1年は52週、なぜ年々短く感じるのか
「厚利少売ラジオ」が50回目を迎え、すがけんさんは「およそ週1だからほぼ1年」と振り返ります。川原さんはそこから、1年が52週しかないことの短さに触れました。
52回1週間過ごすと1年終わっちゃうって、なんか短くないですか?
48歳のすがけんさんは、40歳の頃と比べても1年が「段違いに早い」と話します。30代と比べた体感を川原さんに問われると、すがけんさんは「半分じゃない?」と答えました。
52週間じゃないですよ、25週間だし。いや、何より怖いのは(時間が)これからもっと早くなっちゃうんだとしたら怖いですよね。
すがけんさんは、50歳が人生の折り返しと言われても、体感としては残りが4分の1ほどしかないように感じると語ります。その焦りに対して川原さんは、80代以上でもエネルギッシュに生きている知人たちを挙げました。
すがけんさんの見立てでは、時間が早く感じるのは「思い出せるものが少ないから」、あるいは新しいことが少ないからです。だからこそ人生を長く楽しむには、新しい挑戦を続けることが必要だと話します。
慣れ
似たようなことを繰り返すようになる
新しいものが減る
やっていること、思い出せることが少なくなる
体感時間が縮む
1年が半分ほどの長さに感じられる
うまくいきすぎたから、全部やめた
すがけんさんは突然「実は僕、今めちゃくちゃ調子悪いんすよ」と切り出します。仕事の話で、クライアントがほとんどいない状態になっているといいます。
ただ、すがけんさんの仕事が減った理由は不振ではありません。自分から依頼を全部断っていて、その理由は「うまくいきすぎてて」だと説明します。
このままうまくいってると、50歳の時も今と変わんないことやっちゃって、60歳でも今と変わんないことやっちゃうから。
これ一回うまくいかなくしないといけないと思って。全部やめちゃったんすよね。
40歳で始めた事業は、50歳で10周年を迎えます。すがけんさんはその手前で、うまくいっている時こそ一度手放すという選択をしたことになります。
すがけんさんは数か月仕事を捨ててみて本当に暇になったものの、焦りはまったく湧かないと話します。経験があるぶん「あれをすれば大丈夫」とすぐ思いつけてしまい、それは慣れた技でしかないからです。
だって同じことにまたたどり着いちゃうんだったら、やめなきゃよかったんで。
4月から始めたこの状態について、すがけんさんは4〜6月は「何もない」をしっかりかみしめると決めています。同じものを再び始めず、全然違うものにたどり着くことが狙いです。
クライアント10社、投資先20社など多くのプロジェクトが順調。このままでは60歳まで同じことを続けてしまう
依頼をすべて断り、8年でなかったほど何もない状態。新しいことが始まるのを待っている
次の一手は海外移住?人生の「NEXTバージョン」
川原さんは、すがけんさんに「そろそろ一旦日本離れませんか?」と提案します。不自由になることで、すがけんさんでもヒリッとするのではないかという狙いです。
もともとね、ニューヨークとかパリとか行く予定あったから、それでもいいし。唯一(気になるのは)家がめんどくさいなぐらいの感じです。
すがけんさんは、絵や植物をどうするかまで考えてしまうと笑います。川原さんは植物なら引き取ると応じ、今ぐらいのエネルギー値が海外に出るにはちょうどいいと背中を押しました。
すがけんさんは、海外で働きたい気持ちはあまりないものの、海外に住みたい気持ちは多少あったと話します。川原さんは、人生を楽しむ空気感が唯一無二だとしてスペインを挙げました。
いわゆるその終わりに向かって、楽しい終わらせ方をなんか感じに行くとかは、ありかもしれないですね。
川原さんは、月44時間あれば今の生活が叶うことはすでに決まっていると指摘します。厚利少売 ── 薄利多売の反対で、少ない顧客に高い価値を提供し、高い利益を得るビジネスの考え方。すがけんさんと川原さんの共著のタイトルでもありますを突き詰めて倍額にすれば20時間でも回るはずで、残りの時間の過ごし方を探しに行くのは筋がいいと語りました。
その中の実は商売、もしくはビジネスって本当にワンパートじゃんか。
すがけんさんも、人生をどう変えたいかを考えないと、厚利少売を目指そうとも思えないのではないかと応じます。仕事軸だけを考えていても、惰性の生き方は変わらないという見方です。
人生の軸を分けて考えているか問われたすがけんさんは、「何も考えてないです」と即答します。難しい問題を解く仕事はパズルのようなもので、仕事がほとんど人生だからです。
暇はつらい、アルゴリズムはもっと怖い
すがけんさんは、仕事を減らして暇になったことで、少し憂鬱になったと明かします。予定がガチガチに埋まっているほうが楽しい「昭和タイプ」だと自認しています。
川原さんは、YouTubeなどのレコメンドが過去に見たものに最適化されるため、新しいものに出会うのが難しいと問いかけます。すがけんさんはわざわざログアウトし、無課金の一般ユーザーと同じ画面からたどって新しい人を探していると話しました。
暇だからジムに通えば毎日筋肉痛、全国を食べ歩けば体力と食欲が追いつかないと、すがけんさんは苦労を並べます。川原さんは「こいつマジこじらせとんな」と笑いました。
僕ほら、40歳で、55歳で始めるようなビジネスをやろうって言ったから。
川原さんは、サイバーエージェント ── インターネット広告やメディア、ゲームなどを手がける日本の企業。藤田晋さんが創業者ですの藤田さんが、短い移動にまで車を用意されて「唯一の歩けるところ奪わないでよ」と言っていた映像を紹介します。すがけんさんも、移動は歩きにしないと年を取ると共感しました。
運動もしなくなれば、ランダムな情報がもう入ってこなくなっちゃうから。
ITビジネスに長く関わってきたすがけんさんは、アルゴリズムで快適なものだけを届けると滞在時間は伸びるが、長期的にその人を豊かにするとは限らないと話します。自転車好きに自転車のものだけを見せ続けると、飽きさせたり、その人をダメにしたりする可能性もあるといいます。
「滞在時間は短いほうがいい」商売の本質
川原さんは、提供者は長く滞在してほしい一方で、消費者は長くいたいわけでもたくさんお金を使いたいわけでもないと、立場の相反を指摘します。
滞在時間とか見て伸びたらラッキーみたいに思う人いるんですけど、実は逆で、やっぱ滞在時間は少ない方がいいんですよね。
すがけんさんは、目的があって買いに来た人には1秒でも早く買い終えてもらうのがビジネスの本質だと話します。回遊させていろいろ見せたくなる気持ちはあっても、数字は伸びればいいものではないという考えです。
さらにすがけんさんは、極端な例として、相手の時間とお金をできるだけ奪おうとすると、その人は稼ぐことも働くこともできなくなると説明します。
芽が出たものを早期に刈り取っちゃうと、その実はもっと大きくなって、もっと良くなったかもしれないのに、早めに奪っちゃうことになるわけですよね。
長く滞在させ、できるだけ多くお金を使わせる。顧客の稼ぐ力まで損ない、継続しない
欲しいものを最短で買ってもらう。適正な分だけいただき、顧客の能力を守る
意味のある行動は、本当に心が選んだものか
川原さんは最近、時間の使い方で「意味のあること」ばかり選び、自分の心の声を無視していたことに気づいたと話します。次に会う人の作ったものを見ておくといった行動も、本来はときめきだったはずでした。
あららら、ダメじゃないですか。ときめくものを選ばないと。
すがけんさんは、それを順番の問題だと整理します。喜べると思って選んだのか、行動が当たり前になりすぎて選んだ後に喜べたか確認しているのかで、先手と後手が入れ替わってしまうというのです。
だからこそ定期的にその癖みたいなのはやめていかないと、なんか惰性になっちゃうんで。
毎日5時間YouTubeを見ている自分が言うのも変だと笑いながら、すがけんさんは惰性は早く損切りすべきだと話します。川原さんは「惰性はだせえ」とオヤジギャグで返し、すがけんさんに全カットを宣告されました。
川原さんは、最適化が進むと求めたものはすぐ叶い、余暇の時間が増えていくと続けます。そのとき、意味はないけれど「この人と喋りたい」と思える無意味さに、むしろ意味が生まれると語りました。
目の前の10円を拾い続けていないか
すがけんさんは、損得だけを追うと短期的な得ばかりの意思決定になると、小銭のたとえで説明します。
目の前に小銭が落ちてたら、それを拾い続けて歩いてたら行きたい場所に行けるんでしたっけ?
行きたい場所がない人は、半径数メートルの中で10円を探し続けてしまうと、すがけんさんは続けます。理屈の上では損をしていなくても、その1時間や1年と交換する価値があったのかを考えるべきだという指摘です。
すがけんさんは、共著の冒頭にある「本当はもっと高く売れるのに」になぞらえ、本当はもっと楽しめたのにと考えてほしいと語りました。
気づく方法を問われたすがけんさんは、年単位の振り返りを勧めます。年収800万円のために死ぬほど働いたなら、その時間に見合っていたか、もっと別のいい方法はなかったかに目を向けるということです。
SNSの「いいね」も1円にもならないとして、すがけんさん自身は暇なのにSNSをあまりやらなくなったといいます。今までの自分を少し疑うことで、延長線上から抜け出せるのではないかと話しました。
一方で川原さんは、没頭すべきタイミングで疑いすぎて動けない人もいると指摘し、常にバランスだと応じます。すがけんさんは、だからこそ外部の人が客観的に言ってあげるのがいいと続けました。
アドバイスは「その人に処方した薬」
アドバイザーとして、すがけんさんは大勢の前で助言するのが本当は嫌だと明かします。
これはその人に対して処方した薬だから、あなたは飲まないでくださいっていつも思うんですよ。
すがけんさんは、人によって言うことが変わるのは当然なのに、みんな一般論のイエスかノーを知りたがるのが問題だと話します。1対1が確約されるコーチングのような形が得意なのも、そのためだと考えています。
川原さんは、AIが発達して論理的に正しいものは誰でも手に入るようになったからこそ、自分に最適かを本人が判断しなければならず、難しくなっていると応じます。
すがけんさんは、行動を変えるアドバイスを一般論のままAIから受けるのは危険だとしつつ、AIでもできる工夫として自己開示を挙げます。すがけんさん自身、AIとの会話は自分の開示から始め、ネット上の自分の記事も読ませてから相談しているそうです。
川原さんはさらに、開示の元になる自己認知のレベル自体が低い人も多いと指摘します。そのズレを骨格矯正のように直すのが、自分の才能だと語りました。
企業も人も、現在地を語れない
すがけんさんは、企業へのアドバイスでも同じ問題があると話します。やり方はシンプルで、紙の右上に目的・目標、左下に現状を置き、その間を時間で登っていく階段にするというものです。
ところが企業は、右上の解像度が甘いだけでなく、左下の現状も売上と利益ぐらいしか語れないことが多いといいます。社員数や拠点など使える資源があるのに言えないのは、人でも会社でも今の問題かもしれないと、すがけんさんは話しました。
セルフプロデュース学科に誰を迎えるべきか
川原さんはここで、8月に始まる「プロデュースの学校」についてすがけんさんに相談します。今年はプロデューサー志望者向けに加え、セルフプロデュースを学ぶ学科を新設しました。
誰をセルフプロデュース学科に入れていいのかの判断が超難しいっていうことに今ぶつかってて。
川原さんは受講生を12人に絞り、自分の半年をかけるに値する人に来てほしいと考えています。自己認知が合っているかを確かめるには、入試で全員と面談するしかないのかと悩んでいました。
すがけんさんの答えは、まずセルフプロデュースに必要なポイントがいくつなのかを決めることでした。例えば自己認知・スキル・実行力の3つとすれば、学校で何を教えられるかを決め、残りをすでに満たしている人を選べばいいといいます。
川原さんは、近藤麻理恵さんの例を挙げます。19歳から片づけのレッスンをしていたものの、「ときめき」という言葉やコンセプトにたどり着いたのは6年ほど後でした。学科では、当たり前にやっている中に眠る強みを言語化させたいといいます。
やりたい人より、やってきた人
すがけんさんは、川原さんの狙いを聞いて「やりたい人じゃなくて、やってきた人じゃないとダメだね」と応じます。何々オタク、何々博士と呼ばれるほど続けてきた人が対象だということです。
すがけんさんによれば、プロデュースすればうまくいくと考えて相談に来る人は、実はまだやっていない人が多いといいます。そうした人は、儲からなければやめてしまうからです。
儲からなくたってどうせ私はやるんですと。
すがけんさんが理想とするのは、儲からなくても続けるほど好きなことに、もっと没頭するためにセルフプロデュース力を求める人です。今からTikTokをやればすごい人になれるという誤解ではなく、好きだから続けてきたものを仕事にするという立て付けを勧めました。
川原さんはこれを「ずっとやっていていい」をお金的にも時間的にも作れるようにすることだとまとめます。難しい問題を解くことにしか興奮しないすがけんさんのような「バグ」を持つ人が愛おしいと語りました。
すがけんさんは、プロジェクトは難しくなっているのに自分の会社が困難を迎えていなかったから、会社側を困難にしたのだと補足します。川原さんは「困難の掛け方が違った可能性」もあると笑い、続報を楽しみにしました。
ゆるい雑談回にこそ意味がある
すがけんさんは、記念すべき50回目がゆるい雑談になったことを「僕ららしい」と振り返ります。川原さんは、クラブハウスで深夜まで喋っていた頃と同じノリだと応じました。
コスパでお得だ、有料級だ、神回だばっかりもいいんだけど、そういうことって結局また10円の小銭を集めてるようなもんだから。
最後のお知らせで、すがけんさんは書籍『厚利少売』について、1ページ読んだら1つ感想を投稿してほしいと呼びかけます。全部読んでやっと1つの感想を持つより、毎日1つの気づきを持つほうが変われるという考えです。
川原さんは、プロデュースの学校の無料ウェブセミナーに約500人が登録していると紹介し、入試には「私は何々オタクだ」と書ける欄を作ると話しました。お便りでは、現在地と理想を数値で書いてもらえれば、その間を埋める方法に答えられるとしています。
まとめ
50回目の厚利少売ラジオは、すがけんさんがうまくいっている仕事をあえて手放した実験を起点に、惰性を断ち切ることと、自分らしく続けられる商売の形を語る回でした。
- 時間が早く感じるのは新しいものが減るからで、新しい挑戦が人生を長くする
- うまくいっている時こそ一度手放さないと、同じことを繰り返してしまう
- 顧客の時間とお金を奪う商売は続かず、適正な分だけいただくことが本質
- 目の前の10円を拾い続けず、年単位で「もっと別の方法はなかったか」を振り返る
- セルフプロデュースは、好きでやり続けてきた人がそれを仕事にするためのもの



