Googleから伝説のエンジニアが離脱
今週最初の大きなニュースは、Googleから重要人物が離脱したというものでした。中でも注目されたのが、ジェフ・ディーンさんです。
usutakuさんは、彼を27年間Googleに勤めた伝説のエンジニアだと紹介します。そのディーンさんを含む4人が、AIの可能性を追求する新しい団体「DiscoveryLoop」を立ち上げました。会社ではなく団体だといいます。
面白いのは、この4人が資金調達のために作ったピッチ資料の中身でした。
私たちが作ったものの中に、Google SearchとかGmailとかGoogle Earthとか、Geminiとかあるんですよ。もうよくわかんない。
usutakuさんは、ディーンさんの功績を建築家に例えます。すごいビルを1棟建てた人ではなく、大量のビルを建てられる仕組みそのものを作った人だという説明でした。
さらに資料には、彼らのチームから輩出された有名なAI起業家のページもあったといいます。OpenAIのイリヤ・サツケバーさん、Anthropicのダリオ・アモデイさん、Sakana AIのデイビッド・ハさんなどの名前が並んでいました。
もう大体おる。
DiscoveryLoopは、AIエージェントのループを高速で回す仕組みを作り、科学技術や研究の高速化を進める団体だと、ハヤカワさんは受け止めています。株価も大きく変動したそうです。
usutakuさんは、有名研究者が抜けることで「最高のAI研究をするならGoogle」というブランドが崩れる懸念があると指摘します。
加えて、Google DeepMindの代表デミス・ハサビスさんが会長職に移ったという話も出ました。こちらはGoogleを離れたわけではなく、よりアカデミックな研究に軸足を移したとみられています。
GoogleとMicrosoftへの期待
話題は、企業でのAI活用の現状に移ります。usutakuさんは、直近の実際の数値としてAnthropicとOpenAIが中心になっており、最近Geminiがリーダーボードに入るのをあまり聞かないと話します。
一方でハヤカワさんは、企業が導入しているのはほとんどGoogleかMicrosoftだと指摘します。
結局企業サイドが導入してるものって、ほとんどGoogleかMicrosoftなんで。ここ2社がちょっと何とかしてくれないと、企業単位でいうと結構渋い部分があるのかなと思います。
usutakuさんも、Claudeの高額プランに課金している人はごく一部で、実際はほとんどの人がGeminiを使っているのではないかと話します。街中で聞くのも、GeminiかChatGPTが中心だといいます。
AI業界では、代表クラスでなくても人材の移動が野球の移籍のように注目されるといいます。人と計算資源の両方が重要だという前提が、こうしたニュースの背景にあると2人は話しました。
MetaからMuse Code登場、それでもツールは一つでいい
次のニュースは、MetaからMuse Codeが登場したことです。Meta版のClaude Codeとも言える、ターミナルで動かすコーディングエージェントです。
usutakuさんは、Muse Codeで検索して出てくるコマンドをターミナルに入れ、Metaアカウントとクレジットカードを登録すれば使えるようになると説明します。実際に試したものの、他社の最新モデルと比べると見劣りするという感想でした。
ただし、各社からこうしたツールが出揃った意味は大きいと話します。AmazonのKiroも含めて、コーディングエージェントの選択肢は増えました。
一方でハヤカワさんは、選択肢が増えすぎてカオスになっていると感じています。以前は「ChatGPTかGeminiか」と聞かれていたのが、今はどのコーディングツールがいいかという質問に変わったといいます。
usutakuさんの結論は、Codexで十分だというものでした。ChatGPTに課金している人が多く、Claude Codeより安く、最新モデルを多く使える点を理由に挙げます。
さらに、エンジニアでない人にはコーディング系ではなく、ChatGPT WorkやClaude Coworkのようなワーク系のツールで十分だと2人は話します。
Codex、Claude Code、Muse Codeなど。ターミナルで動かす。まず一つ課金して使い込むのがおすすめ
ChatGPT WorkやClaude Coworkなど。コーディングが必要ない場面が多い人はこちらで十分
同じことを何回も言う理由
「どのツールがいいか」を気にせず、まず一つ使い込んでほしい。2人はこれを繰り返し伝えています。usutakuさんは、その理由を発信者の実感として語りました。
一回これはYouTubeで喋ったからもういいかな、これは前回の放送で喋ったからもういいかなってなりがちだったんですけど。相当言わないと、よくわからない画面の奥のインフルエンサーが言ってることって響かないなって思うんですよ。
usutakuさんは、自分がフォローしているバレーボールのコーチの例を挙げます。スパイクの手の角度やジャンプの時の目線といったアドバイスも、1回見ただけでは覚えられず、10回ほど見てようやく身につくといいます。
ハヤカワさんも、対面で先輩に言われるアドバイスでも3回くらい聞かないとわからないと同意します。オンラインでの関係ではその効果がさらに薄まるため、あえて繰り返し伝えているという前提を共有しました。
AIとは喧嘩して仲直りするくらいがいい
ツール選びより大事なのは、使う深さだと2人は話します。ハヤカワさんは、その深さを「煮詰まってぶち切れた回数」でもいいと表現します。
なんでこんなことできないんだよって、ゴリゴリやってると突然ブレイクスルーする時があるといいますか。皆さん、AIとちょっと喧嘩して仲直りして、いい感じになってください。
usutakuさんは、遊びで終わらせず、実際に世の中に公開してお金をもらうものを作ってみることを勧めます。そうすると、GitHubの本番環境と作業環境の分け方や、特定商取引法に基づく表記、領収書やインボイスの必要性まで、実務で学べることが多いといいます。
usutakuさん自身も、過去最大規模で人からお金をもらうプロジェクトに取り組んでおり、細かいUI/UXまで気を配る必要が出てきて、キレながら進めていると打ち明けます。
ハヤカワさんは、実際に手を動かす人の例として、元Juice=Juiceの宮本佳林さんがClaude Codeで配信システムを作りバズったことや、元でんぱ組の成瀬瑛美さんがアプリ開発をしていることを挙げました。
あれを一発作っただけで、あらゆる人よりも詳しくなるわけなんでね。
SeeDance 2.5とMiniMax H3、動画生成の進化
この一週間は、動画生成も盛り上がりました。SeeDance 2.5とMiniMax H3が登場しています。
usutakuさんは、SeeDance 2.5について人の顔の再現性が非常に高いと話します。CapCutに課金していれば手軽に使え、自分の顔写真を入れて近い姿で喋らせることができたそうです。
一方で2人は、生成の質が上がったことで、何が本物か分かりにくくなっている現状も話します。usutakuさんは、タコにGoProを付けて深海を泳ぐ動画に感動したものの、最後に大量のタコがサングラスをつけてミラーボールの下で踊り出し、作り物だと分かったエピソードを紹介しました。
これコミュニティノートがついてないから本物です、ってコメントがあって。んなわけあるかと。
ハヤカワさんは、こうした嘘があふれることで、ロボットの本物のすごい動画まで嘘に見えてしまうのが深刻な迷惑だと指摘します。
その一方で、動画生成の可能性にも期待を寄せます。ハヤカワさんは、ある人気RPGゲームのファンメイド動画を例に挙げ、キャラの一貫性やストーリー、カットの切り方が上手く、公式よりクオリティが高いと感じたと話しました。
usutakuさんも、AIだからいい・悪いではなく、いいカメラを使えばいい映画が撮れるわけではないのと同じで、作り手に依存すると話します。だからこそ、これまでイラストレーターや監督だった人こそAIを使うべきだと語りました。
MiniMax H3については、ローカルで動かせる点が大きいといいます。従来はコストが課題でしたが、Google Colabを使えば手軽に試せるそうです。
ファインチューニングは案外すぐできる
動画生成の流れから、ハヤカワさんは前日に取り組んだファインチューニングの話を紹介します。上司に勧められて始めたそうです。
ファインチューニングとは、LLMをゼロから作り直すのではなく、「こういう時にはこう回答してほしい」と重みを付ける調整のことだと、ハヤカワさんは説明します。
認知コストが高くて後回しにしていたものの、午前9時ごろに始めて昼前には一通りできたといいます。1回のトレーニングも15分ほどで済んだそうです。
今回使ったのはUnslothという、軽量にファインチューニングを進められる仕組みでした。ローカルのゲーミングPCで動かし、公開されているデータセットを使ったといいます。詳しい手順は、ハヤカワさんがNoteに書いたそうです。
usutakuさんは、そのNoteをそのままCodexに渡せば、ほぼ自動で進めてくれるだろうと話します。
2人が強調したのは、AI時代には「知ってさえいればブレイクスルーできるのに、知らないとたどり着けない」概念が多いということです。
AI時代に、知ってさえすればすごいブレイクスルー起こせるんだけど、そもそも知らんと一生たどり着けないよねみたいな概念がいっぱいあると思ってて。こういうのをちょっと番組でも積極的に言っていきたいですね。
具体例として、Chrome拡張機能は意外と簡単に作れること、Gmail連携はGASでできること、デプロイやドメインはCloudflareに寄せると楽なこと、ローカルでAIを動かすならLM Studioがいいことなどが挙げられました。こうした「取っ掛かり」を番組で伝えていきたいと2人は話します。
ミニ四駆はロボの義務教育
話題はロボットに移ります。ハヤカワさんは、ロボを組み立てたい人にはタミヤのキットを勧めます。安価でクオリティが高く、プログラミングできるものもあるといいます。
ハヤカワさんの持論は、ミニ四駆世代こそロボの才能があるというものでした。モーター選びや、軽量化のための肉抜きといった作業は、ロボの基本と重なるといいます。
ハヤカワさんは、ロボットの定義を調べた上で、その要素を整理して説明します。
センサー
周囲を認知する部分
頭脳(制御)
情報を処理し判断する部分
駆動
実際に動く部分
ミニ四駆にはセンサー以外の要素があり、コースに沿わせるローラーが実質的にセンサーの役割を果たしているとハヤカワさんは話します。だからミニ四駆をやっていた人は、ロボの義務教育を受けているようなものだといいます。
usutakuさんも、小学生の頃にミニ四駆やメダルゲームで遊んだ思い出を振り返ります。夏休みの自由研究では、モーターに手足を付けてメダルを押し出すプッシャーの仕組みを自作していたそうです。
その後、usutakuさんはデュエル・マスターズに熱中したものの、就活を機にそうした趣味から離れ、自分でも「つまんない人間になった」と振り返りました。ハヤカワさんは、電子工作にはまだ戻ってこられると笑って応じます。
女子中学生向けの電子工作ワークショップ
最後に、ハヤカワさんはお知らせを紹介します。8月末の土曜日に、女子中学生のみを対象とした電子工作のワークショップを、無料で開催する予定だといいます。
多くの人のカンパで成り立っており、ハヤカワさん自身も費用を持ち出しているそうです。無料にする理由も語られました。
女の子向けで有料でやると、そういうSTEM教育とかの感度が高いご家庭しか来れない。そんなことを言わせない金額設定と、そんなことを言わせない可愛さでちょっとやらせていただきます。
usutakuさんも、普通に開催すると参加者が男性ばかりになりがちだという事実を挙げ、意義のあるイベントだと賛同します。同じような催しを、シルバーウィークには全年齢向けでも開催する予定だそうです。
2人は、電子工作を特別なものではなくカジュアルに広げたいと話します。usutakuさんは、両親が元エンジニアで、幼い頃からパソコンに触れていたことが今の仕事につながっていると振り返りました。
まとめ
今週は、Googleからの大型人材流出という業界ニュースから、動画生成の進化、ツール選びやファインチューニングの実践談まで幅広く話されました。共通していたのは、AIは道具であり、まず一つ使い込むことと、知識の取っ掛かりを持つことが大切だという視点でした。
- Googleから伝説のエンジニア、ジェフ・ディーンさんら4人が離脱し、新団体DiscoveryLoopを設立。ブランドへの影響が懸念されている
- MetaからMuse Codeが登場したが、ツールは増えすぎており、まずCodexなど一つを使い込むのがおすすめ
- SeeDance 2.5やMiniMax H3で動画生成が進化。質は上がる一方、作り手の演出力やリテラシーが仕上がりを左右する
- ファインチューニングやローカルでのAI活用は、Unslothなどの取っ掛かりを知れば案外すぐできる
- ミニ四駆や電子工作の経験はロボの基礎になる。子どもの頃からパソコンや工作に触れる機会づくりも大切
