最初の一歩は「決意を外に出す」こと?
厚利少売ラジオの2026年最初の放送は、すがけんさんの「今年の厚利少売でやることを、みんなに決めてもらったらいい」という思いつきから始まります。
すがけんさんが提案したのは、昔のチェーンメールのような形式です。この回を聞いた人は、XかInstagramで「私の厚利少売」として今年やることを投稿する、というものです。
これを見た人はXかインスタで私がやる今年の厚利少売を(投稿する)。逆に言うと、これが配信される時、僕らもやってればいいですね。
すがけんさんは、この後に紹介する2つの方法のどちらかを選び、二人をメンションして「私はこれをやります」と決意表明してほしいと呼びかけます。お客さんも見ている場所なので、オブラートに包んだ書き方でかまわないそうです。
川原さんは、宣言しない人は「すごろくの振り出しに戻る」ように番組を最初の回から聞き直すことになる、と冗談めかして応じます。ただ、すがけんさんの意図は、言い訳を重ねて動かない状態を断ち切ることにあります。
まあでも言い方変えると決意言うだけですからね。そんぐらいやりましょ。
本題に入る前には、すがけんさんが大前研一 ── 経営コンサルタント。マッキンゼー日本支社長などを経て、社会人向けのビジネススクールや経営教育事業を主宰していますさんのビジネススクールに出演し、大前さん本人のコンテンツを除けばその月の一番人気になったという話も出ます。そこで厚利少売を改めて定義し直した内容が、この回のヒントになっていると紹介されます。
処方箋1:なぜ「供給しすぎ」が売れない店をつくるのか
すがけんさんが2025年に多くの薄利多売の人と壁打ちするなかで、相談はほぼ2つの解決策に収束したといいます。1つ目が、需要と供給の話です。
すがけんさんの見立てでは、薄利多売から抜けられない人は頑張りすぎて供給を増やしています。欲しい人が少ないのに商品を作りすぎたり、エステの予約枠をたくさん空けたりして、結果的に「売れない商品」「暇な店」に見えてしまうのです。
まずはもうちょっと供給する枠を狭めていいんじゃないかなと。で、ものだったらいっぱい作りすぎない、売るの大変になっちゃうから。
作りすぎると、売るために広告を仕掛け、利益率が悪化していきます。だからこそ、値段に関係なく、まずは少量を提供することが「1の1」だと説明されます。
続く「1の2」は需要を増やすことです。すがけんさんによると、需要を増やす方法も2つしかありません。今いるお客さんにリピーターになってもらうことと、そのお客さんに口コミやレビュー、SNS投稿などで発信してもらうことです。
「なんとかさんがそれを買ったんだ、じゃあ私も」「あそこのエステや鍼がいいんだ」と行きたい人が増えると、需要が供給を上回ります。すがけんさんは、供給以上に欲しい人が増えた状態になって初めて厚利少売の土台ができ、そこでやっと値段を上げる段階に進むと話しています。
すがけんさんが語った需要と供給の進め方は、次の流れで整理できます。
供給を絞る
作りすぎず、予約枠を空けすぎず、少量を提供する
リピートを増やす
今のお客さんにまた来てもらう、もう1つ買ってもらう
口コミを増やす
おすすめやレビュー、SNS投稿で発信してもらう
需要が供給を上回る
厚利少売の土台ができた状態になる
値段を上げる
土台ができてから価格を上げる
川原さんは、話を聞きながらノートに図を書いて整理していたそうで、「図式化すると超シンプル」と感想を述べています。すがけんさんも、リスナーがメモをシェアしてメンションしてくれれば添削すると応じました。
処方箋2:価格を2倍にすると何が変わるのか
すがけんさんが挙げた2つ目の処方箋は、シンプルに価格を上げることです。需要と供給が整っている人や、とにかく一度高く売ってみたい人に向けた方法です。
すがけんさんは本当は10倍がいいとしつつ、多くの人は嫌がるだろうからと「2倍」を提案します。抹茶のような商品なら10倍もありうる一方、エステのようなサービスでは今のサービスのままで10倍は難しい、という話も出ます。
価格を2倍にするときの最大のポイントは、2倍の価格を払ってくれるのは新しいお客さんだという点です。同じお客さんに倍の金額を求めるのは難しいため、少しずつ値上げするのではなく、払ってくれる人に出会う必要があるといいます。
出会うためにはまず2倍じゃないと、そもそも出会う準備ができてないの、ここがあんま理解されない。
すがけんさんは、2倍の価格をInstagramやWebサイトに載せるときに手が震えたり、ドキドキしたりするなら、やめるのではなく向き合ってほしいと話します。倍の価格に見合うサービス、商品、説明、自分の振る舞いは何かを自問自答するのです。
だからその倍には倍の見え方とか振る舞いっていうのがあるから、それは倍にしてみないと皆さんもできるようになんないんで。
すがけんさんは、100円ショップの安売りPOPのような見せ方は、倍の価格なら付けないはずだと例を挙げます。値段を先に変えることで、見え方や振る舞いを変えるきっかけが生まれるという考え方です。
価格を2倍にした前後で、向き合う相手と課題は次のように変わります。
今のお客さんを相手に、どうすれば2倍にできるかを考え続け、厚利少売が始まらない
新しいお客さんに見つけてもらう準備が整い、倍に見合う商品・説明・振る舞いを考え始める
売れた後についても、すがけんさんは「売れてからが大変」と強調します。おまけや返金ではなく、会話や表情からお客さんが本当に満足しているかを確かめ、リピートや口コミにつながるまで価値を返し続けることが大切だといいます。
それでも合わない人は「倍のお客さんではなかった」と考え、次の倍のお客さんに出会えるよう努力します。需要と供給から始めるか、いきなり価格を倍にするかは、本人の性格や商品との相性で選んでよく、どちらから始めても正解だと話されています。
迷う時間はいらない?料理教室とサロンの実例
すがけんさんは、2つのうちどちらを選ぶかで悩まず、秒で決めてほしいと呼びかけます。考えても仕方がないので、あとはやるだけだという姿勢です。
すがけんさんが有料で行っている個人向けアドバイスでは、料理教室を営む人の相談を受けたそうです。全部を値上げするのは大変なので、1か月にあるクラスのうち何割かだけを倍の価格にしたところ、倍の価格のクラスから先に売れたといいます。
今のお客さんの中にももっといいものが欲しい人はいるんで、ちょっとこれ信じてやってみてください。
川原さんも「値段をつけないと買えないから」と応じています。高い選択肢が存在しなければ、もっと良いものを求めるお客さんも選びようがない、という指摘です。
もう1つの例は、サロン系の鍼灸師さんです。この人は需要と供給や値上げではなく、価値を返すことから始めました。1万円弱の料金だったのに、価値を返しすぎた結果、お客さんが2万円を置いて帰るようになったそうです。
すがけんさんは、サロンの例を面白いとしつつ、価値を返すことから始めて成功できる人は少ないとも話します。だからこそ、需要と供給か価格を倍にするかのどちらかを勧めています。
値上げをためらう人は、申し訳ない、金の亡者と思われる、といったネガティブなことを考えがちです。すがけんさんは、価格と価値は同じものであり、価値とは相手に起きる変化の大きさだと説明します。
すがけんさんによると、良くないのはお金だけを欲しがることです。もっと価値を返したい、変化を届けたいという気持ちから値上げするのが健全で、さっさと値段を上げてから価値の返し方を考えるのがよいと話されています。
今のお客さんの声に応え続けても、なぜゴールに着かないのか
川原さんは、価格を上げることで新しいお客さんに出会う準備が整う、という話を聞いて思い当たることがあったといいます。多くの人は、今のお客さんの声に先に応え、その延長で2倍にしようとしているというのです。
より価値を感じてくれるお客さんからのフィードバックは応えるに値するんだけど、そのフィードバックの質自体が求めてるものって違うから。
川原さんは、聞くべきではない人の意見で落ち込んでいる人にとても多く出会うと話します。すがけんさんも、有料の相談でそうした悩みを聞いた場合は、最初に「その人は聞く相手じゃないんじゃないですか」と切ってしまうそうです。
だって8000円しか払えない人は8000円でやってほしいんだから。でも(相談者は)変わりたいわけじゃないですか。
すがけんさんは、一生付き合うかもわからない人の意見を真剣に聞き、その人だけが得をする意思決定をする理由がわからないと話します。失恋のように引きずらず、さっと切り替えたほうがよいという考えです。
2人が語った「誰の声を聞くか」の違いは、次のように対比できます。
支払い能力に限りがあり、求める価値も違うため、応え続けても2倍の価格にはつながらない
フィードバックに応える価値があり、厚利少売の方向とつながっている
川原さんは例外として、8000円の人の支払い能力を上げるところまで手伝えるならやれる、とも話します。川原さん自身はそのタイプで、すがけんさんも同じだといいます。ただ、多くの人にとってそれは専門外です。
今のお客さんの要望に応えて、どんなに応えても、この人の支払い能力には限りがあり、欲している価値が違うんだから、知ってくれっていう。2026年最初の叫び。
川原さんは、この道は繋がっていないと知ることが大事だと強調し、今年の放送はこの回だけでいいのではないかと思い始めた、とまで話しています。
厚利少売を始められるかどうかは勇気で決まる?
すがけんさんによると、リスナーの中にも実際に行動して変わった人は多く、有料アドバイスを受けた少数の人も変わっていくそうです。すがけんさんは、ラジオを聞けばできるのだから自分にお金を払う必要はなく、その分をお客さんへの価値に回してほしいと話します。
そうなんですよ。必ず勇気に帰結するっていう。
川原さんは、その一歩を踏み出した人は景色が変わると話し、すがけんさんは料理教室の例を挙げ、川原さんは自身の母親もそうだったと続けます。
だからね、やっぱね、賢い人ほどやらないからリスクばっかり気になっちゃって。
川原さんは小声で同意しつつ、「賢さとは何か」をみんなが考えたほうがいいと話します。笑っているおじさん2人がうまくいっているのだから、たぶんこのやり方は正しいのだ、という言い方もしています。
すがけんさんは、寿命が一定なら早くやったほうがいいとして、改めてInstagramかXに「私の厚利少売」を投稿し、決意して、やってみてほしいと呼びかけます。お便りやメンションで「うまくいった」という報告が2025年の10倍ほど見られたら、続けてよかったと思える、と2人は目標を共有しました。
Clubhouseで話していた頃は、まだ厚利少売という本も概念もなかったのに、「うまくいきました」というDMが毎日のように届いていたそうです。すがけんさんは最後に「3回ぐらい失敗してほしい」と、とにかく試すことを勧めています。
川原さんは、この回は最低でも10回は聞いたほうがいいと話します。一方で2人は、やり終えたらもう聞かなくていい、「今97回目です」というお便りが来たら怒る、と笑いながら行動を促しました。
本は「読む」より「やる」ための相棒に
お知らせのコーナーでは、すがけんさんが書籍『厚利少売』正式書名を紹介します。ラジオは聞き流してしまうこともあるため、決意を支えるのはラジオ、具体的に何をするかは本を使う、という使い分けを提案しています。
すがけんさんは、本に折り目をびっしり付け、「今日はこれ、明日はこれ」とカレンダーに入れながら実践する相棒にしてほしいと話します。ボロボロになった本には、どこかで会えばサインをするそうです。川原さんも「読むじゃなくやる本」と言葉を添えました。
川原さんは自著『書名(僕の人生は捨て自由に生きるための47の秘訣)』も、読む本ではなく、やることが47個書かれた本だと紹介しています。1つでも2つでも実践すれば、その分人生が軽やかになると話します。
アフタートークで川原さんは、今は誰もが受け取る情報の量が多すぎるので、何度も聞くべきものをどれだけ少なく置けるかが大事だと話します。すがけんさんはこの回を、噛むほど味が出る「スルメ回」と呼びました。
今日のお悩み1、1の2の需要と供給で言っていた、やっぱりご紹介おすすめ口コミコンテンツになってもらうのところがリスナーの方のお役目なんで。
川原さんは、お便りフォームで寄せられた変化を番組でもっと紹介していきたいと話します。リスナーの口コミが需要を生むという構図は、この番組自体にも当てはまるという話で、新年の放送は締めくくられました。
まとめ
すがけんさんが2025年の相談から導いた厚利少売の初手は、需要と供給を整えるか、価格を2倍にするかの2つです。どちらから始めても正解で、大切なのは迷わず選び、決意を外に出して実行することだと語られました。
- 供給を絞り、リピートと口コミで需要を増やしてから値上げするのが1つ目の方法
- 2つ目は価格を2倍にすることで、2倍を払う新しいお客さんに出会う準備が整う
- 倍の価格に見合う商品・説明・振る舞いは、値段を変えてみて初めて考え始められる
- 今の価格帯のお客さんの声に応え続けても、厚利少売にはつながらない
- 価格は価値であり、価値は相手の変化量。最後に必要なのは、一歩を踏み出す勇気


