コートを着ずにコートを買いに行く人?
本題の前に、すがけんさんと川原さんは最近の寒さの話から雑談を始めます。すがけんさんはコートを新調したばかりで、買うと決めたときは、あえてコートを着ないで買いに行くことがあるといいます。
でも絶対に買おうって決めたから、たまにやるんですけど、(コートを)買いに行く時コートを着ないで買いに行くんですよ。
ちょっとわかる。退路を断つやつね。
すがけんさんはこのときコートを買った後に京都へ向かう予定で、京都は雪でした。もし売り切れていたら、スウェットのまま雪の京都に行くことになっていたと振り返ります。
しかもさ、博打じゃん、ただのそれって。
そうなんですよ。保険かけときゃいいのに。
すがけんさんは、退路を断つこの癖を「60歳ぐらいまでにはやめたい」と笑い、二十歳ぐらいから28年続けていると明かします。川原さんは、リスナーが厚利少売に取り組めば十数年後にはうまくいっているはずで、そのとき「裸足の人の話を聞いていた」ことになると返しています。
椅子を担いで1日歩き、裾上げはしない理由
すがけんさんの逸話は続きます。お金がなかった頃、どうしても欲しい椅子を朝のうちに家具屋で買い、その椅子を抱えたまま1日の予定をこなしたそうです。
朝買っちゃって、1日中徒歩で椅子持ちながら歩いて、何万歩か歩いたらなんだっけ?疲労骨折してました。
帰りの小田急線ではその椅子に座って帰れたので「割と良かった」というすがけんさんに、川原さんは「誰得の逸話」とツッコミを入れます。川原さんなら、配送してもらうか、予定の後に買いに行くといいます。
すがけんさんは同じ理由で、パンツの裾上げも滅多にしないと話します。今履きたくて買うのに、裾上げをすると1週間ほど履けないからです。
いやいや、全然全然。もうもう裏側に折り返してズルズルにして履きます。
川原さんは、自分が裾の合った服を着られているのは、近藤麻理恵さんの衣装担当の方がその場で直してくれるからだと気づきます。すがけんさんは「独身男性48歳」にはそんな環境はないと嘆き、川原さんも「ズル技使ってたわ」と認めて、話は本題へ移ります。
副業は本業を削る。だから「時間の読める仕事」に
この回のテーマは「副業・小規模ビジネスのよくある間違い」です。川原さんは、会社員の副業や始めたばかりのビジネスについてリスナーから多くの便りが届くことを紹介し、すがけんさんの観点で間違いを挙げてもらう企画だと説明します。
すがけんさんは、AIの登場で副業の考え方はだいぶ変わってきたとしつつ、まず前提として、副業は本業を削りながらやるものだと強調します。
大げさに言うと副業やると本業がうまくいかなくなるつもりでやった方がいいと思うんですよ。
そのリスクを避けるため、すがけんさんは副業を「5時間やると決めたら5時間で終わるもの」にすべきだと話します。本業も副業も時間が読めない仕事だと、両方がしんどい時期が重なり、結局本業を取ることになるからです。
すがけんさんによれば、副業で本業のパフォーマンスが落ちると、社内で呆れられ、本業での出世の道が遠のくおそれもあります。ちょっとしたお小遣い稼ぎのために、そこまでのリスクを負うのは割に合わないという見方です。
本業の切り売りではなく「時給2倍」を目指す
すがけんさんが勧めるのは、本業が良くなるような副業です。たとえば営業職の人がマーケティングをやってみたいとき、本業ではやらせてもらえない挑戦を副業でするという考え方です。
逆に、よくある間違いとして挙げられたのが、本業の時間を切り売りする副業です。営業職の人が営業代行を始め、時給を本業と同じに設定すると、本業と全く同じ働き方になってしまいます。
同じ時給で働くんだったら本業を絶対一生懸命頑張って出世した方がいいから。ベースが上がってくんで。
川原さんが「自分の時間在庫をどれだけ使っていくら稼ぐか」という目標の立て方を提案すると、すがけんさんは基準を具体的な数字で示します。
時給が2倍になれば、副業を本業化して「副と主を入れ替える」ことができます。すがけんさんは副業の方向性を、次の3つの選択肢として整理しています。
本業と同じ職種・同じ時給で、本業の時間を切り売りする
違う職種の仕事をやる、単価を上げる、本業にいい影響を及ぼす副業をやる
資格より先に、仕事を受けてしまう
すがけんさんは、ファイナンスの知識のように本業にも役立つ分野を副業で実践するのはありだといいます。ただし、会計士の資格を取るのではなく、会計の仕事そのものをやってみて、そこから勉強すればよいという考えです。
川原さんが「最初の一歩でみんなめっちゃ学びたがる」と応じると、すがけんさんは順番の間違いをはっきり指摘します。
そんな売れるかもわかんないものを勉強したってしょうがないから。売ってみて売れてみてから勉強すればいいじゃん。
すがけんさんによれば、優秀な人ほど勉強してきた経験から勉強を優先しがちですが、勉強してもお金は入りません。売ってから勉強するという順番が、すがけんさんの答えです。
「怒られたくない」「失敗したくない」という気持ちについても、すがけんさんは「副業だから」怒られるだけで大丈夫だと言います。ここでの「頑張る」とは、受けた仕事を遂行することだと説明します。
川原さんが「仕事を受けるところまでが難しいのでは」と尋ねると、すがけんさんは仕事はたくさんあると答えます。ココナラ ── 個人がスキルや知識をサービスとして出品・売買できる日本のオンラインマーケット。デザインや文章作成など幅広いジャンルがありますのようなサービスもあれば、身近な人に「未経験だけどやりたい」と伝えて任せてもらう方法もあります。
どんな仕事が受けれるかわかんないんで、全部学んでからやりますとかってやると、本当に一生が終わってしまうので、受けてからやればいいと思います。
資格を取り、全部できるようになってから副業を始める
先に仕事を受け、うまくいくように帳尻を合わせながら必要な勉強をする
本を最後まで読み切る必要はあるのか?
川原さんは、本も必要性が生まれたときにしか読めないと話します。何のための勉強かわからないと、文字は読んでいても何も入ってこず、「問いがない」状態になるといいます。
すがけんさんはさらに極端で、本は活かすために読むものだと言います。
本読み始めてなんか3ページ目ぐらいでいい言葉があったらもう読書終わり。その本から得られるものはもうそれで十分。いただきました。さあビジネスの時間だ。
川原さんはこれを受け、本を最後まで読まなければいけないと思うこと自体がよくある間違いかもしれないと指摘します。すがけんさんも、資格や読書を際限なく続けるのは「仕事ではなく趣味」だと話します。
読むことに「頑張っている」というレッテルを貼る人がいるという川原さんの指摘に対し、すがけんさんは、本を読んでもお金を返せなければ頑張ったことにはならないとまとめています。
「やりたいこと」で始めると、なぜ赤字が膨らむのか
川原さんは小規模ビジネスの間違いとして、自分がやりたいことだけで始めてしまうケースを挙げます。すがけんさんは、独立する人は大抵そうだと同意します。
なんでこれ始めたんですか?やりたかったんです。なんだけど、お客さんいないじゃん、やりたかったで始められちゃったらってなるんで。
すがけんさんは、需要に素直に供給することが大事だと強調します。世の中にすでにたくさんあり、欲しい人もいないのにカフェやネイルサロンを始めても、お客さんがいなければビジネスは成立しません。
ネイルサロンの例でいえば、お金をかけて資格を取り、家賃を払って店を作り、お客さんゼロからスタートすると、お客さんが増えるまで家賃を払い続けることになります。すがけんさんはこれを、売上が始まらないのにコストだけが始まる状態だと表現します。
すがけんさんの結論は、コストが始まる瞬間を、売上が始まる瞬間に合わせることです。売れるとわかってから家賃が発生するようにしないと、その間は赤字が増えていくだけだといいます。
資格・店舗に投資
お金をかけて資格を取り、家賃を払って店を作る
お客さんゼロで開始
売上が立たないまま家賃が発生し続ける
赤字が増える
お客さんが増えるまで損失が積み上がる
リクープ待ち
回収が1年後、2年後にずれ込む
すがけんさんはリクープ ── 投資した費用や損失を、その後の利益で回収すること。投資回収とも言いますという言葉を使い、お客さんがいる状態で始めれば、そもそも損失もリクープという概念もいらないと話します。副業にも通じる考え方として「いるところから始めましょう」と締めています。
準備が整ってからでないと、お客さんを取ってはいけない?
川原さんは、準備が整ってからでないとお客さんを取ってはいけないと多くの人が思い込んでいる、と指摘します。すがけんさんは「本当にそんなことない」と即答します。
そんなことないんで始めてください。始めて売れちゃったら頑張ればいいんで。
すがけんさんによれば、5人のお客さんがいるなら、目の前の5人が満足することだけを考えればよいことになります。一方、お客さんがいない状態で始めると、どんな客が来るかわからないため、あらゆる準備が必要になり、コストがかかりすぎるといいます。
何者でもない状態が、なぜ価値になるのか
川原さんは、ド素人でホテルを作ったとSNSで発信して話題になっている方のやり方を分析していると話します。すがけんさんもこの方と話したことがあり、マーケティングの能力が高い人だと評しています。
すがけんさんは、この方のやり方をプロセスエコノミー ── 完成品だけでなく、作り上げる過程そのものを発信して共感やファンを集め、価値に変えていく考え方の例として紹介します。ネイルサロンを開くなら、開業前から「これからネイルサロンを開業する」アカウントを作り、お客さんができてから開業すればよいという提案です。
川原さんは、これを大きなパラダイムシフトだと捉えています。昔は知識や技術、経験、実績を持つ人が強かったのに、ソーシャルメディアの登場で、何もない弱者の状態が最も付加価値の高いポジションに変わったといいます。
これ聞いてる皆さん、なんでかわかります?コンテンツって続きが見たいんですよ。だから完成されちゃった人の続きってもうないじゃないですか。
ない。だから過去の話をすることになるんだよね。こうやってきましたっていう。
すがけんさんは、お客さんはネイルサロンができるまでの過程を見て、応援したくて来てくれると話します。完璧だから来るのではなく、応援したくて来る。参加できていること自体が価値になっているという見方です。
知識・技術・実績を持つ完成された人が強い。価格は原材料など原価で説明する
何もない状態から挑む過程が見どころになる。応援や参加が価値になり、原価に縛られず利益を乗せられる
川原さんも、価値は技術の高さですらなく、技術を高めていく道中を覗き見させてもらえることにあると応じます。すがけんさんは、毎月通うお客さんが技術の向上を見たり、施術の様子を自分のインスタに上げたりすることも価値になると付け加えます。
厚利少売とプロセスエコノミーの相性
すがけんさんは、プロセスエコノミーは技術や原価で商売する薄利多売とは違い、原価を気にせず利益を乗せられるため、厚利少売と非常に相性がいいと話します。
なんでこれ高いかはあの1ヶ月で何十枠しかなくて、この人しか私はダメなんですって思ってもらえるようになる方法だから。
川原さんは、先のホテルの方の秀逸な点として、ゴール設定のうまさを挙げます。「この人ならワンチャン叶いそう」と思え、叶った瞬間にみんなが面白がれるゴールになっているというのです。
あまりふざけててもさ、なんか白けるし、手前で叶いそうすぎると応援も興味ないし。
すがけんさんはこれを漫画のプロットや企画になぞらえ、商品の需要と供給ではなく、コンテンツとしての需要と供給の設計がうまいのだと分析します。
強者でも「弱者」になれる西野さんと、会えるネイリスト
川原さんは、キングコングの西野亮廣さんもこの設計が非常にうまいと話します。最年少で多くのことを叶え、20代でゴールデンの帯番組を持つほどの「スーパー強者」なのに、別のラインで勝負を始めるときには自分を弱者にできるといいます。
本来なら届かなそうな夢の話なのに、西野さんだったら叶えていくんじゃないかって思えちゃうし、思わせちゃう。
すがけんさんは、一般の人はそこまで大きな夢でなくてもよいとしたうえで、華々しいアイドルから「会えるアイドル」になったAKBのように、目指すのは「会えるネイリスト」だと表現します。会いたくなる、確認したい、見てみたいと思わせることが、コンテンツとして強いという考えです。
すがけんさんはさらに、ビジネスの話は大規模向けに作られているため再現性が強調されがちだが、小規模ビジネスは属人性で勝負するものだと指摘します。
発信は「歯磨き感覚」になるまで続ける
川原さんが「つまり発信なんですよね」とまとめると、すがけんさんは見つけてもらうことが重要だと同意します。発信が苦手という人も、1年頑張れば楽になるといいます。
と、YouTubeを更新していない僕が言います。
そしてYouTubeを毎日更新している僕も言います。
川原さんはYouTubeを毎日配信しており、楽しくなってきたので続きそうだと話します。すがけんさんは、ランナーズハイのような感覚、あるいは歯磨きのようにやらないと気持ち悪い感覚になるまで続けるべきだと勧めます。
締めくくりに川原さんは、話を聞いて「今の自分だ」とドキッとした人は直してみてほしい、これから始める人は間違いにはまらないようにしてほしいと呼びかけます。
お知らせ: 書籍『厚利少売』と毎日配信のYouTube
番組からのお知らせとして、すがけんさんは川原さんと作った書籍『厚利少売 薄利多売から抜け出す思考・行動様式』を紹介します。あわせて、厚利少売の5万円のコンテンツも発売開始直後だと案内しています。
川原さんは、YouTubeチャンネル『川原卓巳のビジネス戦略ch【自分らしいプロデュースメソッド】』を毎日配信していると紹介します。ゼロから始めるマーケティングの回は、もうすぐ5万回再生に届きそうだといいます。
マーケティングの界隈の人の話よりよっぽどマーケティングの話でした。
川原さんは、マーケティングという用語ではなく「自分が何をしているか」を日本語で話した感じだと振り返ります。最後に、お便りフォームでビジネスの悩みや結果報告を募集しており、感想を読む回もやりたいと話して番組を締めくくりました。
まとめ
すがけんさんと川原さんが挙げた間違いは、どれも「お客さんや売上より先に、時間・勉強・コストを使ってしまう」という点で共通しています。先に売り、過程を見せながらファンを作ることが、副業と小規模ビジネスを厚利少売に近づける道として語られました。
- 副業は本業を削る前提で、時間の読める仕事にし、本業の時給の2倍を目指す
- 資格や読書を完璧にしてから始めるのではなく、仕事を受けてから必要な勉強をする
- コストが始まる瞬間を売上が始まる瞬間に合わせ、「やりたいこと」より需要を優先する
- 何者でもない状態から挑む過程を見せるプロセスエコノミーは、厚利少売と相性がいい
- 小規模ビジネスは属人性で勝負するため、発信を歯磨き感覚になるまで続ける





