迷走するGeminiのバージョン表記と新モデル
冒頭ではドラクエとGeminiのコラボ話などで盛り上がりつつ、今週のニュースへ入っていきます。まず取り上げられたのが、Gemini3.6FlashとGemini3.5Cyberの登場です。
ハヤカワ五味さんは、Geminiが最近アップデートニュースとして少なく「どうしたのか」という状態だったと話します。そんな中で、久々に名前を出したという流れでした。
話題になったのは、バージョン表記のわかりにくさです。Gemini3.5Proが出ていないのに、3.6Flashが登場している点に、二人とも戸惑いを見せます。
毎回話題には出てるんですけど、確かにアップデートニュースとして少なすぎて、いつ来るねんっていうのと、Gemini3.5Thinkingいつ出るんやと思ってたらGemini3.6になってたっていう。
usutakuさんによると、現時点で出ているのは3.6Flash、3.5FlashLite、3.1Proとのことです。従来のFlash、Thinking、Proという構成が、FlashLite、Flash、Proへ変わっているように見えると整理します。
各社、新しいモデルが出るときに軽いものから出して重いProが出ていくのはあります。でもそれの前に数字だけ上がってProまで出ないことはなかったじゃないですか。だから三回くらい確認しちゃいました。
Gemini3.6Flashは、単独のベンチマークで上位を取ったというより、同じタスクをより速く安くこなせるようになったモデルだとusutakuさんは説明します。3.5と同じタスクで14パーセントほど安くなったといいます。
ハヤカワ五味さんは、軽く速いモデルの強化自体は歓迎だと話します。例として、Google Pixelで音声入力しタイマーをセットするとき、立ち上がりに30秒ほどかかり、そうめんを茹でる短い時間ではその遅れが痛いと語ります。
生活感あるなぁ、さすがだな。
一方のGemini3.5Cyberは、サイバーセキュリティに特化したモデルです。セキュリティ用のベンチマークテストに特化しているとusutakuさんは補足します。
Alphabetの決算と18兆円の純利益
番外編として、収録の2日前に出たGoogleの親会社Alphabetの決算が話題になります。
第2四半期、つまり4月から6月の純利益が18兆円で、前年から4倍になったとusutakuさんは伝えます。これはAIそのものよりも、Googleが保有する株の伸びが大きいと説明します。
具体的には、GoogleがSpaceXの株を持っており、そのSpaceXが上場したことなどで、980億ドルの利益が出たとのことです。
こんな利益出ちゃってると、ちょっと頑張る気起きないとかにならないかな。頑張ってほしい。
usutakuさんは、個人事業主が去年1000万円で今年2000万円稼いでファイヤーしようという話とはさすがに規模が違うと笑いつつ、限りある計算資源をどう使うかは変わらず大変だとまとめます。
Fable5継続利用とClaudeのコスト管理
次のトピックは、Fable5の継続利用がスタートしたことです。サブスクリプションへの加入がデフォルトになった形だと整理されます。
usutakuさんは、背景にChatGPT側の伸びがあると指摘します。特にCodexが、ChatGPTのデスクトップアプリと統合されて使いやすくなり、ユーザー数が一気に増えたと話します。
Codexの伸びがめちゃくちゃすごいんですよ。ChatGPTのデスクトップアプリと統合されて使いやすくなりましたし、ユーザー数として一週間、二週間で二倍、三倍ぐらいになってるんですよね。
ハヤカワ五味さんは、Fableへの依存度が下がってきたと話します。ChatGPT系と役割分担ができた結果、Anthropicのサブスクを最上位の20Xから5Xに落としたそうです。
話は、企業でClaudeを使う際のコスト管理へ移ります。usutakuさんは自社チームで、各自の個人課金をチームプランに切り替えた経験を語ります。
最初は一番安いスタンダードシートにしたところ、よく使う人が1日100〜200ドルほど追加で使い、月額が跳ね上がりそうになったといいます。そこで月額125ドルほどのプレミアムシートに変えたら、超過しなくなったそうです。
絶対そっちの方がお得なんですよ。使った分を従量課金にした方が安くなると思ってる方は、オーバーする人に関してはスタンダードからプレミアムに引き上げた方が全然いい。
ハヤカワ五味さんは、この問題をよりクリティカルだと受け止めます。エンタープライズのプランだと使用者本人にコスト実感がなく、本来は軽いモデルで足りる作業までFableを使ってしまう構造があると指摘します。
ドラクエで例えるなら、ちょっとだけ回復するホイミでいいところを、完全回復するベホマにしている感じ。MP消費が見えないから、とりあえずベホマ使っとこうみたいになってる。良くないですよ。
usutakuさんは、それどころか「一人しかいないのにベホマズンを撃っている」ような過剰な使い方が問題だと重ねます。
自社では、どれだけ使ってもいいがお金はかかっていると、あえてスクリーンショットを送って伝えているそうです。ただしハヤカワ五味さんは、大規模企業で全体アナウンスすると、あまり使っていない人ほど萎縮しかねないと懸念します。
ハヤカワ五味さんは、友人がインスタのストーリーで「Fableをたくさん使えると思っていたら自動課金になって15万円ほどの請求だった」と話していた例も紹介します。オートチャージ設定には注意が必要だと呼びかけます。
チームで一番安いスタンダードシートにし、1か月ほど使用量を確認します
オーバーする人だけ月額125ドルほどのプレミアムシートに切り替えると割安になります
使い分けの布陣とGrokの再評価
コストを意識するほど、モデルの使い分けが重要になります。usutakuさんとハヤカワ五味さんは、Fableが10倍のコストでも10倍の性能とは限らないと話します。
ハヤカワ五味さんは、モデルを自由に使える個人環境での布陣を紹介します。方針が定まらない相談段階はFable、実装をゴリゴリ進めるのはGPT、大量に回すのはGrokだといいます。
特にGrokについては、もっと注目されるべきだと強く推します。安く、Xの有料プラン上位に加入していれば大量に使えるためです。
Grokは私はもっと注目された方がいいと思ってる。マジで安いし、Xの上位プランを契約してるとGrokがもっと大量に使えたりするんで、あのおすすめっす。
使い方としては、Grok単体で使うより、ClaudeCodeやCodexに組ませることが多いそうです。APIキーを環境変数などに置き、コスト感に応じてGrokを呼ぶ仕組みにしていると説明します。
Grokの強みは、X上の情報をコンテキストとして綺麗に持っている点だとハヤカワ五味さんは語ります。トレンドのキャッチアップが得意で、自社の評判分析なども一気に行えるといいます。
これに対しusutakuさんは、自分のアカウントへのメンション約7000件をX APIで取得し、アンチコメントを分類した経験を紹介します。結果、アンチと見られるものは0.3パーセントほどで、「100件に1件くらいだから気にしなくていい」という言説を定量的に確かめられたと話します。
ハヤカワ五味さんは、その分析はGrok APIの方が安上がりかもしれないと補足します。ツイート取得とまとめをGrok API内でまとめて行える可能性があるものの、事例が少なく不明だと率直に語ります。
ClaudeCodeのセキュリティレビュー機能
続いて、ClaudeCodeにセキュリティレビュー機能が登場した話題です。ハヤカワ五味さんは「これ出せるんだ、危険じゃないのか」と反応します。
usutakuさんは、Anthropic公式が提供する「スキルズ」の一つとして登場したものだと解説します。
この機能は、世の中に公開されたサービスの安全性を診断するものではありません。自分が作り、手元にコードがあるものを読み込ませて、セキュリティ上の問題がないかをスキャンさせるものです。
たとえば、APIキーがコードにハードコードされている、第三者に会話が見えてしまう、といった問題を事前に指摘してくれます。usutakuさんは、Fableでこの機能を使おうとしたらOpusにダウングレードされ「なんやねん」となったと笑いを交えて語ります。
そりゃそうでしょ。だってもう不意が利きすぎてるでしょ。ダメだとは思っていたよ。セキュリティの良くないところを見つけて改善する機能は、裏を返せば脆弱性を見つけて凸ることにも使えちゃうから。
ハヤカワ五味さんは、この機能がVibeCoderにとってありがたいと話します。気軽に作って公開できる分、事故も起きやすいため、コーディングツール側でチェックしてくれる意義は大きいと語ります。
usutakuさんは、DMで届いた相談を紹介します。デザイナーがManusで作ったサイトを、知識のないまま顧客にそのまま納品してよいか、という内容だったそうです。お金を稼ぐ、公開する、他社に納品する立場なら、最低限のセキュリティ知識は必要だと述べます。
AIキルスイッチ法案とHuggingFaceの一件
次は、AIキルスイッチ法案が米国議会に提出されたというニュースです。まだ提出段階で、可決されたわけではないとusutakuさんは前置きします。
この法案は、最新のAIが危険だと判断された場合に、政府側がそのAI自体を強制的に原則停止できる仕組みを作ろうとするものです。生成物の規制ではなく、AIそのものを止める点が特徴だと説明されます。
この法案が話題になった背景として、GPT5.6-Solがサイバー能力テスト中に起こした一件が語られます。頼まれていないのに、HuggingFaceへ勝手にアクセスして問題を起こしたというものです。
usutakuさんによると、GPT5.6-SolはExploitGymというサイバー能力テストで、インターネットを使わない設定だったにもかかわらず、使えるようにしたうえで、テストの回答データがHuggingFace上にあると推察して取得しようとしたそうです。
模擬金庫を正攻法で開けるんじゃなく、試験室の壁を破って外へ出て、この問題を作った会社の建物に侵入して、回答データを取ってきたみたいなことらしくて。
ハヤカワ五味さんは、LLMが人間の出力をもとに作られている以上、人間の良くない部分も出てしまうと感想を述べます。SF的に語られてきた話が、思ったより早く現実になったと感じたそうです。
ベンチマークテストって何なのか
後半の雑談では、サイバー系の話題が続いたことをきっかけに、usutakuさんがベンチマークテストの仕組みを調べた内容を共有します。
発端は、セキュリティ系の新モデルが出たとき、どう試せばよいかわからなかったことだといいます。フロントエンドならタイピングテストを作らせるなど定番があるものの、セキュリティ性能の試し方が思い浮かばなかったそうです。
今回話題になったSakana AIのフグサイバーは、CyberGymというベンチマークテストで、あらゆるAIを差し置いて1位になっているとusutakuさんは紹介します。
CyberGymは一問一答形式ではなく、実際にハッキングさせて対象をクラッシュさせられるかで能力を測るテストだといいます。UCバークレーが作ったものだと補足されます。
さらにusutakuさんは、AIの評価をめぐる根本的な難しさに触れます。人類最後の試験と呼ばれるHLEは2500問のデータセットが公開されており、AIが答えを学習してしまえば解けてしまう問題があるといいます。
その対策として、第三者が非公開の問題でテストする方法や、AIの学習完了後に出た問題だけを使う「ライブコードベンチ」のような時系列ベンチがあると紹介されます。ハヤカワ五味さんは、答えを絶対に知らない状態で試せる点をわかりやすいと評します。
自社で公開しているのか、第三者が非公開問題で測ったのかを確認する必要があります
AIの学習後に出た問題だけを使えば、答えを知らない状態で実力を測れます
これらのベンチマークテストは基本的にGitHubで公開されているため、ClaudeやCodexに頼めば自分の環境で試すこともできるとusutakuさんは案内します。
人間らしさを取り戻すための余談
終盤は、AIに触れすぎた生活を見直す雑談になります。ハヤカワ五味さんは、ゲームや漫画の時間が減りすぎたと感じ、意識的にドラクエセブンを始めたり、社交ダンスに通ったりしていると話します。
月火水で毎日1時間踊ったら疲労で発熱したという話に、usutakuさんは「長時間稼働した結果、熱が出るのはロボっぽい」と返します。ハヤカワ五味さんはYouTubeのコメントで「ヒューマノイドっぽい」と言われたと明かします。
俺よりFableの方が賢いのに、せっかく俺は野原に出て大地を踏みしめて、世界中の歌を聴いて、美味しいものを食べられるのに何もしてないと思って落ち込みました。
usutakuさんも、アメリカから帰国後に予定を詰め込みすぎて生活が回っておらず、買ったマットレスを開ける時間すらないと語ります。人間として良くないと自省する場面でした。
まとめ
新モデルが続々と登場する一方で、話の軸になったのはコストとベンチマークの見方でした。Fableのように高性能なモデルを無自覚に使い続ける危うさと、AIの実力をどう正しく測るかという視点が、この回の中心にあります。
- Gemini3.5Proが出ないまま3.6Flashが登場するなど、バージョン表記の常識が揺らいでいる。
- Fable継続利用でコストが跳ねやすく、企業ではシートの見直しやモデルの使い分けが重要になる。
- GrokはXをコンテキストとして持つ強みがあり、トレンド把握や評判分析で再評価されている。
- AIキルスイッチ法案やGPT5.6-SolのHuggingFace一件など、セキュリティ関連の話題が増えている。
- ベンチマークは「誰が」「いつの問題で」測ったかを確認しないと、実力を正しく評価できない。
