企業合宿を70〜100万円で売る人の悩みとは?
この回はお悩み相談のコーナーです。1人目は、ラジオネーム「合宿中毒」さんからの相談でした。
すがけんさんは名前を聞いた瞬間に、合宿が目的化している人ではないかとツッコミを入れています。
それ(合宿中毒という名前)がもうダメなんじゃない?もう手段と目的が入れ替わってそうな感じするよね。
ところが読み上げられた相談は、企業合宿を本業にしている組織開発コンサルタントからの、具体的な価格戦略の悩みでした。
私は企業合宿を中心とした組織開発コンサルティングをしています。企画からファシリテーション、アフターフォローまで、70から100万円で提供してきました。10人のスタートアップから300人超えの上場企業まで支援していますが、特にアーリーステージの10から30人の壁の組織課題解決に価値が出せていると感じます。年2回の全社合宿で売り上げが5倍になったというお客様もいます。
リピートいただいているお客様(100人以上の上場ベンチャー)が、合宿の価値を組織活性化だけではなく、企画から運営、フォローを通じて次世代リーダーが育つと表現されていたことに気づきました。そこで、100人規模以上の会社向けには、このリーダー育成を価値とした3から4ヶ月のプログラムを従来の倍以上の価格で提供しようと考えています。
一方、予算が合わない小規模企業向けには、ライトプランや予算に合わせたギブの形で提供するかと悩んでいます。理想は、最高の合宿を起点に最高の組織を増やす合宿文化を作ること。アドバイスやアイデアをいただけると嬉しいです。
相談者は、すがけんさんがビジネスカンファレンスで開いた厚利少売ワークショップにも参加していたといいます。2人は「いい方の中毒だった」と笑いながら、回答に入っていきます。
合宿の価値を10倍にするには何を考える?
すがけんさんがまず挙げたのは、企業合宿を手がける会社はほかにもたくさんある、という前提です。厚利少売では、似た会社とぶっちぎりで違う状態、つまり異常値になる必要があると話しています。
完全に頭の体操ですけど、70万から100万円なんだったら、700万円から1,000万円でやってもらうにはどうしたらいいかをまずはしっかり考えると。
すがけんさんの見立てでは、50〜100人が参加する合宿なら、1000万円でも1人当たりにすると決して高くありません。ただし、それは参加者が本当に変わる場合に限られます。
100人集めて5人しか変わらなければ費用対効果は低く、残りの95人からは「あの合宿意味あるんすか?」という不満が出てきます。だからこそ、参加者全員を変える設計が必要だといいます。
そのためには、発注企業も参加者も選び、会社と個人それぞれの変化量を何に置くのかを設計する必要があります。すがけんさんは、相談者が気づいた「次世代リーダーが育つ」という価値はかなり良さそうで、そこから始めるのがいいかもしれないと話しています。
一方、小規模企業向けのライトプランについては、すがけんさんは優先順位を下げたほうがいいという考えです。根拠として、自身の働き方を紹介しています。
大企業から対価を得る
大企業から高いお金をいただき、それ以上の価値を返す
スタートアップへ投資
年10社の大企業案件で得たお金で、スタートアップ20社ほどに投資する
場数を踏む
年4プロジェクト程度のコンサルに対し、年30社の問題解決に関わる
経験値が溜まる
多くの案件を通じて、いろいろなことがわかるようになる
すがけんさんは、スタートアップが悪いわけではないと断ったうえで、お金はあるところからしっかりいただき、スタートアップには投資やボランティアで関わる形を勧めています。
お金ない人たちお金ないんで、当然。なんでお金あるところからお金以上の価値を返すところをまずは逃げずにしっかりやるのがいいのかなと思いました。
売上5倍の社長にどう値上げを切り出すか
川原さんは、売上と利益のどちらを、どの水準まで目指すのかによってやり方が大きく変わると指摘しました。相談文から思考の整理された優秀な方だと伝わるからこそ、目標設定さえあれば道筋は必然的に決まるといいます。
もし続編いただけるんだったら、いくら目指してらっしゃるのかさえいただけると、もうちょっとスガケンAIが「じゃあこの道しかないですね」までたどり着けそうだなと思いました。
すがけんさんも、相談者が社長として意思決定できる立場なのか、組織の一部なのかによって変わると補足しています。そのうえで、2人とも「すぐ伸びそう」という評価で一致しました。年2回の合宿で売上5倍という変化量がすでに出ているからです。
そう、売上5倍になったら1000万ぐらい払ってくれるんじゃないですか。
ただし、すがけんさんが強調したのは値上げの伝え方です。成果が出たから一方的に値段を上げるのではなく、もっと良くしたいという熱意から相談を持ちかけることが大事だと話しています。
売上5倍になるなら、うちも100万じゃなくて1000万円でいいですか?
もっといいものを提供したいので、1000万円かけてでも、売上5倍どころじゃないチャレンジを2人でできませんか?
だからお客さん置いてけぼりにしないと。うち頑張りたいんで、もっとあなたを変えたいっていう熱意を伝えるところからやらせてもらうのすごい大事だと思います。
すがけんさんは最後に、一律に値段を上げるのではなく、1社だけそういうプランを作ってみてもいいと付け加えています。川原さんも、相手の変化量を作れる方なのでいけそうだと締めくくりました。
年間契約を得たイベントサポーターが陥った時間フルコミット
2人目は、ラジオネーム「トミー」さんからの相談です。著者のイベントサポーターとして働く方で、厚利少売を意識した結果、初めて年間契約のオファーを受けたといいます。
私は著者のイベントサポーターとして3から4ヶ月単位でお仕事を依頼いただいております。SENSEでスガケンさんという存在を知れたおかげで、厚利少売を意識しながら進むことができた結果、今年初めて年間でサポートをお願いしたいというお申し出をいただきました。
SENSEあれですね、僕が最初に作ったオンラインサロンで、そこでもスガケンさんに来ていただいて、ゲストで対談いただいたことがあるので、多分それを見ていただいたのかな。
金額面はもちろんですが、あなたが必要ですと言ってもらえたことが嬉しすぎて、3日後くらいにようやく理解できて泣けました。ただ、そんな嬉しいオファーをいただきましたので、つい力が入ってしまい、時間フルコミットという薄利多売状態にあっという間になってしまいました。
無能だと思われたくない、捨てられたくないという恐れもあるし、そんな頑張ってるアピールをしている自分も嫌になります。自分を捨てて厚利少売でコミットしていくためにアドバイスをいただけますと嬉しいです。
すがけんさんから「捨てのプロとしては?」と振られた川原さんの答えは、とてもシンプルでした。年間サポートの依頼主と、期待されている変化について会話できているかどうかが鍵だといいます。
依頼されてる、作ってほしい変化は何ですか?っていうのさえ握れていれば、正直後の頑張らなきゃとか時間やってるとかって一切必要なくなるな。その会話してきてください。以上でした。
おまけを付けず、毎月「お役に立ちましたか?」と聞く
すがけんさんは、慣れていない人ほど、年間契約になると「おまけ」をたくさん付けてしまうと話します。3〜4ヶ月でやってきた仕事を年間分やるだけでも十分かもしれず、余計な仕事は相手にとって不要な場合もあるといいます。
やっぱそこに素直にやっぱそれだけをしっかりやる、おまけをいっぱいつけないっていうところが、まさに厚利少売でも捨てでも大事なことだと思うんで、やってみてください。
そのうえで、すがけんさんは、お金をもらう仕事で一番大事なのはフィードバックを得ることだと述べています。報酬が振り込まれたタイミングで、責任者に「今月はお役に立ちましたか?」と聞くことを勧めています。
すがけんさんの考えでは、顧客が払ったお金の分だけ時間があり、それが10時間でも100時間でも有限です。だから、自分の時間をお客さんの時間だと考え、無駄に使わないことが大切になります。
ああ、それじゃない、それじゃないとか、あれ良かったんでもうちょっとやってもらえません?いやでも時間の都合があるんで、じゃあこれやめていいですかとかっていう、すごく建設的な会話になるんで。
発注者は顧客ではなく「プロジェクトメンバー」
川原さんは、発注者と自分は顧客関係である以上に、共に取り組む存在だと指摘しました。すがけんさんはそれを「プロジェクトメンバー」と言い換えています。
自分のリソース提供できるものをもう開けっ広げに出して、多めに出すんじゃなくて、ちゃんと見せて、このリソースの中で最高のパフォーマンスを出すということを月に30分打ち合わせするだけでも全然変わると思うんですよね。
すがけんさんは具体例として、トミーさんが苦手を克服するために時間の半分を使っているケースを挙げます。発注者がそれを知れば、自社のスタッフや出版社に任せればいいと判断するかもしれません。
これ(役割の分担)がチームの醍醐味ですよね。やっぱ一人よがりでやらないで、足りない部分は分散し、得意な部分を集中的にやった方がいいと思うんで。
川原さんは、著者のイベントサポーターの価値をさらに広く捉えています。著者の周りにいる多くのプレイヤーの力をイベントという観点でまとめる人がいること自体が大きな変化であり、来場者をファンや仲間にするコミュニティビルディングまで含まれるといいます。
僕は逆に言うと3から4ヶ月単位で依頼するより、絶対年間でやった方が役に立てるし、そっちの方が本質だよなって思っちゃうんですけど。
すがけんさんも、本の発売直後はメディアや書店の後押しがあっても、後半は尻すぼみになりやすいと応じました。そのときに、多くの著者を支援してきた経験から知恵を出せることが、年間で頼みたい理由になると話しています。
プロほど自己開示が得意、という逆説
すがけんさんが特に重視したのが、自己開示です。今月やったことをレポートで送るだけでも自己開示になると話しています。
なんかね、やっぱね、自信がなくなるとね。ブラックボックスにしてきたくなっちゃうんですよね。
すがけんさんによると、人は「そんなのにそんなに時間をかけたの?」と思われたくなくて、天才のようにさらっとうまくいったように見せたくなります。しかし、それには無理があり、全部開示して改善の会議をするほうがよほど重要だといいます。
自信がないため過程を隠し、さらっとうまくいったように見せようとする
やったこと、できないことを事実として伝え、もっと良くする議論につなげる
川原さんは、発注者の側から見るとそこまでしてくれる人は少ないため、内容以前に開示という行為そのもので信頼が貯まると補足しました。すがけんさんも同意し、恩着せがましくではなく、より良くするために事実を伝えるスタンスが大事だと話しています。
お客さんと自分を隔てない。すがけんさんの「余生の合宿」構想
川原さんは、トミーさんの相談への答えを、無能だと思われたくない、捨てられたくないという思いを捨てること、とまとめました。すがけんさんは、年間契約がすでに決まっているのだから怯えなくて大丈夫だと励ましています。
だからお客さんと私をあんまり隔てないでください。ね、一体だから、お客さんにちゃんと同じ体としてつながってるかのごとく見せてって良くしていく方がよっぽど来月再来月良くなるんで。
川原さんは、この考え方が1人目の合宿中毒さんにも共通すると指摘しました。お客さんと自分を隔てないという感覚、つまり共通の目的に向かう仲間だという意識があると、仕事のあり方が変わるといいます。
話は合宿の楽しさに移り、すがけんさんは、余生には合宿の仕事をしようと考えていると明かしました。軽井沢などに家を建て、経営者レベルの5〜6人を迎えて、食事も寝る場所も用意する構想です。
まあ一回で何十万円かいただきますけど、そういう合宿を提供しようと思ってて。100人集めるとか、何十人じゃなくて、最大でも10人かな。
川原さんは、すがけんさんが自宅で開いている「ケーキ会」の経営者版のようだと反応し、余生を待たずにすぐやってほしい、リスナーにも来たい人がいるはずだと盛り上がりました。すがけんさんも、どこかのホテルでもいいので「やりましょう」と応じています。
本の使い分けと、相談に数値を書く理由
番組の最後には、2人の書籍の告知がありました。すがけんさんは著書『厚利少売』正式書名について、ラジオでモチベーションを高め、体系立った本で具体的なアクションに落とす使い分けを勧めています。
川原さんは新刊川原さんの新刊タイトルを紹介しました。近藤麻理恵さんの本で片付けをしてきた読者からも、さらに捨てるのが加速したという声が届いているといいます。
実はさ、チャンスがいっぱい来てるわけじゃなくて、今までは重たくてチャンスを見て見ないふりしてただけなんだよね。
最後に川原さんは、お便りでの相談には、達成したい目標を定量的な数値で書いてほしいと呼びかけました。数値があれば、より具体的に答えられるからです。合宿中毒さんへの回答で「いくら目指すのか」が鍵になったことにも通じる呼びかけです。
まとめ
2つの相談に共通していたのは、時間や頑張りではなく、顧客にどんな変化を起こすかを軸にすることでした。そのために、お客さんと自分を隔てず、仲間として率直に話し合う姿勢が大切だと語られました。
- 企業合宿の価値は参加者全員の変化量で決まり、700万〜1000万円で売るならどうするかを考えることが出発点になる
- 値上げは一方的に求めるのではなく、「もっと良くしたい」という熱意とともに成果の出ている顧客に提案する
- 年間契約ではおまけを足さず、作ってほしい変化を握り、毎月「お役に立ちましたか?」と聞く
- プロほど自己開示が得意で、やったこともできないことも開示すると信頼と建設的な議論が生まれる
- 相談や目標設定には具体的な数値を入れると、取るべき道筋がはっきりする

