BL賞の冗談と、5回聴いた「基本の回」
厚利少売ラジオは、薄利多売のビジネスモデルから抜け出すための考え方と行動のヒントを、すがけんさんと川原卓巳さんが話すビジネス対談型ポッドキャストです。この回の冒頭は、リスナーのコメントを受けて「BL業界に参入してしまう我々」という冗談から始まります。
どうします?ポッドキャストアワードで最優秀BL賞もらったら。
すがけんさんは「取ります」と即答し、川原さんも「壇上に行けるならばBLでも」と乗っかります。軽い掛け合いのあと、本題の前に、年始に配信された回の話題に移ります。
その回は「厚利少売の始め方」をテーマにした、振り返りであり基礎であり奥義のような回でした。川原さんは収録日の1月8日の時点で、すでにその回を5回聴いたと報告します。
一番短く自分の思考が整うコンテンツがそれだったんですよ。
毎日20分、歯磨きのように聴くという使い方
川原さんは、ジムで歩きながらその基本の回を聴くと、いろいろなことが整理され、自分が今何をやるべきかに立ち返れたと話します。その回の長さは24分ほどでした。
すがけんさんは、新しい回は別の時間に聴いてもらうとして、朝の散歩などのルーティンでは基本の回を毎日聴く使い方を提案します。理由は、人は結局忘れてしまうからです。
だから忘れないように毎日聞いといて、ああ今日あれやんなきゃ、これやんなきゃ、これカレンダーに入れとかなきゃをやるルーティンにもう歯磨きぐらいに入れちゃえばいいかもですね。
基本の回の内容を図式化してシェアしたリスナーもいて、川原さんは「図式化するとこれだけシンプルなことしか言ってない」と感じたといいます。すがけんさんは、厚利少売は難しいことではなく、日々の意思決定の切り替えだと説明します。
一日4万回、5万回と言われる意思決定の中で、本当にその意思決定の中に薄利多売的意思決定と厚利少売的意思決定がある中で、常にどっちを選ぶかを厚利少売的に切り替えてっていただいたら、到達する先ははるかにいいものになりますよね。
やることはシンプル。なのになぜ手放せない?
川原さんが持ち込んだこの回のテーマは「手放す勇気の作り方」です。基本の回ですがけんさんは、やることはシンプルで、最後に問われるのは勇気であり覚悟だと話していました。
もう聞きながらそこがむずいねん。教えて菅健さんってなったんで、ちょっとそこだけの回。
すがけんさんは「捨てる神様といえばあなたじゃないですか」と、こんまりのプロデューサーである川原さんに話を振り返します。それでも川原さんは、自分がリスナーとして聞きたいのだと譲りません。
川原さんによれば、多くのリスナーが手放すことの意味はわかっていても、怖さで止まっている可能性があります。そこを乗り越えられれば、最も大きな変化が得られるはずだという狙いがありました。
うつ病から抜け出した、自分を納得させる言葉
すがけんさんは、20代のときにうつ病だった経験から話を始めます。ただし、うつ病にならないと手放せるようにならないという意味ではなく、あくまで一つのエピソードとして聞いてほしいと前置きしています。
すがけんさんがうつ病に至ったきっかけは、自分を優秀だと思っていたのに、実際はそれほど優秀ではないと気づいたことでした。20歳で働き始め、高校1年生からプログラミングをしていたため、スタートダッシュが良かっただけだったといいます。
でもやっぱり大学生って頭いいから、どんどんどんどん追い抜かれちゃってる。まさにウサギとカメのウサギみたいな風に僕はなっちゃってて。
すがけんさんの仕事は手につかなくなり、失敗をしてはその挽回に時間を取られる悪循環に陥ります。すがけんさんはこれを、ビジネスでいう薄利多売の負債の抱え方を、働き方でやってしまっていたと表現します。
過信
スタートダッシュの良さを自分の能力だと思い込む
追い抜かれる
大卒の同僚にどんどん追い抜かれていく
失敗と挽回
仕事が手につかず失敗し、取り返すのに時間がかかる
うつ病
返済が滞るような状態になり、心が限界を迎える
すがけんさんが抜け出すきっかけになったのは、そんなことを気にしているのは自分だけだという気づきでした。友達はすがけんさんをバカだとも思っておらず、不幸な境遇は自分が作り出しているのだと思えたといいます。
人から言われても無理じゃない?もう聞く耳も持てないし。でも結局自分が変わる言葉って自分でしか生み出せないなって思ったんですよ。
25歳ぐらいだったすがけんさんは、65歳まで働くと考えれば今が働き始めだと捉え直し、「今新卒だと思ってスタートからやり直せばいい」と思えたことで気が楽になりました。2〜3年苦しんだうつ病も、その気づきで一気に治ったと振り返ります。
40歳の独立を怖くなくした「イカダ」の言葉
すがけんさんは、自分を納得させる言葉の使い方を、40歳での独立にも当てはめていました。当時のすがけんさんは200億円以上の規模の会社を経営し、日本を代表するスタートアップでも働いていましたが、独立には不安もあったといいます。
そこですがけんさんが自分にかけた言葉は、大きな船の一部として漕ぐより、小さなイカダで立って漕ぐほうがいいというものでした。
組織の一部として働く。漕ぎ手なので手の筋肉しかつかない
一人で立って漕ぐ。見渡す力も漕ぐ力も全部つき、究極のリスクヘッジになり得る
思えたというか、思うようにしたから、漕ぎ手だとね、手の筋肉しかつかないけど、なんか全部一人でやった方が、これもしかして能力全部つくんじゃないって思えた。
すがけんさんは、手放す勇気についても、それぞれが自分の状況で自分に声をかけてあげることが重要だと話します。川原さんはこれを受けて、怖がっている今の自分にどんな声がけをしているかを振り返るのがスタートかもしれないと応じます。
すがけんさんは、うつ病のときに「人より優秀だ」という自我やプライドに気づけたからこそ、何を手放せばいいかがわかったと付け加えます。
布団から出られない時間に、自分と対話する
川原さんは、すがけんさんが25歳で自分の内側と対話できたことに驚きます。すがけんさんは、見つけなければ「デッド」だったので、対話するしかなかったと答えます。
まあだって対話するしかないっていうか、毎日布団から出れない人生だったんで。
川原さんも似た状態を経験したことがあり、時間は膨大にあるのに起き上がる気力がない感覚に共感します。すがけんさんは、1か月に数時間ある回復した瞬間に考えられたことがラッキーだったと話します。
寝てるのもだるいし。で、時間埋めるためにいろいろコンテンツ見たり、なんか漫画読んだりするんだけど、いつかそれもなんか何やってんだろうって言って癒しにならないし。
すがけんさんの結論は、本人がそう思っているだけなら、本人が気にしなければいけるということでした。どんな逆境でも、環境より自分が悪さをしている可能性があると、すがけんさんは考えています。
値上げが怖い理由を、GPTとの壁打ちで深掘りする
すがけんさんは、人のアドバイスは本人のことをわかっていないので当たらないと話します。だからこそ、たとえば「値上げはどうしてこんなに怖いのか」を自分で掘り下げることが大切だといいます。
その方法の一つとしてすがけんさんが挙げたのが、GPTとの壁打ちです。うまく動くかはわからないと断ったうえで、すがけんさんは次の手順を例に出しています。
すがけんさんはさらに、究極的には「人生をやり直すつもり」になれば、厚利少売へ移ることはできると話します。
生まれ変わりたいのに、脱皮が怖いのはなぜ?
すがけんさんは、みんな生まれ変わったように変化したいと言うのに、生まれ変わること自体が怖いという矛盾を面白がります。
え?だって皮ふやふやになるじゃん、脱皮した瞬間みたいな。なんか生きてけるかわかんないって言ったら怖いじゃないですか。
川原さんは、だから今のままでいるほうが安全に感じるのだと受けます。すがけんさんは、その怖さはむしろ良くなるためのシグナルなので、早く動いたほうがいいと話します。
いいんですよ。だからいい反応なんですよ。
川原さんは振り返ると、怖いときの決断ほど人生に良い変化をもたらしてきたといいます。その例が、アメリカへの移住でした。
だってアメリカに移住なんて手放すの極みだしさ。
川原さんはアメリカで先に会社まで設立し、「足りないのは自分の能力だけ」という逃げられない状況になったといいます。英語も話せず、現地のこともわからず、資金調達をしたものの何をしていいかわからない状態だったと振り返ります。
すがけんさんは「退路を断つのはいい」と評価し、川原さんも、ちゃんとした成長はそのときにしかしていないかもしれないと話します。すがけんさんは、背伸びする部分がないと成長しないと応じます。
不安は頭で考えず、書き出して可視化する
すがけんさんは、この回の結論として、自分のことは自分が一番詳しいのだから、何が本当に怖いのかに向き合うことを勧めます。たとえ話として挙げたのが登山です。
登山なら、体力がない、酸素が薄くなる、一人だと不安、といった不安が思いつきます。川原さんも、知識が足りずに滑落するのではないかという不安を付け加えます。
- 体力がない
- 酸素が薄くなる
- 一人だと不安
- 知識が足りず滑落するかもしれない
- どの装備を入れればいいかわからない
それのビジネスにおいてご自身が何が不安なのかを、やっぱ頭で思うより書き出してみる。
すがけんさんは、ビジネスの不安も同じように書き出し、さらにGPTと対話してみるのが、この回で一番いい考え方だとまとめています。
決断は「後から正解にできる」じゃんけん理論
すがけんさんはもう一つ、起業家としての助言を加えます。小さな事業も含めれば、リスナーもみな起業家だという前提です。
すがけんさんによれば、川原さんのアメリカでの会社設立も、その瞬間だけを切り取れば失敗だったかもしれません。能力もなく、その時点で清算すれば失敗が確定していたからです。
一方で、ビジネスは始めたあとに自分が頑張って正解にしていけると、すがけんさんは話します。決めた瞬間に何かが下されると思うから怖いのであって、決めたことは後追いで正解にできるという考え方です。
決めた瞬間に結果が下されると思い、何を選ぶかで悩んで怖くなる
決断はとにかく出し、何年もかけて自分の手で正解にしていく
じゃんけんでチョキ出して負けたってなった瞬間に、5年かけてチョキが正解になるみたいな。
チョキを出すかパーを出すかとかで悩まないで、出したチョキを正解にしていけばいいだけだから。
川原さんは、基本の回ですがけんさんが「悩んでも変わらないから秒で決めて」と言っていたことと、このじゃんけん理論が近いと気づきます。何を出すかで悩んでいる限り、ゲームは始まらないからです。
経験が全然蓄積されないんで、もうグーでもチョキでもパーでもいいから、とにかく出して後から正解にしていくゲームなんで、そっち頑張りましょう。
アメリカ移住は2年半かけて正解になった
川原さんは、自分の経験をじゃんけん理論に当てはめます。2016年8月に渡米してからはずっと失敗続きで、Netflixの番組が出た2019年までの2年半ほどをかけて、移住を正解にしたと振り返ります。
すがけんさんは「やめなかったら後で正解にできる」のがビジネスの面白さだと話します。しかも川原さんは、Netflixに出るためにアメリカへ行ったわけではありませんでした。
でも行ってなかったらじゃんけん出してなかったら絶対この話なかったと思う。
すがけんさんも、アメリカにいなければその界隈の人と仲良くなることも、ミーティングの話になることもなかったと応じます。川原さんは、実績のない人間とオンラインでミーティングをしようとはならないと付け加えます。
すがけんさんは、これは励ますために言っているのではなく、自分も川原さんも、誰でもそうなのだと強調します。決めた決断を正解にするかどうかは自分次第で、後からいくらでも改善できるので、まず決めようと呼びかけます。
厚利少売のグー・チョキ・パーはどれからでもいい
川原さんは締めくくりとして、厚利少売に向けた3つの行動を、じゃんけんのグー・チョキ・パーに置き換えます。
| 手 | 行動 | すがけんさんの見方 |
|---|---|---|
| グー | 供給量を絞る | どれからでもいい |
| パー | 需要を増やす | どれからでもいい |
| チョキ | シンプルに値上げをする | どれからでもいい |
どれをやるかなんて、どれからでもいいので。
川原さんは「すげえシンプルになった」と喜び、この回も繰り返し聴く回に加えると話します。すがけんさんは、その日に自分が変われそうな回を選んで聴く使い方を提案し、川原さんもエッセンスとして取り込むラジオだと応じます。
5万円のオンライン書籍と、手放したコンサル
お知らせコーナーで、すがけんさんは『厚利少売』の書籍に加え、2026年に経営者向けのオンライン書籍を5万円で販売し始めることを紹介します。収録時点ではテスト販売中でした。
すがけんさんは、1時間30万円の経営者向け壁打ちでは上場企業や大企業の人としか仕事ができなくなることが嫌で、それを前年1年かけて手放したといいます。そのうえで、5万円なら高校生でも買えるコンテンツとして、もっと遠くの人に届けたいと話します。
テスト販売は5人ほどしか売れないと思っていたところ何十人も購入し、1日で300万円分ほど売れて入金のやりとりが大変だったそうです。川原さんは、すがけんさんはいつも整える前に出してしまい、DMの返信に追われていると笑います。
本当は最初ゴルフとかもそうで、なんか自分なりのフォームでやるんじゃなくて、最初に始める前にフォームを覚えてくれたら、こんなに苦労しなくていいのにって思うから。
すがけんさんは、在庫が1万個ある薄利多売から厚利少売に変えるより、最初から在庫を溜めない厚利少売で始めたほうがいいと話します。売れない在庫をさばくために広告費をかけるより、5万円のほうがはるかに安いという考えです。
『人生は捨てて自由になる』とお便りの募集
川原さんは、自身の著書を紹介します。すがけんさんが手放す勇気を話したこの回に対し、川原さん側のやり方や考え方をまとめた一冊で、すがけんさんも参考図書として勧めています。
川原さんの著書は前年末に重版したそうです。川原さんにとって、自由に生きる方法の一つが厚利少売だという位置づけだといいます。書名は書き起こしで正確に確認できないため、川原卓巳さんの著書名としておきます。
番組の概要欄にはお便りフォームが用意されています。川原さんは、現在の単価や将来の目標数値を含めた、本気で具体的なビジネスの悩みを送ってほしいと呼びかけ、ハッシュタグ「厚利少売」での感想投稿も募っています。
まとめ
この回では、手放す勇気は人からもらうものではなく、自分を納得させる言葉を見つけ、不安を具体的に書き出し、決断を後から正解にしていくことで生まれるという考え方が語られました。すがけんさんのうつ病からの回復や独立、川原さんのアメリカ移住は、その具体例になっています。
- 自分が変わる言葉は自分でしか生み出せない。怖い今の自分にどんな声をかけているかを振り返る
- 手放すべきものは、プライドや自我の正体に気づいたときに初めて見える
- 生まれ変わるのが怖いのは、良くなるためのシグナルでもある
- 不安は頭で考えず、書き出したりGPTと壁打ちしたりして可視化する
- 決断は後から正解にできる。供給を絞る・需要を増やす・値上げする、のどれからでもいいので始める


