月100万円を目指す業務委託コーチの悩み
今回のお悩み相談は、ある会社が提供するコーチング講座で、個人コーチングを業務委託として請け負っている相談者からのものです。川原さんが相談文を読み上げ、すがけんさんと一緒に答えていきます。
ある会社が提供するコーチング講座の個人コーチングを業務委託で請け負っています。3ヶ月コーチング講座の価格は1人当たり33万円、業務委託報酬は1人当たり10万円。サービスの提供内容は、週1回の30分から60分のコーチングと、毎日発生するLINEの対応です。毎月の新規顧客数が4から7名、1ヶ月に対応する顧客は16から20名程度となります。
3ヶ月講座の費用は市場価格ですが、コーチ側の報酬金額が高いとは言えません。結果的に請け負うクライアントの数を増やして収入を確保しています。私としては月100万円を目指しているのですが、このまま業務委託を続けると私も疲弊するし、サービスの質もますます落ちてしまうのではないかと懸念しています。
コーチング講座のメソッドやサービス自体はクライアント様も満足してくれていて、顧客の変化が大きいと言えます。ただ、コーチング講座自体はその会社のメソッドなので、盗んで個人で提供するわけにいかず悩んでいます。お二人だったらどんな手段を使って厚利少売につなげますか?
相談者の悩みは、報酬単価の低さを顧客数で補っている現状のままでは、月100万円という目標と、自分の体力やサービスの質が両立しないのではないか、という点にあります。
報酬は月いくら?LINE対応が疲弊を生む理由
すがけんさんはまず、相談文の数字を整理し直します。報酬の10万円は1ヶ月ではなく、3ヶ月の講座1人分に対する金額なので、1人当たりでは月およそ3万円になるという指摘です。
3ヶ月1人当たり33万円のうち、業務委託でミセスさんがやってる時に10万円もらうから月3万円なんだね。10万円じゃなくて。
川原さんも計算を受けて、20名を担当しても月60万円ほどが上限になると確認します。すがけんさんは、元の働き方によって基準は変わるとしつつ、それでも60万円は十分すごい金額だと認めています。
そのうえで、すがけんさんは業務委託に限らず、パーソナルトレーナーのような1対1の仕事は疲弊しやすいと話します。顧客数は20名程度でも1人では100人に増やせず、とくにLINEのやりとりが負担になるといいます。
20人ぐらいからいつ発生するかもわからないやりとりをするから。
すがけんさん自身は、厚利少売を始めるときに「宿題をやらない」と決めたそうです。日程は月初にカレンダーのスクリーンショットを送って4枠押さえてもらい、週1回会うので間のやりとりもほとんど発生しないといいます。
宿題って結局やる気があれば30分で終わるものを、やる気がなくてダラダラ2、3時間かかっちゃうかもしれないし。
一方で、相談者の働き方では週1回60分を20名分こなすと、毎週20時間が埋まります。すがけんさんは、1日4時間ずつ埋まると、間の1時間で別の仕事をするのも難しく、かなりいっぱいいっぱいだろうと見ています。
すがけんさん自身は、地方の飲食店の前でスマホを向けて1時間セッションをすることもあり、場所にクオリティを依存させないつもりで働いているそうです。ただ、業務委託の相談者には同じやり方はできないだろう、とも付け加えています。
「とっとと独立」はなぜ長続きしないのか
すがけんさんは、月100万円を目指すには今の1.5倍が必要で、20人を30人に増やすのはかなり厳しいと指摘します。そこで普通に考えると出てくるのが「業務委託なのだから独立すればいい」という案ですが、すがけんさんはそれに違和感を示します。
なんかね、それって長続きしないと思うんですよね。
すがけんさんが問題にしたのは、相談者にとっての「お客さん」は誰か、という点です。相談文には、仕事を発注している大本の会社の話がほとんど出てこないといいます。
すがけんさんは、よくある例として広告代理店からの独立を挙げます。広告代理店は預かった広告費からマージン ── 取引額のうち仲介者が手数料として受け取る分。広告代理店では広告費の一定割合を管理報酬として受け取る形が一般的ですを受け取り、1000万円を預かれば15%の150万円が入る仕組みです。
ところが発注側が「10%にしてあげるから独立したら?」と担当者を誘うことがあるそうです。発注側は5%分安くなり、担当者は月50万円が100万円になるため、多くの人が辞めてしまうといいます。
誘い
発注側が「手数料を下げるから独立したら?」と持ちかける
独立
収入が2倍になるため、担当者が安易に辞める
立場の逆転
発注側が神様のような存在になり、交渉力を失う
その後
翌年に料金改定されたり、より安い若手に乗り換えられたりする
すがけんさんによれば、安易に独立した人は発注元に対して不利な立場になり、「うちは8%で」「5%で」とより安く請け負う若い独立組に取って代わられることもあるといいます。
発注元とクライアント、両方を勝たせるには?
すがけんさんは、業務委託や会社員として働く人には、目の前のクライアントと、自分にお金を払う会社の両方を勝たせなければならない難しさがあると話します。
この二人を同時に勝たせないといけないのが、いわゆる業務委託や社員で働く人の難しいところなんですよね。
そのうえで、相談者が取り組むべきこととして、大本の会社と一緒に33万円の講座価格を上げる取り組みや、工数削減の方法を考えることを挙げます。価値は上がるのに工数は下がる方向を考えれば、全員がうれしい状態になるという考え方です。
一時的に収入は増えるが、発注元を損させ、誰も助けてくれなくなる
講座の価値を上げ工数を下げ、会社・顧客・自分の全員が得をする
すがけんさんは、フリーや業務委託で働く人には「お金を振り込んでくれている人は誰か」「その人は本当に満足しているのか」という感覚が弱いことがあるとし、相談者にもそこを頑張ってほしいと話しています。
川原さんは、発注元を勝たせようとする姿勢でいると、横で見ていた人から別の話が来るなど、違う道が開けることもあると応じます。
川原さんは、それが実は厚利少売につながる生き方なのかもしれない、と今回の回答をまとめます。
すがけんさんは、大本の会社が価値向上を目指していなければうまくいかない可能性もあると認めます。それでも、会話もせずに辞めるのは誰かを困らせるので、辞めるつもりでも、会社に「私は100万円を目指しているので、これではできません」「コーチングの価値を上げましょう」と話し合う経験は得難いものになるといいます。
業務委託という立場をポジティブに使うと何が起きるか
川原さんは、ラジオネームに「業務委託」と入れるほど業務委託に思い入れがある人だと、ポジティブに受け取ったと話します。すがけんさんの「業務委託だから」という見方とは逆の読み方です。
その本体を勝たせるっていう業務委託としてのやれることめちゃくちゃ模索して、もし一個うまくいったとしたら、同じく業務委託抱えてる人たちの本体の会社に重宝されてコンサルできるなと思ったのよ。
すがけんさんも、業務委託は「私なんて」と思いがちな立場だが、成果が出なければ一律でカットされうる緊張感のある働き方だと話します。そして、自身の業務委託契約がカットされたエピソードを明かしました。
すがけんさんがアドバイザーとして関わっていたある企業は、業績悪化を受けて社長の大号令ですべての業務委託をカットしました。ところが、すがけんさんと仕事をしていた担当の方が動き、翌月にはすがけんさんの契約だけが復活したそうです。
社長の大号令で、すがけんさんを含む業務委託が全部カットされる
担当者が上司を説得し、翌月にはすがけんさんだけ契約が復活する
川原さんはこの話を、投資以上のリターンがあることを担当者自身が上司を口説きに行くほど理解していた、ということだと解釈します。社長の立場が多い川原さんは、大号令のあとに担当者から反論されたら「どういう状態?」と思うはずだと驚いていました。
そんなことやったらさ、他に示しがつかんだろって。
「辞めてほしくない」状態をどう作るか
すがけんさんは、業務委託という立場も表と裏の2つの側面があり、川原さんのように表側のポジティブな面で考えればいいと話します。
川原さんは、業務委託の人が会社全体のことまで考えて提案してくれたら、社員にならないか、業務委託をマネジメントする仕事をしないかと声をかけたくなるといいます。
あなたみたいな人が増えてほしいって思っちゃう。
すがけんさんは、結局はお金を払う人たちがうれしいことをやるのが大事だとまとめます。成果が出ている人が「この形では続けられない」と伝えれば、会社が「やり方を変える」と判断する可能性もあるといいます。
すがけんさんによれば、月100万円を目指すのは夢であり生き方なので否定するものではありません。ただ、業務委託はその目標を会社とすり合わせていないことが多いため、「こうならできる」という提案とセットで伝えることが必要だと話します。
提案の例として、すがけんさんは川原さんの話も受けて、成果を出している人がほかのコーチに教える側に回り、マネジメント代を受け取って100万円を目指す形を挙げています。
一個一個の質を変えていく量は変えれないから、質を変えたら質が変われば単価は変わるし、質を変えたら大本の会社の見方は変わるから、そっちを目指すのはありですよね。
得させた人と損させた人、どちらが多いか
すがけんさんは一般論として、月100万円稼げる仕事をIndeedなどでリサーチして移るのも、ありそうな正解の1つだと認めます。ただ、発注者を損させて移った人は、はっきり言ってうまくいかないといいます。
すがけんさんは、業務委託でも引き継ぎをきちんとするなど、相手がうれしいことをやれば相手はお金を払ってくれると話します。川原さんはこれを「長く上り続けられる生き方」と表現しました。
川原さんは、たとえ挑戦がうまくいかなくても、そのときの会話や本気は相手の記憶に残ると話します。すがけんさんも、うまくいくかは確率論でも、本気を出すかどうかは確率ではないと応じています。
でも本気出すか出さないかは確率じゃないから、その人の思いだから。
最後に川原さんは、お便りフォームでのお悩み相談を引き続き受け付けており、具体的で本気の悩みを送ってほしいと呼びかけて番組を締めくくりました。
まとめ
業務委託で月100万円を目指す相談に対し、二人は安易な独立ではなく、発注元の会社を勝たせることで自分の価値と単価を上げる道を示しました。得させた人を増やすことが、長く続く厚利少売の生き方につながるという回です。
- 業務委託の本当のお客さんは、目の前の顧客ではなく報酬を払う発注元の会社
- 収入目当ての安易な独立は、発注元に不利な立場になり長続きしにくい
- 講座の価値を上げつつ工数を下げる提案が、会社・顧客・自分の全員を勝たせる
- 月100万円の目標は会社とすり合わせ、量ではなく質で単価を変える
- 得させた人が多いほど、人生の選択肢と豊かさは広がる

