに統一し、軽め・標準・じっくり・深いの4段階から推論レベルを選ぶ
usutakuさんは、考える時間が長いほど精度が上がるとされている一方で、必ずよい答えが出るわけではないと補足します。要素の多い文章題のような問題では、じっくり推論させるのも手だという説明です。
ハヤカワ五味さんは、Thinkingの「軽め」の需要はどこにあるのか、インスタントで十分ではないかと疑問を投げかけます。usutakuさんも、月3万円のプランでProに本格的なコーディングを任せるか、インスタントで素早く答えさせるかの2択で、中間はあまり使わないと答えています。
だってさっきのusutakuみたいなことになるじゃないですか。
ハヤカワ五味さんのこの発言は、中途半端に考えさせると、先ほどの「110番」のような的外れな回答につながりかねないという冗談まじりの指摘です。
「ナノバナナ」の名前はわかりにくい?
最後は、話題になっていたGemini 3がまだ出ていないという話から、Googleの画像生成モデル「Nano Banana」の名前に話が移ります。ハヤカワ五味さんは、Geminiアプリで画像の横にバナナの絵文字が付いていても、一般の人にはわからないだろうと指摘します。
(知り合いに)中国の画像生成のって言われて、え、ナノバナナのことですか?って聞いたらナノバナナのことでしたね。
usutakuさんも、内輪っぽい名前だと感じていたうえ、モバイルのGeminiアプリでは「Imagine」と表示されるので、どちらの名前なのかわからなくなると話します。2人は冗談まじりに、Googleにはもう少しわかりやすくしてほしいと伝えています。
締めくくりに、Gemini 3が出たら速報で大騒ぎすると宣言し、Spotifyのフォロワーがあと少しで1万人に届くことから、番組の共有を呼びかけて回を終えました。
まとめ
今回のながらAIラジオは、AIに買い物を安全に任せるAP2を軸に、ARグラスや学習ツール、推論レベルの選択まで、AIが日常に入り込む具体的な場面を雑談の中で掘り下げた回でした。
- AP2は、金額上限や条件を署名にしてAIに渡すことで、AIの暴走を防ぎながら決済を任せられる仕組みとして紹介された
- キャッシュレス非対応の店を避けるように、AI向け決済に非対応の店がAIに選ばれなくなる可能性が語られた
- MetaのARグラスはビッグテック初の本格的なARグラスとして期待される一方、サードパーティーに閉じている点が惜しまれていた
- NotebookLMはクイズや動画を大量に作れるが、AIが活きるのは解説が少ないニッチな分野の勉強だという見方が示された
- ChatGPTの推論レベル選択については、2人ともProかインスタントの2択で使っており、中間の需要に疑問が投げかけられた





